|
12月5日(日) - - - - - - 日が出ているのにとても寒い一日。外にいると、日向でも寒くてじっとしていられない。歩いていても顔面や耳に冷気が当たって痛い。冬眠するべきじゃないのか。日本にいたら、こんな日は絶対外になんか出ない。目の前のスーパーにだって行かない。 しかし、そのためか、空気はいつもにも増して澄んでいるように感じる。冴え冴えとしていると言ってもいい。まるで山の空気みたいだ(山なんて20年以上行ってないけど)。 今日は日曜日なので、ブリタンスキ広場のアンティークマーケットまで出掛けた。清涼な空気を感じながら、歩いて。 相変わらずのカオス&フリーダム空間。何でもアリだ。 このフィギュアっぽいチェス、ちょっとイイな(駒の初期位置がメチャクチャ)。 いやーっ、それにしても寒い!広場中に広がるブースの間をウロウロしている間にも、どんどん寒さが体の中に浸透してくる感じだ。お腹の中に何かあったかい物を入れたい気分。 昼近い時間だし、ひとまずここは切り上げて、イェラチッチ広場まで移動する事に。歩けば10分弱の距離だが、寒さに負けてトラムに乗ってしまった。2区間のフリーゾーンなので無料で乗れるから、まあいいだろう。 広場にはステージが設置されていて、毎日何かしらの催しが行われているようだ。 この時も民族衣装を着たグループの歌と踊りが披露され、多くの人が集まっていた。 まずは何か食べよう!という事で、広場に出ているソーセージの店に入ってみた。これ、以前からすごく気になっていたのだ。 このお店。広場には他にも同種の店がいくつか出ている。 今回ザグレブに来た頃(つまり10月半ば頃)には、街中でやたらと焼き栗の屋台が目について、「ザグレブの秋の風物詩?」と気になっていたのだが、11月後半ぐらいから、今度はあちこちにソーセージの屋台や店(中で食べられる簡易店舗)が目立つようになってきており、「ザグレブの冬の風物詩?」と、前を通る度に気にしているのである。 今までは、店の前を通りかかるのがちょうど食事の後だったり用事の途中だったりしてタイミングが合わなかったのだが、今日こそは絶好のチャンスだ。皆が食べてる、ソーセージをパンに挟んだやつ、あれを食べてみよう! 店に入ってすぐ、眼前に展開するソーセージパラダイス!五感に訴えかける、破壊力抜群の訴求。 店の中はかなり広くて、こんな感じ。ここにもステージがあり、ザグレブの民族音楽舞踊団によるショーが行われていた。 ソーセージには、白いの、太いの、赤くて細長いの…等、いくつか種類があった。しかし、メニュー表を見ても、どれがどれだかイマイチ分からないので、焼かれているソーセージを指差して「Dajte mi ovo!/ダイテ・ミ・オヴォ(これ下さい!)」と注文。やや太めの、ノーマルっぽいのを選んでみた。これを、タレのプールをジャブジャブっとくぐらせ、細長いパンの真ん中に開けた穴にズボッと上手い具合に差し込んで完成! 一緒に頼んだ飲み物は、これも以前から試してみたかったホットワイン。やはり赤と白があって、今回は赤に挑戦。 このソーセージサンド、ホットワイン(0.2リットル)ともに15kn(約220円)。 「冬のホットワイン」は、クロアチアや周辺国で古くから伝わる風習だそうだ。「冬のソーセージ」も現在ではすっかりお馴染みとなっているが、こちらは元々は、北の方の国から入ってきて、定着したものらしい。 店の中は暖かくて、とりあえず人心地ついた。温かい物を胃の中に流し込もうと、早速ホットワインを一口、二口と飲んでみる。 最初だけ、「ちょっと薬(養命酒とかの)っぽい?」という気もしたのだが、すぐ味に慣れた。元来ワインをあまり飲まない私にはちょっと刺激的というか、パンチのある味に感じたのだが、飲み込むと、お腹の中からたちまち温まってくる感じなのだ。 そしてソーセージサンド。今まで人が食べてるのを横目で見ながら「おいしそうだなー!」と思っていたのだが、実際食べてみると、これが期待通りの美味しさだった。いや、期待以上と言っていいかな! 確かに、シンプルで手軽なファストフード的食べ物ではあるのだが、ソーセージの本気具合が日本とは全く違う。かぶりつくとパキッと折れて、中からジューシーな肉汁が溢れ出る。顔を覗かせる断面の肉々しさ(?)がたまらなく魅力的だ。そして、タレがまたピリ辛で旨い!周りのパンにまでしっかりしみ込んで、非常に食欲を刺激される(注文時に頼めばケチャップや辛子をつけてもらえるのだが、私はこのピリ辛のタレがとても美味しそうだったので、「何もつけずに」とオーダーした)。 パンは、フランスパンに似た感じ。外側はやや硬めで噛みごたえがあり、中はモチッとした食感。パン自体も炙られており、温かくて、表面はカリカリしている。 いいねぇー!シンプルだけど、これ以上何も足す必要なんかない。こういうワイルドな食べ物は、ワイルドに喰らい付くに限るんだ!だけど猫舌の私は、ハフハフしながら小さく一口ずつかじって食べていたのだったが。なんか、全体的に逞しさが足りてない(でもカリカリのパンの屑をテーブルの上にボロボロこぼしていたので、別の意味でワイルドだったかも知れない)。 ともあれ、冬のザグレブを訪れたら、手軽に食べられるアツアツジューシーなソーセージサンドと、体の芯から温まるホットワインを是非どうぞ♪ 体が温まって動けるようになってきたので(変温動物なのか?)、広場近くで賑わっているクリスマスマーケットの様子を見てみる事にした。 マーケットが立っているのはリュデヴィト・ガイ通り。ホテル・ドゥブロヴニクのすぐそば。 こういう正統派(?)のクリスマス飾りが並ぶのを見るにつけ、「ああ、カトリックの国なんだなぁ」と改めて思わされる。 そして、その飾りの中に妙にリアルな「魚」があるのを見るにつけても(イエスの奇跡に基づく豊かな実りの象徴、らしい)。 