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  〔週刊本の発見(レイバーネット日本)〕
 ◆ バランスのとれた人間解放への道
   『「分かち合い」の経済学』
(神野直彦、岩波新書、2012年)
   /評者:永井栄俊


 <「オムソーリ」と「ラーゴム」>
 現代は目指す社会が見えない混沌の時代である。かつて理想とされた社会主義社会が解体し、その弊害が明らかとなった。これに対抗して「豊かな社会」を標榜した新自由主義による社会は、格差を拡大する不平等な社会であることが明確となった。新自由主義に基づく安倍政権のアベノミクス格差社会を作り出す社会でしかないことが露呈してきている。
 これに対して本書は「福祉社会」像を描き出しており、示唆的だ。そのキーワードが「オムソーリ」「ラーゴム」の言葉である。
 前者は「社会サービス」「分かち合い」を指す言葉であり、後者は「ほどほど」の意である。


 この二つのキーワードはあらゆる政策で基本理念とされる。
 例えば「オムソーリ」による福祉社会は、同時に競争原理も導入されるが、そのバランスが「ラーゴム」である
 スウェーデン人は都会の豊かな生活を満喫するが、週末には郊外の田園で自然の中で生活する。これも「オムソーリ」と「ラゴール」である。ここでは、バランスのとれた人間性解放の生活が目指されている。

 <農業社会・工業社会から知識社会への転換>

 ここで描かれる福祉社会は現代社会に必然化される社会である。産業は歴史的に農業化社会から工業社会に転換し、さらに知識社会へと転換されることになる。
 工業社会では筋肉系の男性が働き、女性が家庭で福祉の機能を果たしてきた。しかし、工業社会が行き詰まった時、大恐慌などを経て新自由主義が主導政策となり格差社会が現出した。ところが今や工業社会が解体され、知識社会へ産業構造が転換されることが必然化される。
 本書は新自由主義への批判の書でもあり、その対立物として福祉社会が位置づけられている。重化学工業社会から技術革新により知識社会への転換が求められている。

 <「国民の家」としての知識社会>

 知識社会では、国家が一つの家族のように、一人ひとりの人権が尊重される民主主義に基づく「国民の家」が求められる。
 ここでは貧困者にお金による給付をするのではなくサービスによる給付がされなければならない
 現金給付は、手厚くすればするほど格差が拡大することになり、社会学者コルビの発見した「再配分のパラドックス」となるのである。
 これに対して「教育」「育児」「医療」「養老」など様々なサービス給付こそが求められ、貧困でも豊かな生活となる。
 ここでは労働組合は雇用政策の大きな要素となっており、協同組合や非営利組織も社会の構成要素となっている。
 現金給付の社会は「垂直再分配」の社会であり、サービス給付の社会は「水平再分配」の社会である。
 この水平社会が「国民の家」の姿なのである。この理論はスウェーデンの生んだ第一回ノーベル経済学賞(1974年)のミュルダ−ルの経済理論に基づく政策である。

 <知識社会の産業構造>

 知識社会への転換には三つの政策的戦略がある。
 第一は「人間の人間的能力を高める」戦略である。型にはまった「盆栽型教育」から、伸びたいように伸ばしていく「栽培型教育」である。
 第二の戦略は「生命活動の保障戦略」であり、医療が重要となる。
 第三の戦略は、社会的ネットワークの戦略である。知識産業への転換に失敗したり、市場経済の競争に負けても救済され、新たな教育や訓練の機会が与えられる社会なのである。

 *「週刊本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・渡辺照子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美・佐藤灯・金塚荒夫ほかです。 

『レイバーネット日本』(2019-03-07)
http://www.labornetjp.org/news/2019/0307hon



  《GDP600兆円目前のカラクリ[明石順平] (日刊ゲンダイ)》
 ◆ 消費増税とアベノミクスで物価は6.6%も急上昇した
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 実質賃金についてお話しします。
 実質賃金は、名目賃金(金額そのままの賃金)を消費者物価指数で割った値のことです。これにより、本当の購買力が分かります。
 例えば、名目賃金が10%上がったとしても、消費者物価指数が10%上がってしまえば、実質賃金の上昇率はゼロであり、購買力は変わりません。賃金は「実質的に言って」上がっていないことになります。

