国際刑事裁判所(ICC)と日本

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

毎日新聞が今日伝えたところによると、政府は1956年発効の「武力紛争の際の文化財保護条約」(ハーグ条約)の承認案を今国会に提出する方針を固めたそうです。(毎日の記事

この条約は有事と平時の両方で文化財の保護を規定し攻撃や破壊行為を禁じる条約で、発効時には先進国(軍隊保有国)のほとんどが批准していました。しかし日本では、武力事態法の制定により最近やっと戦時の捕虜の待遇を定めたジュネーブ条約追加議定書に批准できる体制が整うようになってきた(関連記事)くらいで、そのほかの武力紛争法いわゆる戦時国際法については、国会で論じること自体がタブー視されていました。

一般が入手が可能な外務省の作成した今月7日付けの「第164回国会(常会)提出予定条約」(PDF版)によれば、今国会で承認を求められる武力紛争関連条約は以下の3本。いずれも今国会での成立に大きな問題はないと考えられています。

○武力紛争の際の文化財保護条約
○武力紛争の際の文化財保護議定書
○武力紛争の際の文化財保護第二議定書
「武力紛争の際の文化財保護条約」(ハーグ条約)全文


 防衛施設庁の官製談合問題により、今国会での防衛庁の省昇格法案の提出を断念する公算が大とされている小泉政権(関連記事)ですが、自民党の党是でもある憲法改正、それに伴う自衛隊の軍隊認定と周辺環境の整備を迅速に実施できるよう、比較的ハードルの低い文化財保護のための戦時国際法から批准を進めていくつもりのようです。ジュネーブ条約追加議定書への批准準備も、履行に必要な関連法の整備を着々と進めており年内の批准は確実視されています。つまり、防衛省格上げ当面棚上げになっていても、自衛隊の軍隊化に向けた外堀は確実に埋めていくという戦略に出たようです。
 こうした戦時国際法への準拠体制が整備されていくということは、ジェノサイド条約や拷問禁止条約などの違反についての罰則規定を初めて具体的に設けたICCのローマ規程批准の道筋も整ってきたことを意味します。ローマ規程が定める罰則の対象となる犯罪について、関連の条約をまったく批准しないままローマ規程のみに批准するというのもおかしな話だからです。つまり外務省が掲げる2年以内の批准というのは、至極現実的な目標である可能性が高いということです(関連記事)。

開く コメント(0)

締約国会議(Assembly of State Parties: ASP)

 締約国会議(ASP)とは、ICC設立に関する国際条約であるローマ規程に加盟する国家の集まりを指し、加盟107カ国のうち66カ国が原加盟国を務めるICCの最高意思決定機関です。現在は111カ国の全てが締約国会議のメンバーとして、会議への参加及び投票資格を持っています。
 ASPはICCの運営や予算に関する決定権を持ち、ICCの運営状況を監督する立場にあります。同様の組織は世界銀行(World Bank:WB)や国際復興開発銀行(International Bank for Reconstruction and Development:IBRD)などその他の国連・国際機関にも見られ、あらゆる国際条約は基本的にASPによってその履行の監視・監督が行われるようになっています。ICCも国際条約なので、例外ではありません。ただし、これまでに設置された国際機関とICCの決定的な違いは、ASPもまた世界のNGOの連合体であるCICCによって監視されているという事実です。
 国家の集まりである国際条約において民間のNGOがこれほどの影響力を持つことは異例ですが、NGO連合はICCの発足の過程に深く関わってきており、蓄積されたノウハウやネットワークはICCを補完するものであるため、両者は相互補完的な関係にあります。(※)

※ ASP側がCICCに協議に参加できるが投票権を持たないオブザーバー資格を与える一方、CICCはASPに対しノウハウやナレッジベースなどのリソースの供給を行っています。こうした相互補完的な関係は、2003年の第2回締約国会議でASP決議「ICC-ASP/2/Res.8」として明文化され、CICCは公式にICCの運営に関わる資格を持つNGOの連合体としてASPに認められました。これは、ASPが公然とCICCによる監視を認めたも同然に値する、国際条約史上画期的な出来事でした。