イエス生誕の場面を再現した飾り「ヤスリツェ」のパーツもたくさんバラ売りされている。馬小屋とイエス様、マリア様、三賢者辺りから買い始めて、天使、羊、牛…と徐々に買い足していくのかも知れない。 クリスマス飾りもザグレブはあくまでハート推し(左のベルやボールにもハートの模様)。 自家製ケーキや… 自家製のワイン、ハム、ソーセージなどを売る店もある。 尚、このマーケットでも、あちこちにホットワインの手書き看板が出ている。小さい紙コップ1杯で10kn(約150円)が相場。 ポップでカラフルなお菓子屋さん。夢の国か。 ほんの30分程ウロウロしていただけで、また体が冷え切っている。そろそろ帰ろうと思うのだが、もう本当に寒くて、すぐにでもどこか暖房の効いた屋内へ入りたい気分だ。少々迷ったが、、トラムで帰る事にした。 イェラチッチ広場からトラムに乗車。うおー、トラム、あったかい!暖かくて速い!いいなー、トラム!8knの贅沢。 トラムの最寄駅から部屋まで徒歩5分。サクサク歩いて帰り、飛び込むように部屋に入って、暖房のメモリを上げた。うーん、部屋、あったかい!やっぱり暖房ってスゴイな!!寒さの中、続けざまに文明の利器の力を思い知り、その素晴らしさに感動する。 こんな時季、外で働いている人達はさぞ大変だろうな。そういえば市場やマーケットで店を出している人達は、皆、厚いコートを着込んで帽子やフードをかぶっていたし、耳あてをしている人も多かった。 メールを確認すると、待っていたクライアントからのデータは来ていなかったが、先日訪問したミリス・ドゥーニャというお店に関する情報や画像のデータが社長から転送されてきていた。書面契約はまだ交わしていないはずだが、このお店のWeb用データも準備しておけという事だろうか?社長に確認のメールを送り、受け取ったデータに目を通しておく事にする。 夜、近所のピザハウスVIVAで夕食。パスタが食べたい気分だったのだ。ベーコンと唐辛子とトマトという材料に惹かれ、ホワイトパスタのアマトリチャーナというのを注文する。 後で「アマトリチャーナ」を調べたところ、オリジナルはトマトソースをベースに、タマネギやチーズを加えたパスタソースで食べる物らしい。 この店のはかなり(アレンジを超えたレベルで)違っていて、どうしてこのパスタに「アマトリチャーナ」という名前が付いているのかよく分からないけど、これはこれで美味しいパスタだった。私の求めていた唐辛子(例によってあんまり辛くはないのだが)とベーコン、オリーブオイル&ガーリックの濃いめの味付けが期待通り味わえて、満足! 正直、このトマト(ミニトマトですな)の使い方は予想外だったのだけど、オリーブオイルで炒めたトマトは、思いのほかウマかった。中身が柔らかくなって、酸味と共にバランスのいい甘味が出ている。これ単品でもおかずになりそうな感じ。ミニトマトのオリーブオイル炒め。ガーリックとバジルを入れたりしてね(自分じゃ絶対やらないけどな)。 それと今日は、この店で初めてアルコールを飲んでみた。 蜂蜜入りラキヤ、メドヴァチャ。 ラキヤについては既に何度か紹介したけれど、結構アルコール度数が高いし、原料によってはかなりクセのある物もある。 私はラキヤに関して言えば甘い味の物が好きで、この日初めて試したメドヴァチャもとても飲みやすく、すっかり気に入った。しっかりと蜂蜜の味が分かる。甘くて美味しい!だけど喉にグッとくる。 唐辛子が入ってるはずだけどあまり辛くないパスタ。でも一口食べた後、そこにラキヤを飲むと口の中がボーボーする。たぶん、激辛料理の後だったら火ぐらい吹けると思う。 カウンターの中で琥珀色の酒をグラスに注いでいたウェイターさんが私に声を掛けてきた。「ほら、俺も同じのだよ!」と言って楽しそうにグラスを掲げる。思わず笑顔になって私も同じようにグラスを掲げ、「Živjeli!(ジヴェリ)」と声を揃えて二人で乾杯。意味もなく。いいじゃないか。こうして楽しい酒が飲めるなんてね。 すっかり満足・満腹して帰宅。
リエカへの出発が明後日に迫っている。昨日社長からURLを送ってもらったバスの時刻表サイトを見ながら、いくつかの町を回る順序や日程をあれこれシミュレーションして計画を練る(今頃?)。 それと、天気予報をチェックしているのだが、ちょうど旅行期間に当たる日の当地の空模様が怪しい。雨・雨・雨・雨だ。なんじゃそりゃー!!(泣) せめて滞在後半ぐらいからは晴れてくれないだろうか。せっかく海のある地方に行くんだから。 少しは青い海が見たいなー…中に入りたいとまでは言わないからさ。 |
全体表示
[ リスト | 詳細 ]
|
これの前の記事で、「金曜日は魚料理の日」というカトリックの風習の事を書いたけれど(タラの煮込みスープのくだり)、実はその時、社長から近年のクロアチアにおける興味深いカトリック事情を耳にしたので、この場でご披露したいと思う(どうしてこの話題を別記事にしたかというと、単に前の記事が字数オーバーしてしまったからです)。 クロアチアはカトリックの国。カトリックにおいて、家庭や家族と過ごす時間というものは、とても大切にされるそうだ。「日曜日は家族と過ごす日。家族で教会のミサに行って、それから家で皆で食事して…。だからこの日は働いちゃダメ!」という事が、法律で(!)決まっているそうなのだ。だから、個人商店であっても、日曜日の休業は法律によって定められて…いたそうなのだけど、実は数年前から少々事情が変わってきたらしい。 数年前にある経営者が、「私は独身者で一緒に過ごす家族もいないのに、なぜ仕事しちゃダメなんだ!」と起こした訴えが通り、以来、日曜日の営業が部分的に認められるようになっているという。 確か4年前に来た時、日曜日のザグレブは、土産物屋も含めてあらかた店が閉まっていたという印象が強かったのだが、今回日曜日に街を歩いてみると、15時ぐらいまで営業している店が結構あったりして、「あれ、前もこんなだったかなぁ?」