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心のないやさしさは敗北に似ている―

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どうでもいい話題のようだが、AKBのメンバーの丸刈り謝罪騒動について考えてみたい。

今回の騒動について、表面に浮かんだ事象(つまり、当該メンバーがわざわざYouTubeで丸刈りになった姿を晒し、涙を交えて謝罪をしたかということ)については、ニュースバリューは全くないというのが私の考えである。

しかし、彼女がなぜそのような行動を選んだか(あるいは、誰かの意思がそのような行動を取らせたか)という点については、非常に興味深いと思う。

今回の事件で私が真っ先に思い出したのは岡田有希子の自殺である。

髪の毛を「女の命」とする言説に立てば(このディスクール自体、極めてマスキュリンなものであるが)、彼女が選んだ行動は「自殺」の表象、見立て、といえるのではないだろうか。


彼女のどのような自意識がその「自殺」を選ばせたかは分からない。

しかし、消費されるデータベースとしての「AKB」を構成するの一つの「データ」が―それは極めてフィクショナルなものであるが―そのフィクションがヴァ―ジニティの喪失という、ある種の「リアル」によって破壊されたことに対する一つの答えだったのではないか。

フィクションとリアルの狭間で揺れる「アイドル」という身体。
その身体に宿る自意識が引き裂かれたときに身体は自らを破壊することでバランスを取る。

AKBという成熟を拒否したデータベースを構成するデータが、性的成熟を受け入れてしまったとき、その身体性が崩壊したとしても不思議ではない。

それは極端に自殺につながっても不思議ではなかったと思うが、その代償行為が今回の断髪ではなかったか。

アイドルが消費される情報であり、データベースと化して久しい。

自分好みの情報をデータベースからダウンロードして消費する側と、それ供給する側との間にふわふわと漂う、データとして介在する、生身の身体を持った彼女たち「アイドル」が、求められる偶像性―私はこれを「アイドリティ」と言いたいと思う―と自意識の間で引き裂かれたとき、同様のことはこれからも起きるのでないだろうか。

たかがアイドル、されどアイドル。
それを享受する社会がある以上、アイドルという窓を通して社会を観ることもまた、できるのである。


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