|
さて、前回は海水浴時の注意についてお話しさせて頂いた。しかし、海の楽しみ方はまだまだある。そして、そこには注意しなくてはならない事もある。 今回お話しさせて頂くのは、クルーズに行く時の注意についてである(尚、ここで言う「クルーズ」とは、大型客船で行くものではなく、少し離れた島や海域までの船旅を楽しむツアー(小旅行)を指しているものとお考え下さい)。 これも前回のウニの話と同じように私自身の体験(失敗)を元にご説明していくわけだが、これは、私が現地の旅行会社のツアーに参加して、ムルテル島からコルナティ国立公園へのクルーズに参加した時のお話である。 シベニク−ムルテル島はバス、ムルテル島−コルナティ国立公園−ジュート島は船、という行程 コルナティ国立公園については、いずれ稿を改めてご紹介しなくてはならないと思っているのだが、ここはこの記事の本筋ではないため、今回は簡単な説明に留めさせて頂く。この国立公園に指定されているのは、コルナト島を主島とするコルナティ諸島とその周辺海域。紺碧の海に石灰岩の白い島々が連なり複雑な海の迷路を形成するこの海域は、世界中のヨットマン憧れの地で、かのバーナード・ショウもその美しさに賞賛の言葉を残している。主な観光拠点はザダルやムルテルで、この海域へのクルーズを楽しむことができる。ザダル空港からヘリコプターに乗れば、この星のかけらのような美しい島々を空から眺めることもできる。 船から見る景色の一例。まるで海の中の山脈のように連なる島々 私が参加したツアーは、ムルテルから船に乗ってコルナティ海域を巡り、隣接するジュート島に上陸して、またムルテルまで戻るというコース。船が出発するムルテルは島なのだが、本土から近く、橋でつながっている。だから、ここまでは車で行くことができる。ムルテルで私達が乗り込んだ船がこちら。 ブラ号(「Bura」とはアルプスから吹き降ろす冷たい山風のこと) このツアーに出掛けたのは7月上旬。晴天率が高く天候も安定している時季なのだが、この日はあいにく、やや曇りがちの空模様。それでも夏らしく暑い日で、私はジーンズにノースリーブのシャツといういでたちで船に乗り込むと、一番景色のいい最上部(屋根付きのデッキ部分)の一角に早速陣取ったわけである。 ムルテルからコルナティ海域までは、最短距離で15kmほど。港を出た船は、どんどん速力を上げていく。私と同じように何人もの人達がデッキに出て、海の景色と心地よい風を楽しんでいる。勿論、みんな軽装だ。「もう少し天気が良かったら申し分なかったな〜」などと思いつつ、私は遠ざかる港や遥か向こうの水平線に向かって呑気にデジカメのシャッターを切っていた。 船が沖に出るにつれ、涼しさが増してきた。船の速力のせいもあり、強い向かい風が体にあたる。おまけに雲も次第に厚くなり、陽射しが見えなくなってしまった。涼しさが寒さに変わるまで、大した時間はかからなかった。心地よさを感じていたはずの風に、どんどん体温を奪われていくような気がする。これはマズイ。港を出る時はあんなに暑かったのに。だからノースリーブ1枚で来たのに。 辺りを見回すと、私と同じような服装だった人々は、それぞれ荷物の中からパーカーや大きなタオルを取り出して羽織っていた。この人達は、軽装だったが軽率ではなかったのだ。うっかり者は私一人だ。 デッキを下りて船内に入ってしまえば風は避けられ、寒さは解消できる。だがそれでは、このせっかくの景色を見たり写真に撮ったりすることができない。私は一瞬だけ迷った後、デッキに留まることを選んだ。 腕に鳥肌を立て、歯をガチガチさせながら、それでも意地になってデッキの手すりにしがみついていると、サービスとしてクッキーとラキヤが振舞われた。ラキヤというのは果実やハーブから作られる蒸留酒で、言ってみればこの地方のブランデーのようなもの。アルコール度数はかなり高い(40〜60度ほど)。小さな紙コップで配られたラキヤを、私はほとんど一気に飲み干した。そうすれば、少しは暖かくなるだろうと思ったのだ。飲み干した後、さらにもう一杯もらって立て続けに飲んだ(馬鹿ですネー)。そして、船の揺れと空きっ腹のせいで酔いが一気に回った私は頭フラフラになりながらも、しつこくデッキの上に陣取り続けていたのであった(今度は「冷たい風で酔いを醒まそう」と思ったのだ)。手すりは少々危ない気がして、おとなしく椅子に腰掛けてはいたが。 幸い、酔いはすぐに醒めて私は立ち直り、コルナティの不思議で印象的な景観を楽しむことができた。