という気が確かにしていたところだ。 現在日曜日の営業が認められている商店は、主に観光地の土産物屋が中心という事だけれど、ザグレブもそれに準ずる扱いになっているらしい(いわゆる観光地ではないが、首都であり、通過・滞在するツーリストも多いため)。 とは言え、社長の話によれば、近年クロアチアにおいて、カトリックの精神は重んじられる傾向にあるという。結婚して家庭を築くのが当たり前、それをしないと、年々周りからの視線が厳しくなり、何だかんだと言われるようになるらしい。そういう古くからの考え方や物の見方が、なぜか時代と逆行するように復活してきているそうである。 日本でも、少し前まではそういう風潮があったと思うけれど(宗教的背景からではないが)…。 今では男女ともに初婚年齢も上がって、結婚するもしないも、家庭を持つのも持たないのも、その人の自由、みたいな考え方の人が増えていると思う。一生独身、という人も増えているみたいだし。 かと思えば、「結婚→専業主婦」という人生を望む一流大学卒の女性が少なからずいる、みたいな報道を目にしたりもして、まあ、それも含めて、「自由に人生を選べばいいんじゃないですか?」という雰囲気があるかな、という気がする。今の日本は。 少なくとも、独身者に対する風当たりは、昔に比べたら緩くなっていると思う(でも税金では痛い目みてるよ!)。ついでに、「男は家一軒建てて一人前」という言葉にも耳をふさぎますよ。あー!あー!何にも聞こえない聞こえない! |
|
12月4日(土) - - - - - - 昨日「Miris dunja/ミリス・ドゥーニャ」というお店で買ってきたロクムというお菓子を食べてみた。 ミリス・ドゥーニャは、手作りのチョコレート、ジャム、ハーブ製品、リキュール類などを販売しているお土産屋さんなのだが、大きな特徴が二つある。 一つは、店内にカフェスペースがあって、コーヒーや紅茶、お茶菓子を頂きながら寛ぐことができる点。そしてもう一つは、隣国にして関係の深いボスニア・ヘルツェゴヴィナの特色が強いお菓子やコーヒーを扱っている点だ。 ロクムもその一つで、元々はトルコのお菓子(ボスニア・ヘルツェゴヴィナはオスマン・トルコの支配下にあった歴史を持つので、トルコから入ってきて根付いた食べ物や文化が多い)。私は今回このお店で見て、初めてその存在を知った。 手作りロクムの詰め合わせ。 一口サイズの立方体に近い形で、いくつかの種類があり、表面に粉砂糖やココナッツや砕いたナッツがまぶしてある。一見和菓子っぽくも見えるが、その味は…? 「…!」あっ、これは…「ゆべし」だ!特に中にクルミが入っているのなんて、くるみゆべしに非常に近い。これまた日本人ウケしそうなお菓子だ。結構甘さが強いので、お茶菓子として濃いめのお茶と一緒に味わうと良さそうな感じ。個人的には、ナッツやクルミの入った物や、それにココナッツをまぶした物がとても気に入った。 朝10時過ぎ、社長と電話がつながった。昨日のミリス・ドゥーニャでの出来事を簡単に伝え、できれば今日か明日、店のご主人がいらっしゃる時に一緒に訪問する事ができないか、と相談してみる。 結果、今日の12時からOKとの事で、一緒に店を訪問する事になった。よかった! 社長も7日からのリエカの仕事(ミーティングのアレンジ・通訳や、日本からの出席者のアテンドなど)で多忙極まる状況なのだが、その事で頭が一杯になっていたので、かえって他の用事が入ってきて良かったと言ってくれた。とりあえず、チャンスの神様の前髪を引っ掴んだ気分。 待ち合わせの12時に広場の時計の下で待っていると、通りすがりの長身・メガネのおじさんに話しかけられた。「日本から来たの?ここで何をしているの?」などと訊かれて答えているうちに、どういう訳だか「現代日本における世代間の関係と子供達の置かれた状況」を説明するハメになっている。街頭で初対面の人と話す話題としては想定外の内容だ。自信を持って言うが、日本語ですらマトモに説明できる自信が無い。日本で訊かれたらおそらく、「さあ…よく分かんないっすね!」とか答えてしまいそうだ。 しかしおじさんが真剣に尋ねてくるので、四苦八苦しながら、自分の知る限りの事を話した。だが、その内容が正しいのかどうか分からないし、通じていたのかどうかも定かではない。嫌な汗をかきながらヨレヨレのクロアチア語で何とか一通り説明した所へ、タイミングよく社長が登場。おじさんは「今、彼と…という事を話していたんですよ!」と社長に言い、私と挨拶を交わして、陽気に去って行った。一方残された私は、「人気者じゃん(笑)」と社長に冷やかされ、一気に脱力…。 ところで、ちょうどこの時、広場で「デモ」があったのだ。クロアチアでデモって初めて見たけど、これは政治デモではなくて、スポーツハンティングや狩猟観光に反対する市民団体の活動らしい。 プラカードには「狩猟観光は死の観光」「動物殺しは人間の死を意味する」「ハンターなんかいらない」などのスローガンが。 小冊子も配っていたので、もらってきた。 個人的には、私も娯楽のために殺生するのは好まない。肉はありがたく戴くし、その美味しさに感激したりもするけれど…。喰っていいのは喰われる覚悟のある奴だけだ。狩っていいのは狩られる覚悟のある奴だけだ(上手い事言おうとして方向性を見失いました)。 さて、社長と共に、ようやくミリス・ドゥーニャへ。 ご主人のアミルさんに「昨日はお茶をごちそうさまでした!」と挨拶すると、「何の何の!よく来てくれたね!」と笑顔で私達を迎えてくれた。 アミルさんと社長が自己紹介を交わし、商談スタート。お店の一角のカフェスペースに座り、社長と私はトルココーヒーを頂きながら、プレゼンと話し合いを進めた。 