国際刑事裁判所(ICC)と日本

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米国政府代表の突然参加により活気を帯びる初日のディスカッション


第28回PGA世界総会、米政府代表の突然参加で活発な議論が行われる

国際刑事裁判所を求めるNGO連合(CICC)の運営団体の1つであるPGA(地球規模問題に取り組む国際議員連盟)世界総会が本日東京、憲政記念会館で開幕した。

開会初日の今日は、国際協力機構(JICA)理事長の緒方貞子氏や、ICC所長のフィリップ・キルシュ判事による格調高い基調講演に始まり、午後は4部に分かれた各テーマごとのパネルディスカッションが行われ、日本からも著名な専門家が参加して議論の活性化に貢献した。特に最後の第4セッションでは思わぬ展開があり、会場が大いに沸いた。

第4セッションのテーマは、ICCの軌跡をふり返るものであり、ICCの功績と課題について論じるものだった。ディスカッションはトルコの議員を進行役に進められ、プログラムには、パネラーはドイツの議員、コモロの議員、そして「(未定:米国政府代表)」、フィリピンの議員と書かれていた。実際のディスカッションになって、ドイツの議員がCAR(中央アフリカ)の議員に、そして「未定」だった米国政府代表が遂にディスカッションに加わった。ICCのイベントでは画期的なことだった。

質疑応答で質問の嵐にさらされることも辞さずにディスカッションに参加した勇気ある米国政府代表は、駐日米国大使館東京アメリカン・センター館長のJeffrey Jamison氏。事情は知らないが、総合司会を務める民主党の犬塚直史参議院議員の強い要請を受けて、ディスカッションへの参加を決めてくれたらしい。おかげで、思わぬほど議論が活発化し、建設的なやりとりが交わされた。そしてJamison氏のステートメントの内容から、明らかに米国がICCに対して歩み寄っているという兆候を感じることができた。今総会に先立ってハーグの締約国会議でAMICC(米国ICC-NGO連合)による米政府の“反ICC”政策の軟化傾向に関する報告を受けていたので、今回の米国政府のジェスチャーにより、その事実が間接的に確認された形となったからである(概要)。

また興味深いことに、Jamison氏はステートメントで米国はこれまで「穏やかかつ悪意のない方法でICCに対する反対姿勢を示して来た(mild or benign form of opposition)」と述べ、米政府の“対ICC”政策は決して「敵対的(hostile)ではなかった」と強調した。またダルフール訴追に関して、ICCへの案件付託決議に「反対はしなかった」と述べ(たしかに「棄権」はしている)、これも米国がICCに敵対的な姿勢はとっていないことの表れであることを強調した。このような言葉のニュアンスひとつとっても、ほんの数カ月前の米政権でも考えられなかった柔軟な対応姿勢が見て取れた。

案の定、質疑応答は米政府代表のJamison氏に集中した。しかしJamison氏は慌てることなく冷静に、すべての質問にしこりを残すことなく明瞭に答え切った(但し、納得のいく合理的な回答であったかは別)。見事な外交術である。質問は、ヨルダンニュージーランドスリナムイエメンの代表からそれぞれJamison氏に向けられ、特にアラブ系のヨルダン、イエメンの代表からは「それでも米国からの圧力は実在した」と食い下がられ、米国の主張と米国の影響を直に受ける国々での受け取り方の間には、依然として認識の齟齬があることがわかった。

以上のように議論は一定の友好度を保ったまま進められ、つつがなく終了した。スリナム代表からは、Jamison氏のステートメントにあった「米大統領による軍事支援禁止免除の対象となった国はどこか」という鋭い質問があったが、Jamison氏はホワイトハウスが発表した内容(英文プレスリリース)どおりに対象国(14カ国)の名前を冷静に読み上げてみせた。ここに「対立」の図式はなく、むしろ「米国には(ICC支持国と)対話する用意がある」というジェスチャーを行うためにJamison氏がこの歴史的なイベントに派遣されたのではないかと思わせるものだった。

米国は明らかにICCに対する姿勢を軟化させている。

ハーグでの報告を受けてからの今回の経験は、この憶測を確信へと転換させるものだった。
Jamison氏を米国の“goodwill ambassador(親善大使)”だったと考えるのは、少し楽観的過ぎるだろうか。

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