 このように物価を考慮しないと本当の賃金の姿は見えません。したがって実質賃金が重視されるのです。実質賃金は、物価の伸びが賃金の伸びを上回ると下がります。
 2018年と12年を比較すると、実質賃金の算定基礎となる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は6.6%も伸びています。


 その一方で、名目賃金は前回説明した凄まじいインチキを駆使しても6年間で2.8%しか伸びておらず、アベノミクス前と比較して3.6%も低いのです。

 物価が上がったのは14年の消費増税に加えて、アベノミクス第1の矢である異次元の金融緩和によって円安インフレが生じたためです。
 日銀の試算によると消費増税による物価上昇は2%とのことですので、残りは円安が最も影響したと言っていいでしょう。
 15年に原油が急落した影響である程度は円安インフレが抑えられていたのですが、17年以降にまた原油価格が戻し始めたため物価も上昇していきました。

 なお、「新規労働者が増えたから平均値が下がり、それで実質賃金が下がった」というよく聞くヘリクツはデマです。
 平均値の問題であれば、名目賃金も下がらなければいけませんが、下がっていません。
 こういうヘリクツを並べる人は物価急上昇という事実を無視します。そもそも、実質賃金の算定式すら知らないのでしょう。単に物価上昇が名目賃金の上昇を上回ったため、実質賃金が急落したのです。

 ところで、「2%の物価目標が達成できない」と盛んに報道されるため、物価は上がっていないと勘違いされているのではないかと思います。ここで言う「2%」は、「前年と比べて」の「2%」で、「アベノミクス開始から」の「2%」という意味ではありません。
 しかも、増税の影響は除かれるのです。
 アベノミクスの矢が放たれて以降、増税の影響も加味すると、前述のように物価はこの6年間で6・6%も上がっています。「増税+アベノミクス」でわれわれの生活は苦しくなったということです。

 次回は、国内消費の驚異的停滞についてお話しします。 (つづく)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/249354
『日刊ゲンダイ』(2019/03/14)

  《GDP600兆円目前のカラクリ[明石順平] (日刊ゲンダイ)》
 ◆ 8.2兆円カサ上げも…民間最終消費支出は戦後最悪の大停滞


 民間最終消費支出についてお話しします。
 日本のGDPの約6割を占めるのが民間最終消費支出です。これは要するに国内の民間消費の総合計額であり、ここが伸びなければ日本は経済成長できません。
 しかしながら、この民間最終消費支出の実質値(物価の影響を取り除いた値)は、2014年から16年にかけて3年連続で減少しました。これは、戦後初の現象です。
 さらに、17年は前年比プラスになったのですが、4年も前の13年を下回ってしまいました。この「4年前を下回る」という現象も戦後初です

 これは、前回お話しした実質賃金の低下が大きく影響したと言ってよいでしょう。
 給料はほとんど上がらないのに、消費増税と円安で物価だけが上がってしまったため、国内消費が戦後最悪の大停滞を起こしてしまったのです。
 このように実質民間最終消費支出が伸びていないということは、国民の生活が全然良くなっていないことを示しています。景気回復の実感がないのは当然でしょう。

 また、エンゲル係数も急上昇しています。エンゲル係数というのは、家計の消費支出に占める飲食費の割合です。
 この係数が高くなればなるほど、「食べていくのがやっと」の状態に近づいていきますので、生活がどんどん苦しくなっていることを示します。

 アベノミクス前の12年と比べると、18年のエンゲル係数は2・2ポイントも上がってしまいました
 アベノミクス前はほぼ横ばいであり、0・1ポイント程度の上下があるだけでしたから、これは大変なことです。
 この原因は、増税と円安で食料価格が上がった一方、給料がほとんど上がらなかったからです。

 食料価格指数を見ますと、18年はアベノミクス前の12年と比べて10・3ポイントも上がっているのです。
 このように国民の生活に密着した数字は極めて悲惨な状況なのですが、民間最終消費支出の方はこれでも思いっきりカサ上げした数字です。

