|
侵略の犯罪化という国際刑事裁判制度の課題に取り組む
6月25日から26日の二日間、ニューヨークにて、リヒテンシュタイン公国国連代表部と侵略予防グローバル研究所の共催で、侵略犯罪に関する国際ワークショップと同戦略会議が連続で行われ、日本の市民社会を代表して、世界連邦運動協会が事務局を務める国際刑事裁判所問題日本ネットワークから勝見貴弘事務局長(当協会執行理事)が参加した。
会議の共催者であるリヒテンシュタインは、5月8日付けでICC(国際刑事裁判所)規程における侵略犯罪に関する改正条項の最初の批准国となった国である。2002年の規程発効以降、同犯罪に関する特別作業部会の議長を務めてきた同国は、侵略犯罪条項の批准を推進するべく侵略予防グローバル研究所と合同で推進プロジェクトを立ち上げた。今回開催されたのはその第一回会合である。
侵略犯罪に関する改正条項は、2011年6月11日にウガンダで開かれたICCローマ規程の再検討会議でコンセンサス(合議)により採択され、4つめの管轄犯罪となった。しかし管轄権の行使が実行可能になるためには次の2つの条件を満たす必要があり、批准の推進は困難とみられている。
【管轄権行使実行の要件】
2010年以降、この要件の一部を満たし改正条項に批准したのはリヒテンシュタイン唯一国であるが、ワークショップでは、スイス、トリニダード・トバゴ、ルクセンブルグ、アルゼンチンの4カ国の政府代表が年内に批准することを表明した。その他、オーストラリア、ドイツ、ベルギー等13カ国が批准を推進しており、更に日本を含む4カ国が検討の初期段階にあることを表明した。
日本政府は、2010年の再検討会議において、諸般の理由から「規程改正の採択のコンセンサスには参加しないが、それをブロックすることはしない」との「消極的賛同」の対応をとった。ただし、今回のワークショップで日本政府代表は「積極的に批准を推進しようとしているが国会の支持が必要である」と報告。勝見執行理事はここで発言し、「日本の批准を推進するためには国際社会の協力が必要である」ことを強調。またニュージーランドの国会議員で地球規模問題に取り組む国際議員連盟(PGA)の国際委員でもあるケネディー・グラハム議員から議員立法による批准を推進している旨報告があったため、「日本においても議員立法の推進を検討する必要がある」と発言し、日本政府の発言を後押しした。
世界連邦運動協会は、2012年5月13日の第67回総会において、「国際刑事裁判所ローマ規程について、2010年再検討会議にて採択された侵略犯罪の定義及び管轄権の行使手続きに関する改正条項の早期批准」を日本政府に提言する国際委員会の運動方針の一つとして採択している。
|
国際会議報告
[ リスト | 詳細 ]
すべてのムスリムと非ムスリムに向けた「イスラームのメッセージ」を採択(写真:WCRP日本委員会・立正佼成会)
2010年9月25日
9月20日から22日の3日間、京都市内のホテルで世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会主催で、イスラーム諸国から宗教指導者を招いた『イスラーム指導者会議』が開催された。
この会議は、昨年11月に東京で開催された『アフガニスタンの和解と平和に関する円卓会議〜〜「支えあう安全保障 (Shared Security)」をめざして〜』のフォローアップ会議として、同会議で採択された、「イスラム諸国の役割」と題された次の提言に基づいて企画された。 前回に引き続き『WCRP40周年記念事業』の一環として行われた今回の会議では、参加者の安全確保と自由闊達な討論が行える場を提供するという前回会議の精神を引き継ぎ、チャタムハウスルールが適用され原則非公開で行われた。
会議には、「アフガニスタンおよび世界各地の和解と平和を切望し、平和と共存のためのイスラームのメッセージを伝える」(声明より)ために、エジプト、インドネシア、イラン、イラク、日本、パキスタン、パレスチナ、サウジアラビア、トルコのイスラーム指導者および専門家を招いて活発な討論が行なわれ、ここで得られた洞察を提言としてまとめ記者発表が行われた。
残念ながら、当事国アフガニスタンからの参加は、参加者の都合がつかず実現しなかった。 |

- >
- 政治
- >
- 政界と政治活動
- >
- その他政界と政治活動
ICC締約国会議、カンパラ再検討会合で「侵略犯罪」を管轄犯罪に規定朝日新聞が報じたように、ウガンダのカンパラで行われた国際刑事裁判所締約国会議(ASP)による「国際刑事裁判所(ICC)ローマ規程再検討会合」にて、「侵略の罪」(以下、正訳表現として「侵略犯罪」と表記)の定義が採択され、ICCの管轄犯罪となることが合意されました。しかし、その運用をめぐって国際社会は、これまで激しい議論を繰り返してきており、今回の会議でも、特にその「認定権者」は誰かという点で会議が紛糾したと、CICC(国際NGO連合)内では報告されています。
