国際刑事裁判所(ICC)と日本

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

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国際刑事裁判所(ICC)について
我が国は、すべての国際刑事法廷を支持しているわけではない。とりわけ、国際刑事裁判所(ICC)に関する我が国の懸念は、よく知られているところである。我々は必ずしも、ICCを支持する国々と同じ理想を共有できないわけではない。ただ、ICCがその責任を果たす方法論について異を唱えているだけである。

我が国の見方では、ICCにはチェック・アンド・バランス(抑制と均衡)に関わる機構が十分に整備されていない。ローマ規程は、ICCの検察官に国連安全保障理事会の監督なしに捜査を開始する権限を与えている。我々は、このような欠落により、政治目的の訴追が行われる隙が生じ、国連憲章が認める国際平和と安全を守る安保理の使命が損なわれることを懸念している。我が国はこれに関連させて、原則の問題として、ICCがローマ規程の締約国でない国の国籍を持つ個人に対しても管轄権を持ちうるという主張に反対するのである。 

しかし我が国は、ジェノサイドや戦争犯罪、人道に対する罪を犯す者について正義の裁きを下すために、ICCを支持する国々と共に闘えないわけではない。むしろ、原則としてICCを支持していなくとも、積極的に協力してきたのが我が国の基本姿勢であったといえるであろう。たとえば、ダルフールの案件をICCに付託する安保理決議については、我が国はその採択を歓迎した。これは我が国が、ダルフールにおける人道的責任について国際社会が声を揃えて意思を表す必要があると考えたからである。さらにシエラレオネ特別法廷についても、チャールズ・テイラー被告の裁判にハーグのICCの施設を利用することに我が国は異を唱えなかった。これも、裁判をアフリカ現地で行うことが東アフリカの安全と安定を損ねる恐れがあると考えたからである。 

これまで何度も述べてきたように、我が国はローマ規程に加盟した国々の決断を尊重している。同様に他国に対し我が国は、我々がそうしないことを決断し、さらに米国民をICCの管轄下に置かないという決意を表明していることについても同様の尊重が得られるものと考えている。我々は、ジェノサイドや戦争犯罪、人道に対する罪といった犯罪を抑止し、それらが発生した場合は厳格にその責任を問うことについて、ローマ規程の締約国らと同じ意志を共有している。ICCに関する不協和音は、ジェノサイドや人道に対する罪との戦いのなかで、これら共通の目的を達成するために必要な我らの力を妨げるものとなる。むしろ我々は、我々の共通の価値を生かし建設的な関係が構築できるよう、ICCの賛同国らと共に歩みたいと考えている。EUのソラナ共通外交・安全保障上級代表は昨年、我が国とICCの賛同国の間には「modus Vivendi(暫定協定)」が必要だとうまい表現をされたが、私もまったく同感である。 

異論の多いICCに関する問題は、我が国がこれまで国際正義の発展において歴史的に果たしてきた無視できない役割を覆い隠すものである。我が国の経験では、安保理決議によって、あるいは条約や国内法によって設置される法廷は、すべて国際正義を行うためのほんの第一歩に過ぎない。国家が真に国際正義のために動くのであれば、それは違反者たちを確実に捕らえ、法廷の資源が潤沢であることを保証し、完全かつ公正な裁判の実施を保証することを意味するのではないだろうか。これらの観点から見れば、世界的に見ても、我が国が国際正義の発展において確実に指導的な役割を担ってきたことは明らかである。 
米国務省公開資料:ジョージ・ワシントン大学でのベリンジャー氏演説原稿の抜粋
「International Criminal Court」(2006年5月11日)より

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