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グリム童話に、人が70年の命を生きるようになった理由を説明した寓話があるのをご存知だろうか。「寿命」という題名の話で、内容は以下の如くである。 * * * * * * 神は世界を創り終えた後、生き物達の寿命を決めることにした。まずはじめにやって来たロバに、神は30年の寿命を与えようとしたが、それを聞いたロバは、自分にはその寿命は長過ぎると言って嘆いた。「朝から晩まで、怒鳴られたりぶたれたりしながら人のために重い荷物を運び続ける一生が30年も続くのは耐えられません」というロバの言葉に神は納得し、18年分の寿命を削ってやると、ロバは喜んで去って行った。次に犬がやって来た。神は同じく30年の寿命を与えようとしたが、犬もまた、その寿命は長過ぎると神に訴えた。「私は30年も走り続けられるほど丈夫な脚は持っていません。年老いれば歯も抜けてなくなり、噛むこともできず、隅にうずくまっているだけの人生です。そんなのは真っ平です」神は了解して12年分の寿命を削ってやり、犬は喜んで去って行った。続いてやって来た猿に、神は言った。「お前は30年の寿命を生きたいと望むだろうな。ロバや犬のように働く必要もなく、いつでも幸せなのだから」しかし猿は、そんなことはないと答えた。「私はいつも人間を笑わせていますが、与えられる食べ物はいつも不味い。決して幸せではありません。陽気な馬鹿を30年も続けるのは長すぎます」神は了解して、10年分の寿命を削ってやった。最後にやって来たのは人間だった。神が30年の寿命を与えようとすると、人間は言った。「それは短過ぎます。それでは私が家を建てて庭を造り、これから人生を楽しもうという時に死ななくてはなりません。神様、どうかもっと寿命を下さい」人間の訴えを聞いた神は、彼にロバから削った分の18年の寿命を追加して与えることにした。しかし人間は満足せず、さらに寿命を要求したため、神は犬から削った12年も加えてやる。だが人間はそれでも満足せず、さらに長い寿命を欲したので、神は最後に猿の分の10年も付け足してやった。人間は結局満足しないまま、去って行った。 こうして人間は70年の寿命を得た。最初の30年は人としての命で、この期間はあっという間に過ぎる。健康で幸せで、働くことが楽しく、人生を謳歌する時期だ。次の18年はロバとして生きる。重い荷を背負い、怒鳴られたりどつかれたりしながら、家族の食い扶持を稼ぐために働かねばならない。続いての12年は犬として生きる。足腰は立たず歯はなくなって、元気に動き回ることも噛むこともできない。そして最後の10年は猿として生きる。この時には耄碌しておかしなことになり、間の抜けたことばかりして、子供達に笑われて過ごすのだ。 * * * * * * これが「童話」というところがまずスゴイ。果たして子供に読み聞かせるべき話なのだろうか。 もちろん、グリム童話が編まれたのは19世紀の頃だから、その頃と今とではだいぶ状況が異なっているはずだ。今は60代70代でもバンバン荷物を運んでいる人もいるし、丈夫な脚と健康な歯を持って自由な人生を楽しんでいる人もいる。うちの88の祖母も元気だが、2軒隣のじいちゃんは、今年96だがバイクに乗って、シルバー人材でガンガン働きに行っている。肌もツヤツヤだ。 しかしながら、私はこの童話を知った時、よくできた話だと思い、なるほどなぁ〜と妙に納得させられてしまったものだった(その時勉強に使っていたクロアチア語の教科書に小学校何年生か用の読み物として載っていたのを読んだのだ。)。 その頃の私は、ちょうどロバとしての人生が始まった頃だった。周囲の諸先輩方から聞いていた通り、30過ぎると体にもガタが出始める。徹夜がキツくなり、髪が抜け出す一方で疲れと酒が抜けなくなっていく。周りの状況も変わってきて、自分の直接の仕事と関係ないところで責任を押し付けられる立場に立たされたりする。