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【人形劇鑑賞に至るまでのあらすじ】 突然の衝動に突き動かされてなぜか人形劇が見てみたくなった私は、4歳児以上向けの「狼と7匹の子ヤギ」なら自分にも結構聞き取れるんじゃないかという期待を込めてチケットを買い、上演当日を待っていた。 - - - - - - かくして11月21日の日曜日、11時開演の劇を見るために、私は人形劇劇場へと向かったわけである。 雨が降り出しそうな曇り空の下、中央駅にほど近い劇場まで歩き、開演の約30分前に劇場に到着した。 劇場の周りには親子連れがたくさん。入口の前にはポップコーンとシャボン玉を売るお店が出ていて、これが大人気! 入口に近日上演予定の劇のポスターが貼り出されている。こちら、本日上演の「狼と7匹の子ヤギ」! 入口のドアを開けて中に入っていく人達に交じって、私も奥へと進んでいく。ドアを2つ抜けた先が中庭だ。 中庭にも子供達やその親の姿が。お父さん達はパラソルの下でビールだ! 中庭にあったゴミ箱。 この3色のカエルのゴミ箱、街中では見掛けないが、子供達にゴミの分別を教育するために幼稚園などに設置されている物らしい。カエルにはそれぞれ名前が付いていて、水色の「パピルコ」が紙(papir)専用、黄色の「ペトコ=メトコ」がペットボトル(pet)専用、緑の「スタクレンコ」がガラス(staklo)専用というわけだ。 でも中を覗いてみたら、あんまり分別されてなかった。アッチョンブリケ! 劇場の中のカフェも人で埋まり、窓口にはチケットを求める長い列ができている。やっぱり事前にチケットを買っておいたのは正解だったな。 それにしても、想像以上の大盛況だ。勿論、目に付くのは親子連ればかりだが、日本人の目から見ると、お父さんの姿が多いような気がする(ただしこれは、日曜日という曜日のせいもあると思う)。 おばあちゃんやおじいちゃんに連れられた子供達もいる。皆楽しそうだ。 クロアチアでも、日本と同じく少子化、核家族化の問題は進む傾向にあると聞いたことがあるが、こういう光景を目にするのは、どこかホッとする事ではある。 ロビーには、出演者、操演者などの写真も掲示されている。 さて、上演開始が迫り、チケットの半券を渡してホール内に入ると、そこからは勿論写真撮影は禁止である。よって、残念ながら写真はナシ。 ホールは15席×15列ぐらい。だから、定員は200人強といった所か。床や壁は黒を基調にした落ち着いた内装で、新しい感じ。椅子はブルーで枠は木目、これも新しく、座り心地が良かった。 私の席は3列目の右から4番目。ステージからかなり近くて、非常にいい位置だ。 お客さんは続々とやってきて、上演開始の時に振り返って見ると、ほとんど全ての席が埋まっている状態だった。 ホールの照明が落ち、舞台が明るくなって、場内に拍手が起こって舞台が始まる。 舞台上には、ヤギ達の家のセット。そして何故か、右手にはスプレーで落書きされた大きなゴミ箱(街中にあるようなやつ)。 物語が始まり、ヤギのお母さんと子供たちの人形が登場。パペットと言うのかな、手を入れて操る人形。お母さんが子供たちを紹介していく(子供達の名前は、ド、レ、ミ、…シである)。 これは劇場のWebサイトから。お母さんヤギとその子供達の人形。子ヤギ可愛い! 食べ物を取りに行くために出掛けるお母さんが、留守番の子ヤギ達に「最近は悪い狼がいるから気を付けるんですよ。狼はガラガラ声で黒い手をしていて、ヤギを食べてしまうのよーっ!」と言うシーンでは、舞台照明が暗くなってオドロオドロしい音楽が流れ、子供達(ヤギおよび観客の)が怯えていた。 