 16年12月にGDP過去22年も遡って改定されました
 表向きには「2008SNA」というGDP算定の国際算定基準への対応のため、という点が強調されています。
 しかし、民間最終消費支出の方は、「2008SNA」とは全く関係ない「その他」の要素によって思いっきりカサ上げされました。
 一番カサ上げ額が大きいのが15年で、なんと8・2兆円もカサ上げされたのです。
 これほど大きくカサ上げしても、前述の通り、戦後最悪の消費低迷を覆い隠すことができていません
 「その他」のかさ上げがなければもっと悲惨な状況になっていたということです。

 ※ 明石順平 弁護士
 1984年、和歌山県生まれ。東京都立大法学部、法大法科大学院卒。労働事件、消費者被害事件を主に担当。ブラック企業被害対策弁護団所属。著書に「アベノミクスによろしく」「データが語る日本財政の未来」

『日刊ゲンダイ』(2019/03/15)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/249438


 
  《冷泉彰彦のプリンストン通信から》
 ◆ もはや先進国ではない。なぜ、日本経済はスカスカになったのか? (まぐまぐ!ニュース!)
   by 冷泉彰彦


 一部報道などでは日本経済の好調さが伝えられていますが、実感として受け止められないというのが正直なところではないでしょうか。なぜこのような事態に陥っているのか、米国在住の作家・冷泉彰彦さんはメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』でその理由を「日本の産業構造がおかしくなったため」とし、この「負のトレンド」を反転させなければ国の繁栄と個人の成功はありえないと結んでいます。

 ◆ スカスカになった日本経済、どうしてこうなったのか?
 経済新聞や安倍政権の周囲では、日本経済は絶好調だとか、多くの企業が史上空前の利益を上げているという声があります。ですが、そんな好況感は、日本全国を見渡すと全く感じられません
 国全体の「購買力」は弱り切ったままです。


 観光ブームということもありますが、結局はインバウンド、つまり訪日外国人が支えています
 例えば、星野リゾートの場合は、価格帯によってブランドを分けていますが、フラッグシップブランドの「星のや」の場合は、一泊二食で4万とか5万という強気の価格設定ですが、お客の多くはインバウンドです。

 同じく北海道のリゾート産業の雄である「鶴雅グループ」は、支笏湖に「碧の座(あおのざ)」という超高級旅館を建設中ですが、同じく価格帯は4万から6万でこれもインバウンドがメインでしょう。

 JR九州が「ななつ星」という予約制の豪華寝台列車を走らせて話題になりましたが、もっと豪華なJR西日本の「瑞風」などは、シンガポールからビジネスクラスで往復するパッケージツアーなども組んでいます。

 とにかく景気がいい話は、インバウンド向けぐらいで、国内の需要向けについては、相変わらず、オールバイキング形式で一泊二食7,800円とかが主流です。
 コンビニなどの弁当や牛丼の価格はワンコイン以下の安いままであり、それはそのまま多くの人の「昼食代の予算」を反映しています。

 花火大会やパレードなど、「無料のイベント」が行われると、空前の人出になるので、結局は警備費がかさんで大会が中止になったりしますが、では有料化すればどうかというと、いきなりパタンと客足は途絶えるわけです。

 購買力の衰えということでは、例えば「若者のお金離れ」などという言い方があって、世代間格差が原因だという声もあります。
 また「非正規差別」が原因であり、派遣労働の規制緩和をしたのが悪いという論調も相変わらず多いわけです。

 多くの専門職が「それだけでは生活できなくなっている」と言われています。
 例えば、タクシーのドライバーは、ウーバーやリフトがまだ上陸したわけでもないのに、需要低迷と供給過剰のために苦しんでいます。
 また、バスの運転手の給与も低くなっています。
 電車の運転手に至っては、自動運転(実際は遠隔操作に近いので心配は要らないのですが)を本格化させる話も出ています。

 例えば、安倍総理は毎年春になると財界に対して「もっと給与を上げてくれ」という要求をしていますが、財界サイドは総理に頼まれてもなかなか賃上げに応じようとはしません。
 報道では「史上最高の決算」とか「アベノミクス株高」などと言っているのに、どうして各企業は国内での賃上げを渋るのでしょうか?
 どうして昔はちゃんと生活できていた職が、非正規になったり、給与が極端に安くなっているのでしょうか?