これが本格的なトルココーヒー!このコーヒーセットもここで買える。 トルココーヒーは香りと風味がとても深く(リッチな気分だ!)、クセがなくて、とても美味しかった。苦味は強めだったが、砂糖を入れて頂いたら「ビターなカフェモカ」っぽくなって、すごく飲みやすく、私好みの味になった。 お茶菓子として、例のロクムを一つ、それにスパイスクッキーも出して下さった。 今朝ロクムを食べながら「濃いめのお茶と一緒に味わうと良さそうだ」と思ったけれど、濃いコーヒーとも非常に相性がいい事が判明する。トルココーヒーと甘いお菓子というのは、日本茶と和菓子の組み合わせを喜ぶ日本人には、すんなりと受け入れられそうな気がする。 アミルさんは、このお店と同じ並びにあるエスノ・スタイルやズラタル・フィリグラン(両方とも弊社のクライアントのお店です)の方から、大体の話は既に聞いていたようだ。それで、うちの会社との提携に、興味を持って下さったらしい。 プロジェクトの詳細について社長がプレゼンを行い、いくつか質問のやり取りがなされる。私はその間、隣で神妙な顔つきで話を聞きながら、時々頷いていた。昔サラリーマン川柳で、「会議中 頷く者ほど 理解せず」という句があったのを思い出す(この当時高校生だった私は友人と、「『授業中』もだよな」と言っていた。あの頃と嫌になるほど変わっていない)。 社長と私は、ホームページ上でこのお店を紹介する際のセールスポイントをさらに探るべく、店内の商品を見て回った(セールスポイントは、既に契約が決まっている他のクライアントとかぶらないようにしなくてはいけない)。ここでは私もちゃんと自分の意見を述べた。社長は鉄分豊富な薬用ワインに興味を持ち、自分用に購入していた。 感触は非常に良くて、契約は上手くまとまりそうな感じ。 と、ここで、ちょっとしたお楽しみタイムの始まりである。 トルココーヒーの作法の一つに、「コーヒー占い」というのがある。飲み終えたカップをソーサーにひっくり返して、流れ出たコーヒーの模様から、飲んだ人の人生を占うのである。 アミルさんはこのコーヒー占いができる方なので、社長と私はお願いし、将来を見てもらう事にしたのだった。 社長のくだりはカットするとして(聞いちゃいけないかと思って、あんまり聞いてなかった)、私の返したカップとソーサーを見たアミルさんは、その途端に、「おおー!!……」と言ったまま、しばらく言葉を切った。ええーっ!な、何!?何が見えてるんデスカ!? 気になる沈黙の後、アミルさんは続けた。「なかなか大変なことが連続する人生のようですね。火山が見えます。成功運がありますが、その成功を妬む人物が、あなたを火口に突き落とそうとします。しかしあなたは転落することなくそこから這い上がり、高らかに手を突き上げて勝利を宣言するでしょう」 私の人生の風景(地獄絵図?) そうか!確かに今まで何度も、どん底に落ちては這い上がり、這い上がってはまた転落する人生を歩んできたが、そこには私の成功を妬む人物の力が働いていたに違いない。たぶん、金髪縦ロールでつり目で寒色系の服を着たお嬢様キャラだと思う。だが勝利は我にあり!ハッピーエンドはもらったぜ! アミルさんにコーヒー占いしてもらいたい方は、土日の10〜15時(平日の午後も会える確率高いです)にお店へどうぞ!クロアチア語の他、英語、ドイツ語もOK。とても雰囲気の良いお店で、お土産の品も魅力的です。 ともあれ、ミリス・ドゥーニャとも首尾よく提携できそうな運びとなって、私としては一安心だ。 アミルさんに話を伝えてくれた2軒のクライアントの方のおかげでもあり、そもそもエスノ・スタイルのディアナさんというお姉さんが私にチョコレートをくれて、そのチョコを買ったというこのお店に連れてきてくれた事から、ミリス・ドゥーニャと私のつながりができたのだった。ディアナさん、ありがとうございます!! でも今回は私自身も、ちょっとはクライアント獲得のために頑張れたんじゃないかな!?…と自分ではとても満足しているのだった。社長も感謝してくれたし、素敵なお店と協力し合える事は、とても嬉しい。 2時頃、社長と一緒にランチ。「Stari fijaker 900/スターリ・フィヤケル 900」というお店。ザグレブの老舗レストランの一つで、昔ながらの雰囲気を留めた内装や、ザグレブらしい赤いハートのテーブルクロスが温かさを醸し出している。 社長オーダーのタラの煮込みスープ。お言葉に甘えて、私も少し味見させて頂いた。 ニンニクとハーブとオリーブオイルの効いた、しっかりした味付けのスープだ。勿論、タラの旨味もよく出ており、そのエキスをたっぷり吸いこんだジャガイモもとても美味しい。 タラの煮込みスープはクリスマス料理として有名だ。このタラは、わざわざ北(スカンジナビア)の海から取り寄せたもので、それを2日ぐらいかけて水で戻してから調理するという、大変手間暇がかかる料理である。目の前のアドリア海からいくらでも新鮮な海の幸は上がりそうなものなのに、あえての贅沢、なのだろうか。ちょっと不思議な気がする。 このタラ料理、日替わりメニューを出すレストランでは、金曜日に出ることが多いらしい。 以前、他の店でフィッシュパプリカーシュ(これもその店では、金曜日のメニューだった)を食べた時にちょっと思った「レストランでも金曜日は魚料理?」という私の憶測は、あながち間違いではなかったようである。 私のオーダーしたパシュティツァーダ。「牛ほほ肉の赤ワイン煮込み」である。 この店のパシュティツァーダ、すごく美味い!これは本来ダルマチアの料理なんだけど。 上の写真は「pola porcija」、つまり一人前の半分の量。この店では、全ての料理ではないけれど、「半人前」で注文できるものがある(値段も一人前の半分となる)。平均的な日本人の胃袋なら、半分サイズ+α(スープ、サラダ、デザートなど)で適量だと思う。お店によって可能な「半人前(ポーラ・ポルツィヤ)システム」、覚えておくと便利かも知れない。 と、とろけるーっ!! 柔らかく煮込まれたほほ肉は、あまり「こってり感」が無く、脂っぽくもない。だけどトロっとしていて、舌の上で柔らかな肉と赤ワインの風味と煮汁の旨味とがホワーッと溶けていく感じ。美味い!美味いよ!何か、すごい贅沢をしている気分だ。勿論、付け合せのニョッキとの相性も良く、最後の一滴(?)までパンで拭い取って、まるで元から皿に何も乗っていなかったかのような状態で完食した(贅沢気分なのに貧乏性丸出しですね)。 社長と今後の事など色々話して、店を出たのは4時過ぎだった。 イェラチッチ広場。もうこんなに暗い。 社長と別れ、広場周辺をちょっとブラついてから歩いて帰った。昼食が遅かったので、お腹も空かず。
