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平和 死刑廃止

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 ◆ 死刑廃止のいま――2018年年末の2人の執行に抗議する

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 1月21日(月)夜、四谷の岐部ホールで「山下貴司法相の死刑執行に抗議する緊急集会」が開催された(主催:死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90、公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本、NPO法人監獄人権センター、「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク)。
 年末ギリギリ、官庁の御用納めの前日12月27日、大阪拘置所で岡本啓三(旧姓・河村)さん、末森博也さんに執行された死刑に抗議する集会だった。岡本さんは、第1回大道寺幸子基金表現展(2005年)で優秀賞に選ばれ、その後も奨励賞を取るなど5回も応募された方だった。
 この集会では4人の方からお話があった。当日の講演順序とは違うが、弁護士による事件の概要、友人のお話を先に掲載する。二人とも旧姓である「河村」さんと話されたので、旧姓で記述する。


 ◆ 写経に励んだ心やさしい河村さん

 小田幸児弁護士は、控訴審から河村さんの弁護を担当したので20年以上の付き合いとなる大阪の弁護士だ。事件の概要と論点を中心に説明した。

 事件は1988年1月29日に北浜の風雲児と称されたKさんと秘書的な役割のWさんの2人を殺害し、遺体をコンクリート詰めにし1億円を奪ったもので、「コスモリサーチ殺人事件」と称された。実行者は河村さん、末森さん、Iさんの3人。
 河村さんには両親と姉がいた。小さいころはケンカして負けて泣いて帰ってくる、まじめで気の弱い子どもだった。カネがあることで成功するという発想はあったようで、大学生時代はアルバイトに勤しみ、サラ金や水商売に手を染めてヤクザと知り合い、暴力団組員になった。小心者だが強く見せたいところがあった。結婚し子どもが一人いたが逮捕後、子どもが3歳ごろに離婚した。しかし死刑判決確定後に子どもが接見に来るようになった。
 末森さんは株の仕出筋の仕事をしており、Wさんから情報をもらいカネを支払っていた。また債権回収などを通じて河村さんと親しくなった。1987年3〜4月にWさんの話でKさんが5〜10億円を新幹線で運んでいたことを知った。6月ごろ河村さんと、Kさんを拉致しカネを奪おうという話になったがいったん立ち消えになった。12月ごろふたたび計画を練り、Kさんの住所やマンションの調査・確認をしたり、もう一人空手の先生のIさんを仲間に引き入れた。
 1月28日Wさんを呼び出し、Kさんを自宅で拉致し29日に殺害し、1億円を奪った。

 事件の争点はいくつかある。
 いつごろから強盗・殺人をしようとしたか、Wさんへの殺意はいつごろ生じたか、強盗殺人なのか、強盗+殺人なのかなどである。強盗殺人なら無期懲役か殺人だが、殺人は5年以上の懲役から死刑と大きな違いがある。
 まただれが主導権をとっていたかも争点だったが、河村さんが首謀者という判断は一審からずっと変わらず、末森さんも重要な役割で責任があるとされた。Iさんは最終段階で加わったとされ無期懲役でいまも徳島刑務所で服役している。ただ殺害行為の中心はIさんで、無期と死刑のあいだには大きな違いがある。
 また計画的殺人でなく、たまたまだということを、何の拘束もせずWさんといっしょにラーメン屋に行ったことを具体的客観的に立証し、1次から3次の再審で主張し、第4次再審請求を申し立て中だった。

 彼は逮捕されてから、反省を深めていった。教戒師の先生が浄土真宗で慕っていて、得度し法名ももっていたし、熱心に写経をしていた。
 また一審の途中から被害者Kさんの父に毎月手紙を出した。何度も書くうちにお父さんから返事が届いた。「たくさんのお便りありがとう、ゆっくり読ませてもらいました。君の現在の心境もわかるような気がしました。あなたも体に十分気をつけてほしいと思います」という内容だった。河村さんの母といっしょに一度お墓にお参りさせてほしい、という話も進んでいた。残念ながらお母さんが先に亡くなりそれはかなわなかった。

 死刑になったあと、遺体を引き取ったのは娘さんだった。彼にとってせめてもの慰めになったことと思う。
 末森さんは、再審請求や恩赦請求をすすめられても一切断り、粛々と執行の日を待った。
 会場に、河村さんの写経や仏画が展示されている。河村さんの字は手書きなのに活字のような書体で、仏画もていねいにていねいに描かれている。ここにも几帳面で小心な彼の性格が表れている。本来は心やさしい人だった。力及ばず河村さんを死刑執行させてしまった。自分の力のなさを詫びたい。

