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ゴルフに魅了された者は、洋の東西、老若男女問わず、常識人では
理解できない思考回路に基づいて、行動する事が多々有る・・・。
ゴルフをしない方、興味の無い方に少しでもこの異常とも言える行動や 思考を理解して頂きたく、逸話などを織り交ぜてご紹介致します。
さて、ゴルフコースにはバンカーという厄介なハザードが有ります。
コース設計者はココにバンカーが有れば難易度が上がるだろうと目論んで配置
したり、このバンカーが有ればOBの手前でバンカーに入って助かるだろうと、
お助けバンカーを設けたりと、色々と試行錯誤しながら設計している様です。
夏坂健の本によると、アレック・サザーランドがR&Aの会員になったのが1835年頃。
彼は St.アンドリュースをこよなく愛し、どのような天候であろうとラウンドし続けた。
サザランド曰く,
「雨には雨の、風には風の面白さがある。微風快晴をよろこぶほど衰弱しては
おらぬわ!」と、チョッと耳の痛い 全天候型のゴルファーだったようだ。
ところが、St.アンドリュースでラウンドする度に捕まるバンカーが有る。
友人に話を聞くと 「10回中12回はあのバンカーにほり込んでいる」という。
まぁ、全ショット以上このバンカーに捕まっているのだろう。
St.アンドリュース オールドコース 15番 に有るポットバンカーがそれで、
直径 4.7m 深さ 1.5m それも垂直にそびえた壁になる・・・。
どんなショットをしてもこのバンカーに入ってしまうサザランドは、気の毒な事に
閉所恐怖症だったそうだ。そんな症状が無い人でも、そんなバンカーに入ったら
威圧されてゴルフどころではなくなるだろう。
彼は毎回そのバンカーから脱出を試みるのだが、今から 180年近く前の話なので、まだサンドウェッジが改良される前の話。7番アイアンほどのクラブで額にビッショリと汗をかき、呼吸困難になるのを抑えつつ悪戦苦闘するのだが、ことごとくトップ
しては、壁面ににぶい音を立てるだけ・・・。彼がそのバンカーに入ると、
ちょっとやそっとでは姿を見せなかった。
さすがに忌々しく思ったのか、歴史に明るい F・ランプトン教授に
「あのバンカーは一体いつからあそこに陣取っているんだ?!」と尋ねると、
教授は涼しい顔で
「2万年前」と答える。
「はぁ!? 2まんねんまえ?」
教授によると、島が形成された太古、波がゆっくりと時間をかけて、断崖、絶壁を
洗い、侵食していった。砕かれた砂と泥に押されて海は後方に退き、砂洲は風の
力によってリンクスはが生まれた。やがて鳥達が巣を造り、糞化石と小川が運んで来る沈泥を栄養分に植物が根付き、うさぎ達が巣を造った。その巣穴が陥没して
出来上がったのがあのバンカーという事だ。
2万年前となるとラスコーの壁画の5000年も前の話だ。
その話を聞いた会員の多くは、あのバンカーに対してにわかに畏敬の念を
抱くようになったそうだ。
その後もサザランドはせっせとバンカーに打ち込み、相も変わらず大騒ぎの日々を
繰り返していた。1861 年には、ついに 14打を費やしても脱出できず、このバンカーに「サザランド」と名前が付けられた。
75歳の誕生日を St.アンドリュースの仲間達に祝ってもらった時の言葉が、
「思えば私の人生は 家庭で過ごすよりも、あのバンカーの中で過ごした時間の
方が長かった気がする・・・」
今尚、「サザランド・バンカー」は オールドコース 15番の左隅にひっそりと
2万年前と変わらずに口を開けています。
是非一度 サザランドを体験して見たいものです。
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2011年02月01日
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