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内容
一見とるに足らぬような民間の俗信の断片にも人類文化史の主要な一節をたどる糸口の秘められていることを学問的に確信する著者は、わが国の桃太郎や一寸法師の昔ばなしの中に見られる〈水辺の小サ子〉の背後にひそむ母性像の源流を原始大母神と子神にまで遡及させる。
その他併録の「月と不死」「隠された太陽」「桑原考」「天馬の道」「穀母と穀神」等いずれも、日本民俗学と比較民俗学とを結合させて画期的考察を加えた畢生の名著。
今年に入ってから文化人類学に縁のある本を読んできたので、その流れで手に取ってみました。
日本の民俗学にとどまらず、より広い世界に目を向けたスケールの大きい文化論はダイナミックで大変面白かったです。
日本の神話も実は世界各国にある神話と同じような系譜をひいていたりとか、同じようなモチーフが見られるという文化人類学的な視点は、普段日本の民俗学だけに興味を持ってきた自分にとっては新鮮な視点でした。
資料の使い方もあまり牽強付会な感じもせず、非常に真摯な印象を受けました。
ただ、世界の神話や昔話の共通点だけを取り上げすぎている感がありました。もちろん、通奏低音としての人類が持つ共通性(ある人はこの点に注目して、古代宇宙人説などを唱えるのかもしれませんが…)は否定しません。
しかし、比較文化論としては、共通点と同様差異も重要だと感じますが、如何でしょうか。
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