 小田弁護士は、河村さんから正月明けに事務所に届いた賀状の「猪突猛進でがんばってください。今年もよろしくお願いします」という新しい年の希望があふれる文面にも触れ、死刑執行は肉体の消滅だけでなく「もう少しすると正月、もう1年がんばれる」と思う、人の心もないがしろにし、虫けら同然に心自体を打ち砕き、押しつぶした。
 法務大臣や総理は、河村さんたち死刑確定者だけでなく、刑務官や執行する執行官の心も、踏みにじっている。ふざけるなと言いたい。


 ◆ 書くことで自身を見つめ直した30年

 岡本さんの最高裁上告中から20年近く親交があった深田卓さんは、支援者でもあり友人でもあった。
 「年報死刑廃止」の創刊号(96年)から死刑囚全員に送っていたが、99年6月に河村さんからはじめて礼状が届いたのが交友のはじまりだった。送っていただいたのに礼状も出さず申し訳ないとのおわびと、執行されるまでに自伝を書きたいという内容だった。その理由は、今後似たような事件を防ぎ人命を救うことに役立つかもしれないからというものだった。

 河村さんの原稿にアドバイスをし、大阪拘置所で面会し、最終的に5年かけてB4サイズ400字詰め30〜50枚程度の原稿が完成した。それをこちらで入力し、彼が推敲する作業を繰り返し、ちょうど第1回大道寺幸子基金表現展の作品を募集している時期だったので勧めたところ、彼は応募した。優秀賞受賞は2作品だったが、そのうちの1つに選ばれた。
 選考委員池田浩士さん、加賀乙彦さん、川村湊さん、坂上香さんらだったが、「犯罪をまさにリアリズムで書いている。こういう文章を書いた人をなぜ殺してしまわないといけないのかというところまで読む人を引きずり込み、考えさせることになるのではないか」と講評された。

 その後「こんな僕でも生きてていいの」(インパクト出版会 2006年4月)というタイトルで発刊された。河村さん自身も、校正をみながら「自分はこんなに悪いやつだったのかと改めて思い知らされた」と言っていたが、犯罪を描き切り、苦しさを避けず自分のやったことを見つめ直すことをずっとやってきた。
 自分と向き合い原稿を書くことが自分の生き方となり、その後も2008年「生きる 大阪拘置所・死刑囚房から」(第3回奨励賞受賞)、2011年「落伍者」(第7回応募)などを書き続けた。
 「こんな僕でも生きてていいの」の出版により、離婚したときに3歳くらいだった娘が自分の父が死刑囚であることに気づき面会に来てくれるようになった。獄中の河村さんにとって、毎日のように娘が面会に来てくれた時期がいちばん幸せな時期だったのではないかと思う。
 昨年末12月19日にもらった手紙には「いま、まじめな小説を執筆中。あせらずじっくりやりますので応援してください」とあった。

 2017年には再審請求中でも死刑執行が始まり、昨年7月には再審請求1度目のオウム事件の死刑確定者たちですら執行された。河村さんは井上嘉浩さんと100日あまり同じフロアで生活し、処刑の日の朝、井上さんが刑務官に連れて行かれるのを鉄扉の視察孔から目撃した。
 自分の執行も近いのではないかと確信し、「接見にきてほしい」という手紙を何度ももらった。最後の手紙は12月25日13時付けで「年内の執行はないだろうし、そうあってほしい」という内容だったが、2日後に執行された。
 河村さんは、2人の人を殺し1億円を奪ったことは事実であり、冤罪ではないので、執行されるのは当然と考えていた。彼は初めの30年の人生で事件を犯し、あとの30年で事件と向き合い反省してきた。恩赦制度が機能するなら、彼ほど恩赦にふさわしい人はいない。
 いま確定囚で死刑を飛ばされる可能性があるのは、高齢、病気などしかないところまで僕たちは追い込まれている。この死刑の状況をどう突破していくか、みんなで考えよう。


 ◆ 再審請求中の執行は殺人罪だ

 フォーラム90の安田好弘弁護士から、7月の13人の処刑に続く年末の2人の執行の意味と加速化する死刑社会をどのように止めるか、話があった。

 12月27日の執行は、御用納めの前日で過去1回あるのみの異例中の異例である。昨年は1年で15人もの執行が行われた。この人数も2008年(鳩山邦夫法相のころ)の一度しかない。
 12月29日から1月3日までの間は死刑執行してはならないという規定(刑事収容施設法178条)があるので、27日になるともう少しすれば安心して生活が送れると思っておられる。その期待を裏切る残虐な執行だった。

