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ひょんなことから福島百名山・日中飯森山の沢まで足を運ぶことになりました。
この辺りの山域は知識に乏しく、あまりイメージができなかったのですが、要所要所に難所を交えつつも全体に穏やかな雰囲気で、秋ののんびりした沢歩きを楽しむことができました。 ※大桧沢は登山道としてエアリアマップ等には載っているそうですが、内容としては沢登りと言って問題ないかと…。 -------------------------------------------------------------------------------------------- 10月4〜5日
参加者:がんも、Tさん 台風の影響から週末の天候が読めず、モヤモヤとしていた木曜昼に、水長沢でご一緒したTさんから連絡が。 話を聞くと、土日が暇なら福島県の沢に一泊二日で行かないか、とのこと。 全く知らない沢だったが、webで簡単に調べたところ登山道がすぐ横を通っており、喜多方市のイベントで「沢開き」も開催されるようなところらしい。 遡行価値、距離を考慮するとちょっと気が引けたが、他に具体的な候補もないし、ちょっと遠出をするのも悪くなかろうとの判断で、同行させてもらうことにした。
横浜発では会津まで行くのは遠すぎるため、金曜早朝に車を都心のコインパーキングまで移動しておき、定時になり次第職場を離れてTさんと合流→車で福島へ。
夜のうちに喜多方市まで進み、道の駅で仮眠をとった。 翌朝起床すると、あいにくの小雨模様。
しばらく道の駅で様子を見ていたが、しばらくすると雨があがったので、入山地点の国道121号大峠トンネルへ向かった。
トンネル手前の広い駐車スペースに車を停めて、すぐそばの登山道の案内看板に従って入山した。
【10月4日】 曇りのち雨
7:53 入山
入山地点の案内看板。
※二枚目は拡大版
一般登山者でも歩けそうな表記だが…。
すぐに右岸から出合う飯森沢を見送り、しばらく登山道を辿ったが、一度渡渉すると分かりにくくなってしまい、早々に沢歩きに切り替えた。
しばらくは平凡な渓相が続く。
途中のゴーロ帯を空身で越える場面があったくらいか。
登山道を示す赤ペンキは散見されるが、明瞭な道があるわけではないようだ。
岩質は礫岩〜砂岩系で、濡れたところはヌメリが強い。試していないが、ラバーソールよりフェルトの方が歩きやすいように感じた。
案内図にあるウダ滝だろう。
ウダ滝から先は滝場が続くとのことなので、遡行が本格化する前に休憩を入れた。
9:23〜43 休憩
ウダ滝を過ぎてすぐのCS3m滝を越え、上流のゴーロ帯を過ぎると、ミカワ滝がかかる。
右岸手前に残置ロープがあり、それに沿って巻き越えた。
一応この巻き道が登山道と言うことになるのだろうか。人気のある沢の巻き道の方がしっかりしているのだが…。
ミカワ滝を越え、二条2mの斜瀑を越えると、ゴルジュに大岩が挟まっている。
どうやらアダチ二段滝に到着したようだ。
大岩は右の水流沿いから越えると、アダチ二段滝の直下に出た。
アダチ二段滝だが、二段と言うより二条では…。
さっき越えた大岩までカウントするのだろうか。
大岩すぐ上の右岸壁を登り、巻き道に合流して上流へ抜けた。
取付き部分は若干バランスを要する。
アダチ二段滝を越えると再び平凡な渓相となる。
しばらく歩くと徐々に沢はゴーロになり、やがて右岸壁からかかる滝が見えてきた。
案内図にあった糸滝だろう。
糸滝は水量が少なく、まさに「糸」。
この滝より上流は道が悪いので、喜多方市の沢開きの際には、自信がない人はここで引き返すのだとか。
この先は再び滝場となるようなので、糸滝の下で休憩を入れた。
10:29〜49 休憩