データはやっぱり来てないんだけど、新たな調べ物&作業のため、夜はパソコンに向かって過ごす。うーん、明日とか明後日のタイミングでデータが来たとしても、それから7日のリエカ行きまでに自分の仕事を終わらせるのは…無理だなぁ。いっそリエカから戻ってくるまでデータ来ないでくれた方が、正直色々と楽だよう! |
|
12月3日(金) - - - - - - 朝のうち降っていた雪は雨に変わり、やがて止んだ。曇ってるけど。 待っているデータの未着は気になるが、いつ来るか分からないメールを待って、一日中パソコンとにらめっこというのも能が無い。 「まあいいだろっ!」という気分で、午後から気分転換の散歩も兼ねて外出。 上の町にあるナイーヴアート美術館へ向かう。 ケーブルカーの脇に、歩いて行ける道(階段)があるのだが、そこを上っている時、曇り空からみぞれが降ってきた。折り畳み傘を開いている間にもみぞれは激しさを増し、あっという間に白い雪に変わった。おぉー!なんか、アレみたいだ、クリスマスの飾りで、ガラスの中に水が入ってて、振るとキラキラした白いのが雪みたいに舞うやつ…(伝わってますかね?)何だか、あれの中にいるみたいだ…と、思わずメルヘンチックな発想をしてしまった自分自身にビックリだ、俺。34歳。 坂を上がった所からナイーヴアート美術館までは目と鼻の先だ。…が、そこに着く前に、非常に気になるモノを見つけてしまった。 失恋博物館…だと…? 何だこれ!? 当初のナイーヴアートがどこかへ吹っ飛んでしまうほどのインパクトだ。というか、純粋に何なんだろう、ソレ? 頭の中に疑問符を残しつつも、とにかくナイーヴアート美術館を見に行く事にする。その後で、失恋博物館にも行ってみることにしよう。まずは、本来の目的であるナイーヴアートだ。 うっかり外観の写真を撮るのを忘れてしまったが、ナイーヴアート美術館の入口にはちゃんと表示がしてあって、決して大きな建物ではないけれど、ちゃんと分かりやすくなっている。 私が訪れた時にはほとんど見学者がおらず、ほぼ貸切と言っていいような状態だったので、落ち着いてゆっくりと見て回ることができた。 一つ一つの作品をじっくり見ていっても小一時間もあれば十分という規模ながら、様々な画家の作品が展示されており、それぞれ全く異なる作風を鑑賞することができる。フラッシュ無しなら写真撮影もOKだ。 上の2枚は絵葉書の写真(美術館収蔵作品)。 同じ「冬」をテーマにした作品でも、寒さの中に温もりを感じさせるもの、ダークな色合いが孤独と静けさを感じさせるもの、季節と命の循環をイメージさせるものなど、作品から受けるイメージは実にさまざまだ。 中には、ちょっと不気味な印象の作品もあったりする。 イヴァン・ラブジン氏の作品。パステルカラーで描かれた自然が、独特の明るく柔らかな世界観を生み出している。 イヴァン・ラブジン氏は、一昨年87歳で亡くなった、クロアチア・ナイーヴアートの巨匠。東京の旧宝塚劇場の緞帳をデザインした事でも知られる。 彼の作品を見ると、日本の素朴画家・原田泰治氏の絵を思い出す。何となく、彼の作品や、その世界観を彷彿とさせるものがあって… …と思っていたら、何と本当に原田泰治氏の絵もありましたよ! さすがは日本を代表する素朴画家!(原田氏はクロアチアの素朴画家とも深い交流がある。) この博物館には、クロアチア国内だけでなく、アジアやアフリカも含め、世界中の素朴画家の作品が収められているのだ。 人間や動物をモチーフとした木彫りの彫刻もあり、これまた非常に素朴なものばかり。木の素材感と相まって、温もりを感じさせる。 フクロウ。結構大きい。色彩も含め、どこかトーテムポールっぽい。 この美術館、収蔵作品のほとんどが絵葉書になっていて嬉しかった。ついつい大量購入してしまう。 美術館を出ると、大粒の雪が物凄い勢いで降りしきっていた(写真では分かりづらいが)。 続いて、例の失恋博物館へ(道を挟んですぐ向かいの位置だ)。 事前情報が全く無いため、どういう物が展示してあるのか、どういうコンセプトの博物館なのか、サッパリ分からない。それが余計に興味を引く。 入口を入って右にカフェスペースがあり、左に進むと博物館のようだが…。受付カウンターにいた女性に「すみません、ここが失恋博物館ですか?」と声を掛けると、「ええ、そうよ!」ととてもフレンドリーに迎えてくれた。チケットを買い、その際親切に荷物を預かってくれたので(暑くなったら上着も預かりますよ、と言ってくれた)、身軽になって、興味津々で展示物の並ぶスペースへ。 全ての展示物には、クロアチア語と英語の解説が付けられている。それらの説明を読んで分かった。ここに展示されているのは、かつて恋愛関係(または夫婦関係)にあった二人の思い出の品々なのだ。寄贈者は世界中の(クロアチアが多いが)一般の人達で、壊れてしまった愛の記念品と言うか形見と言うか…当時の関係にまつわる思い出の品々が、寄贈者(つまり失恋の当事者)自身のコメント付きで展示されているのである。 "I love you" テディ・ベア 「『愛してる』って言ったのに…嘘つき!嘘つき!!…そう、若くてナイーヴで恋に落ちてる時には気づかないものよ。彼があなたと付き合い始めたのは、単にベッドに誘いたいからだって事にね!このテディ・ベアは、バレンタインデーに彼からもらった物なんだけど、この子はビニール袋に入れて、クローゼットの中にとっておいたの。だって私を傷付けたのはこの子じゃない、この子を私にくれた大馬鹿男なんだからね!」 このいわくありげな義足にはどんな物語が秘められているのか? 戦争で負傷し、病院で知り合った若いソーシャルワーカーの女性と恋に落ちた兵士が寄贈した義足。これを通じて愛が生まれたらしい。コメントに曰く、「義足は僕らの愛よりも強く、長持ちした」 この博物館、面白い!ありとあらゆる「記念品」が展示されていて、そこに秘められたエピソードや、コメントから浮かび上がる人間模様に引き込まれてしまう。当事者本人による解説・コメントというのがいいのだ。この解説を含めて写真を撮りまくってきたので、後でじっくり読もうと思っている。 そもそもこの博物館、創設者の女性が自身の失恋をきっかけに、失った恋を素敵な思い出にするための方法を模索した結果として生み出されたものらしい(ちなみに、別れた男性が、博物館の共同設立者との事!)。 このコンセプトがまた興味深いと思う。失恋も含め、誰もが持つであろう辛い思い出や悲しい記憶をどう処理するべきか…という問題である。悲しみを甦らせる物を全て捨てて、その事を忘れようとする?思い出を全部消して、記憶を封印する?心が引き裂かれるような苦しみに耐えながら、思い出が心の淵に沈んでいくのをひたすら待つ?… 実際にはどれも難しい。真剣な心が傷付いた時ほど、消したい気持ちや忘れたい記憶はとめどなく溢れ出し、耐え難い苦痛に苛まれ続けるものだ。それでも大抵の人は、何らかの形で最終的には自分の気持ちに折り合いをつけて、新たな道に進んで行くものだけど。 悲しい気持ち、心の傷の元となっている「思い出の品」を他人(親しい友人などではなく、不特定多数の人というのがポイント)にあえて公開し、「展示品」としてディスプレイしてしまうというのは、この立ち直り、回復の手段として秀逸な物のように思える。大勢の人に向けて状況を説明し、公開するという過程で、自分自身を俯瞰する視点が生まれるからだろうか? この博物館に失恋の思い出を寄贈した人達の気持ちが、私には分かる気がする。「折り合いがついたから寄贈する」という人も勿論いるだろうが、むしろ「寄贈することで折り合いがついた」という人もいると思うのだ。 面白い。ネガティブな事でも、あえてその思い出を「これは…の記念品」として表に出していくことで、深刻な悲しみからも解放される可能性がある。過去の傷や汚点は、隠したり消そうとしたりするよりも、むしろ積極的にメモリアルに変えていくべきだ。 嫌な思い出、辛い記憶、死ぬほど恥ずかしい失敗、忘れたい出来事などにまつわる品も、全ては人生における記念碑の一つなのだ。 とは言え、できる事なら消し去りたい記憶だってあるよね。という訳で、自分と友人のために、ショップでお土産を買った。 「Bad memories eraser」。悪い思い出なんか、消しちゃえ消しちゃえ! 外に出ると、雪はほとんど止んでいた。石の門をくぐり、ラディッチ通りを下って帰ることに。 途中、「Miris dunja/ミリス・ドゥーニャ」というお土産屋さんに立ち寄った。以前、クライアントの方から紹介して頂いてお邪魔したお店だ(詳しくはこちらの記事参照)。 店に入ると、以前お会いしたご主人のアミルさんがいて、「やあ!よく来たね!」と握手で迎えてくれた。そして当然のように「何か飲む?お茶でいいかな?」と言ってミントティーを淹れてくれたのだった。あわわ、そんなつもりでは…(汗)恐縮しながらも、店の一角のカフェスペースでお茶を頂く事に。 温かくてとても美味しい。ミントの爽やかさがスーッと抜けていく。 クリスマスの飾りが施され、ベートーヴェンの曲が静かに流れる店内でお茶を頂きながら、アミルさんとお話をした。好きな音楽の事、クロアチアで出掛けた場所や気に入った場所の事、仕事の調子について…。私もアミルさんに「お店はどうですか?ツーリストは多いですか?」と尋ねてみた。「私の店も今の季節は難しいんだ。夏は大勢のツーリストが来るけどね。勿論日本からも。でも、冬はやっぱり少ないんだよね」との事。 途中、お店の電話が鳴ってアミルさんが出た。話が済んで、「家内からだ。いつもこうなんだ。5時間会わないと、まるで5日間も会ってなかったみたいに私を質問攻めにするんだよ!」とアミルさん。あはは!どこの国でも、夫婦はこんな感じかな? 今日は自分用に何かお菓子を買おうと思い、ロクムというボスニア(元を辿ればトルコ)の伝統菓子を購入。これは食べた事が無いので、この機会に是非試しておきたいと思ったのだ。 手作りのロクム。味については後日レポートします。 ご主人のアミルさん。とても優しい方です! ご馳走になったミントティーとアミルさんのお人柄のおかげで、すっかり温まった。 帰りがけ、アミルさんから「日本からのお客さんを増やしたいので、あなた達の会社とビジネスしたい」という事を言われた。こ、これは!クライアント開拓のチャンスなのでは!?今、すごく重大な展開になっているのではっ!? 即座に「ありがとうございます。今度うちの社長と一緒に、また伺ってもいいですか?」と私が言うと、「勿論!是非そうしてほしい。社長さんがこの店を見て気に入ってくれたら、協力してビジネスをしていきたいと思う」と。「ええ、絶対気に入ると思います。必ず伺います!」私は勢い込んで答え、再来を約束してご挨拶し、この日は引き上げた。大変!チャンスを掴んでしまったわ! 帰宅後、早速事の成り行きを伝えるために社長と連絡を取ろうとするが、電話、メール、スカイプ、いずれでも捕まらず。もしかすると移動中かも知れない。アミルさんは土日の10〜15時の間なら確実にお店にいるそうなので、できれば明日か明後日にでも早速!と考えたのだが…。
