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社長からメールがあって、私の新しい名刺を作ってくれるという。やった!何しろ今まで、自分でプリントしたものを使っていたのだ(もっとも、使う機会自体そんなに多くはなかったのだが)。 私が向こうに着いたら早速渡したいということで、今から準備してくれているらしい。 それで、名刺に印刷する私の肩書きについて、日本語表記をどうしたいかということを社長に聞かれた。私は、「特に問題が無ければ、今まで通り『日本国内担当者』としてほしい」という旨、お答えしたのだった。 日本国内担当者…偉いんだか下っ端なんだかよく分からない名称である。しかし、それが一番、実態に沿ったものであるように思ったのだ。 うちの会社が扱っている業務というのは、主に日本−クロアチア(周辺国含む)間における通訳・翻訳、旅行企画・手配、ビジネスサポート、テレビ・雑誌等の取材コーディネート等である。社長自身はもう十年来このような仕事に携わってきているのだが、企業として設立したのは一昨年のことである。まだ新しい会社なのだ。 私自身は、いずれクロアチアに活動や生活のベースを移したいという希望を持ってはいるのだが、今現在「日本国内担当者」として日本に留まっている理由は、大まかに言って2つある。1つは、私がクロアチアに引っ越して、そこで不自由なく暮らしていけるだけの給料をコンスタントに払い続けられるところまで会社が安定するためには、もうしばらくの時間が必要だという理由。そしてもう1つは、日本のクライアントを獲得して安定した関係を築いていきたいこの時期にあって、「窓口役」として日本国内で動ける人間が1人は必要だという理由である。だからこその「日本国内担当者」なのだ。 おそらく社長としては、例えば私が、日本国内の旅行会社や輸入業者と直接交渉しに行って、ビジネスパートナーとなるべきクライアントを獲得していくような展開を期待していることと思われる。確かにそれは大事なことだと私も考えている。 しかし、正直に言ってしまうと、私は人と会ったり話したり交流したり…といった渉外的なことを大変苦手としている人間なのだ。交渉や営業やPRなんて、苦痛以外の何物でもない。地獄だ。仕事として苦手、というだけでなく、元々人付き合いがあんまり得意じゃないし、好きじゃないのだ。 昔から、何時間でも独りで遊んでいられる子供だった。基本的に、独りじゃないと落ち着けないタチなのだ。独り室内で黙々と作業に没頭する、これが私の真骨頂と言っていい。書類やパソコンには、何時間向かっていてもストレスを感じない。ところがこれが人相手となると、からっきし駄目なのだ。そしてまた、苦手なんだけれども、それが仕事となると一生懸命にやってしまう。その結果、物凄いストレスを内側に抱え込んでいって、ある日突然、溜め込まれた巨大地震のエネルギーの如くに爆発して自滅する…そういう人間なのだ(タチが悪い。会社にとって一番迷惑と言っていいだろう)。 正直、私の他に、誰かそういう仕事に向いたスタッフがもう一人いればいい、と思う。しかし実際問題、今の時点では、とてもそんな人件費が出せる余裕はないだろう。自分が何とかしていかなければならないと思うと気が重くなるのは事実なのだ。 誰しも、自分の力を最大限発揮できる場所というのがあるだろう。だが、そのような「理想の舞台」が常に用意されているとは限らない。自分の方が適応していかなければならないという状況もあるわけだ。 過酷な環境に生きる生物達の中には、進化の過程で信じられないような姿や能力を手に入れた者達がいる(逆に言えば、それ以外の者達は、そこでは生き残れなかったのだ)。「住処を変える」というのも選択肢の一つなら、「あえてその場所を選んで適応する」というのも一つの選択なのだ。 「これが自分の生きる道」と心に決めた以上、何とか適応の道を探っていくしかないだろう。追い詰められた小さな爬虫類がやがて翼を獲得して空へと羽ばたいていったように、本当に必死になれば、いざという時には、おそらくどうにかなるだろう。窮すれば通ず、だ(開き直った)。 深海魚の一種、ニュウドウカジカ。この姿に進化しなければならない理由があったのだろう。 |

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