◎ 東京都の教育行政の民主化を求める要請
2003年の10・23通達から10年以上が経過しました。
教職員への「日の丸・君が代」の強制の究極のねらいが、ただ教職員の管理強化だけではなく、教育内容の統制と生徒自身に対する管理統制の強化であることがいよいよもって明らかになってきました。
都教委が2012年から進めている「新たな都立高校改革推進計画」及び2013年に公表された「第3次教育ビジョン」はそのことを明確に示しています。
「学力スタンダード」導入によって、学校間格差が固定化し、授業の下請け化・マニュアル化が進行し、教科の専門的自律性は完全に失われてしまいました。教師はただ言われことを実行するだけの、まるで機械になってしまいます。
「生活指導統一基準」は、指導を画一化するだけでなく、生徒指導に「懲戒処分」を加えようとするものです。これは、生徒の自主的活動の規制や生活全般の全面的な管理統制に通じるものであるだけでなく,「チャイムとともに授業開始」などは生徒に無用の負担と教職員に労働過重を強いています。
また、「道徳」の教育として行われているという「宿泊防災訓練」はついに自衛隊宿舎での隊内生活体験にまで及んでいます。
さらに、検定に合格している教科書を一部の記述を口実にして学校での選択から外させるなどの採択妨害を平然と行っています。
以上のことは、東京都の教育行政による教育破壊のほんの一部です。
他府県の人や他の一般市民に東京都の教育行政の実態について話すと、皆驚きます。「東京都の教育はどうなってしまうのか」と真顔で心配されます。本当です。
東京都の教育行政がこのような惨状になってしまうことの入り口がまさしく10・23通達でした。それから10年以上たっても、これに行動をもって異議を唱える教職員はなくなりません。何故ならばそれが道理に反しているからです。
「日の丸・君が代」の強制は国際的にも問題になりつつあります。国連自由権規約委員会では「国旗・国歌の強制」を日本における人権侵害のひとつとしてとりあげました。2014年7月に出された勧告では「公共の福祉」を口実に思想・良心・表現の自由が制約されることを懸念しています。
教職員だけでなく生徒の思想・表現の自由を奪い、学校そのものを管理体制でしめあげようとすることは、教育行政の本来あるべき姿から大きくはずれています。私たちは、東京都教育委員会が教育への不当な支配、介入をただちにやめ、教育諸条件の整備を旨とする教育行政本来の姿にたちかえること強く願い、以下の諸点を要請します。
1.「10・23通達」を撤回し、職務命令違反を理由とする懲戒処分を行わないこと。
2.「10・23通達」に起因する一切の処分、および再雇用取消し等の不利益な取扱いをただちに撤回し、その損害を賠償すること。
3.思想・良心の内容にまで踏み込む、被処分者に対する再発防止研修を中止すること。
4.生徒を懲戒処分で威嚇する「生活指導統一基準」及び学校間格差を固定し、教育内容の管理統制を強める「学カスタンダード」を廃止すること。
5.特定の教科書を学校選定から排除しないこと。
6.定例教育委員会の傍聴制限・傍聴監視を行わず、要請者に対しては担当の責任者が対応すること。
7.「宿泊防災訓練」における自衛隊との連携を中止し、「宿泊防災訓練」そのものを見直すこと。
10.3都教委要請(4)被処分者の会
◎ 申 入 書
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
東京都教育委員会は、2003年10月23日に「入学式,卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」との通達を発令し,全ての都立学校の校長に10・23通達と同内容の職務命令を出すように強制することにより,都立学校すべてにおいて画一的な内容の卒業式・入学式を強制した。
上記10.23通達に基づく処分を被った人数は延べ463名となっている(2013年12月17日付「再処分」を含む)。
都教委は、最高裁判決(2012年1月16日、2013年9月6日)を懲戒処分の根拠としているが、これは最高裁判決を意図的に曲解するものである。
最高裁判決では、「本件職務命令が憲法19条に違反するものでない」としているが、起立斉唱行為が、「思想及び良心の自由」の「間接的制約」であることを認め、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」「処分が重きに失し、社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」として減給・停職の懲戒処分を取り消している。
また、判決は決して無条件で戒告処分を認めたものではなく、「裁量権の範囲内における当不当の問題として論ずる余地がある」と述べており、宮川光治裁判官は反対意見で「戒告処分でも重きに過ぎ、社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の逸脱・濫用にあたる」(2012年1月16日)と判示している。
更に、櫻井龍子裁判官は補足意見で、教育環境の悪化を危惧して、「教育の現場において…自由で闊達な教育が実施されていくことが切に望まれるところであり、全ての関係者によってそのための具体的な方策と努力が真蟄かつ速やかに尽くされていく必要がある」と述べ(2012年1月16日)、鬼丸かおる裁判官の補足意見では、「謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべき」と教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めているのである(2013年9月6日)