 ◆ スカスカになった日本の産業構造

 一部にはグローバルな労働市場が発達したからだという意見がありますが、海で囲まれた日本の場合に、モノは出入りしますが、サービス業に関しては、世界の安い賃金に影響されて日本も賃金が下がるというのは、説明として納得感はありません。

 何が問題なのでしょうか?

 各企業が20世紀や昭和の時代と比べて、著しく強欲になっていて、一部の管理職や重役だけが巨額の報酬を独り占めしていて、給与を切り下げているからなのでしょうか?
 そうではない、ということをしっかり理解することがまず必要です。

 問題は日本の産業構造が「おかしく」なっているということです。もっといえば「スカスカ」になっているのです。

 現在の日本には、昔のように「世界の市場で大きなシェアを持っているエレクトロニクス製品」とか「集中豪雨的輸出だとして怒られるぐらい世界で売れている自動車」などの製造業はほとんど残っていません

 では、何が残っているのかというと具体的には日本の主要産業は3つ、
○ 部品産業

○ 日本語による非効率な事務仕事

○ 観光がらみのサービス産業
 があるだけです。
 勿論「だけ」というのはやや言い過ぎで、日本国内向けの医療や福祉、サービス業はあるし、自動車の場合は一部は完成車も作っています。
 ですが、主要な産業といえば、この3つになっているのです。

 例えばスマホというビジネスがあります。
 世界の主要なシェアは、アップル、サムソン、LGそして元ノキアのマイクロソフト、元モトローラのグーグルなどがあります。
 そして日本は部品産業に転落しています。
 液晶、半導体、アンテナ周りの複雑でミクロの部品など、日本の製造業がなくては世界のスマホは成立しません。

 ですが、どんなに技術力を誇っても、部品産業はしょせん部品産業なのです。
 最終メーカーが価格も発注量も握っており、部品産業はベンダーとして受け身のビジネス、薄利かつリスクのあるビジネスになってしまいます。

 その昔、ソニーがウォークマンで世界の若者文化を席巻したように、パナソニックが「性能の良すぎる」テレビやビデオ機器で世界から怒られたりしながら、物凄い収益を上げていたように、最終製品を作るということはしていないのです。

 例外としては、B2Bつまり法人や政府向けがありますし、パナソニックの場合もこちらに逃げていますが、消費者向けの最終製品ということでは、日本のエレクトロニクスの場合は見る影もありません。
 東芝の場合は、何と言っても半導体やハードディスクですが、それすらも売ってしまいました。


 ◆ ハンコと紙に滅ぼされる日本経済

 事務ということでは、とにかく「原本」「ハンコ」「ファックス」「稟議書」「ファイリング」などといった昭和の化石のような日本語文書の管理ということが、今でも官庁でも、民間でも行われています。
 そこで職を得ている人は猛烈な数になり、そのコストも膨大ですが、どういうわけか日本の企業や政府はこれが止められないわけです。

 ですが、ここ数年、銀行業務がフィンテック化して、人も紙も支店も不要になって来ています。
 同じような革命が全業種と行政に波及しなくては、この非効率な作業が日本経済を滅ぼすと思います。

 観光業ですが、すでにGDPへの貢献ということでは自動車産業を超えたと言われています。それ自体は結構なことで、プラスアルファの経済として成立するのであれば、それはそれで良いことです。
 訪日外国人年間3,000万が実現し、政府目標の4,000万が視野に入ったというのも良いことです。
 ですが、問題は観光業というのは労働集約型であるし、低付加価値かつ固定費が高いビジネスだということです。
 それが主要産業だというのは、その国の経済としては決して立派ではありません。