今まで人形劇を見た事がなかったので意外だったのは、ただストーリーが進行していくだけではなく、キャラクターが歌ったり踊ったり、ミュージカルみたいに進んでいく事。 子ヤギ達が踊りながらラップのような歌を歌ったり(この辺り、よく聞き取れず)、1匹がウロチョロしていてドアに挟まれるなど、コミカルな動きが入ったりもする(末っ子が放り投げられたりもしていた。可愛いけど結構手荒な子ヤギ達である)。 そして狼登場。この時は驚いた!何のために置いてあるのかと思っていたゴミ箱の中から出てきたのだ。バターン!と勢いよく蓋を空けて。狼は人形ではなく、ぬいぐるみ(着ぐるみ)に入った人が演じているのだ。 ご存知の通り、子ヤギ達に玄関の鍵を開けさせようと狼が策を弄するのだが、ここがコミカルで面白い。 まず、「ピザのお届けに来ましたー!」とか言うのだ。うーん、私が初めてこのお話を聞いた頃には、宅配ピザなんて無かったなぁ…。 その後狼は、きれいな声に変えるためにチョークを食べるのではなく、まずは鍛冶屋に行って舌の打ち直し(!)を頼む(鍛冶屋の主人も生身の人間による演技。その場には着ぐるみに人が入った馬もいて、終始肘をついた呑気な姿勢で蹄鉄を打たれていた)。しかし、飛び上がるほど痛い目に遭っただけで、声は全く変わらない。 狼はプンスカ怒って帰ってくると、最初に隠れていたゴミ箱に上から逆さまに頭(と上半身)を突っ込んで、中からレコードを取り出す。その中からヤギの「メェェェ〜」という声を探そうとするのだが、次々レコードを取り出して試すも、なかなか使えそうな物が見付からない。場違いな音楽とイライラする狼の様子が可笑しくて笑ってしまう。 やっとの事で、テノールの歌唱から「メェェェ〜」に似た部分を見付けて「よーっし!コレだコレだ!」と喜ぶが、今度はレコードの調子が悪くなって、音が変なタイミングで鳴ったり止まらなくなったりして、自分でビックリしたり癇癪を起したりする。 この一連のテンポと狼の動作が実に愉快!ルーニー・テューンズに出てくるコヨーテ(クラクションのような声で鳴くロードランナーという鳥を捕まえようと躍起になっていつも失敗しているヤツです)みたいなノリだ。思わず声を出して笑ってしまった。 タイミングよくレコードを鳴らして子ヤギ達を騙すも、真っ黒な手のおかげで正体のバレた狼は、粉屋に行って、最初は「怪我をした!」と嘘をつき、最終的には粉屋の主人(これは人形)をギリギリ脅して真っ白な小麦粉を手に入れ、自分の手に塗りたくる。 さあ、いよいよ狼がギラギラした雰囲気を漂わせながらヤギの家にやって来る。レコードの「メェェェ〜」を聞かせ、白い手を見せて、「わーい!お母さんだー!」と喜んだ子ヤギ達が玄関を開けた瞬間、狼は凶暴な歓声をあげて家の中へと躍り込む! 緊迫感のある(火曜サスペンス劇場のオープニング的な)BGMとともに、家の中は一転シルエットでの演出となる。逃げ惑い、様々な場所に隠れたものの、一匹、また一匹と狼に見付かって丸呑みにされていく子ヤギ達…なるほど、ここはシルエットで見せる方が効果的!想像力をかき立てられる分、かえって迫力とか残酷さが感じられるものだなぁー。 腹を大きく膨らませた狼は、すっかり満足してその場でグーグー眠ってしまう。 そこに帰ってきたお母さんヤギ。ドアの外から声をかけるが返事が無い。一匹一匹子供たちの名前を呼んでも誰も答えない。オロオロしながら最後に末っ子の名前を呼んだ時、天井裏のような場所(時計の中ではなかった)に隠れていて唯一助かった末っ子が泣きながら飛び出してくる。 末っ子から事の顛末を聞いて家の中に入ったお母さんは、はち切れそうな腹をしてグースカ寝ている狼を発見。ここからのお母さんは冷静だった。