残念ながら、今回のこの歴史的な会合に、私は直接参加することが適いませんでした。しかし、CICCの一員として常に情報は入ってきていました。以下は、その情報の一つとして、この「侵略犯罪」を巡る議論に関して、CICCの運営委員会メンバーのPGA(地球規模問題に取り組む国際議員連盟)の総括を要約したものです。まずは、今回の会議に至るまでの経緯の概説から。 経緯 「侵略犯罪」の定義自体も重要なのですが、この問題の最大の争点は、これを国家あるいは個人による犯罪であると認定するの「認定権者」がICCなのか、それとも国際安全と平和に関する国際法上の責任を持つ国連安保理なのかという事でした。 ASPでは、「侵略犯罪」の定義、その対象なども含めたこうした重要検討事項を、2010年の再検討会合に先立ち事前検討するため、2002年に特別の作業部会を設置し、以来、7年間に渡って公開討論を繰り返してきました。この公開討論は、ICCの締約国に限らず、広く国際社会全体に門戸を開いて行われ、とくに安保理常任理事国五ヵ国(英仏2ヵ国を除いて全て非締約国)の参加が認められたため、ひじょうに実効性あるものとなっていました。 これまでの議論では、議長ペーパーというものがその都度採択され、その中で、「認定権者」は暫定でこのように定義されてきました。 国際刑事裁判所は、国連安保理により「行為としての侵略」が行われたと判断された場合のみ「犯罪としての侵略」を訴追すべく管轄権を行使できる。 これはすなわち、「侵略犯罪」が行われたという第一義的な認定権は安保理が持ち、この認定を受けて初めてICCは訴追行為を開始できるということです。この件をめぐって、会議の参加国は激しい議論を展開してきました。とくに、朝日の記事にあるように反対派の米国と、推進派のドイツ、ベルギーなどの間で意見が対立していました。 日本での数少ない報道(朝日のみ?)によれば、「ICCにも独立した捜査権を認める」そうですが、これは、米中露ほか現行の「非締約国が訴追対象とならない」ことも含め、西欧諸国や市民社会から大きな反発を受けました。この世紀の議論が現在の結論に至った経緯とその内容を、以下ご紹介します。 報告(要約) PGA国際本部の報告によると、ウガンダの首都カンパラで招集されたICC締約国会議は12日深夜、2週間に及ぶ激しいの議論の末、「侵略犯罪」に関するローマ規程の改正とともに、当該犯罪に関する管轄行使のための諸条件に関する提案を投票無しのコンセンサス(合議)で採択した。しかし、非締約国国民を完全にその対象から排除し、さらに改正の発効期限を遅らせることで、ICCの管轄体制は著しく弱体化させられたと言わざるを得ない[1]。 採択された改正案によると、改正の発効は以下の条件を満たしたときに初めて実現する。
2002年にローマ規程への署名を拒否した米国を含め一堂に会した安保理常任理事国5ヵ国(内締約国は英仏の2ヵ国のみ)は、その影響力をフルに活用し、国家に対する国家による「侵略犯罪」の行為の認定は、「国連憲章第七章下で行動する国連安保理の占有的権限であるべき」とする立場を強く主張した[2]。これに対し、ラテンアメリカ及びカリブ諸国、アフリカ諸国、欧州諸国らは、「安保理には第一義的な権限が認められるべきだが、占有的なものであってはならない」という立場を表明したが、結論には至らなかった。そこで、再検討会議議長により妥結が図られ、発効期限を遅らせることになった[3]。ただし、自発的(proprio motu)な訴追や締約国による付託の場合は例外とすることが、締約国会議と一部非締約国の間で合意された。
この結果について、PGAのICC対策チームは、本会合での「侵略犯罪」の管轄犯罪化は象徴的なものに留まり、「仮に2017年の改正発効後であっても、ICCのこの犯罪に対する実効性はその他の管轄犯罪に比べそれほど高くないことを潜在的侵略国(would-be aggressors)に強く知らしめる結果と相成った」との初期評価を下した[4]。 最後に、PGAはカンパラ再検討会議の全般的総括として、内部紛争におけるガス兵器など一部兵器の禁止が規定された[5]ことを評価する一方で、「ローマ規程の批准後7年間は自国民の戦争犯罪による訴追を免除される」規程第124条の規定を削除するという市民社会の念願が叶わず、これが保持されることが決定したことに遺憾の意を示した[6]。ただし、決定の最終段階で、同規定の削除に関して2015年の締約国会議で再検討することが盛り込まれたのがせめてもの救いであったと付け加えた[7]。 所感 私たち市民社会も含めた国際社会全体が、今回の再検討会合は、歴史に残るものになるであろうと期待していました。それは、東京裁判以来、明確な規定のなかった「侵略犯罪」の定義やその運用の規定、核兵器使用の禁止(犯罪化)など、人類の悲願ともいえる重大な懸案事項が初めて国際法のもとで明文化される7年に1度の機会だったからです。また、それだけではなく、米オバマ大統領の「核なき世界」戦略の諸施策により勢いを得た国際社会の前進に伴い、核兵器の使用を禁止する国際的コンセンサスが確立する千載一遇の機会と見られていたのです。
日本でも、「侵略犯罪」の管轄権行使の問題について、現役弁護士の集団が結成した初の人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」(設立趣旨)等が事前に独自見解を発表するなど、市民社会の期待が高まっていました。 しかし、蓋を開けてみれば、2002年以降初めて米国の参加が実現した今回の歴史的会合は、安保理常任理事国による横暴を許す格好の舞台となってしまい、ICCが先導する国際刑事裁判制度は強化されるどころか弱体化される一方の結果と相成りました。現場にいれなかった私にも、PGAの報告の全文から、そのことに対する悲壮感が漂ってきているのが分かります。
しかしこれで、ICCが抱える課題がさらに明らかになりました。7年後の再検討という、この過程を経なければ、公正で実効性のある国際刑事裁判制度を確立するに当たり、こうした諸処の課題・障害があることは、ここまで分かりやすい形で明らかにはならなかったでしょう。問題が分かれば、対策のよりうもある。2015年の締約国会議に向けて、市民社会が結束してこれら諸問題に取り組む新たな機会を得たと考え、私たちは邁進すべきでしょう。 |