 つまり、産業構造として日本は先進国から滑り落ちそうになっているのです。

 何がいけなかったのでしょう。理由は次のようなことです。
○ 自動車の次として宇宙航空に本格進出できなかった

○ コンピュータ時代に合わせてOSやアプリなどソフトの分野で負けた、どころかコンピュータ関連の人材をバカにして育成もしなかった

○ バイオや製薬で世界のトップを走るだけの人材育成や投資をしなかった

○ 金融のグローバル化に全く対応しなかった

○ 英語での事務仕事ができず、香港やシンガポールにアジアのビジネスセンターの座を完全に奪われ、そのことを恥じてすらいない
 ということです。つまり全体の戦略が全く違っていたということです。

 勿論、企業単位では例えばトヨタやホンダ、ソニー、コマツなど、多国籍企業として優良な企業はたくさんあります。
 ですが、その多くは、製造販売だけでなく、研究開発や設計も海外でやっているのです。そうした数字は日本のGDPにはなりません。

 史上空前の利益というのも、その多くは海外の収益であり、連結決算では円安のおかげで膨張して見えるかもしれませんが、カネ自体は海外で再投資されています。

 いやいや、日本企業は好業績で、配当もしているという反論もあるかもしれませんが、そもそも優良な多国籍企業の場合は、外国の株主が多いわけで、配当も海外でグルグル回るだけです。


 ◆ 貧しさは日本が「敗北」した証

 今でも、経済新聞には「海外の企業を買収」とか「日本製品が某国の交通システムで採用」とか、「某社の車がアメリカで人気ナンバーワン」といった記事が出ると、何となく嬉しいニュースということになります。

 ですが、これはマジックであり、日本国内のGDPにも税収にも、そしてトリクルダウンという形での好影響も「全くない」のです。

 私は、トランプ流の「経済ナショナリズム」は大嫌いですし、経済というのは国際分業によるグローバリズムが「最適解」になるし、それをねじ曲げると、最終的には経済はダメになると思っています。

 ですからこの日本流の空洞化について、税制や規制でなんとかしようとは思いません。
 ですが、これは明らかに敗北であり、敗北ゆえに貧しくなっているというのは厳然たる事実です。
 そのことから目を背けるというのは、やはり政治としても財界としても、あるいは世論としても間違っていると思います。

 部品製造と、日本語文書による事務文書と、そして観光業が産業の柱などというスカスカな経済はもはや「先進国クオリティ」ではありません。
 そのこと自体が失敗であり、敗北であり、歯を食いしばって、その負のトレンドを反転させることにしか、国の繁栄と個人の成功はないのではないでしょうか?

 ※ 冷泉彰彦この著者の記事一覧
 東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1〜第4火曜日配信。

『まぐまぐ!ニュース!』(2019.01.09)
https://www.mag2.com/p/news/382054



 ◆ 消費増税直前に景気判断が下方に、
   30〜40代の貯金ゼロは2割を超える
 (BUZZAP!)
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働き盛りの世代の貯蓄額が大幅減(SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)

 今年1月に囁かれた「戦後最長の景気拡大」どこかに消え去ってしまったようです。

 ◆ 「戦後最長の景気拡大」のはずが既に後退局面に
 内閣府が3月7日、景気動向指数の1月の基調判断について、従来の「足踏み」から「下方への局面変化」に引き下げました。
 速報値では景気の現状を示す一致指数が前月より2.7ポイント低い97.9となり、3ヶ月連続の悪化となります。
 これを受けて、内閣府は景気の基調判断をこれまでの「足踏みを示している」から「下方への局面変化」に修正。(略)
 NHKや朝日新聞ではこの下方修正の原因を中国の景気の減速に伴う日本国内の輸出や生産を押し下げたとしていますが、それだけでは説明できそうにありません。


 ◆ 働き盛り世代の貧困化が進む

 SMBCコンシューマーファイナンスは3月6日に30〜40代の金銭感覚に関する調査結果を発表しました。
 それによると「現在の貯蓄額がゼロ」と答えた人が前年比6ポイント増の23.1%になり、平均貯蓄額も同52万円減の195万円に低下しています。

 その中でも、貯蓄額の平均は30代が前年比4万円減の194万円なのに対し、40代は同120万円減の196万円と著しい落ち込みを見せています。
 加えて消費についても9割近くが「無理せず買える範囲で買う」と回答するなど、消費意識の冷え込みは如実です。

 中国経済に関連する製造業や輸出業に限らず、いわゆる働き盛りと言われる世代がまともに貯蓄も消費もできていない状況が浮き彫りになっています。

 ◆ 景気拡大していたはずなのになぜ貧困化?

