国際刑事裁判所(ICC)と日本

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

WFMジャパン

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WFMとは世界連邦運動(World Federalist Movement)の略称です。世界連邦運動とは、「世界の国々が互いに独立を保ちながら、地球規模の問題を扱う一つの民主的な政府(世界連邦政府)をつくること」です。WFMは世界連邦の成立を目指し1947年に始められた国際的な運動で、国連の経済社会理事会との協議資格を持つNGOでもあります。WFMジャパンはその日本支部で、正式名称を世界連邦運動協会といいます。
国際刑事裁判所に関する国際運動母体であるCICCは、WFMが運営するプログラムの1つです。その関係から、私は2008年にWFM本部理事に選出され、現在は本部執行理事として、日本のWFMジャパンに所属しながら活動を続けています。これまでの活動を紹介するために、新たに書庫を作ってこれまでの記事を再配置しました。
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世界大会が行われたカナダ・ウィニペグ大学の表札(前方)
会場のウィースリー・ホール(後方)

はじめに

2012年7月10日から11日の二日間、カナダのウィニペグで開催された第26回世界連邦運動世界大会(XXVI WFM Congress)では分科会(Commission)が開かれ、世界連邦運動協会からは四つの分科会についてそれぞれ代議員(Delegate)が参加した。

「平和、人間の安全保障、紛争解決」に関する分科会(COM2)には、犬塚直史(いぬづか・ただし)国際委員長と同委員会委員の私が入り、国際委員会が本年度の活動方針とする国際緊急人道支援部隊(HRTF)の設立に関する決議の成立を目指した。

「国連改革とグローバルガバナンス」に関する分科会(COM4)には、阿久根武志(あくね・たけし)当協会事務局長が参加した。COM2において私は報告者を務め、二日目の報告検討会において当該分科会で合意された二つの決議についての報告を行った。

これら当協会代議員が参加した分科会の他に「国際正義と国際法治と人権」に関する分科会(COM1)と「グローバルな経済・環境ガバナンス」に関する分科会(COM4)があったが、事前登録制のため、今大会においては当協会からは誰も参加することができなかった。しかし、COM4においては、福島原発事故を経験した日本社会にとって重要な議題が検討されていた。

それは、「原発に依存しない社会」を目指す決議を採択するというものであった。 

決議案提出の経緯

COM4の委員長を務めた米国のルーシー・ウェブスター(Lucy Law Webster)代議員は、委員長として福島原発事故に関するなんらかの決議を採択したいと考えていた。しかし、同会の報告者である英国のピーター・ラフ(Peter Luff)代議員は、福島原発事故に関して事前に提出された決議案はないとして、委員長の提案を拒否した。

分科会において事前に決議案が提出されていないからといって、会のテーマに沿った新決議を提案してはならないという規則はない。そこでウェブスター氏は、何とか福島に関する決議案を同会の決議案に挿入することはできないかと、私に相談を持ちかけた。私は事態を重く受け止め、自身がCOM2の報告者を務める傍ら、議場で決議案を書き上げた。

ウェブスター氏は短時間で書き上がった決議案を検討し、これを決議案に挿入するべく動き出した。私はここで注意を払い、分科会の全員に確認する時間はなくとも、せめて報告者であるラフ氏の了解を得るべきだとウェブスター氏に忠告した。

ウェブスター氏は会議の合間にラフ氏に確認をとり、「分科会決議ではなく個人提出決議としてほしい」と要請されこれを承諾した。

決議案の発表

まもなくCOM4の発表時間となった。

ラフ氏による分科会決議の報告の直後、ウェブスター氏は「関連決議」として個人提出決議を大会に提示。その主旨を読み上げ、決議は会場のスクリーンに映し出された。決議の内容は、次のようなものだった。(日英併記
 
国家の根幹的エネルギー・インフラとして、原子力発電所を建設予定、或いは既に長年に渡りこれを保有及び運用する各国政府に対し、原子炉のさらなる安全と運用の確保並びに将来的な脱原発社会の実現に向けて次のことを呼びかけることを世界連邦運動に求める。 
 