|
1. 午前の全体会議の様子の180度パノラマ写真 2. アジア太平洋地域政府・NGO非公式会合に全員出席で望んだ日本政府代表団 3. 日本代表団の団長を務め積極的にオープンに発言した岡野国際法課長 4. 発言する中国の政府代表団(NGOの人間も入れて3名で出席) 5. JNICC提案に肯定的にコメントしてくれたロジャー・クラーク教授 6. おそらく至上初参加だったフィリピン政府代表 7. 今年批准を控えるインドネシアのNGO代表(右隣の女性は中国NGO代表) JNICC、日本政府に予算への配慮と検討会議に向けた提案を提示(ハーグ 14日)第7回国際刑事裁判所(ICC)締約国会議(ASP)の初日、午後1時から2時間、CICC(国際刑事裁判所を求める国際NGO連合)の企画により、恒例の「アジア太平洋地域政府・NGO非公式会合」が開催されました。アジア太平洋地域から約10カ国の人間が参加したのですが、何しろ会議初日ですから準備不足が目立ちました。日本から国際刑事裁判所問題日本ネットワーク(JNICC)の代表として参加している私は、CICC側から日本の予算対応の問題について追及してほしいと密命を受けていました。実は日本政府は今回の会議に先立ち、ICCの運営予算の増額を認めない「ゼロ成長」提案を出しており、CICC側としては、これではこれから徐々に成長するICCの能力が制限されてしまうことに危機感を感じていたのです。そこで、日本の市民社会から何か一言いってくれないかと、会議の直前、30分前に言われたのでした。 その時に大慌てで書き上げたステートメントが下記のものです(残念ながら現時点は英語のものしかありません。若干1頁に収まる程度の短いステートメントですが、30分の準備時間ですからこの程度が限界でした。4パラグラフ構成なので要点は4つ。 (1)去年の判事選出に対する歓迎の言葉と、選出された斎賀判事の活躍に対する期待の表明
(2)今年のASP運営委員に選出されたことの歓迎と、その責任に応じ、ICCの運営においてASPのCBF(財務予算委員会)が勧告した予算増加案を受け入れることに対する期待の表明 (3)2010年初頭に開かれる検討会議において積極的に提案を行うこと (4)その具体的な提案事項として、唯一の核被爆国として核の使用及び核の使用の威嚇を禁止事項としてローマ規程に盛り込むよう提案すること ■全文 (The Hague, 14 November 2008) The Japanese Network for the International Criminal Court (JNICC) was very encouraged when Japan acceded to the Rome Statute expressing support for international justice. The Japanese government soon after further advanced in its commitment by providing encouragement to neighboring countries still working toward ratification and nominating a distinguished diplomat in human rights to serve in the ICC judiciary. We also would like to congratulate the successful election of Judge Fumiko Saiga and look forward to witness her work in the Court in the following years. JNICC also congratulates and welcome the election of the Japanese government to the Board of the Bureau of the Assembly of States Parties and thus under this new consolidated position, urges to further move forward by providing stronger support in all aspects of the work of the ICC, in cooperation with, the governance of, and the finance of the Court and relevant organs of the Court, including the Court's increased budget as recommended by the Committee on Budget and Finance, and assistance to Trust Fund for Victims. We deem these aspects especially important as the ASP will be holding the Review Conference in early 2010 and faces more pressures and increased mandate. It