 「戦後最長の景気拡大」だったはずなのに働き盛り世代が貯蓄できず、消費も手控えているのはなぜなのでしょうか。

 理由のひとつとしては、厚労省の統計不正問題に絡んで2018年1〜11月の実質賃金の伸び率がマイナスになっていた事が明らかになったように、賃金が伸び悩んでいること。

 また、内閣府が2018年12月10日発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)の改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%減、年率換算では2.5%減となっており、速報値(前期比0.3%減、年率1.2%減)から大きく下方修正となりました。
 これを裏付けるように、バブル崩壊後の1995年に世帯収入の中央値はピークの550万円を記録していましたが、その後22年間で122万円減少しています。
 これは22%超の減少ということで、およそ3/4になったということ。

 これに加えて8%への消費増税はもちろんのこと、各種増税や社会保障への負担が大きくのしかかってきており、年収に対する手取りも減少しています。

 賃金が伸びずに手取りが減ってゆけば可処分所得が少なくなるという単純な引き算から、貯蓄が困難となり、消費も手控えざるを得ないことは火を見るよりも明らかです。

 景気拡大の恩恵をいわゆる普通の国民が受けられていなかったのは、BUZZAP!で繰り返しお伝えしてきたとおり。実際にはそうした恩恵は企業の内部保留がアベノミクス始動以来6年連続で過去最高を更新していることからも分かるように、企業に吸い取られる形となっています。
https://buzzap.jp/news/20180904-abenomics-inner-reserve/
 働き盛り世代が貯蓄も消費もできず、景気が後退し始めた現実を見れば、消費者でもある働く人々にお金が回らないことがどれだけの弊害を生むのか、もう一度考えて軌道修正をする必要がありそうです。

『ニコニコニュース』(2019/03/07)
https://news.nicovideo.jp/watch/nw4948842

  =SMBCコンシューマーファイナンス株式会社=
 ※ 30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019(2019年3月6日)
http://www.smbc-cf.com/news/news_20190306_944.html




 ◆ 日本人の給料がほとんど上がらない5つの要因 (東洋経済オンライン)
   岩崎 博充 : 経済ジャーナリスト


 厚生労働省の「毎月勤労統計調査」に対する不正調査の問題が、相変わらず国会で審議されている。問題の本質は、官僚が統計を操作してでも「賃金上昇」を演出しなければならなかったことだ。
 なぜ、日本の賃金は上昇しないのか。周知のように、1990年代以降の日本の賃金はほとんど上昇してこなかった。
 バブル崩壊による景気後退の影響があったとはいえ、欧米の先進国と比較して日本の賃金が低迷を続けていることは明らかだ。その原因はどこにあるのか。

 ◆ 27年間で上昇した年収はわずか7万円?
 実際に、日本の賃金上昇の推移を見てみると、平成の30年間で上昇した賃金はわずかしかない。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、1990年の平均給与は425万2000円(1年勤続者、以下同)。1990年以降、平均給与はしばらく上昇するのだが、1997年の467万3000円をピークに下がり始める。


 その後、ずるずると下がり続けて、2017年は432万2000円となる。1990年からの27年間で、上昇した平均給与はわずか7万円ということになる。
 実際に、日本の実質賃金の下げは国際比較をしてみるとよくわかる。
 1997年=100とした場合の「実質賃金指数」で見た場合、次のようなデータになる(2016年現在、OECDのデータを基に全労連作成)。
・スウェーデン……138.4
・オーストラリア……131.8
・フランス……126.4
・イギリス(製造業)……125.3
・デンマーク……123.4
・ドイツ……116.3
・アメリカ……115.3
・日本……89.7
 1997年から2016年までの19年間で、先進7カ国のアメリカやドイツでも1割以上上昇しているにもかかわらず、日本は1割以上も下落している。

 安倍政権は、史上最長の好景気によって有効求人倍率を大幅にアップさせ、新規雇用者数も増加させたと胸をはるが、それが本当であれば、実質賃金の下落は説明できない

 ◆ 「労働組合」の弱体化と「非正規雇用」の増加?

