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FATOU B.BENSOUDA, Prosecutor, International Criminal Court 2012年6月15日に国際刑事裁判所の検察官に就任し初来日したベンソーダ検察官が 「平和と正義」の実現におけるICCの役割について話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信) 通訳 長井鞠子(サイマル・インターナショナル) 国際刑事裁判所(ICC)のホームページ 日本記者クラブのページ 追記:外務省総合案内ページ ベンソーダ検察官との質疑応答部分(抜粋)
検察局のこれからの課題とは Q:「次の9年間、前任者のオカンポ検察官とどのように違うのか。」―東京新聞ナカザワ氏A:「第一に、オカンポはオカンポ。ベンソーダはベンソーダなので人間が違うのは当然です。オカンポ氏の着任時スタッフはわずか5名、事案はゼロでした。私は彼から300名のスタッフを引き継ぎ、7件の事案を抱え、15件の訴追を行い、29名が指名手配されています。すなわち私はオカンポ氏から完全に機能する局を引き継ぎました。また幸運なことに、私は殆どの政策、戦略、実務上の手続きなどが作られているその只中にいたので、私の今後の使命はこれらをより強化・確立することにあります。また私は検察局として直ちに取り組むべき次の4つの重点分野を特定しています。①性的犯罪の捜査と訴追。②ICCとアフリカの関係。③業務の質と効率の改善。④事案の継続・終了の予備審理の判断の改良です。」 ICCが抱える各事案の“難しさ”とは
Q:「担当された事案で一番難しいと思ったものがあれば、事例として一つ挙げていただきたい。」―個人会員のタカヤマ氏A:「まず、あらゆる事案が複雑であるという認識が必要です。紛争中の事案が多いので独特の困難性が生まれます。例えばウガンダの場合、問題は言語の正確な翻訳・通訳の確保でした。ロジ面では政府の協力を得られたので助かりましたが、ダルフールの場合は政府の協力が得られませんでした。このようにそれぞれが独特の困難さを伴うのです。これらの問題の上に更に、継続中の紛争という問題がのしかかります。ダルフール、コンゴ民主共和国などの場合です。したがって治安・安全上の懸念が、当局スタッフだけでなく証人や被害者にまで及ぶ場合があるのです。このように、状況が違えば状況に応じた困難さが生じるものであり、そもそもすべての事案が複雑なものなので、“どれが一番複雑か”とは、とても一概に言えることではないことをご理解いただければと思います。」シリア情勢に対するスタンス Q:「シリアが深刻な状況にあるが、こういう場合ICCはどういう関心を持って事態を見つめているのか。」―特別賛助会委員のイイクラ氏A:「ICCはシリア情勢には介入できません。シリアは非締約国なのでICCは介入できないのです。非締約国であっても介入できるのは、①安保理による付託がある場合、②非締約国自身がICCの管轄権の受託宣言を行った場合のこの2点に限られます。前者(①)はダルフール、リビアの事案、後者(②)はコートジボワールの事案に実際に適用されました。しかしシリアの場合はこれらいずれの条件も揃っていないため、ICCはシリアには介入できないのです。」国際裁判制度誕生の地にいることの思い Q:「世界で初めて国際法廷(東京裁判)が開かれた国においでになることに何か特別な思いというのはあるか。また広島にも行かれるそうだが、これは自発的なものなのか。またどういった思いで行かれるのか。」―朝日新聞のヨシダ氏A:「史上初めて国際軍事法廷で開かれた国に来ることと、史上初めて[核兵器による]大量殺戮を味わった広島を訪れることは、私にとって象徴的意味を持つとともに、ICCの検察官としてひじょうに重要な意味合いを持ちます。ICC管轄犯罪を裁く任を負った者として、常設の国際軍事法廷を想起するきっかけとなった極東軍事裁判が行われた地に降り立ち、その常設国際法廷の10周年を祝う行事に参加していることは極めて重要かつ象徴的意味を持ちます。国際交流の観点だけでなく、今ここにいる事、広島に行くことは非常にシンボリックな意味合いを持っています。極東軍事裁判は、法の支配に基づき重大犯罪を裁く初めての試みで、その後ニュルンベルク裁判が続き、60年余りの時間をかけ、2つのジェノサイド、2つの国連設置その他シエラレオネ特別法廷の設置などを経て初めて、1998年にICC規程が起草され、現在私たちはその10周年を祝っている。これは国際社会の偉業だと思います。そして今日、私は、極東軍事裁判を経て行われた『過ちは繰り返さない』というあの誓いを、二度とあの惨禍を繰り返さないというあの誓いを、国際刑事裁判所(ICC)が実現するものと切に願っております。」 日中情勢に対するスタンス
