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それで朝いってみると、水面が見えないんだよ死体で。
それで揚げてみるとまたその下から浮いて、きりがないくらい・・・。
それである程度すると焼けトタンを持ってきて、焼けた針金をつけたトタンの上に乗っけてガラガラひっぱっていって道路へバーっと積み上げるわけ。
たちまちいっぱいになる。
幅は2〜3mくらい長さは10mくらいの山ができるわけ。人間の死体。
何段かにわけて積み重なってる・・・
それでまた下からどんどん、どんどんやってるわけ。
それで、後で聞いた話だけどね。
猿江公園の中に野球場がある。そこに穴を掘って埋めちゃったんだ 。
私:それ、今でも入ってるんですか?
いや、出した。しかし、出し切れなかったという話もある。
僕らが中学2年くらいの時ね、ものすごく変な臭いがするんだよ。風がふくたんびに。
で、何やってるんだかわからなかったんだよ。
何の臭いだっていったんだ。
したら、人間の腐った臭い。
みんな掘ってね、焼いてどっか持っていった。
囲ってやってた。囲ってまわりを。
まだその時中学生だったけど、一人前の大人にね普通の給料の3倍出すから手伝ってくれって言われたんだってさ。
でも、一日行ったらね、人間の腐った臭いでダメだって。
マスクやっても体が臭くなるしどうにもならないって一日でみんなやめちゃった。
今はそこでみんな野球やってるよ。
僕らが来たときはね、虐殺と同じよ。みんな穴を掘って埋めちゃうわけよ。
カマボコみたいにずーっと長い土饅頭があるわけ。
で、みんな分からないから、多分ここに運ばれたんだろうっていって、生き残った親戚とかが来て塔婆を建てるから、塔婆がうゎーっと生えてたよ。
写真撮っておけばよかったと思うけれどさ・・
私:それ、どのくらい埋まってたんですか。
僕らが中学2年だから、昭和22年か。
だから、まだ完全に腐ってない。腐りきってないからものすごい臭いだった。
家の方まで臭ったんだ。
私:それだけたくさん埋まってたんですか。
野球場だから広いもんだよ。
野球が2組できるくらいの広さがある。
(13,000人前後の死者が仮埋葬された。)
全部その、川から揚げたやつ。
で、その川でね今、ハゼが釣れるってんだけど、僕は釣ったこと無い。
釣る気がしないんだそこじゃ。
父:そりゃぁそうだよなぁー
うん、知らない人は平気で釣ってる・・・。
父:小名木川で釣れるの。
こんなデカイやつが釣れるって・・・。
天ぷらにすると美味いよって・・・。
うぇーーっ。
それで3月14日に、親父の実母の実家がある埼玉県へいったんだよ。(志木宗岡村)
お母さんはまだ見つかってない。
多分、もう死んじゃったんだろうって。
お前らどっちへ逃げたんだっていうんで、こっちへ逃げたっていって、子供だろ、よく分からないわけよ。
そしたらね、しばらくそっちへ行ったら今のダイエーのところに線路があったわけよ。
そのダイエーの前辺りは死体でもって、真っ直ぐ歩けなかったんだ・・・。
その中にね、川の字に死んでるのがいて、後ろに死んでるのがこれはどう見ても男の子だと。
前に死んでるのは女の子だ。で、真ん中に死んでるのは間違いなく女。
多分、これじゃないか。ってんでさ。
もう焼けちゃって、水道は溶けちゃって水がジャージャー出てた。
そこ行ってさ、その辺に何かないかって何か鍋かなんか空き容器を拾ってきて、水を汲んで口元へ垂らして・・・
それで埼玉へ行ったわけだ。(秋葉原まで歩き、途中大塚の母の姉の家へ寄った)
私:え、それを見つけたのがどの辺りって?
だから、ダイエーの辺り、僕らはもっとずっと奥だって思ってたんだけど、きっと逃げ戻ってきたんじゃないかって。
父:でも、リヤカーに爆弾が落ちて別れちゃったっていうのは・・
もっと先なんだよ。先なんだけども解らないんだよ。
どこを見たって死体だらけなんだからさ。
どのへんに逃げたんだっていったて、みんな燃えちゃってわかんないんだ。
で戻っていたら、その死体があったんで、これかもしれないって。
口元に水を垂らして・・・。
それでもう一晩寝て、次の朝。
そしたら、総武線が走ってないわけよ。焼けちゃって。
で、しょうがないんで秋葉原へ行こうって。で、歩いていったわけだよ。
浅草橋から動いてるとかなんとかいう話もあったんで、とにかく行こうって。
それで本村橋を渡って、公園の横を通って行ったらね、住吉の交差点のちょっと先に学校があるんだよ。学校の塀の外にね大きな防火用水がある。
そこにいっぱい人が死んでるんだよ。 そこにキューピーさんが落っこちてるんだよ。
セルロイドのキューピーさんが・・・。
僕にはそういう風に見えたんだよ。
あんなところにキューピーさんがなんで落っこちてるんだろう。
セルロイドなんて燃えないわけないのに、なんで落っこちてるんだろう。
それでわざわざ近くまで行ってみたら。
子供だった。 赤ん坊。
だから、生まれちゃったんじゃないかな。今考えるとね。
父:生きてるの?
生きてないよ、死んでるけど。
何も怪我がなくて焦げてないの。
私:周りは焦げてるんですか。
焦げてる。で一体だけ。
で、親父がそんなもの見ても仕方ない、こっちへ来いってんで行ってさ、しばらく歩いていって、菊川橋を渡ろうとしたら渡れないんだよ。縄が張ってあって、お巡りさんが立ってて。
橋の上が死体で山になってた。
私:どの橋ですか。
それはね、家からいうと住吉町っていうのがあるんだよ。
本村橋があって、住吉町その先にもうひとつ橋がある。そしてその先に菊川橋。
この橋を通っていけば近いからさ。
この橋が通れない。死体の山になってた。なんでこう重なって死んだかわからないくらい山になってた。 渡り口に荒縄を張ってお巡りがたっていた。
で、しょうがないから右に曲がって側道をずっと歩いていった。
私:その辺りも死体でいっぱい?
もう4日目だから、軍隊がきて道端に積み上げてあった。
延々と積み上げてあったね。
秋葉原まで一面の焼け野原、時々、金庫がポツンと立っている。川はどこも死体でいっぱい。
私:その、お母さんの遺体だっていうのはそのまんまにしてきちゃったんですか。
そのまま、
もうどうしようもないもの。
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