国際刑事裁判所(ICC)と日本

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

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ニューヨーク現地のCICC(国際NGO連合)本部でICCその他に関する会議を行った際に、スーダン・ダルフールの案件で重要な進展が見られたとの情報を得ました。CICCは早速メディア・アドバイザリーをWebに公開したので一部要約してご紹介します。



ICC JUDGES ISSUE ARREST WARRANTS FOR SUSPECTS IN DARFUR INVESTIGATION

ICCの予審裁判部、ダルフール案件の捜査で逮捕状を発行

何が:
▼2007年5月2日午前12時頃、ハーグの国際刑事裁判所(ICC)の第1予審裁判部が、スーダン・ダルフールの案件についてモレノオカンポ検察官が同年2月に提出した証拠を検討した結果、証拠とともに指名された2名の容疑者について逮捕状を発行した。

▼予審裁判部は戦争犯罪および人道に反する罪を犯した容疑について、アフマド・ハルーン容疑者とアリ・クシャイブ容疑者の両名について刑事責任が認められるとし、両名が任意で裁判所に出頭することはないと判断した上で、任意出頭を求める召喚状ではなく、逮捕状の発行が必要だという認識に至った。

▼逮捕状には、一般市民に対する迫害、殺害、攻撃、強制的な移動、強姦、略奪、器物損壊、非人道的な行為、投獄および拷問を含む51件の訴因を記載された。

誰が:
・アフマド・ハルーン(本名:Ahmad MuhammadHarun)、元スーダン内務省(人道問題担当相)
・アリ・クシャイブ(本名:Ali Muhammad Al Abd-Al-Rahman)、民兵組織指導者

何故:
・05年3月31日、国連安全保障理事会が決議1593号によりスーダン・ダルフールの案件をICCに付託され、
・05年6月6日、ICC検察官が正式に捜査の開始を宣言しており(案件は第1予審裁判部が担当)、
・07年2月27日、ICC検察官は証拠を提示し両容疑者に対する召喚状の発行を要請していたため。
CICC Media Advisory(5月2日付け)より

今回のICCの判断は、国際刑事裁判制度の観点からも重要な意味を持ちます。それは、本案件が初めて国連安保理による付託された案件であることと、この付託は軍事的・非軍事的制裁も含まれる国連憲章第7章のもとで行われたという事実があるからです。国連憲章第7章はICC加盟国だけでなく全ての国連加盟国を拘束するため、スーダン周辺のICC非加盟国も国連加盟国として協力に応じる義務が生じます。もちろん、スーダン政府ははじめからICCの管轄権はもといその正当性すら認めないという立場を明らかにしており、それは他の報道などからもハッキリしています。しかし、スーダンの周辺国は今回の逮捕状の発行によりICCへの協力を義務付けられるため、スーダン政府の意向に関係なく逮捕・拘束のため協力に乗り出す可能性があるのです。

イメージ 1スーダンと国境を接する国には、チャド、中央アフリカ、リビア、エジプト、エチオピア、エリトリア、ウガンダ、ケニア、ウガンダ、コンゴ民主共和国の9カ国がありますが、このうちICCの加盟国はチャド、中央アフリカ、ウガンダ、ケニア、コンゴ民主共和国の5カ国(赤丸で表記)しかないため、隣国としてスーダン訴追に関する協力に応じてくれる国が少なく、包囲網に穴がありました。しかし今回の国連憲章7章に基づく逮捕状の発行により、残りの4カ国の協力も義務付けられるため国際的な圧力によりスーダン政府が妥協する可能性が高まったのです。こうした国連とICCとの連携・協力による国際的な包囲網の構築は、ICCが管轄する3つの犯罪に対する普遍的管轄権を確立するために欠かせないものとなります。スーダンの案件は、ICCの今後の実効性を占う上でも非常に重要な意味を持つと考えられるのです。
(※地図は外務省「スーダン共和国」地図を元に作成)

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