ASPメンバー国一覧(加盟順)
1	セネガル
2	トリニダード・トバゴ
3	サンマリノ
4	イタリア
5	フィジー
6	ガーナ
7	ノルウェー
8	ベリーズ
9	タジキスタン
10	アイスランド
11	ベネズエラ
12	フランス
13	ベルギー
14	カナダ
15	マリ
16	レソト
17	ニュージーランド
18	ボツワナ
19	ルクセンブルグ
20	シエラレオネ
21	ガボン
22	スペイン
23	南アフリカ
24	マーシャル諸島
25	ドイツ
26	オーストリア
27	フィンランド
28	アルゼンチン
29	ドミニカ
30	アンドラ
31	パラグアイ
32	クロアチア
33	コスタリカ
34	アンチグア・バーブーダ
35	デンマーク
36	スウェーデン
37	オランダ
38	セルビア(旧セルビアモンテネグロ)
39	ナイジェリア
40	リヒテンシュタイン
41	中央アフリカ
42	英国
43	スイス
44	ペルー
45	ナウル
46	ポーランド
47	ハンガリー
48	スロベニア
49	ベナン
50	エストニア
51	エクアドル
52	ポルトガル
53	モーリシャス
54	マケドニア(旧ユーゴ連邦)
55	キプロス
56	パナマ
57	ボスニア・ヘルツェゴビナ
58	ブルガリア
59	カンボジア
60	コンゴ民主共和国
61	アイルランド
62	ヨルダン
63	モンゴル
64	ニジェール
65	ルーマニア
66	スロバキア
67	ギリシャ
68	ウガンダ
69	ブラジル
70	ナミビア
71	ボリビア
72	ウルグアイ
73	ガンビア
74	ラトビア
75	オーストラリア
76	ホンジュラス
77	コロンビア
78	タンザニア
79	東チモール
80	サモア
81	マラウィ
82	ジブチ
83	ザンビア
84	韓国
85	マルタ
86	セントビンセント及びグレナディーン諸島
87	バルバドス
88	アルバニア
89	アフガニスタン
90	リトアニア
91	ギニア
92	グルジア
93	ブルキナファソ
94	コンゴ
95	ブルンジ
96	リベリア
97	ガイアナ
98	ケニア
99	ドミニカ共和国
100	メキシコ
101	コモロ諸島 
102	セントクリストファー・ネイビス 
103	モンテネグロ共和国
104	チャド
105	日本
106	マダガスカル
107	スリナム
108 クック諸島
109 チリ
110 チェコ
111 バングラデシュ

開く コメント(2)

ローマ規程(Rome Statute of the International Criminal Court)

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/83/ICC_member_states_world_map.png
国際刑事裁判所に関するローマ規程(全条文)とは、ICC条約の通称で、正式名称は「国際刑事裁判所設立条約」といいます。ローマ規程は、1998年の7月にローマにおける「国際刑事裁判所設立のための国連全権外交会議」で137カ国(※)の賛同を受けて採択された国際条約です。採択とは、条約の「成立」を促すための署名を意味しますが、実際に条約が効力を持つ発効とは異なります。

この条約では、国際社会にとって最も深刻な次の4つの犯罪を行った個人を国際法に基づき訴追し、処罰するための常設の国際刑事法廷の設置を定めています。

ICCが管轄する3つの犯罪:
/容擦紡个垢詒蛤 - 平時に行われる 国際法(人権法)に対する違反行為
∪鐐菷蛤 - 戦時に行われる 戦時国際法(人道法)に対する違反行為
集団殺害犯罪 - 平時・戦時を問わず 特定の民族や集団に危害を加える目的で行われる、ジェノサイド条約に違反する行為
た略犯罪 - 国の政治的または軍事的行動を、実質的に管理を行うかまたは指示する地位にある者による、その性質、重大性および規模により、国際連合憲章の明白な違反を構成する侵略の行為の計画、準備、着手または実行

ローマ規程は1998年に採択されて成立しましたが、それから実際に発効するまでさらに4年の月日をかけ、2002年7月1日、条約の発効に必要な60カ国の批准(正確には批准に必要な数を超えた全66カ国)を得て、正式に発効しました。他にも「ICC規程」「ICC条約」などと呼ばれることがあります。
参考: 旧資料:(1)外務省資料(2005.11.30)に関する補足より

※ 国連の公式記録(参照)では139カ国となっていますが、条約発効前の2002年5月6月に、米国イスラエルがそれぞれほぼ同時に署名撤回の意思を表明したため、ここでは下方修正しています。ちなみに、両国の署名撤回の意思は、国際条約の批准書の寄託を請け負う国連の条約局では正式に受理されていません

ローマ規程の署名・批准状況(2015年1月現在)
●発効:2002年07月01日
●署名:137カ国
●批准:123カ国(最近批准した国:【パレスチナ】2015年1月2日)
出典:CICC公式サイト

開く コメント(17)

全1ページ

[1]


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事