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12月7日(火) 【前回のあらすじ】 リエカでの仕事が流れ、4泊5日の旅は完全なプライベート旅行に。忙しい社長の手を煩わせながら慌ただしく準備を整えたものの、最近の停滞ムードが払拭できず、出発前夜になっても気分は一向に盛り上がらない。ついには荷造りもしないまま眠り込んでしまう。 - - - - - - 早朝5時、アラームで目を覚ます…が、結局30分近くベッドの中でノタノタ…瀕死のイモムシ。 出発前の1時間で荷物をまとめた。4泊分の下着類と服、パソコンやガイドブックをいつもの肩掛け鞄に詰め込んだら、手作りの稲荷寿司みたいにパンパンになった。入りきらない着替えの一部と洗面道具は別の巾着袋に。 夜明け前の6時45分に部屋を出て、トラムでバスターミナルへ。リエカ行きのチケットを買ってプラットホームに下り、バスの行先を確認して乗り込む。座席の座り心地は上々だ。 7時30分、定刻通りに発車。リエカは海に面した町だが、ザグレブから向かうと、ゴルスキ・コタルという森林山岳地帯を越えていく事になる。山にはたくさんの雪が積もっており、途中で降り始めた雨も、ここではちょっとした吹雪のようになっていた。 ザグレブからリエカまで、小休止を挟んで約2時間半。高速道路が全開通したので、随分早くなった。途中ウトウトしていたせいもあるが、あっという間に到着。 今日はリエカを少し見た後、オパティヤのホテルに行ってチェックインの予定。 今回リエカで必ず行きたい場所は、トルサット城と自然史博物館だ。前者はリエカを訪れる観光客の多くが足を運ぶ有名スポットだが、後者は完全に個人的趣味。以前ザグレブの自然史博物館でたくさんの生物標本に興奮した動物好きの私としては、リエカの自然史博物館にも是非行ってみたいと思っているわけだ。 トルサット城では、私はある写真を撮りたいと思っていて、それは数年越しの悲願となっている。せっかくなので、よく晴れた日に数百段の階段を歩いて上り、リエカの街を一望する眺めと達成感を味わいながら綺麗な写真を撮りたいと考えている。 天気予報によれば滞在後半は晴れるはずなので、今日の散策は短時間に留め、リエカをゆっくり見て回るのは日を改めて、という事にしたい。 という事で、荷物は預けず(長距離バスターミナルの所に有料の荷物預り所がある)、手に持って歩く。 目抜き通りのコルゾ通りから階段と坂を上って自然史博物館へ。標本の数はザグレブの博物館の方が圧倒的に多いが、リエカはさすが港町だけあり、海洋生物の展示が目を引く。 充実のサメ展示。タッチパネルコンピュータでの解説もある。 体長1mになるイシビラメ。デカイ! 地下には水族館のような生きた魚の展示もある。 タイの一種、ホワイトシーブリーム。 これもタイ科のサレマ。食用魚だが、ごくまれに、食後幻覚・幻聴の症状を起こす事があるらしい。 2階、恐る恐る通り抜けた昆虫ゾーンの奥には、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類の剥製がズラリ。 ヒグマとヤマネコ。ヨーロッパを代表する野生動物。 ハリネズミ。カワイイ! ヨーロッパヒメウ(手前)とチチュウカイミズナギドリ(奥)。クロアチアには多くの種の野鳥も生息する。 博物館の公式サイトを見ると、展示されている標本は収蔵品のごく一部のようだ。観光向きの場所とは言えないが、私としては十分楽しんで博物館を後にした。 外に出ると、何だか雨がひどくなっている。昼食後はホテルへ直行した方が良さそうだ。チェックインは2時からなので、ゆっくり昼を食べてバスで向かえばちょうどいい。 リエカに来たら食べようと思っていたのがピザ。本場イタリアに近いこの辺りのピザを、ザグレブの物と食べ比べてみたい。 コルゾ通りから細い路地をちょっと入った所にある「Bracera/ブラツェラ」というピザ屋に行ってみた。 まるで絵本のような可愛いメニュー。 海をモチーフにした飾りもポップでファンシー。 せっかく海の町に来たからには…という訳で、シーフードピザを注文。 なんか本格的なの来ちゃった! ムール貝のインパクトに一瞬怯むも、負けじとナイフで貝柱を切って中身を取り出す。そして口に入れた瞬間、「あっ、こりゃ本物だ」と思った。物凄く「貝の味」がする。貝が瑞々しいって変な表現かも知れないけど、それが第一の印象だ。新鮮って事なんだろうか。貝殻ごと調理しているせいか、エキスが凝縮した上、身がふっくらしている気がする。 小エビがまたジューシー!やっぱりシーフード美味い!!コレ選んで良かった! ピザ生地も美味かった。生地の一番外側(耳の部分)と下側がカリッとしていて、あとの部分は「サクッ」と「ふっくら」の中間…というか、ちょうどその「いいとこ取り」といった感じ。すごく私の好みに合っている。 リエカの他のピザ屋の味は分からないが、もしも全体的にこれぐらいの物を出してくるとしたら、リエカのピザのレベルは相当高いかも知れない。…スロヴェニアのピザの地位は不動だけど。 