糸滝上流にもゴーロがしばらく続く。
ゴーロを抜けると、「四条四段の滝」に到着した。
「四条四段の滝」というものの、一つの滝ではなく連瀑帯を総称してこう呼んでいるようだ。
連瀑帯の入り口から右岸に巻き道がついているが、最初のCS4m滝は右を直登できそうに見えたので、ちょっと頑張って登ってみることにした。
取付きは微妙なホールドとスタンスしかなく、バランスを要する。
かなり苦労して突破し、安定したバンドに上がるも、落ち口に続く岩がヌメヌメ…。
行き詰ったかと思ったが、右上を見ると岩壁が階段状になっていたので、ここを直上し、強引なモンキークライムから灌木帯に入って巻き越えた。
CS4m滝を越えると二条10m滝が続く。
CS4m滝で相当な苦労をしたので、ここからはおとなしく巻き道を使った。
CS4m滝落ち口すぐ横から右岸に上がり、不明瞭な巻き道を辿って上流へ。
二条10m滝上に続く4m滝も併せて巻き、谷へ戻った。
すぐ上流には細長い釜を持つCS二段10m滝が続く。
上部で大岩を回り込んで越えるところは若干高度感があるものの、残置ロープもあるし難しくはない。
この先も滝はポツポツとかかるが、難しいところはない。
しばらく進んだところで休憩とした。
11:47〜12:09 休憩
休憩後も滝やゴーロが少々あるものの、それほど苦労せず進んだ。
しばらく進むと、大桧沢本谷最大の滝である黒滝が姿を見せた。
黒滝は名のとおり黒光りする岩壁が目立つ。
左を直登することも可能らしいが、ヌメって苦労しそうだし、登攀する気にならず右岸のルンゼから高巻いた。
上流には5m前後の滝がいくつか続くようだが、全てまとめて巻いてしまった。
黒滝を過ぎると、僅かな距離で次の滝場に入る。
最初の5m滝は左の岩の上を歩いて通過。
この上にもCS滝が続くが簡単。
CS滝を過ぎると谷は左に曲がり、大桧沢の難所「熊滝」が行く手を阻んだ。
熊滝は大岩が積み重なった多段の滝。
側壁は高く巻くのは困難で、直登以外に手はない。
ショルダーで登るのが楽そうだったが、今回は残置ロープのある右壁からの単身突破に挑戦した。
まずはTさんが釜をへつってバンドに乗ろうとしたが、あえなく落水。
こちらの番になったが、釜に落ちて寒い思いはしたくない。
空身になって釜の上流から回り込み、バンドに直接上がることにした。
バンドの細かいホールドに指先をひっかけ、スメアリングで立ち上がる。
右手を強引にひきつけ、半ばジャンプするようにして左手で上部の岩を掴んだ。
一瞬左手一本でぶら下がる形になったが、岩角に膝を押し付けてバランスを取り、右手のプッシュと合わせてバンド上に上がることができた。
Tさんも空身になって登ってきたが、自分とは違い柔軟性が高いので、スメアリングから右足をバンドまで上げて、脚力を使って突破していた。
どちらの登り方にせよ、一人で登るのはなかなか難しかった。
熊滝を越えると、すぐに「哺乳ツクシ」。
左岸に鎖付きの巻き道があると聞いていたので油断していたが、ここが一番怖かった。
周囲は垂直な岩壁で、遠目に見たところ巻きも直登も絶望的。
とりあえず滝に近づくと、手前のリッジ裏側に鎖が付けられていた。
これで一安心だと思いリッジを登ったが、リッジ上の草付斜面が急なザレ斜面で安定して立てないレベル。
一歩間違えば滑落してしまう場所だけに緊張したが、鎖をフル活用して数メートル登ると安定したトラバース道に入ることができた。
最後は鎖伝いに急な斜面を下りて谷に戻った。
ここまでの滝は、それらしい名前で違和感はなかったのだが、「哺乳ツクシ」は由来がわからない。
少なくとも我々は熊滝、哺乳ツクシの通過で体力をツクシた感はあったので、この上で休憩を入れた。
13:47〜14:06 休憩
哺乳ツクシを越えると沢は急に雰囲気が変わり、殆ど勾配がない平流となる。
