国際刑事裁判所(ICC)と日本

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新たな暴行疑惑の発覚で試練の時を迎える英軍法制度

今朝テレビのニュースで知りましたが、イラク駐留英軍兵士によるイラク人暴行の現場のビデオ映像を英大衆紙News of the World(以下、NoW紙)が入手し、その映像の写真が新聞に掲載されてイギリス全土で問題となっているそうです。問題の記事はWeb版でも全文掲載されており無料で登録なしで閲覧可能です。12日付けの英BBCの記事によれば、NoW紙の編集責任者のStuart Kuttner氏「十分な検証のなされた正当な内容の記事であると確信している」と明言しており、BBCの記事によれば、NoW紙は英軍内部の情報提供者からこのビデオを入手し、ビデオの信憑性を確かめるためにその情報提供者、周辺の関係者、軍事専門家から英国防省の人間にまでわたり綿密な裏付け調査を行ったとのことで、現時点では同紙の報道の信憑性を疑うような声は政府・報道各界からは出ていないようです。

私も今朝のニュース(日本テレビ『ズームインSUPER』)で実際の映像を見ることができましたが、朝のニュースで流れたごく短い映像では、複数の英軍兵士がどうやらイラク人の少年を軍施設のゲートの中に連れ込んで暴行を加えている様子しか見れませんでした。撮影者も英軍兵士(伍長)であるとのことで、盛んに暴行を煽ったりはやして立てるような言葉を遠方(上段)から発しているように見えました。

問題のビデオでの撮影者の発言:
"Oh yes! Oh yes! You're gonna get it. Yes, naughty little boys! You little f***ers, you little f***ers. DIE! Ha, ha!"
(「そらどうだ!そうだその調子だ!生意気な小僧どもに思い知らせてやれ!くそったれめが。くそったれめが、死ね!(笑い声)」)

NoW紙はこの映像を"whistleblower(内部告発者)"から得たとしており、この告発者は、撮影者の伍長が娯楽で撮った映像を仲間内で公開している場に居合わせたらしく、そのあまりの酷さに嫌悪感を感じて告発に至った─ということらしいです。勇気ある告発者の身元と安全を保障するため、NoW紙は告発者の素性のわかる情報はすべて伏せて記事の公開に踏み切りました。ビデオ映像は2004年に撮られたもので、デモを規制していた際に撮影されたものということです(詳細はTB先を参照─このハイライト箇所は後から追加編集しました)。

英国防省および政府は事態を重く受け止めており、ブレア英首相は英国民に調査を行うことを約束しました。一方、国防省は疑惑の存在を認め、現在軍警察による調査が行われているとのことです(日本語詳細記事─CNN.co.jp)。

 今回の事件の発覚は、だいぶ前に報じられた英軍兵士によるイラク民間人の虐待死事件(一昨年5月頃発覚)に次いで二度目です。かつてイラクのアブグレイブやキューバのグアンタナモ基地での捕虜虐待の問題に対する米軍事裁判の有効性について批判した現英大蔵大臣のGordon Brown卿は、BBCの朝の番組で今回の事件のことを「イラクに駐留する忠実で勤勉な我が英軍兵士たちは、彼らの偉大な業績に対する侮辱と受け止めるだろう」と述べ、裁判での罪の追及を約束しました。まさしく英軍も、これまで同盟国である米国の軍法制度を批判して大口を叩いてきたその自信の根拠を実証する局面を迎えようとしているようです。
 ICCの締約国でもあるイギリスが、まだ実現していない軍法改正を控えた現行制度のなかでどれほどの対応力を見せるか。世界の司法コミュニティの注目が集まります。続報あり次第、この事実関係の確認と捜査の進展を追っていきたいと思います。

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