    1. 福島原発事故について、日本の国会独立事故調査委員会がまとめた最終報告、及び、米国原子力規制委員会の委託調査により福島原発事故調査特別チームによりまとめられた 『21世紀の原子炉の安全性実現に向けた提言』の内容を真摯に検討すること、及び
    2. 1と並行した、継続的に再生可能エネルギーの研究・開発・導入の推進を実践すること
抗議の辞任

同決議案について、大会は賛成12・反対16・棄権11の反対多数で否決する採決を下した。これを受け、議案起草者の私は翌日7月12日付けで抗議の辞任を決断。新任の理事会及び資格承認指名委員長に対し、国際理事辞任の意、並びに同日予定されていた執行理事選挙への指名辞退を伝える書簡を送付した。

突然の辞意の表明に対し、理事会では13日の会議で全会一致で私の慰留を求めることに合意。新任のアルゼンチンのフェルナンド・イグレシアス(Fernando Igelesias)理事長をはじめ各理事が慰留を求めるも、私は固辞。理事及び執行理事指名の受託の条件として、世界連邦事務局専務理事名で、世界連邦運動として、核の軍事利用及び平和利用に関する方針の歴史的経緯並びにこれに基づく公式見解の発表を要請。米国際事務局のビル・ペイス(Bill Pace)専務理事はこれを実現することを私に約束した。

私がこのような要請を行ったのには確固とした理由があった。

議案の採決時、議場からは反対意見のみが寄せられた。その内容は「当運動として、あるいは所属団体において、この決議の内容を公式方針として表明することはできない」という明確なものだった。後ほど各理事との意見交換で判明したのは、反対表明には主に次の理由があるということだった。

  1. 核の軍事利用(核兵器)への対論として核の平和利用があるのであり、運動は長きに渡ってこの立場を守ってきたため立場の転換は難しい。
  2. 運動はその政策方針として核拡散条約(NPT)体制を支持しており、体制下においては核保有を禁止するかわりに核の平和利用が認められるため、公に核の平和利用を否定できない。
  3. 核の平和利用を全面的に否定することは、地球温暖化対策の一環でのクリーン・エネルギーとしての原子力エネルギーの利用をも全面否定することになるため承伏できない。
  4. 規定の議案提出手続きを経ておらず、また十分な議論が行われていないため、公式な決議として拙速に認めることはできない。

棄権者との意見交換によると、殆どの代議員は(4)の理由で棄権していたことが判明している。一方、反対者との意見交換では、主に(1)及び(3)の理由が反対理由として挙げられた。即ち、反対票の殆どが「核の平和利用」という基本方針との矛盾を理由に投じられていたことが判明したのである。

世界の恒久平和を目指す世界連邦運動において、このような主義主張の膠着があるようでは世界連邦の実現はあり得ない、私はそう判断し、固辞することを決めた。

終わりに

 
福島原発事故以降、世界は大きく動いた。

原発安全先進国のスイスでは、事故以降に安全性の総点検がなされ、さらには、2030年までに全ての原発を停止する「脱原発」宣言がなされた。米国は事故発生後わずか四カ月で、前述の特別チームを編成し、事故の教訓を元に提言をまとめた。各国で原発依存の脱却を求める市民運動が活発化し、原発依存の低減の必要性を認める政策転換が相次いだ。

そうした中で、原発の安全性とクリーン・エネルギーとしての有用性を天秤にかけ、人間の安全保障を最優先とするパラダイム転換を要請する社会運動が活発となった。

このような中で、世界で最も先進的である世界連邦政府樹立を目指す世界連邦運動は、未だに旧来のパラダイムにしがみつき、原子力に関する先見性のある政策検討を行えないでいるのである。

また当協会が平成24年度総会で採択した宣言にあるように「持続可能な社会を継続できるよう、全世界の課題として脱原発に向けての論議」を進めるという見通しも立たない。私の辞任はこれを見越したものである。

2012年度世界連邦運動協会第67回総会宣言(抜粋)
「東日本大震災では、津波による甚大な被害に加えて、深刻な原子力発電所事故が起きたことから、エネルギー資源のあり方が根本的に問われることになった。私たちは持続可能な社会を継続できるよう、全世界の課題として脱原発に向けての論議を進めなければならない。

