明日は明日のクロアチア

「買っても買ってもどこかに行ってなくなってしまう物、な〜んだ?」「リップクリーム」(私の場合)

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名医登場!

「医者を選ぶも寿命のうち」とはよく言ったもので、かかった医者の見立てや治療一つで、長寿を得たり、反対に助かる命も助からなかったりするのは実際よくある話だ。どの医者にも匙を投げられた重症患者が、名医の手術によって奇跡的な回復を遂げる…そういうドラマのような出来事だって、現実にあるだろう。
そんな、神の手とヒューマンハートを持った名医が、ついに私達家族の眼前に現れたのだ。私達は、神による奇跡を目の当たりにした。そして、「医者を選ぶも寿命のうち」という言葉を、しみじみと噛みしめたのであった。ただし、患者は人間ではなく、この家(家屋)である。うちは祖母が元気で介護をしなくていい代わりに、家の介護をしなくてはならない宿命を負っているのだ。

この古い木造モルタルの家屋の傷みっぷりについては、既に何度も書かせて頂いた。雨は漏るわキノコは生えるわ、現代日本の屋根の下ではなかなか体験できないような暮らしをさせてもらっている。先日の(試験直前の)大雨の時など、1日目こそ5分おきにバケツの水を捨てながら頑張っていたのだが、2日目の昼にはとうとう力尽きて「バケツ作戦」を諦め、ついに、かねてより最後の手段と目していた「川作戦」に切り替えてしまった(説明しよう!川作戦とは、ブルーシートをつなげて「水路」を作り、2階の雨漏り箇所に設置したバケツから溢れ出した雨水を、階段→1階廊下→玄関→外へと導き、川のように流してしまおうという大胆極まりない作戦なのだ!)。
「家の中に川を作った」なんて、言葉だけ聞いたら物凄い豪邸みたいだ。でも実際には工事現場のブルーシートだ。それが廊下の端に掘割みたいになって水を流している(漏れる箇所を見付けながらどうにかフォローしていき、結構うまい事いったのだ、これが)。ここまで来ると、我ながら「あまりにも」な事をやっているのが可笑しくなってきて、「津和野だ、津和野!」とか言って、妙なテンションではしゃいでいた。何やってんだ。鯉でも放す気か。

しかしまあ、家に文句を言う訳にもいかない。こちらの方が怒られるだろう。耐久年数はるかに超えて使っているのだから(でも、もっと古い家もテレビで見るけど。江戸時代の家とか。法隆寺だって木造だけどまだ建ってるし)。家自体が寿命を迎えているという事なのだ。今まで見て見ぬふりをして問題を先延ばしにしてきたが、ここに至って、「売却→都落ち」という話も現実味を帯びてきていた。
だが、土地を売ってどこかに引っ越すとしても、すぐに動けるというわけでもない。とりあえず、当面だけでもこのダダ漏れの雨を何とかしない事には住んでいられない。
私が心配だったのは、私がクロアチアにいる2カ月間のことだ。台風シーズンを迎え、母と祖母の二人でこんな事をやっていられるわけがない。「雨漏りで家水没」とか「雨漏りで過労死」とか聞いたことないけど、そんな事で新聞に載るのは絶対に嫌だ。

とりあえず、応急処置だけでも何とかならないかと、今まで近所の職人さん何人かに見に来てもらったのだが、いずれも「手の施しようがない」「どうにも手が出せない場所だ」「寿命だから仕方がない」など、まるで手遅れの患者を相手に手術を拒む、ブラックジャックのエピソード前半に登場する医者のような言葉を残して去って行ったのであった。
このような前段があって、ついに名医が現れたのである。ブラックジャック先生の登場だ!
そもそも、この土地を諦めて売却を考えようと、司法書士の方に相談に行ったところから奇跡が始まったのである。その司法書士の方から「良心的な不動産屋さん」を紹介して頂き、その不動産屋さんが連れてきて下さったのが、このゴッドハンドを持つ職人さんだったのだ。

最初に下見に来た時、今までの職人さんと違って、見た瞬間「ダメですね」とは言わなかった。「100%、完全に雨漏りが止まる保証はできないけど、少なくとも今よりは漏れが少ない状態、以前のポタポタぐらいの状態にまではできると思う。それでも、実際には開けて見ないと分からないところもあるけど…」との事だった。こういう説明の仕方と誠実さも名医っぽい。私達は彼を信じて、手術を…じゃなかった、工事をお願いすることにしたのだった。
そして、途中雨による中断を挟んだりしながら、2日がかりとなった工事が終わってみると、何ということでしょう!嘘のようにパッタリと雨漏りが止まったではありませんか!(劇的ビフォーアフターのBGMで)職人さんは、雨漏り箇所の真上にあたる屋上部分(そこが一番低くなっていて雨が集まる)のトタンを張替え、さらに屋上の床板の一部を剥がして、今まで誰も手が出せなかった場所のトタン(腐食して穴が開いていた)も替えてくれていた。昨夜も雨が降ったのだが、一滴も漏れていなかった。凄い!匠、凄い!名医だ!神だ!!ビバ、雨漏りの無い生活!この感激は、到底普通のファンクションでは表せませんよ!(分かち合える人はあまりいないと思うが)

いやぁ、本当に素晴らしい!本物の名医だ。できる事なら、もう少し早く出会いたかったものだ。
しかし、こういう出会いというのは、「もう本当にダメだ!」という時になって訪れるものなのかも知れない。来し方を顧みるにつけ、人生を踏み外す一歩手前で首根っこを掴まえてくれる人があったり、貯金が一銭もなくなるというタイミングでちょうど保険の一時金が下りたり、そんな綱渡りをしながら生きてきたこともあったのだ。

今回は劇的な名医の登場によってこの家の延命が図られ、一つのピンチを脱することができた。これで私も、とりあえず2カ月間は安心してクロアチアに行くことができそうである。
しかし、根本的な問題が解決したわけではない。今回の処置は、あくまでもその場しのぎの「姑息手術」であって「根治手術」ではないのだ。いずれは決着をつけなければならない時が来る。
今回の渡航で大きなビジネスチャンスを掴み、家の建て替え資金を捻出できるぐらいに稼げるようになりたい。これもまた、このタイミングで私に用意された試練でありチャンスなのかも知れない。

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試験前日に騒いでいた津和野は、国内地理の分野で出題された。ジャストミート!

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