ジュート島に着いた頃には天気もやや持ち直し、明るい陽射しにきらめく綺麗な色の海も見られた。 ジュート島(Otok Žut)。「Žut」は「黄色」という意味なので、強いて訳せば「黄島」だろうか。 島で食べたチョコパフェ またしても後先考えずに巨大なチョコパフェなど平らげ、帰りの船でもずっとデッキにいたのだが、日が出てきたおかげで凍える心配はしなくて済んだ。肌に感じる風も目に入る景色も、全てが心地よかった。 もうお分かりであろう。クルーズに出掛けて海の風や景色を楽しみたい方は、「羽織れる上着(または大きいタオル)を1枚」、必ず荷物の中に入れておく事を強くお勧めする。真夏のどんなに暑い日でも、出発の時にどんなに天気が良くても、必ずである。陸地と沖の方では気温も違うし、風を切って進む船の上での体感気温は思いのほか低い。どんなに気候が落ち着いた時期であっても、天気の急変は常にあり得るから、出発するときは上天気でも、途中で曇ったり小雨がパラついたりすることも十分考えられる(そして、その雨も大抵すぐにあがってまた晴れたりするのだが)。 今回はクルーズ時という事で海の上でのことをお話ししたが、実は陸上でも、日陰や地下では似たようなことが起こる。アドリア海沿岸部も夏は暑く、日中は強烈な陽射しが照り付けて気温も高くなる。しかし、地中海性気候であり、日本のような湿度を伴う暑さとは違って、日陰では割合ひんやりとしている。また、日が傾いた後も同様である。だから、夏の旅行であっても、薄手の上着1枚はあった方がいいように思う。または、肩から羽織れる大きめのタオルやスカーフでもよい。これなら他の用途にも使えるので、荷物になることもないと思う。 * * * * * * と、散々声高に「羽織れるものの必要性」を主張してしまったが、もしかすると、旅慣れた方にはもはや常識のことだったかも知れない。どうも申し訳ありません。しかし、もし私と同じような無鉄砲な方がいらっしゃったら、どうか「持っていく物リスト」の中に「羽織るもの」を書き加えておいて頂きたい。そうすれば、少々雲が出ようと、吹き抜ける海風の心地よさを体に感じながら、流れ行く風景と船旅の楽しさを思う存分満喫できるはずである。 島の海の色の美しさはまた格別。小さな島にもそれぞれの物語があり、豊かな時間が流れている。アドリア海では是非、島への小旅行やクルーズも楽しんで頂きたいと思う。
|
全体表示
[ リスト ]




おはようございます。クロアチアのメインの観光地も良いですがここまで足を踏み入れると一層美しい国ということが解りますね。今年久しぶりに海外へ旅しましたが、くせになりそうです。次は来年です。
2010/8/26(木) 午前 8:26 [ おーたく ]
おーたく様
おはようございます。
最初の旅行ではまず「クロアチア黄金街道」を、そして次の旅行では是非、「もっとディープなクロアチア」を味わってみて頂きたいと思っている私です^^
おーたくさんの次のご旅行までに更なるクロアチア情報をお伝えできますよう、頑張りたいと思います。リクエストがありましたら、今度調べてきますね(10月半ば〜12月半ばの2カ月間行ってきます。仕事絡みですけど…^^;)。
2010/8/26(木) 午前 9:29 [ Hide ]
地中海性気候なんですね。
蒸し暑い今、なんだかさわやかで、憧れるような響きです。
水温も低いのですか?
美しい海中をぜひぜひ覗いてみたいのですが。。。
地中海性気候というと、ぶどう・・・と単純に結びつけてしまうのですが、クロアチアでもブドウの栽培はしているのでしょうか?
2010/8/26(木) 午後 11:14 [ ayaran ]
ayaran様
クロアチア(というかヨーロッパ)も近年異常気象と言われてはいるようなのですが…基本的に、海沿いの地域は地中海性気候ですね。北部や山岳地方はまた別なのですが。せっかくいいご質問を頂いたので、それでは次回の記事は「クロアチアの気候」について書いてみましょう。
クロアチアの海では、大体5月下旬〜10月初旬まで泳げるみたいです。スカンジナビアの方から来る観光客は4月から泳いでいたり、年によっては10月半ば過ぎまで泳げたりもするそうですが。あと、クロアチアではダイビングも盛んに行われています。
「地中海性気候→ブドウ栽培」は非常に正しい連想です^^ ワイナリーもたくさんあって、ワインはダルマチア地方の名産品の一つです。
2010/8/27(金) 午前 0:24 [ Hide ]