世界連邦運動が真に世界に先駆けた先進的な運動となり、世界連邦樹立の牽引となるためには、あらゆる重要地球規模課題に関する政策分野においてこれを先導する必要がある。旧来のパラダイムに囚われて先見的な議論ができない現在のありようは、「核の平和利用」を推進するという基本方針が内包する根本的問題を表しているといえよう。


文責・世界連邦運動協会 勝見貴弘

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「保護する責任」原則の第二の潮流を掘り起こす
「大規模自然災害から保護する責任(RtoPfND)」(仮称)原則の確立と普及



エグゼクティブ・サマリー
2001年に国連総会にICISS(干渉と国家主権に関する国際委員会)報告書『保護する責任』(Responsibility to Protect:RtoP)が提出されてから、今年で10年が経過した。国際社会が「テロとの戦い」という新しい時代の戦争の幕開けを迎えた時に生まれたこの新たな国際規範となる概念は、長い間、“概念”に留まり、その理論が実践に移されることはなかった。しかし10年が経過した今年2011年、“概念”は突如、“実践”に移された。リビア事案への適用である。

「保護する責任」原則は、過去10年の間に国連総会、安保理で議論され、その発展を見てきた。2007年には、『保護する責任の履行』と題した国連事務総長報告がまとめられ、原則の発展と制度化が国連主導で推し進められた。しかしその過程で失われた議論があった。起草から10年経っていまや「伝統的な保護する責任原則」といえる現在の「保護する責任」原則は、「個別の国家は、ジェノサイド、戦争犯罪、民族浄化および人道に対する罪からその国の人々を保護する責任を負う。」(2005年世界サミット成果文書第138項)とするもので、「その他の深刻な人道的危機」に対する責任としての議論が排除されてしまっていたのである。この「その他の深刻な人道的危機」には、温暖化による地球環境への影響(津波・干ばつ・飢饉・国土水没等)や大規模自然災害による被害(人的被害、環境被害・汚染、都市・地方・国の統治機構への損害等による国家の機能不全等)が含まれている。

『テロとの戦い』が始まってからの10年、国際社会は激動の時代を迎えた。大規模自然災害(Large-scale Natural Diasters:ND)は世界各地で頻発し、国際社会の重要な対処課題となった。2004年、米国はインドネシアのスマトラ沖津波対応を経て、その豊富な災害対処経験から、国家の最高軍事戦略である国家防衛戦略(National Defense Strategy:NDS)4年毎の見直し(Quadrennial Defense Review:QDR)に基づき、とくに災害が頻発するアジア太平洋地域で多国間で協働して災害対処訓練を行う『パシフィック・パートナーシップ』(Pacific Partnership Campaign:PP)を発足させ、発展させてきた。日本も、この取り組みに参加している。

2011年3月11日、当の日本が、未曾有の大災害を経験した。このとき、PPは稼動せず、日米二国間のみで『オペレーション・トモダチ』が実行に移された。災害発生直後からの日本政府の対応には多くの問題が見られ、情報開示、諸外国との連携、適切な行政指導、安全対策、予防策、復興支援策いずれにおいても、国民に十分な安心と満足を与える対応をしているとは言い難い状況にある。しかし、「伝統的な保護する責任」原則においては、仮に日本政府の対応・施策が不十分だとしても、それが国民を保護する意思や能力の欠如に直接結びつかない。また、前述の3つの人道犯罪に対してのみ、国家に保護する責任の履行が求められるという制約がある。

そこで、国家の責任を再度見直し、最新の国際潮流に則ってあらためて大規模自然災害から保護する責任(Responsibility to Protect from Natural Disasters:RtoPfND(仮))原則の掘り起こし、確立と普及を目指し、市民社会の連帯を呼びかけたい。

市民社会の連帯と議論の呼びかけ

以下の一連のツイートのまとめでは、国家とは何か、その構成要件とは、国民は国家に何を求められるのか、国家が国民に対して果たさなければならない社会契約上の責任は何かを追求し、とくに第三部では、失われた「保護する責任」のもう一つの潮流を掘り起こし、国家に新たな層の責任を求める市民社会の連帯を呼びかけている。