後ろ向きな気持ちに悪天候が重なって下がりきっていたテンションが、このピザのおかげでちょっと上向いてきた。 とは言え、店を出てもやはり雨だ。しかも本降り。そのままバス通りに行って、オパティヤ行きのバスを待つ事にした。 リエカとオパティヤを結ぶバスは、ザグレブからここまで乗ってきたような長距離バスではなく、地元の人達の足として利用されているローカルバスだ。32番という路線らしい。30分に1本程度の間隔との事だったが…。雨宿りして待つことしばし、2時少し前に32番と表示されたバスがやって来た。 運転手さんからチケットを買って打刻機に通し…さて、ここからが本日の悲劇の始まりだった。 この32番のバスについての情報は社長からも聞いていたし、色々なガイドブックやブログでも読んだ。説明は簡単で、特に注意点という物はなかった。 だから私は、初めて行く場所だったけれど、非常に気楽に考えてしまっていたのだ。「迷わず行けよ、行けば分かるさ」ってなもんである。大体、オフシーズンとはいえ、有名な観光地なのだし。 結論から話すと、降りるべきバス停に気付かず、そのまま乗り過ごしたのだ。そして大分行き過ぎた後で「さすがにおかしい」と気付いてバスを降り、2時間以上かけて歩いて戻ったのである。 乗り過ごしの詳しい経緯については、後日別記事にまとめようと思う。とにかく気付いた時にはバスは明らかにオパティヤっぽくない風景の中を走っていたのだ。 とりあえずバスを降り、岩に腰かけて呆然と海を眺める。不幸中の幸いか、雨は上がっていた。 右手に海を見ながら、今来た道を引き返す。おっ、いい砂浜発見! 空は一面灰色の雲に覆われ、海の色も鈍い。それでも、こうして遠目に見ても水の透明度がはっきりと分かる。 再び目にすることができたアドリア海。「また会えたな…帰ってきたよ!」と挨拶したいような、大きな感慨を呼び覚まされる。 というわけで、浜に下りてみた。クロアチアには珍しい、砂のビーチ。 ああ、すぐそこにあるアドリア海…!! 透明な波に洗われる渚。4年前の夏を思い出すなぁ。 誰もいない冬のビーチ。吹きつける海風、打ち寄せる波の音、眼前に広がる青灰色の海…。 時間もその時の状況も、全てどうでもよかった。自分の中に纏わりついていた物、わだかまっていた物が、ポッカリ開いた穴から外へ流れ出ていくような気がした。海って、いいな…。 自分には転地療法が必要かも知れないと本気で思う。 アドリア海タッチ証明写真。冷たいけど、これなら足ぐらい入れそう!…と思ったけど、この先の道のりを考えて自重。 再び歩き始めて約20分後、街の地図を発見!あーやれやれ。えーと、ホテルはどこかな? オパ…ティ……いや!!これ、隣の町ロヴランの地図じゃねぇか!!Σ(゚Д゚;) オパティヤの先のロヴランの、さらにその先まで来てしまっていたとは…。ショックで2歳老けた。 地図にはオパティヤまで7kmとある。ここからバスに乗り直す手もあるが、何だかシャクだ。7kmなら歩いても行ける。2時間もあれば余裕さ!…くっ、2時間も…歩くのか…! ここよりオパティヤ市。まだ先は長そうだが…。 道は一本道なので迷う心配はないのがありがたい。 右手はこんな景色。日が出てたら、もっと綺麗な海が見られたのになー。 この辺りからまた雨が降り始める。時折止んだり、時折バラバラと激しくなったり。 日はどんどん暮れていくし、オパティヤ行きのバスが何台も追い越していくし…。 黙々と歩いていると頭の中で嫌な妄想ばかりがグルグル。鬱街道まっしぐらだ。鬱な時って、足が鉛みたいに重くなるんだよねぇ。あー、進まない進まない。 どうでもいいから、とにかく歩け。 海を見て気を紛らわそうとするも、もう暗くなってきちゃった… 強くなってきた雨。もう疲れたー!足重いー!喉渇いたー!(泣) 街灯につけられたイルミネーションが海の町らしくヨット。 この後、10分かそこらで急速に暗くなった。そしてついに… オパティヤ、キター!! 右の道を行くとオパティヤ市街および旧市街、だ。 闇に浮かぶこれらの標識が、本当に光り輝いて見えた。 カーブした坂道をズンズン下りて行くと…ホテルが見えたっ! バスターミナルが思いがけずファンタスティックな一枚に。さあ、ここから坂を上ればすぐに… あぁ、着いたー!!(感涙)「ホテルに到着した」という事にここまで感激したのは初めてだ。 この時5時20分。本当なら3時間近く前に着いていたはずなのだが…。 目の前のこのホテル、今の私にとっては世界中のどんなホテル、どんな豪邸よりも輝かしく、暖かい。 フロントの、優しそうなおじさまスタッフが迎えてくれた。予約票を見せて無事チェックイン。 清潔なバス・トイレに… 申し分ない設備のダブルルーム!今日はもうノンビリするんだぁ〜! 疲れたけど、昼のピザのおかげでお腹は減ってない。ホテル近くのキオスクで水だけ買ってきて、思うさま飲んだ。うー、生き返る!ベッドに転がって足を伸ばすと、それだけで極楽だ。 明日はイストラ半島のポレチュという町に行く予定。天気予報は雨だけどね!
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