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  書評:評者・鈴木裕子(女性史研究家) 《週刊新社会》
 ★ 『性と法律 変わったこと 変えたいこと』
角田由紀子 著 岩波新書886円(2013年12月刊)


 ★ 「売春禁法」の片罰性を摘発
著者で弁護士の角田由紀子さんは東京大学で日本文学を専攻したが、就職難の折、独力で司法試験に挑戦し、1975年に弁護士登録した。
 旧著『性の法律学』(有斐閣、1991年)は、多くの性暴力問題に取り組む女性たちに大きな衝撃を与え、闘いの方途を示した。
角田さんに大きな影響を与えたのは、弁護士に成りたての時に参加した徳島ラジオ商事件で検挙された「内妻」の冨士茂子さんの裁判だった。
夫妻には幼い娘がいたが、無実の冨士さんを殺人犯に仕立てたのは、検事や判事らの強固な法律婚信仰である、法律婚することを自ら拒否した女への復讐であっただろうと、著者は「あとがき」で述べている。(再審公判で冨士さんは85年無罪判決を勝ち取った)


 著者は本書でさらに女性問題の幅を広げ、結婚、離婚と子ども、ドメステイックバイオレンス、女性の労働、性暴力、セクシュアルハラスメント、売買春と法など、多方面に言及、裁判への豊冨な知見や実践を駆使し、説得力の高い議論を提供している。
もとより相互には関連性がある。
角田さんが真骨頂を発揮している「売買春」に絞って述べる。

1958年に全面施行された「売春禁止法」は片罰法の最たるもので、「買春」という概念のなかった立法時は、「売春」という言葉で買う行為も表現していたとするなら買春者が「人としての尊厳」を害すると理解されているとは到底思えず、「尊厳」を害されるのは専ら「売る」側の女性とされる。

「売春」を減らす目的の達成に最も必要なことは「買春」の需要を減らし、女性たちに具体的な転業を準備し、貧しさから解放させる雇用政策が取られるべきであったが、これらに対して為政者たちは全く不作為を重ねた。
性産業に働く女性は、その外にいる女性と同等な権利があると考えられてきただろうか。彼女らもまた女性の権利侵害を受けた被害者で彼女たちを暴力から守ることは女性全体の問題と指摘。
女性と男性は、「売る側」と「買う側」とでは、多くの場合互換性がない。男性の女性向けの性的サービス業はあるが、売る側が圧倒的に女性であるのはなぜか。なぜ、性的快楽の購入者は男性なのだろうか。男性は買うためのお金を持っているのに、女性はない。女性は、男性の払う金を必要としている。
しかし、この構造は生理的なものではなく、社会に作られた男女の在り様の反映でしかないと指摘する。
女性均等待遇の必要性を、今こそ声高く主張しなければならないと強く感じる。

『週刊新社会』(2015/1/20)


パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2

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