上から叱責され下から突き上げられ、気の休まる時が無い。「もう辞めたろか」とは思うものの、家族のために金を稼がなくてはならない。 私の場合、そんな時に「ロバとしての人生に入ったんだから、仕方ないんだよ。そういうものなんだよ」という話を聞かされることで、「そうかー。ロバの人生だもんなぁ。ロバの人生じゃあ、仕方ないよなぁ」と、何となくその状況を受け入れて、自分の中で折り合いを付けることができたように思えるのだ。 「あきらめは心の養生」という言葉もあるが、自分の力でどうにもならない事(生老病死を含む)に対しては、全てを「よし」と肯定して、受け入れることで気が楽になることもあるように思う。どうにもならない事をくよくよ思い悩むより、「そういうものだ」とありのままに受け入れてしまった方が楽になるのではなかろうか。 どんな状況を幸福と感じ、不幸と感じるかは気の持ち方次第だ。ロバにはロバの、犬には犬の、猿には猿の楽しみだってあるものだ(と思う)。 ロバも飼い主次第では幸せだ。それにアイドル性があり、間違いなく私より人気者だ。 |

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私も今は、ロバの人生です(笑)そう考えると、妙に納得できるから不思議ですね。
でも、本当のロバにしてみたら、もしかしてとっても失礼だったりして・・・。
2010/9/29(水) 午後 10:41 [ ayaran ]
何をおっしゃいますか〜(笑)皆さん今は昔に比べて10歳分は心も体も若いと思っているのですけど。。。
童話はとても面白いお話ですね、人生は苦役と考えるか、尽きる事の出来ない余興と見るか・・・Hideさんはどちらですか(笑)
もちろんぽち☆
2010/9/30(木) 午前 9:52
グリム童話は実はとても怖いという話を聞いたことがあります。
まだまだ人間で毎年旅行に行きますよ!
会社辞めたら世界一周!
お金貯めます!
2010/9/30(木) 午後 1:15 [ おーたく ]
ayaran様
ロバには「柔順」、「働き者」というイメージがありますが、一方で「頑固」や「間抜け」の代名詞や暗喩として使われる場合も多いですね。ちょっと可哀想…というか、確かに失礼な話ですよね(笑)
ロバは結構社会性のある動物だと聞いたことがあります。だから、一頭で飼うよりも何頭かをまとめて飼って一緒に働かせた方がよく働いてくれるのだとか。意外に人間味があるのかも知れませんよね。ますます親しみが湧いてしまいます^^
2010/9/30(木) 午後 3:32 [ Hide ]
proneko様
ご評価、ありがとうございます。恐縮です。
自分の周りを見ても、全然年齢を感じさせない、活動的な方は多いですね。やはり、主体性や好奇心が旺盛な人というのは、いつまでも若さと張りを保ち続けているように思います(逆もまた然り、ですね)。
子供の頃に読んだ童話も、大人になってから読み返してみると、当時は分からなかった意外な含蓄に気付かされるかも知れませんね。私の場合、自分の人生を顧みて「これは天罰だな」と思うことがしばしばですが、このように自分の不始末を神のせいにしている時点で、相当ノンキな人間だと思います。
2010/9/30(木) 午後 3:34 [ Hide ]
おーたく様
「本当は怖いグリム童話」って、そう言えばありましたね!子供にいきなり、こんな黒い真実を突き付けてしまって大丈夫なのか、という気もしますが…。でも大人が読むからこそ、寓話に込められた本当の怖さが理解できるのかも知れませんね。
おーたくさんの世界一周の旅は、勿論ブログにアップして頂けるんですよね!?^^ 健康な脚と歯で、世界中歩きまくり食べまくりの旅行記を、楽しみにしております!
現実に、90過ぎても飛行機で世界中飛び回っている方がいますもんね。「あの人、絶対年取るの忘れてる!」って思います。
2010/9/30(木) 午後 3:36 [ Hide ]