☆ボ・ディドリー:ロード・ランナー ザ・チェス・マスターズ 1959-1960☆
(Bo Diddley:Road Runner the Chess Masters 1959-1960)
今日の音楽はボ・ディドリーの「ロード・ランナー」です。
ジャングル・ビートという、独自のリズムで今もミュージシャンや音楽ファンを魅了するボ・ディドリー。残念ながら彼は今年亡くなりましたが、リズムに関心を持つ人であればジャングル・ビートを素通りできません。ロック(特にロカビリー)ファンはもちろんですが、とりわけクラブDJにとっては非常に魅力的ではないでしょうか。ボ・ディドリーは黒人またはアフリカ系アメリカ人です。ジャングル・ビートを聞きますと、彼の先祖がいた大地アフリカを思い浮かべずにはいられません。
このCDは編集盤です。ボ・ディドリーといえば、オリジナルアルバムよりも編集盤の方が圧倒的に多く出回っています。来月SHM-CDで何枚かのオリジナル作品が再発されます。私は編集盤というものがあまり好きではありません。しかし、本作は例外です。これを発売したのはHip-O Selectです。ユニヴァーサルミュージック系音源の再発専門レーベルです。ツボを押さえたラインナップが好事家を喜ばせています。本作の曲はどれも痛快です。ロックはリズムまたはビートが基本で要(かなめ)なのだという事が嫌でもよく分かります。これを聞くときっとディドリーにハマると思います。
私は運動神経が鈍いため、踊るのが下手です。リズムにのるのが苦手です。中学生から20代後半までずっとヘッドフォンかイヤフォンで音楽を楽しんでいました。リズム音痴(?)でヘッドフォンによる音楽鑑賞という習慣のせいで、音楽を体で感じて喜ぶという事がほとんど分かりませんでした。しかし、段々とヘッドフォン装着が耳に圧迫感を感じさせるようになりました。その頃にパーカッション音楽に目覚め、そしてアフリカやブラジルの音楽に興味を持つようになりました。音楽鑑賞方法をスピーカーに変更したところ、ヘッドフォンによる鑑賞では分かりにくい「体に訴えかけてくるグルーヴ」に気がつくようになりました。それはジャズを別の角度から(「ノリ」という角度から)捉えなおすきっかけになりました。そしてクラブミュージックに接近するきっかけにもなりました。
私は今この駄文を書きながら本作の曲を聞いています。ヘッドフォンで聞いていると単調または単純な歌とギターのオンパレードにしか感じられないかもしれません。しかし、スピーカーで聞くと違います。ブラックミュージックまたはロックの根源のようなグルーヴが私の体または皮膚に襲いかかってきます。普段「歌としてのロック(ロック形式で演奏され歌われる歌)」に慣れている人には、本作やロカビリーのよさが分かりにくいのではないでしょうか。別の言い方をすれば、歌(メロディー)が好きな人にはリズム志向(嗜好)の音楽は分かりにくいということです。リズムやノリに本能や直感で惹きつけられる人は、おそらくロカビリーやヒップホップ、パンク、ファンク、レゲエ、R&B、ジャズ(特にジャイヴ、ジャンプ、ソウルジャズ、ラテンジャズなど)、クラブミュージック(ダンスミュージック)を好みそうな気がします。1990年代前半にイギリスで流行ったマッドチェスターブームは、今思えばロックの原点である「体を動かしたくなる音楽」という要素を、イギリス人なりのやり方で復権させたムーブメントだったのかもしれません。マッドチェスターといえばストーン・ロージズが代表格ですが、昔は最初のアルバムのよさがいまいちよく分かりませんでした。ロージズのどれかのアルバムの解説の中に書かれていましたが、「フールズ・ゴールド」という曲はアルバム級の価値がある、という一文にはどうしても賛同できませんでした。評価が低い2枚目の方が好きでした。今だとその曲がそれだけの価値があるといっても過言ではないなと思います。
このアルバムの前作に当たる編集盤として「アイム・ア・マン ザ・チェス・マスターズ 1955-1958」というCDがあります。それは今入手困難になっています。私は先日カナダのお店に発注をしました。2日前に商品が届きました。いずれこのブログでとりあげるつもりです。
本作は5000枚限定のアルバムです。気になる人は今の内に入手してください。
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