都教委は、これら最高裁判決全体の趣旨を踏まえず、自己に都合良く解釈して処分を乱発しているのである。都教委が、最高裁判決の趣旨をねじ曲げて、減給処分を出し続けていることは最高裁判決をないがしろにするものである。
また最高裁判決は、都教委に対して「自由で闊達な教育」の実施や「謙抑的な対応」を求めている。これらを考慮することなく発令された戒告処分についても断じて容認できない。況や2013年12月17日付の所謂「再処分」に至っては、最高裁で「違法」として取り消された同一案件に再度処分を科すという、違憲違法の「職務命令」を根拠とし、最高裁判決の趣旨に反し、裁量権の濫用の最たるものという暴挙であり、即刻撤回を要求する。
2012年以降の再発防止研修は、繰り返しかつ長時間にわたって行われ、被処分者に内心の表白を強要し、その転向を迫るものになっている。その結果、再発防止研修の受講自体が精神的・物理的苦痛を伴うものとなっており、「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己め非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容される範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない」(2004年7月23日東京地裁民事19部決定)との決定に違反していることは明らかである。都教委は、司法の判断に反する違法な再発防止研修を、直ちに中止すべきである。
また、国連自由権規約人権委員会は、日本政府に対する勧告書の中で、「思想・良心・宗教の自由や表現の自由の制約は、法律に基づくなど、極めて厳格な条件を満たさない限り行ってはいけない。」と勧告している。10・23通達による職務命令は、この勧告にも違反するものである。
以上の趣旨から、以下の諸点を申し入れる。
1,東京都教育委員会は、10.23通達を撤回すること。
2,東京都教育委員会は、10.23通達に基づく懲戒処分を撤回すること。
3,最高裁判決で「違法」とされた減給・停職処分を行った責任を取り、原告ら関係者に謝罪すること、またその事実を報道、都教委ホームページなどを通じて都民に周知すること。
4,2013年12月17日付「再処分」を即時撤回し、「被処分者」への謝罪その他上記3と同様の措置をとること。
5,最高裁判決を遵守し、「累積加重処分」を行わないこと。
6,10.23通達により処分を受けた教職員を対象とした「服務事故再発防止研修」を行わないこと。
7,卒・入学式等での生徒の内心の自由を侵害する2006年の「3,13通達」を撤回すること。関連して、各学校における自由な教育活動を妨害しないこと。
8,教育委員会の運営についての本会からの2014年4月21日付要請書に対しての、都教委の同年5月30日付回答を抜本的に見直し、教育委員会開催時の権力的運営の改善、傍聴人数の弾力的運用、過剰警備の廃止、傍聴環境の改善・整備などに努力し、教育委員会の運営を都民の負託に応え、委員会制度発足当初の「教育行政への民衆統制」の理念に合致させるべく努力すること。
10.3都教委要請(5)再雇用拒否撤回2次
◎ 「10・23通達」の撤回と、関連処分を理由とした
再雇用拒否の取消し等を求める要請
再雇用拒否撤回を求める第2次原告団
10・23通達以来、都教委が進めている「日の丸・君が代」強制は、憲法で保障された基本的人権の侵害であるばかりでなく、学校の自主性を奪い、教育行政が教育内容に大幅に介入する糸口になりました。
それから10年以上が経過し、学校現場は完全に萎縮し、全くものが言えない状態になっています。自由で創造的な東京の教育は消えうせてしまいました。
私達が10・23通達及び職務命令に抗する行動に出たのは、このような東京の教育の前途を真剣に憂慮したからでした。そういう私達の行動に対して、都教委は懲戒処分を行うだけでなく、定年退職後の再雇用の途を閉ざし、生活の糧を奪いました。
私達はもうすでに再雇用の対象の年齢は過ぎてしまいましたが、生活の糧を得られなかった5年間の経済的負担が重くのしかかってきています。10・23通達関連の懲戒処分を理由とする再雇用拒否は行政による裁量権の逸脱・濫用以外のなにものでもありません。
2011年から2012年にかけての一連の関連裁判の最高裁判決は、強制が思想・良心の自由の「間接的制約」になるとの判断を示し、繰り返して行われる懲戒処分が減給・停職へと機械的に加重されることに対しては裁量権を越えたものとして取消しを命じました。
また、国際社会も日本の「日の丸・君が代」問題に注目を始めました。国連自由権規約委員会では「国旗・国歌の強制」を日本における人権侵害のひとつとしてとりあげました。2014年7月に出された勧告では「公共の福祉」を口実に思想・良心・表現の自由が制約されることに重大な懸念を表明しています。
私たちは、東京都教育委員会が内外の声に謙虚に耳を傾け、教育行政本来の姿にたちかえること強く願い、以下の諸点を要請します。
1.「10・23通達」を撤回すること。
2.「10・23通達」に起因する一切の処分を取り消すこと。
3.退職者に対する再雇用(再任用・嘱託・非常勤教員等)の採用拒否(合格取り消しを含む)を撤回し、希望者全員の再雇用を実現すること。また、採用拒否の結果生じた損害を賠償すること。
4.思想・良心の内容にまで踏み込む、被処分者に対する再発防止研修を中止すること。
パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2