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☆キング・クリムゾン:ディシプリン (King Crimson:Discipline) 今日の音楽は久々のクリムゾンです。前に80年代クリムゾンをクラブミュージックの観点で聴き、ここでそれについて書き込む事を宣言していたのですがすっかり忘れていました。そこで80年代クリムゾンの3作品を年代順に採り上げていこうかなと思っています。「クリムゾンで踊ろう」という副題を添えたいですね。 本作はその80年代のクリムゾンの最初のアルバムです。クリムゾンは74年に一度解散しました。ソロ活動を経た後、リーダーのロバート・フリップは新たにグループを結成しました。元々はクリムゾンと言う名前ではなく、本作のタイトルがグループ名でした。その後そのバンド「ディシプリン」はキング・クリムゾンと改名しました。その新クリムゾンは81年に本作を発表しました。メンバーは、リーダーとドラマーの2人以外は新しい顔ぶれです。特に本作で重要な存在なのがその新人の1人、エイドリアン・ブリューです。 内容はと言うと、以前のクリムゾンのアルバムとは全然違うものです。80年代前半というと、パンクとテクノの発展、融合形であるニューウェーヴがロックの新しい形として登場していました。そのニューウェーヴに近い感じを与えるサウンドが本作で展開されています。ニューウェーヴの音楽は70年代の音楽に比べて軽くシンプルなのが特徴です。そんな特徴は本作の音楽にも当てはまります。 前のアルバム「レッド」はダークな作風でした。その作品を念頭に置いて本作を聴くとちょっとビックリさせられます。1曲目「エレファント・トーク」は、その「レッド」やそれ以前の作品を知っている人には「????」という気持ちにさせられます。イントロのファンキーで軽やかなギターで嫌な予感(笑)がすると思ったら、エイドリアンによるビートルズの「カム・トゥゲザー」の「シュート」(シューというふうにも聴こえます)を模したような息漏れの音と少しラップ的なヴォーカルが後に続きます。彼は象の「パオオーン」という泣き声をギターで表現しています。これがユーモラスかつアヴァンギャルドな感じを与えます。本作が新作として出た当時は賛否両論で、むしろ否定的な意見が(特に日本で)多かったそうですが、1曲目を聴くとそれも仕方ないでしょうね。あるアーティストの作品をできるだけ発売順に買って聴くことの多い私は本作を「レッド」の後に聴きました。その1曲目とその後の2曲目「フレイム・バイ・フレイム」にちょっと面食らいました。 本作の重要人物エイドリアンはトーキング・ヘッズの名作「リメイン・イン・ライト」にゲスト参加していました。そしてトーキング・ヘッズのそのアルバムはブライアン・イーノのプロデュース作で、当時イーノとヘッズのリーダーデヴィッド・バーンはリズム主体の音楽を追求していました。彼らはそれを主にアフリカや赤道付近の国の音楽に求めていました。そのアルバムの影響が本作に色濃くあります。5曲目「セラ・ハン・ジンジート」(Thela Hun Ginjeet)がその良い例ですね。ちなみにそのタイトルは「jungle in the heat」というフレーズを並べ替えたアナグラムです。この曲でのエイドリアンの声はデヴィッド・バーンのそれに非常に良く似ています。そして音楽の方もトーキング・ヘッズの「リメイン・イン・ライト」やイーノのとバーンの傑作「マイ・ライフ・イン・ザ・ブッシュ・オブ・ゴースツ」を髣髴させます。私は本作でこの曲が特に好きです。 本作と「リメイン・イン・ライト」、「マイ・ライフ・イン・ザ・ブッシュ・オブ・ゴースツ」の3枚はリズムへの強い関心を示しています。クラブ系音楽好きが聴くとそれがよくわかります。大半のクリムゾンファンには考えもつかないでしょうが、本作の曲をクラブでかけてフロアにいる人たちを踊らせる事が出来ます。もし私がクラブ系DJでしたら本作とその後の2枚のアルバムをクラブでプレイしているでしょう。でも鋭く柔軟な心のDJならとっくの昔にプレイしているでしょう。ビル・ブラフォードのドラムとトニー・レヴィンのベースは「レアグルーヴ」として非常に美味しいです。彼らリズム隊のレアグルーヴ的魅力は本作よりも2枚目と3枚目のアルバムでもっと堪能できます。私は本作を久々に聴き直し、ブラフォードのドラムの叩き方が時々パーカッシヴになっている事に気づきました。 「クリムゾンで踊る」というのはまだまだ斬新で有効な発想だと思いますので、ここでそう提言してみたいと思います。「ふざけるな」と言う(頭がコチコチの)ファンからのお叱りの声があるような気がしますが、私は全然ふざけていません。そういう角度で本作を聴く事が可能なのでそういっているだけです。そういうダンス系の聞き方をする事で今までとは違うクリムゾンの像が浮かび上がってきます。 3曲目に「mattekudasai」という曲があります。これは日本語で「待ってください」のローマ字つづりです。そのタイトルが曲中で歌われています。夏の快晴の日に聴くのにピッタリです。カモメの声らしき音が聴こえますが、多分エイドリアンがそれをギターで表現しているのだと思います。本作にはこの曲の別テイクが収録されています。 ここ数年ニューウェーヴが今のロックのルーツとして脚光を浴びているそうです。本作はそんなニューウェーヴ再評価の文脈で聴かれてしかるべき作品です。ニューウェーヴファンはもちろんながら、クラブ系音楽ファンやDJにもお勧めです。
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いつもグッと来る記事満載ですね〜。リメインインライト好きとしてはこれも欲しい!最近たまたまCANを買いました。ダモ脱退後のですが、かなり良かったっす。
2005/11/29(火) 午後 10:10 [ deep ]
こんにちは、コメントありがとうございます。これは私達のような人が聴くとクリムゾンファンよりももっと楽しめるんですよ。ダモ脱退後の作品も私は好きですね。先鋭です。何だか不思議なくらい気が合いますねえ(笑)
2005/12/1(木) 午後 7:39 [ john mclaughlin shakti ]