明日の朝、また電話してみよう。このチャンスは逃したくない。絶ッ対、モノにしたるー!!! |
|
12月2日(木) - - - - - - 予報では「晴れ」となっていたこの日、実際には一日中雨が降っていた。 天気予報は毎日チェックしているが、当たらない日が多いような気がする。たぶん、天気が安定せず、非常に変わりやすいからなんだと思う。 さて、仕事の方は、データが来なくて連絡もないので進展せず。もはや諦めの境地に達しつつある。 一方時間は着実に経過しており、12月に入って、街ではいよいよクリスマスのムードが高まってきた。 ホテルから最寄りのトレシュニェヴカ広場の市場にも、クリスマスマーケットが立ち始めた。リース、電飾、人形、置物、そして… 微妙な表情のぬいぐるみ。つり下げられた紐がよじれて、右へ左へクルクル回っている様子がまた何とも… 昼間はパソコンに向かって仕事。自分のアイディアで追加する事にしたWebページの原案をまとめたり、必要な資料を集めたりしていた。地味にコツコツやる仕事は得意分野だ。つい没頭してしまい、あっという間に時間が過ぎる。手元が暗くなり、キーボードが見えづらくなったところで、ようやく「あ、もう夕方なのか」と気付くのである。 この日の夜、かねてからの約束通り、カルメラさんと会うために外出した。 カルメラさんは、ザグレブ大学で日本語を学んだ女性である。以前記事にも書いたが、ナイーヴアートのギャラリーで偶然知り合った。 待ち合わせは彼女の仕事の後、7時15分にイェラチッチ広場の時計の下である。 イルミネーションが灯って一層華やかな目抜き通り、イリツァ。 イェラチッチ広場。大きなツリーも輝いてる! そうか、2011年か…(あ、帰ったら年賀状書かなきゃ!) クリスマス仕様のマンドゥシェヴァツの泉。夜はさらに光って、いい雰囲気。 広場や通りのイルミネーションは綺麗で、やっぱりこういう所にいるとテンションが上がる! しかし、それはそれとして…非常に寒い!!モノスゴク寒いのだ。じっと立っている事ができず、意味も無くフラフラと歩き回ってしまう。この時は雨は降っておらず、風もほとんど吹いていなかったのだが、空気そのものが暴力的なほど冷たい。たまらん!ザグレブが本気出してきた感じだろうか。 寒さしのぎに広場を歩き回っているうちに待ち合わせの時間となり、時計の下に行くと間もなく、カルメラさんが「Hideさん、こんばんは〜!」と(日本語で)言いながらやって来た。「寒いですね〜!」と近くのカフェに入って、二人とも温かいココアを注文した。日本だったら自販機で缶コーヒーでも買うところだけど、こっちで温かい物を飲もうと思ったらカフェ、である。 この日はカルメラさんと色々な話をした。まずはお互いの家族や兄妹の事(私は一人っ子だが)、住んでいる場所、そして仕事の話なんかを。 私が「郵便局の窓口で3年働いて、その後病院の事務の仕事を9年やって…」と言ったら、カルメラさんは「9年!?」と驚いた様子で「えっ、すごくビックリした。もっとずっと若いと思いました。Hideさんはいくつですか?」と私に尋ねた。「34歳ですよ」と答えたら、「えーっ!…25歳ぐらいだと思ってました」って…。だから!!こんなに(髪が)薄い25歳がいたら可哀想だよ!(泣) しかしその直後、今度は私が驚いた。私も彼女の事を「自分よりずっと若い」と思っていたのだけど、実際には1つしか違わない(私が1つ上)事が分かったからだ。思わず身を乗り出して「えーっ!嘘だぁー!」と言ってしまったほどだ(カルメラさんはニコッと笑ってガッツポーズしていた)。いや、コレには本当にビックリ!あぁ、でもそう言えば…。 以前シベニクに滞在していた時も、年齢当てをしたら、周りの皆がことごとく実年齢より若く見えた事を思い出した。特に中高年の人達が若く見えたのだ(年配のおばあちゃんとかもキュートだった)。まあ個人差も大きくて、反対に、20代で自分より若いのに、やたらと貫録のあるお兄ちゃんとかもいたのだが…。でも改めて考えると、笑顔が人を若く見せるのかも知れない…という気がするなあ。表情筋を鍛えた方がいいのかも。目尻のシワは増えるかも知れないが。 それから、私が4年前にクロアチアに来た時の事や、どういう経緯でクロアチアに興味を持ち、クロアチア語を学ぶようになったのか、という事も話した(ドラマ「ER」のくだりから話した)。 反対に、カルメラさんが日本語や日本文化に興味を持つようになったきっかけというのも聞いた。最初に会った時、「和紙にとても興味を持っている」というのを聞いて、「シブすぎるっ!なんでまた和紙に??」と不思議に思っていたのだ。 クロアチアで柔道や空手などの武道が盛んな事について以前少し触れたが、カルメラさんは元々合気道を習っていた(現在も続けている)のだそうだ。そのサークルのイベントで、ある時和紙に関するドキュメンタリー映画を見て、それで一気に和紙の魅力にハマったのだという。ううむ…。日本人としては「参りました!」と言うしかないではないか。たぶん私だったら、頑張っても、見始めて15分ぐらいで寝ていると思う。和紙について語れる知識も無いし…。 尚、後日この話を社長にしたところ、社長は「へぇー!…どこにでも変わった人がいるね」とコメントした。日本に10年住んで、日本の大学で文化財保存学の博士号を取った社長自身だって相当変わってると思うが…。ツッコミ待ちとしか思えない発言である。 カルメラさん自作(!)のカンテラ。中のロウソクに火を点けると、柔らかなオレンジ色が灯る。 