ハサミで狼のお腹をチョキチョキ切っていくと(ここは狼のお腹を上から見た所だけがアップで客席に見える演出)、丸呑みされた子ヤギ達が、一匹ずつ元気に飛び出してくる。全員の無事を確認すると、それぞれ一つずつの大きな石を拾ってくるよう子供達に命じるお母さん。子供達が全部の石を狼の腹に詰めると、あっという間に元の通りに縫い合わせてしまった。 さて。何も知らずに目を覚ました狼。ここもまたシルエットである。 私の知っているストーリーだと、「喉の乾いた狼は近くの泉に行って水を飲もうとし、お腹に詰まった石の重さでバランスを崩して泉に落ち、そのまま浮き上がれずに死んでしまいましたとさ!」という流れだったと思うのだが、このお母さんヤギは、そのような展開を許さなかった。 喉の乾いた狼が水を求める所までは同じ。狼が水を飲もうと井戸の前に立った時(この場面もずっとシルエットですよ)、彼の背後に、復讐に燃えたお母さんヤギの影が忍び寄り… ドンッ!! と狼を突き落としたのだった!自らの手で! 断末魔の叫びを残して、井戸の底へと消えて行く狼… ええええーーー!!お母さんヤギ、コワイよーーー!! …という、ちょっぴり積極的♪なお母さんヤギの活躍によって、悪い狼は葬られたのでした。 楽しいリズムに乗せてヤギ達が歌って踊って大団円。拍手、拍手。 そのままカーテンコールへ。パペットと一緒に操演者も舞台の下から出てきてご挨拶。 あれ、お母さんヤギと子ヤギ達と…3人で全部操ってたのか。手の数より多い人形を操っているんだなぁ。 鍛冶屋のおじさんも出てきた。そして… 死んだと思った狼さんも、幕が下りれば復活してきてご挨拶だ。ちょっとヒネクレた態度が憎めない敵役。あっ、頭を取るのかな?…と思ったら取らないか。…っと思ったら振り返ってやっぱり取った! 役者さんのお顔が見えたら、思っていたより年配の人(50歳前後か?)だった。結構高さのあるゴミ箱に連続で何回も飛び上がったり飛び込んだりしていたから、かなり若い人が演じているのかと思ってた。すごいなぁ! 手拍子と拍手の中、役者さんたちは手を振りながら舞台の袖に散って行った。狼は最後まで、ゴミ箱の蓋をバターン!と閉めたりして「悪さ」をしていたが、そこにまた笑いが起こる。 観客みんなの拍手で舞台は締めくくられ、終演。 いやー、面白かったなぁー!人形も可愛くて(特に子ヤギ!)生き生きしていたし。 完全にセリフや歌詞を聞き取れたとはとても言えないけれど…。 まあ、以前の博物館の見学ツアーなんかに比べたら、さすがによく聞き取れて、格段に理解はできたけどなぁ(元の話をよく知っているから、という理由が大きいと思うが)。それが証拠に、周りと同じタイミングで笑うことができたし。うん、それは嬉しかったな。 多少騒いでいる子供もいたけど、今日のプログラムは特に小さい子供向けのものだし、元々子供のための施設なんだから、ま、こんなものだろう(私はガ…いや、子供が嫌…いや、ちょっと苦手なのだ。なんかデフォルトで酔っ払いみたいな感じだし。素直で大人しい子供はまた別だけどね。可愛い子は本当に可愛い)。 今まで全く馴染みのなかった「人形劇」の世界だが、こうして一度見てみると、日本のそれと比較してみたくなるものだ。人形の造形とか、観客の層や反応とか、劇場の設備や料金とか。 今後忙しくなるとは思うが、せっかくこのように興味を持ったものが埋没していかないように、何かしらアンテナを張っておきたいものだと思う。
クロアチアの人形劇、可愛くて楽しかったです! |
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2010年11月23日
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