 日本の賃金が上昇しない原因については、さまざまなシンクタンクやエコノミストが分析しているが、大きく分けて5つの段階に分けて考えればわかりやすいかもしれない。次の通りだ。
①労働組合の弱体化

②非正規雇用者の増加

③少子高齢化の影響

④内部留保を貯め込んで賃金を上げない経営者

⑤規制緩和の遅れがもたらした賃金低迷
 順に見ていこう。

 <①労働組合の弱体化>

 日本はバブル崩壊によって1990年代以降、景気後退を余儀なくされた。欧米のように、景気低迷に対しては人員カットで対応するのではなく、雇用を維持しながらも賃金で調整する、という方法がとられた。
 労働組合も、クビにされるよりも給料を下げることに同意し、ここで日本特有の労使関係ができあがったといっていい。

 周知のように、アメリカでは景気が悪くなれば20年勤続の従業員であろうと、即座に人員をカットする。欧州もアメリカほどではないが、必要とあれば労働組合も整理解雇を認めるというスタンスだ。
 日産自動車を救ったカルロス・ゴーン元会長が、コストカッターとして数多くの従業員のクビを切ったように、日本とは違って欧米諸国は「問題を先送りにしない」という姿勢を持っている。
 要するに、日本の労働組合は自分たちの組合員を守るために、戦う牙をなくし、会社側=経営陣に忖度し、会社側の要望を聞き入れる体質になってしまった側面が否定できない。

 こうした背景には、労働組合の構造的な問題があるといわれている。
 日本の労働組合は、企業ごとに組合が設立されている「企業内組合」が一般的であり、欧州などの「産業別労働組合」とは異なる。
 企業内組合の場合、どうしても経営陣との交渉の中できちんとした行動を起こせないという構造的な弱点がある。業績が悪化すれば、素直にベースアップの減額にも応じてしまうのだ。

 <②非正規雇用者の増加>

 小泉政権時代に行われた「労働者派遣法の改正」によって、日本の雇用形態は大きな変革を迫られた。企業は賃金の低い非正規雇用者を雇いやすくなった。実質賃金低迷の原因の1つとして、見逃すことはできない。
 これには人件費を削減して、業績悪化から企業を守った面はある。

 しかし、今となっては日本企業があの時期にもっと海外にきちんと進出していれば、日本企業はもっと成長できた可能性はあるし、グローバルな企業に成長していたかもしれない。
 携帯電話などの製造拠点は部品のみになり、日本の製造業のシンボル的な存在だった家電業界も、東芝やシャープは海外企業に買収され、シェアは海外企業に奪われてしまった。

 ◆ 少子高齢化、低賃金で放置されたパートタイマー

 <③少子高齢化の影響>

 日本の少子高齢化の影響は、重大であり、未来に大きな後悔を残すかもしれない。

 内閣府がまとめた「データで見るアベノミクス」(平成31年1月25日)は、成果を大きくアピールしている。例えば、雇用環境の成果として次のような項目が列記されている。
●完全失業率……4.3%(2012年12月)→2.5%(2018年11月)、25年ぶりの低い水準
●有効求人倍率……0.83倍(同)→1.63倍(同)、1974年1月ぶりの高水準
●正社員の有効求人倍率……0.50倍(同)→1.13倍(同)、データ収集以来初の1倍
●就業者数……6271万人(2012年)→6522万人(2017年)251万人増、5年連続で増加
 さらに、「所得環境」も大きく改善されたとしている。
●名目雇用者報酬……252.7兆円(2012年10-12月期)→282.7兆円(2018年7-9月期)30兆円増
●賃金改定でベースアップを行った企業の割合(一般職)……12.1%(2012年)→29.8%(2018年)。2.5倍、春闘の賃上げ率は5年連続で今世紀に入って最高水準
●最低賃金(加重平均額)……749円(2012年度)→874円(2018年度)125円増
●パート時給(前年比)……0.6%(2012年)→2.4%(2017年)1.8%上昇、9年ぶりの高い伸び
 安倍首相と菅官房長官の力が最も強い内閣府がまとめたものだが、マイナス材料はほぼひとつもない「アベノミクス礼賛」のレポートだ。
 実際に、プラスにならない実質賃金や目標に達していない消費者物価指数はスルーしている。