ところどころナメや淵や現れるが、基本的には真っ平。
いきなりの変化に戸惑うが、難所を越えた後の穏やかな雰囲気は悪くない。
しばらく歩くと標高1350mの二又に到着。
中間の尾根に付けられた踏み跡を辿ると、整備された広いテン場に到着した。
沢開きの時にはここで大人数で宿泊するのだろう。
我々も、ここで初日の行動を打ち切った。
テン場手前から時折小雨がぱらつくようになったが、幸い本降りにはならなかった。
焚火で暖を取りつつ夕食を済ませ、20時ごろには就寝した。
【10月5日】 曇りのち雨
5時半ごろ起床し、焚火を復活させて朝食を済ませ、体が温まったところで出発した。
7:38 出発
標高1350mの二又からは、左又に入って飯森山山頂を目指した。
この先には大きな滝こそないが、ヌメった2〜3mのナメ滝がいくつもかかる。
「風呂屋横丁」と言うそうだ。
夏なら入浴もありだろうが、この時期に朝からは辛い。慎重に通過していった。
しばらく登ると標高1440mの二又に到着。
左又は「マヨネーズ沢」と言うそうだ。
東北の言葉で「迷ってはいけない」をこう言うのだろう。根拠はないが。
マヨネーズ沢を見送り右又を進むと、僅かな距離で水流が途切れた。
周りは酷い藪だが、沢沿いだけは登山道だからか切り開かれていて歩きやすい。
最後は踏み跡に従って稜線上へ抜け、そこから僅かな登りで飯森山山頂に到着した。
9:01〜21 飯森山山頂
飯森山山頂はガスっていて展望なし。晴れていれば磐梯山などが望めるはずなのだが。
三角点と看板の残骸だけが残っていた。
飯森山山頂からはしばらく登山道を歩き、適当なところから飯森沢に下降することにしていた。
下る沢は具体的に決めていなかったが、歩行距離その他から飯森山南西の1472m標高点南側から南東へまっすぐ降りる沢を選択。
しばらく登山道を歩き、水芭蕉の生えた湿地を越えたところで、左手の藪から沢筋を目指して下降を開始した
9:44 下降開始
稜線付近は濃厚な笹薮で、なかなか思ったように進めない。
地形も起伏が小さく現在地が把握しにくかったが、コンパスと勘を頼りにしばらく進むと、それらしき沢に入ることができた。
沢に入ってしまえば下るだけ。
枯れ沢で滝もなく下降は難しくなかったが、岩が大桧沢よりさらに滑りやすく難儀した。
しばらく降りると左岸から水流のある沢(湧水かも)が出合ったので、一度休憩を入れた。
10:35〜50 休憩
この先もしばらくは単調な沢下りが続く。
飯森沢本谷が近づくと勾配がきつくなり、二段5m滝、CS3m滝×2本と続き、最後に10m程の立派な滝がかかる。
左:二段5m滝
右:10m滝
二段5m滝は左岸を、10m滝は右岸を巻いた。
10m滝を越えるとすぐに飯森沢本流に到着した。
11:25 飯森沢
飯森沢本流は滝もなく、単調な河原歩きが続く。
スリップにさえ気を付ければ問題ない。
標高820m支流出合で一度休憩を入れつつ、大桧沢出合を経て入山地点へ戻った。
12:57 下山
下山後は近くの熱塩温泉に立ち寄った後、喜多方ラーメンを食べてから横浜へ戻った。
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大桧沢・飯森沢は、基本的にはそれほど難しくもなく、のんびりとした沢歩きが楽しめました。
哺乳ツクシだけは通過が厳しく、鎖が無いと相当辛かったのではないかと思いますが。
少なくとも、登山道と言うカテゴリーには含まれないような気が…。
面白さと言う点では及第点、 あまり行かない山域の新鮮味を加えれば、概ね満足の行く山行でした。
天気さえ良ければ紅葉も楽しめただろうに、生憎の曇り〜雨となったことだけが少し残念です。
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