去年個人輸入して手に入れた和紙を自分で張って作ったのだそうだ。将来は、このような和紙を使った小物やインテリアを作って販売するお店を開きたい…という夢を教えてくれた。うん!スゴクいいよ、その夢!だってこのカンテラ自体、普通に売っていても全然おかしくないレベルだし。灯りを灯した時の感じが、「ああ、こういうのが手元にあるといいなぁ」と思える、とても素敵な温かさなのだ。和紙を通した光の柔らかな美しさがそう感じさせるのだろうか?うーん、そうか…和紙ってスゴイのかも…! まあ、こんな自分では全然役に立てそうな事も無いのだけど、彼女の夢の実現のために何か協力できる事があるのなら、少しでも力になる事ができたら嬉しいな、と思った。 カルメラさんの専門は経済学で、大学卒業後、いくつかの会社で経営コンサルタント的な仕事をしていたそうだ。その後、ザグレブ大学の日本語学科で3年間勉強し、2年前に卒業。現在は、私が彼女と出会ったナイーヴアートのギャラリーで、ほとんど毎日働いているという。 このギャラリーはお土産屋さんの店の奥にあって、日本人のお客さんもたくさん訪れるということだ。彼女はそこで日本からのお客さんと話す事をとても楽しみにしているそうなのだが、それで面白い話を教えてくれた。 彼女は日本のお客さんと話す時、「日本のどちらからですか?」という事を尋ねるらしい。で、やっぱり地域ごとのカラーというのが、かなりハッキリ表れているようなのだ。 ・東京の人→たまに値切る ・大阪の人→絶対に、100%の確率で値切る ・京都の人→アート好き ・福岡の人→温かくて人情味がある との事である(笑) やっぱり大阪のパワーは凄いなぁ。値切れない私としては、その現場を是非見てみたいと素直に思う。また、福岡が大変好印象なようだ。 それから、お互いの「好きなクロアチアの食べ物」と「好きな日本の食べ物」の事を話した。 カルメラさんは、大学のイベントで食べた寿司と焼き鳥が美味しくて気に入ったと言っていた。あー、前に他のクロアチア人も、焼き鳥を喜んで食べていたっけなー…。よし、たこ焼きと一緒に焼き鳥も焼いて売ってみるか!(一緒にビジネスして下さる方、ご連絡下さい。) 「日本の映画ではどんな物が好きですか?」という話になって、私が「クロアチアでもよく知られている宮崎駿監督のアニメは好きですよ」と答えると、カルメラさんは笑顔で「私も大好きです。それに、久石譲の音楽が本当に最高!大好きです」と言った。私がちょっと驚いて「久石譲もクロアチアで有名ですか?」と聞いてみると、どうやらそういう訳でもないらしく、彼女が個人的に熱心なファンである、という事のようだった。 「それから、黒澤明監督の映画も好きですね。ほとんどの作品を見ています」と私が言ったら、カルメラさんは、「あなたは本当の日本人(日本人らしい日本人)ですね」とクロアチア語で嬉しそうに言った。 あと話していて驚いたのは、共通の知人・友人が何人かいた事だ。まあねぇ…何しろ狭い業界、というかサークルですから。 彼女の「とても仲のいい二人の日本人」というその二人を私は知っていたし(一人は少し前までザグレブにお住まいだった、とても有名な方。私は一度だけ日本でお目にかかってお話した事がある。もう一人は私のクロアチア人の友人Iさんの友達。つまり「友達の友達」だ。やはりお会いしたのは一度だけだが、Iさんからよく話は聞いていた)、彼女も、ザグレブ大学日本語学科に助手として勤めている私の友人(これが前述のIさんなのだが)の事を知っていた(彼女は在籍時に直接教わってはいないそうだが)。 いや、本当にこの業界(?)、辿っていったらすぐ知り合いに行き当たるし、自分の面もすぐに割れてしまうのだ。私も、もしかしたら知らない所でネタにされているかも知れない。事実、卓球コーチのマリオさんご夫妻が東京のクロアチア大使館で大使に私の事を話し、興味を持って下さった大使が私に直接お電話を下さった事があって(大使館でのパーティーに、大使直々にお誘い下さったのだ)、私は携帯電話片手に、心臓止まりそうなほどビックリした経験があるのだ(ビックリしすぎて、脳の働きは完全に止まっていた)。 カルメラさんと色々な話ができて、驚いた事、思わず笑ってしまった事、感心した事などたくさんあって、本当に楽しい時間だった(尚、会話はお互いクロアチア語と日本語のチャンポンで話しています)。勉強している言葉や文化の事で相談し合える友達ができたというのは、本当にありがたいし、嬉しい事だ。今回、ここで得た素晴らしい財産の一つである。 カフェを出たのは9時近くだった。カルメラさんは、明日も早くからギャラリーでの仕事があるそうだ。大変だ。私はもう、「スーツ着て電車乗って毎日定時出勤」なんて、二度とできる気がしない(コラ!)。トラムで途中まで一緒に帰り、私はまたギャラリーに行く事を約束して別れた。 トラムを降りた後、途中のパン屋でハムサンドとジャムクロワッサン買って帰宅。このパン屋のハムサンドが美味くて最近気に入っているのだが、前に2回買ったら、それぞれ別のパンで作られていたのだ。で、今日はまた今までとは違ったパンで挟まれていた。 いい感じに噛みごたえのある黒パンに、ゴマと何かの種っぽい物がくっついてる。 これもまた美味かった!溶けたチーズとケチャップ、マヨネーズがボタボタ落ちてくるし、ゴマと種もボロボロ散らばりそうになるが、もうそんなこと一切お構いなしに、バクバクかぶりついて夢中で食べてしまうほどウマイのだ。
麦や穀物の豊かな香りがフワッと鼻に抜け、噛むほどに旨味を増す黒パン。アツアツのハムチーズ。香ばしさと食感のアクセントを添えるゴマと種のトッピング…なんて語るのも野暮か。 シンプル。だけどこれ以上何も足さなくていい。そんなハムサンド、日本に帰ってからも気軽に食べられるかなぁ…。 |