 新規雇用者数の伸びは、人口減少に対応するために非正規雇用や女性のパートタイマー従業員を増やした結果であり、完全失業率の低下や有効求人倍率の上昇は人手不足の表れといっていい。
 外国人労働者を受け入れる枠を拡大したことで、政府もすでに人手不足が深刻であることは認めている。

 さらに、近年の特徴として挙げられるのが、かつては60歳もしくは65歳でリタイアしていた高齢者が、ここにきて60歳で低賃金の雇用者に格下げされ、本来なら65歳で完全リタイアだった高齢者が、格安の賃金でいまだに働き続けている、という現実がある。
 とりわけ、自営業や中小企業の従業員だった人は、低賃金のまま働き続けることを余儀なくされている。ここでもまた実質賃金の伸びは抑えられてしまう。

 ◆ 経営者や行政の怠慢が招く賃金低下?

 <④内部留保を貯め込んで賃金を上げない経営者>

 人手不足といわれる業界は、サービス業など生産性が低迷している業界に多い。例えば、コンビニ業界で24時間営業の見直しが進められているが、粗利益の6割も取るような高いロイヤルティーは、従業員の低賃金や人手不足問題の要因であろう。
 競争が激化しているコンビニ業界にとって、ロイヤルティーの引き下げは難しい課題だが、日本の少子高齢化の流れから見て、いずれは人手不足で改革を迫られる可能性はある。

 バブル崩壊以前は、社員こそ最大の資源、という具合に会社も賃上げに積極的だった。優秀な人間は、一生をかけてでも育て上げていく、というのが日本企業の大きな特徴だった。
 それが、バブル崩壊以後は雇用さえ確保しておけば、賃上げなんていう贅沢は言わせない、という雰囲気に変わってきた。

 そうして労働組合が弱体化したのをいいことに、企業は内部留保を貯め込んだ
 貯めた内部留保で、人口減が予想される日本を飛び出して、新たなビジネスを求めて海外に進出すればよかったが、そうしなかった企業も多い。

 いまや日本の内部留保は2017年度の法人企業統計によると、企業が持つ利益剰余金は446兆4844億円(金融業、保険業を除く)に達しており、金融、保険業を含めれば507兆4454億円となり、初めて500兆円の大台を超えている。1年分のGDPに匹敵する余剰金だ。

 <⑤規制緩和の遅れがもたらした賃金低迷>

 通信や交通エネルギーなどの公共料金分野は、規制緩和の遅れで現在も新規参入を阻害し価格の抑制や引き下げが遅れてしまった。価格が上がらなかったことで顧客満足度が増し、製品やサービスの価格が低く抑えられたまま日本経済は推移している。
 そのツケが、従業員の賃金の上昇を抑えてきたといっていい。
 スーパーやコンビニ、スマホ(通信)、宅配便、外食産業といった業種では、価格が低く抑えられてきたために、賃金がいつまでたっても上昇しない

 企業経営者や行政の怠慢によって、適正な価格競争が起こらなかった結果といえる。
 私たちの生活に根付いているスーパーやコンビニ、スマホ、宅配便、外食産業といったサービスは、極めて便利で安価なサービスなのだが、その背景にあるのが低賃金で働く従業員でありパートタイマーというわけだ。

 以上、ざっと日本の賃金が上昇しない原因を考えてきたが、日本国民は極めて素直で、従順な民族だから、政府が一定の方向性を示すと素直に従う習慣がある。キャッシュレスもここにきて一気に拡大することでもわかる。
 実質賃金が上昇しない背景には、過去の雇用政策や法改正が大きな影響を与えている。賃金より雇用という大きな流れの中で、我慢し続けている国民がいるわけだ。日本の景気回復は、まだまだ道半ばといえる。

『東洋経済オンライン』(2019/3/2)
https://toyokeizai.net/articles/-/267883



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