has been an agreed notion of both the civil societies and several parliamentarians in Japan that Japan as the only victim of the dropping of atomic bombs on the lands of Hiroshima and Nagasaki, should propose the inclusion of a provision to prohibit the use and threat of use of nuclear weapons as an element of the list of crimes under the Rome Statute. JNICC will urge Japan to include this proposal in the coming Review Conference so as to play an active role in not only stopping the proliferation of nuclear weapons but also in facilitating a framework to criminalize the use of nuclear weapons under the new independent judicial institution that Japan has recently become a party to. その場で政府代表団から回答を得ることはできませんでしたが、(4)については列席した参加者、特にサモア政府特別代表で侵略の罪に関する権威である米ルトガー大学法学部教授のロジャー・クラーク(Prof. Roger S. Clark)氏、フィリピンICC・NGO連合共同代表となった元フィリピン下院議員のロレッタ・ロザレス(Loretta Ann P. Rosales)女史などは、「十分検討に値する案だ」と評価してくださいました。 日本政府にどの程度の効果があったかは未知数ですが、この会議の後の午後の一般討論(General Debate)で日本政府は、予算についてはこう述べるに留まりました。(実際の政府ステートメントからの転記)少しは事前のけん制の効果があったのかもしれません。 "Every international organization must have its management and budgetary aspects thoroughly scrutinized and examined, and the ICC is no exception in this regards. Given the limited financial resources available, and in view of the current status of global economy which is said to be facing the second largest, or perhaps the worst financial crisis, we need to face the difficult but unavoidable task of deciding to what extent we can afford to provide."
(仮訳)「どのような国際機関においても、その予算や運営に関わる事項は綿密に検査および調査されるものであり、ICCも例外ではない。限られた財務予算と、戦後2番目に最悪といわれる、あるいは最悪といっても過言でない金融危機に直面する世界経済の現状を鑑み、どの程度までなら拠出が可能かを精査するという、困難かつ不可避な責務を我々は遂行しなければならない」 ■非公式会合に参加した国(順不同) *日本 *中国 *オーストラリア *ニュージーランド *サモア *フィリピン *マレーシア *インドネシア(NGOのみ) *ネパール(NGOのみ) *モンゴル共和国 |

- >
- 政治
- >
- 政界と政治活動
- >
- その他政界と政治活動
|
1万2千人の熱気に包まれ満員となった初日の会場 「戦争根絶に関する9条世界会議」総合参加報告2008年5月4日〜6日、3日間の日程で千葉・幕張メッセで開かれた『戦争根絶に関する9条世界会議』は、3つのセッションに分けて行われました。1日目(4日)13:30〜21:00 「9条を考える全体会」 2日目(5日)10:00〜19:00 「9条を生かす分科会」 3日目(6日)10:00〜13:00 「まとめ総会」詳細:9条世界会議公式ブログ 最終日3日目の「まとめ総会」セッションでは、あらかじめ起草された『9条世界宣言』が検討され、その採択後、記者会見が行われ、会議は1つの宣言、2つの声明と、1つの報告書を成果文書として採択して閉会しました。私はこの3日のセッションのうち、1日目と2日目の全体会と分科会に参加してきました。以下はその模様を報告したものです。(現段階で分科会2件の報告が残っていますが後で追加します) 尚、参加者の発言などは一語一句を正確に書きとめたわけではりませんが、自分のとったメモの内容から回想してなるべく詳細に書き上げてみました。会議の臨場感が伝わる内容であれば幸いです。
2008.05.27 JNICC勝見 |

- >
- 政治
- >
- 政界と政治活動
- >
- その他政界と政治活動