世界連邦運動の関係者および世界連邦運動に関心のある方、またこの概念の発展普及に関心のある方におかれては、この呼びかけに対し、忌憚のない賛否両論の議論を行っていただければ幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。



ツイートまとめ

■番組内容

3/30(水) リビアへ武力介入 市民を保護するために

ゲスト:勝見貴弘(世界連邦運動本部執行理事)
司 会:土井香苗(ヒューマン・ライツ・ウォッチ東京ディレクター)

緊迫した局面を迎えているリビア情勢。
反政府勢力を抑えるために
自国民に銃を向けるカダフィ政権に対し
国際社会が武力介入に打って出ました。
「市民を保護するため」の武力介入は
果たして成功するのか?
国連問題のエキスパートに話を聞きます。

※本日のテーマ「市民を保護する責任」などが
詳しく書いてある、勝見氏総合監修の本は、
こちらで購入できます。


■全容

①リビア争乱はどうやって起きたのか

番組では、まずリビアとはどういう国なのか、いま何が起きているかを簡単におさらいしました。そして、リビアでどうして大規模な政府デモが起きたのか。その本当のきっかけは何だったのか。司会の土井香苗さんがわかりやすく説明してくれました。詳しくは、放送の直前に土井さん自身が書かれたブログの記事をツイートしていました。

この2年前の出来事を発端に、今年2月になって燃え始めた民衆の怒りは、2月17日に頂点に達します。5つの都市でほぼ同時に起きた「怒りの日」デモです。しかし、その後、リビア政府側は暴動鎮圧のためついに軍隊を出動させ、空爆まで行いはじめました。

②国際社会の行動

「怒りの日」から2週間も経たない2月26日、国際社会は行動を起こします。国連安保理を招集し、対リビア制裁決議第一弾を採択したのです。それが、国連安保理決議1970です。

この決議により、リビアには様々な非軍事的制裁が課せられました。その中に、国際刑事裁判所ICCへの捜査・訴追の付託が含まれました。日本を含め、国際社会はこの決議を支持しました。

日本はこの決議を受けて、制裁内容のいくつかを実施しています。

しかし、リビアはこうした国際社会の結束した批難を受け容れません。それどころか、反政府活動への懲罰的軍事行動をエスカレートさせ、ついに空爆をはじめます。多くの罪のない市民が犠牲になり、国外国境付近には難民があふれ出て、「人道的危機」といえる状況に近づいてきました。

③国際社会の更なる行動

国際社会はここで再び、決議1970から2週間弱でさらなる行動を起こします。3月17日に採択された、リビア政府軍に対する武力の行使を認める、国連安保理決議1973です。

これは、画期的な出来事でした。

なぜなら、かつて人道的危機という状況が誰の目にも明らかなときであっても、これほど迅速に国際社会が歩を揃えて取り組み、行動に及んだことはなかったからです。

中でも歴史的な、パラダイムシフトといえるのが、暗示的に今回の行動の行動原理となった「保護する責任」原則の適用でした。

④なぜ画期的なのか

「保護する責任」原則(略称:R2P)は、2000年にカナダ政府が主導した国際委員会が起草した新たな概念で、2005年には国連首脳会合の成果文書として、2006年には安保理で、武力紛争における文民の保護に関する決議1674で、全快一致で採択されました。

にも関わらず、この原則は誕生して10年が経っても実際に適用されることはありませんでした。そもそも、この理念はルワンダの大虐殺(1994)スレブレニツァの虐殺(1995)などの歴史的大事件で、国連を含む国際社会が有効かつ迅速に行動しなかったことの反省から生まれた概念でした。

にもかかわらず、その後も世界では、「人道的危機」と呼べる状況が、パレスチナのガザ地区、スーダンのダルフール、コートジボワール世界各地で起き続けました。国際社会は、R2Pを発動しなかったのです。保護する責任を果たしてこなかったのです。

それがどうでしょう。リビア争乱については、「人道的危機」が発生したと思われる時期から1カ月ほどで、多国籍軍が編成されて「文民を保護するためのみのための」武力行使が実行に移されたのです。なぜでしょうか?