Q:「日中が色々問題を起こしているがどのよな感想をお持ちか。どのような視点で問題を見つめておられるのか。もう一つ、難しいお仕事をされている中で、日常生活の中でどのようなご趣味をお持ちなのか。」―個人会員のカトウ氏A:「ICCの管轄犯罪という観点でいえば、ICCは戦争犯罪、大量殺害犯罪(ジェノサイド)、人道に対する罪しか追求しない。これらの犯罪が進行中であるか、行われる可能性がある場合のみICCは問題に介入できます。この問題(日中の問題)の場合、ICCは日本に対して管轄権を持つが、中国は締約国ではない。また私の知る限りにおいて、中国により、日本において戦争犯罪や大量殺戮、人道に対する罪が犯されたという事実はありません。ただ、日本がICCの管轄下にあることは、ICCシステムの庇護下にあるということ。すなわち、これら犯罪が行われた場合は、行為者が誰であるかに関わらず、非締約国であっても、ICCの管轄下と見なされます。最後に私の趣味についですが、家族との時間を過ごすことが一番。あとは読書です。でも最近は、あまりこういう時間が持てていません。」 |
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#連歌デモ参加記念 2012.10.01 |
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侵略の犯罪化という国際刑事裁判制度の課題に取り組む
6月25日から26日の二日間、ニューヨークにて、リヒテンシュタイン公国国連代表部と侵略予防グローバル研究所の共催で、侵略犯罪に関する国際ワークショップと同戦略会議が連続で行われ、日本の市民社会を代表して、世界連邦運動協会が事務局を務める国際刑事裁判所問題日本ネットワークから勝見貴弘事務局長(当協会執行理事)が参加した。
会議の共催者であるリヒテンシュタインは、5月8日付けでICC(国際刑事裁判所)規程における侵略犯罪に関する改正条項の最初の批准国となった国である。2002年の規程発効以降、同犯罪に関する特別作業部会の議長を務めてきた同国は、侵略犯罪条項の批准を推進するべく侵略予防グローバル研究所と合同で推進プロジェクトを立ち上げた。今回開催されたのはその第一回会合である。
侵略犯罪に関する改正条項は、2011年6月11日にウガンダで開かれたICCローマ規程の再検討会議でコンセンサス(合議)により採択され、4つめの管轄犯罪となった。しかし管轄権の行使が実行可能になるためには次の2つの条件を満たす必要があり、批准の推進は困難とみられている。
【管轄権行使実行の要件】
2010年以降、この要件の一部を満たし改正条項に批准したのはリヒテンシュタイン唯一国であるが、ワークショップでは、スイス、トリニダード・トバゴ、ルクセンブルグ、アルゼンチンの4カ国の政府代表が年内に批准することを表明した。その他、オーストラリア、ドイツ、ベルギー等13カ国が批准を推進しており、更に日本を含む4カ国が検討の初期段階にあることを表明した。
日本政府は、2010年の再検討会議において、諸般の理由から「規程改正の採択のコンセンサスには参加しないが、それをブロックすることはしない」との「消極的賛同」の対応をとった。ただし、今回のワークショップで日本政府代表は「積極的に批准を推進しようとしているが国会の支持が必要である」と報告。勝見執行理事はここで発言し、「日本の批准を推進するためには国際社会の協力が必要である」ことを強調。またニュージーランドの国会議員で地球規模問題に取り組む国際議員連盟(PGA)の国際委員でもあるケネディー・グラハム議員から議員立法による批准を推進している旨報告があったため、「日本においても議員立法の推進を検討する必要がある」と発言し、日本政府の発言を後押しした。
世界連邦運動協会は、2012年5月13日の第67回総会において、「国際刑事裁判所ローマ規程について、2010年再検討会議にて採択された侵略犯罪の定義及び管轄権の行使手続きに関する改正条項の早期批准」を日本政府に提言する国際委員会の運動方針の一つとして採択している。
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