CAT/C/JPN/CO/1 2007年8月7日 原文:英語
拷問禁止委員会 第1回日本政府報告書の審査
拷問禁止委員会の結論及び勧告 日本
C.主な懸念事項及び勧告
拷問の定義
10.委員会は、条約第1条に規定する「拷問」と形容し得るすべての行為が日本の刑事法下で犯罪として処罰し得ると締約国は主張するものの、条約第1条に規定する拷問の定義は依然として締約国の刑法に含められていないことを、懸念をもって留意する。特に、委員会は、条約の定義に基づく「精神的拷問」が刑法第195条及び第196条の下で明確には定義されておらず、例えば脅迫といった「精神的拷問」に関連する行為に対する処罰は十分ではないことを懸念する。また、委員会は、日本の法律は、例えば自衛隊員及び入管職員等、あらゆる職種の公務員、公的資格で行動する個人、又は、公務員若しくはその他の公的資格で行動する個人の扇動により若しくはその同意若しくは黙認の下で行動する個人を対象としていないことを懸念する。
締約国は、条約第1条に含まれる拷問の定義を、適当な刑罰と共に、特定の犯罪として拷問を特徴づけるすべての構成要件を含める形で、国内法に取り込むべきである。
条約の国内適用
11.委員会は、条約の直接適用性に関する情報、特に、国内裁判所による条約適用の具体例、及び戦時における条約の適用に関する情報が欠けていたことを遺憾とする。
締約国は、国内裁判所による条約の直接適用を確保するためにとった措置に関する情報を、事例と共に委員会に提供すべきである。
締約国は、戦時における条約の適用に関する情報も提供すべきである。
時効
12.委員会は、拷問及び不当な取扱いに当たる行為に対して時効が適用されることを懸念をもって留意する。委員会は、拷問及び不当な取扱いに当たる行為に時効を適用することは、このような重大な犯罪の捜査、訴追、及び処罰を妨げ得るものであると懸念する。
特に、委員会は、第二次世界大戦中に軍の性的奴隷の被害者となったいわゆる「慰安婦」によって提訴された案件が、時効に関連する理由をもって棄却されたことを遺憾とする。
締約国は、拷問未遂行為及び拷問の共謀又は拷問への加担となるような何人による行為を含め、拷問及び不当な取扱いに当たる行為が時間の制限なく、捜査、訴追及び処罰の対象となるよう、時効に関する規則及び規定を見直し、それらを条約上の義務に完全に一致させるべきである。
司法の独立
13.委員会は、司法の独立のレベルが十分ではないこと、特に裁判官の任期及び必要な保障が設けられていないことを懸念する。
締約国は、司法の独立強化のため、特に裁判官の任期の保障を確保するために、あらゆる必要な措置をとるべきである。
24.委員会は、特に第二次世界大戦中の日本の軍による性的奴隷行為の生存者を含め、性的暴行の被害者に対する救済が不十分であること、また、性的暴行及びジェンダーに基づく条約違反を防止するための効果的教育及びその他の措置が実施されていないことを懸念する。
締約国の代表者が「癒しがたい傷」を負ったと認めた戦時下の虐待の生存者は、締約国による事実の公的否認、他の関連事実の隠蔽又はそれを公開していないこと、拷問行為に刑事責任のある者を訴追していないこと、及び被害者及び生存者に適切なリハビリテーションを提供していないことにより、継続的な虐待及び再トラウマを経験している。
委員会は、教育(条約第10条)及び救済措置(条約第14条)はそれら自体が、締
約国の条約下での本件に関する義務の更なる違反を防止する手段であると考える。継続的な公的否認、不訴追、適切なリハビリテーションを提供していないことは、すべ
て、教育的措置及びリハビリテーションを提供することも含め、拷問及び不当な取扱
いを防止するという条約上の義務を締約国が履行していないことに寄与するものであ
る。
委員会は、性的及びジェンダーに基づく違反の根源にある差別的要因を是正するために教育を提供し、不処罰の防止に向けた措置も含め、被害者に対するリハビリテーションを提供するための措置を締約国がとることを勧告する。
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