これまで「保護する原則」が適用されなかった最大の理由は、それ自体に内包される国家主権への優位性にありました。具体的には、国家主権の主たるものとされてきた「内政不干渉の原則」これに、「保護する原則」は優先するということが、2006年の段階で安保理の総意として採択されたのです。

これが何を意味するかというと、安保理の中で国内に人道上の問題を抱える中国やロシアにとって、これまで伝家の宝刀のように使ってきた「内政不干渉」の原則が、これからは容易に適用できなくなるのです。

だから、R2Pの原則が採用されてから数々の人道的危機が世界各地で起きても、その原則が自国にも適用される恐れから、またそうした状況になったときに拒否権」を発動するという屈辱的な状況を回避するために、R2Pが安保理の決定として適用されることはなかったのです。(拒否権に関する参考文献 - 国立国会図書館

そして、中露ほか3カ国は棄権に回ったのです。そうせざるを得ませんでした。国際社会の関心はあまりにも高く、そして一様に「行動」を起こすことを望み、それはこれまでのような非軍事制裁ではもはたもたないという見解が支配的になっていたからです。

こうして渋々も、安保理では歴史的な「保護する責任」決議1973が採択され、その目的はあくまで「文民の保護」のための行動を起こすこと。そのための飛行禁止区域の設定であり、その強制のための武力行使容認でした。また「文民の保護」を最優先にするため、人道支援活動を阻害しないこともリビア政府をはじめ、武力行使に参加する各国に強制しました。まさに、「保護する責任」の原則に沿ったかたちの行動を起こしたのです。

⑤原則は本当に守られているのか

「保護する責任」に基づいて行動する場合、とくに軍事行動を起こす場合には、その正当化要件があります。

この6つの要件を満たさなければ、軍事行動は起こしてはならないことになっているのです。ところが、今回の行動がこれら6要件全てを満たしているとはいえません。

1. 正当な権限 (Legitimate Authority)
2. 正当な理由 (Just Cause)
3. 正当な意図 (Right Intention)
4. 手段の均衡 (Proportional Means)
5. 合理的見通し(Reasonable Prospect)
6. 最後の手段 (Last Resort)

この中で満たしているといえるのは、1,2,3,4くらいで、5,6についてはその根拠となるものが示されていません。たとえば、「合理的見通し」というのは、行動を起こすことで事態を悪化させない合理的見通しがあることを検証したか否かを指ます。「最後の手段」は、まさにこれまで「交渉、停戦監視、仲介など」あらゆる外交的努力が全て尽くされたという道筋がなければなりません。

ところが、今回国際社会が起こした行動というのは、どちらかといえば行き当たりばったりで、早い行動ではありましたが、「拙速」だったという批判も免れないものです。そのため、「間違い」が生じる可能性があるため、安保理は決議1970で、リビア以外の国連の作戦に参加する国々に対しても、ICCの管轄権を受け容れるか、自国の管轄権に服しなさいという要請も行ったのです。いわば、決議1970は1973での武力行使で間違いが起きた場合に備えての予防線だったのです。

⑦それでも歓迎されるべきパラダイムシフト

国際社会は、こうした欠点がありながらも、今回の決議が執行されることを強く望んでいます。Twitter上での議論でも、 #r2p というタグで検索すると、さまざまなソースを持ち寄って賛否両論を闘わせつつも、今回の「保護する責任」原則の初適用を歓迎する意見が圧倒的に多いようです。

放送では、国際人権団体の支部のトップを務める土井さんと、世界連邦運動という、恒久世界平和達成のための運動の役員を務める私が、この点について強く同意しました。完全ではないにしても、暗示的であっても、間違いなくその理念に基づいて、その原則に則った形で、具体的な行動が起こされている。それが、無辜な人の悲劇を早く終わらせ、争乱に荒れる国に平和をもたらすための行動であることを、誰もが実感している。

たとえそれが軍事を伴う行動であっても、国連憲章が禁じる武力行使であっても、イラク戦争のときのように用意周到なシナリオに則らずとも、国際社会の総意をこんなにも早くまとめ、こんなにも早く行動することができた。そして、我が国日本もこれを支持・支援している。

