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昨日の記事では「リンパ浮腫」について説明をさせて頂いた。 私の右脚にむくみが現れたのは、今から14年前の二十歳の時、郵便局に就職して半年ほどが経った秋の始め頃だった。 発症の原因となるようなエピソードは特に思い当たらない。ただ、その時の私が、さまざまな仕事を覚えたり窓口で苦手な接客をしたりするのにかなり神経を使っていたことと、それとは別に、当時の自分にはどうにも解決のしようがない、そして誰にも話すことのできない問題を抱えて八方塞がりの状態で、精神的にも肉体的にも相当疲弊していたことは確かだ(ちなみに、その問題は現在ではある程度解決されており、自分の中でも折り合いがついている。どんな重大事も過ぎてしまえばこんなものである)。 ある日自分の足を見ていて、「なんだか右足の甲が、左に比べて少し腫れているような…?」と気付いたのが始まりだった。最初は市内の整形外科医院を受診したのだが、検査でも異常が見当たらず、腫れの原因は不明。しばらく様子を見たが、腫れの状態も一進一退ということで、先生が総合病院の心臓血管外科を紹介してくれた。 この、何やら病院初心者には衝撃的すぎる響きの科の部長先生(とは言っても当時まだ30代後半だったと思う)が私を診てくれることになったのだったが…。 この先生との出会いこそが、この先の私の運命を大きく変えたのだ。この先生と会っていなければ、間違いなく今の私は存在しないし、それどころか、今私はこの世に存在しない。もしも将来私の伝記が書かれることになったとして、私がヘレン・ケラーだとすれば、この先生こそがサリヴァン先生だ(たとえ話のつもりで余計に訳の分からない事を言っている気がする)。以後、T先生としよう。 私は昨年の春までの9年間、医療事務を本職としていたのだが(社長の手伝いは以前からチョコチョコとさせてもらっていたが、本業はあくまでも医療事務だった)、私がある事情により郵便局を辞めた後(法に触れる行いをしたり免職になったりしたわけではない。念のため)医療事務の職を志したのは、ひとえにこのT先生の影響によるものだ。 T先生は、私を2つの事から救ってくれた医師であり人物だ。 1つは勿論リンパ浮腫のこと。このリンパ浮腫という疾患、ここ最近でこそ新聞の医療記事欄などにも取り上げられるようになってきて、少しずつ認知度が上がってきてはいるのだが、「命に関わる病気ではない」という性質のためか、医療関係者の間ですら適切な知識や情報が浸透しているとは言い難い状況なのだ。 患者会に入って、たくさんの先天性・原発性リンパ浮腫の方から話を聞く機会があったが、かかった医者の知識不足のために正しい診断がつかないまま何年も何十年も放置またはたらい回しにされて無駄な時間を過ごしたり(当然その間に病状は進んでしまう)、見当違いの処置や逆効果の手術によって状態を悪化させたりこじらせたりしてしまったという人が少なくないのだ。私の場合、最初の整形外科の先生が早い段階で循環器系の異常を疑って心臓血管外科を紹介して下さり、紹介先のT先生が正確な診断をして下さったため、病状が進まないうちにストッキングによる圧迫治療を開始することができたわけだが、これは非常に幸運なケースだったのだ。家も人間も、「誰に直してもらっても同じ」と考えたら大間違いだ。 (つづく)
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2010年10月15日
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