国際刑事裁判所(ICC)と日本

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             宣言項目の文言の問題で加熱する審議を見守る起草委員会のパネル

『東京宣言』の起草審議、“安保理”の文言で加熱

最終日を迎えたPGA世界総会は、以下の5項目の 『東京宣言』(PDF)を採択して閉幕した。
  (1) 紛争防止、紛争後の平和構築、危機からの回復および復興への取り組み
  (2) 法の支配ならびに平和構築および復興計画における不可欠な要素としての和解の促進
  (3) 新興の国際刑事司法制度におけるICCの位置づけおよびその普遍性
  (4) ローマ規程の効果的な実施
  (5) 議員主導によるICC締約国数増加の推進

安保理をキャンペーン対象に

この5項目の宣言を採択するにあたり、全員参加の起草審議が行われるわけだがこれがなかなか熱かった。特にICCへの協力の促進(3)や批准国数増加(5)の項目については、インドなど自らも地域の大国ではあるが超大国アメリカの動向が気になる国から、PGAの行動計画の中に、国連の安保理常任理事国も対象に批准推進キャンペーンを行うべきだという主張が相次いだ。

また同様の意見が、最近まで永世中立国だったスイスの代表から発せられたことが興味深かった。

アジア地域の重点地域扱いへの反発

さらに、批准推進に取り組む重点地域としてアジア・大洋州(オセアニア)地域が選ばれたことについても、これまたインド代表から執拗なまでに訂正を迫る発言があった。

アジア大陸というと、ヨーロッパを除いたユーラシア大陸すべてを含む広大な地域が対象となり、対象国も50カ国を超える大所帯となる。それに小さな島国が点在するオセアニアまで入れられては、ますます数の上でアジアがICCの推進に役立っていないことを強調することになるからだ。

しかし事実上、純然たるアジアからは強引に中近東も含めなければ、モンゴル、カンボジア、韓国、東ティモールの4カ国しか批准していない。中近東や大洋州諸国を含めても最高で12カ国。しかもこれは強引にタジキスタン(旧CIS諸国)やアフガニスタン(中近東)そして多くの大洋州諸国を含んで始めて出る数字だ。それでも、アフリカの29カ国アメリカ州の23カ国にも遠く及ばない。ダントツトップの欧州・CIS諸国に至っては、ロシアを含むあと8カ国が批准すれば全地域の制覇が達成される。

アジアは、“署名”している国の数だけでも他の地域に比べて段違いに少ない(16カ国)。アジアが重点地域として指定されても仕方のないい話だ。しかし宣言では、南アジアに純然たる影響力を持っている地域大国インドのこの発言1つで、全会一致が望めないなら譲歩するというスタンスで、文言を和らげる努力をした。

これが、PGAの民主主義なのだ。

単なる多数決ではない。全会一致が原則で、たった1国でも不満があれば、全員でその問題点を追求して妥協案を模索する・・国連がこのようなシステムだったら、と思わず願ってしまうほどだった。しかしこの1国が望んだ変化についてケチがつくわけでもない。全体でコンセンサスを作る為に議論と説得を続け、最終的に参加国全てが合意できるものを採択するというシステムになっているのだ。

多数決の民主主義だが、本当に価値ある民主主義とは、実はこうして練りに練られた妥協により最大公約数的な価値を皆で共有することにあるのではないだろうか。そう思わずにはいられないほど、価値観を揺さぶられた熱い起草審議だった。

さて、そうして参加者皆の努力で採択された『東京宣言』。皆さんはどう思うだろうか。

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