⑧日本が果たせる役割には何があるか

これを、平和立国日本の私たちは歓迎すべきだという思いを、放送の最後で述べました。そしてもし仮に、我が国日本が今後、こうした行動に関わる決意と覚悟があるならば、憲法九条の範囲内で、国民一人一人が行える貢献があるとして、国連緊急平和部隊(UNEPSを短く紹介しました。

また実存しない部隊ですが、だからこそ、日本が作れる。日本が先頭に立って作れる。そう説いて、放送を終わりました。

ほかにも、HRTF(人道救援任務部隊)という、今回の大震災のような大規模自然災害に特化した、日米“共同”部隊の創設提案も紹介しようと思いましたが、時間がなく、諦めるしかありませんでした。

UNEPSやHRTFについての詳細は、私の議員秘書時代の最後の仕事で総合監修を担当した書籍、犬塚直史著『脱主権国家への挑戦〜支えあう平和を求めて〜』にて詳しく解説しています。


以上、放送では順序立てて話せなかったことまでここでは綺麗にまとめてしまっていますが、放送の全容はこのようなものでした。

ご精読感謝いたします。

(了)
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去る11月14日、『平和省プロジェクトJUMP』という、日本に平和省という政府機関を創設する運動に携わっている団体の勉強会に講師として招かれました。タイトルは『日本にこそ、人間の安全保障省を!〜脱主権国家への挑戦〜』

二年前に横浜で世界連邦の面々に対して内々で行った講演の内容(トラックバック先参照)をベースに、「人間の安全保障省」という政府機関の創設に向けたものへと大幅に改編したものでした。

講演時間は90分+α。質疑応答を入れて3時間のセッションでした。

今回の講演会は個人のお宅で行われたため『平和省プロジェクトJUMP』のメンバーに限定してごく少人数で行われました。ただし講演の資料(スライド)などは一般公開する予定でいます。講演のビデオ(動画)は、メンバー限定で公開予定です。

所感

勉強会では3度に渡る質疑応答のなかで非常に活発に議論が行われ、「平和省プロジェクト」との相違点や類似点、それぞれが抱える課題の差別化など、論点整理が行われました。

たとえば、「平和省」は、国外の紛争対処や防止などのみを目的としたものではなく、国内外の紛争・暴力の予防に焦点を置いた業務を行う政府機関であり、その対象には家庭内暴力などのミクロのスケールでの暴力も含まれること。

これに対して「人間の安全保障省」は、国際規範に基づく実現目標を掲げ、そのためには「保護する責任」というもう一つの国際規範を実践するための紛争の予防・対応・復興のメカニズムの構築が必要であるというマクロなスケールで考えること。

しかし、双方とも、武力を介さないで紛争の根本を正す「積極的平和」をいかにして実践するかについて必要な機構を政府が有するべきだという考え方に端を発している点は同じなので、その根底にある理念は共有するということがよく理解でき、相互に理解が深まった、相互に勉強できたよい勉強会だったのではないかと思いました。

講演概要

日本政府は外交の基本方針として「人間の安全保障」(Human Securityの推進を掲げる。これは、安全保障の課題として人間の生存、生活、尊厳を脅かすあらゆる種類の脅威を包括的に捉え、これらに対する取り組みを強化しようとする概念で、1994年に国連が初めて打ち出したものである。

日本政府は「人間の安全保障」を日本の価値観外交の中核概念に据え、国際平和協力を行ってきたが、国連での基金の設立や基金への献金、少数の人員でなされる草の根人道支援など、その実態は“小切手外交”に限りなく近い。グローバル・ガバナンス実現の試金石ともいえる人間の安全保障の確立のためには、まず政府の中で横断的に各省庁の機能が連携することを可能にする「人間の安全保障省」(Ministry of Human Security:MHSの創設が不可欠である、という前提で話した。

本講では、「人間の安全保障省」の創設に必要な諸課題を並べ、これらの課題をどうクリアしてゆくか、そしてこの発想が「平和省」創設運動にも役立つかを、元参議院議員犬塚直史著『脱主権国家への挑戦〜支えあう平和を求めて〜』をテキストに、ひとつずつ読み解いてゆくことを目的とした。ただし、その趣旨は講演前は非公開とし、事前予告のないまま与えられた課題についてブレインストーミングすることに重点を置いた。

配付資料(PDF、22MB)

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国連議員総会設立運動CEUNPA国際会議
於 アルゼンチン共和国国会議事堂
2010104
 
ブエノスアイレス宣言(日本語訳)
 

1.     私たち国連議員総会設立運動の国際会議の参加者は、国際連合および加盟国政府に対し、国連議員総会の設立を求める目的で政府間会議の開催の準備を始めるべきであるという共同アピールを改めて繰り返す。
 
2.     “われら人民”の名において成立した国際連合の創設から65年が経過したが、この世界で最も普遍的なはずの政治機構は未だ、世界市民の公選代表がその審議や意思決定に参画する公的な機構を持っていない。
 
3.     2005年の国連世界サミットにおいて各国の首脳および政府は「民主主義は政治、経済、社会、文化制度や人生のあらゆる局面での完全な関与を決定するために人々が自由に表現した意思に基づく普遍的な価値である」(外務省訳)と再確認した。しかし、今日の相互依存的な社会においては、公選された代表を通じての参加および問題提起なしでは、いかなる社会も単独でその運命を決することはできない。
 
4.     意思決定により影響を受ける者はその過程に参加する機会を与えられるべきである。私たちは、地球規模の問題として扱われる事項に関する意思決定については、全人類に影響を及ぼすという認識のもと、国際社会の統治すなわちグローバル・ガヴァナンスを民主化する必要性を再確認する。したがって、国際連合においては徐々に、世界市民の民主的な参画と代表権が確保されるべきであり、その資金、政策、機構並びに政府間機構においても同様の措置がなされるべきであると確信する。
 
5.     今日の多極化された世界において、ガヴァナンスに関わる制度的基盤を改善することはかつてないほど重要である。とくに、多国間組織や機関、政策、資金、条約機構をよりまとまりのある枠組みに替え、これら組織に、世界市民に対するいっそうの責任能力と透明性を持たせることが喫緊の課題である。
 
6.     国連システムは国際協力における根幹的な制度であり続けるとともに、実効性のあるグローバル・ガヴァナンスを実現する発展的枠組みでなければならない。国連議員総会はその重要な要素であり、さらなる制度改革の媒介となり得る。国連議員総会が創設されれば、既存の国際機関およびグローバル・ガヴァナンスをより包括的に改革の啓発を行い実現することが可能である。
 
7.     気候変動への適応、核の不拡散、金融市場の安定化は、国境を越えた、有効な超国家的ガヴァナンス機構によってのみ対処が可能な地球規模の課題である。国際統治機構の民主化を推進し、より包含的で、国の大小にかかわらず国家間の力関係の均衡を保つことができる国連議員総会は、こうした課題に対する解答となる。
 
8.     私たちは、国連議員総会は段階的に進化すべきであることをあらためて表明する[1]。初期段階においては国連憲章の改正を要さず、国連憲章第22条に基づく国連総会投票、あるいは新たな多国間条約として成立する、二通りの進化の道程が想定される。長期的には、憲章第109条に基づく憲章の改正により、世界市民の直接選挙で議員を選出する立法機関「世界議会」へと発展的解消することも想定できる。
 
9.     多種多様な議席配分モデルを検討した結果、国連議員総会では比例逓減(ていげん)制[2]がその基本原則となり得ることを表明する。
 
10.  グローバル・ガヴァナンスの民主化は最も重要な政治的課題である。ここでは、個々の世界市民、とくにドナー各国の議員、政府、市民社会に対し、地球規模の民主的変化へのコミットメントが求められる。これにより、国連およびその他のグローバルな政府間機関はより有効性の高いものへと変革され、世界中の市民に実り多い結果を残すものとなるのである。
 
11.   私たちは、国内で民主主義的価値観を信奉し国外においてもこの美徳を公言するあらゆる国家政府に対し、 国際機関および国際的な意思決定過程において、同等の民主主義原則、説明責任と透明性の確保を目指すことを要請する。


[1] 初期段階では、諮問機関的役割を持つことが想定できる。
[2]比例逓減制とは、人口の多い国に比して人口のより少ない国がより多くの座席(一人当たり)を確保できる選出方式。


原文 (ENGLISH)

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