 さまざまな考え方がある。たとえば昨年はオウムの死刑確定者13人の執行があったが、それ以外の人を執行しオウムだけを狙ったものだけではないという「弁明」のためという観測もある。あるいは2019年は天皇代替わりの国家慶事の年なので執行しにくい。駆け込みで執行したという見方もある。いずれにしても死刑を断行するという強い姿勢に基づく。
 山下貴司法務大臣は12月27日の記者会見で「国民世論の極めて多数が、極めて悪質・凶暴な犯罪については、死刑制度の存置もやむを得ないと考えて」いる。だから「死刑を廃止することは適当でないと考えて」いる、と述べた。
 しかしなぜ12月27日に執行したかは説明していない。死刑執行が彼の責務であり権限だった。死刑制度について語っても仕方がないのに、説明責任を果たしていない。

 再審請求中の確定囚への執行は2年前の2017年に始まった。
 山下法相はこの件で「再審事由の有無等について、慎重に検討し、これらの事由がないと認められた場合に執行命令を発する」と答えた。つまり法務大臣が再審請求の事由があるかどうか慎重に判断したというわけだ。しかし入管法改正の国会答弁などをみても慎重に検討したなどとは考えられない。
 わたしは再審請求中の執行は法律違反、殺人罪に該当すると考える。
 くどいようだが刑事訴訟法475条2項には「但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であった者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない」とある。「6か月以内の死刑執行」期間に算入しないということだ。
 この規定にない場面(例 確定して6か月を過ぎた後の再審請求中の執行)については、死刑を執行するかどうかは、政府の解釈でなく、国民主権なのだからもう一度国会で議論し法律で定めるべきだ。人の命に関わることだから、法治主義に反するようなことをしてはいけない。
 再審を受ける権利は命を防衛する憲法上の権利であり、権利を奪うようなことは許されない。法相の判断だけで執行するのは司法権の侵害であり、違法行為、殺人行為だ。小田弁護士に司法の場で争ってほしいと希望する。

 オウム事件の死刑確定者執行のときに「一度に12人を死刑にした100年前の大逆事件の時代以前に戻った」と述べたが、実際そうなっている。
 死刑執行の強固さが一段と強化されている。今回の執行は「一度決めたことは最後まで実現する」という強い秩序感、姿勢を示した。
 この状況を打ち砕くにはどうすればよいか。死刑廃止はまだまだ困難なので、わたしたちができるのは死刑廃止の準備をすることだ。「死刑がなくてもよい」あるいは「死刑でなくてもよい」と人々が考えるようにすることだ。
 個人的意見だが、死刑を確実に減らすには終身刑の導入により、もう一度死刑制度について見直す、あるいは第二の選択肢を設けて廃止の準備をすることだと考える。
 彼らは天皇即位と関係なく執行してくるかもしれない。廃止に向けて何を準備するか、どこからスタートするか考え、多くの人のコンセンサスをえられるようにすべきである。

 最後に「安倍内閣は一次で10名、二次以降で36名、合計46名という過去最多の死刑を執行し、歴史と世界の流れに逆行する内閣となってしまった。私たちは山下法務大臣に、今回の死刑執行に強く抗議するとともに、再び死刑の執行を行わないことを強く強く要請する」という決議を参加者全員で採択した。


 ☆この日の集会で、死刑廃止議員連盟の初代事務局長だった二見伸昭さんのスピーチがあった。ごく一部を紹介する。

 事務局長だったとき印象に残った3人の法務大臣のエピソードを紹介する。
 左藤恵法相は「わたしは仏門の僧侶です。だから人を殺すことはできません」と語った。
 三ヶ月章法相は突然泣き出し「法相を受けるべきかどうか、三日三晩悩み苦しんだ」と言った。同じハンコを押すのでも山下法相とはまったく違う。
 後藤田正晴法相は、わたしといっしょに元裁判官の江田五月さんがいたこともあるが「死刑判決を出したのは裁判官だ。死刑をやるなら裁判官がやればいい。死刑の下請けをオレたちがやるのはいやだ」と言った。

 イギリスも世論は死刑賛成だが、死刑をやめた。
 世論と異なり政治家は死刑反対だ、死刑廃止は政治家の品格だといわれた。またフランスのバダンテール司法大臣も死刑廃止をしたのは政治家の良心、人権意識だと語った。

『多面体F』(2019年02月01日)
https://blog.goo.ne.jp/polyhedron-f/e/90a47a5300494122e507b8741d2fb337



  =それでもバカとは戦え(適菜 収)【日刊ゲンダイ】=
 ◆ 「8割がたの女性」と「60歳以上」は、絶対に維新に投票してはいけない


 今年は日本にとって転機の年になるだろう。4月の統一地方選挙、7月の参議院選挙の結果に、わが国の存亡がかかっている。
 こうした中、日本維新の会が比例代表で3人を公認したが、そのうちのひとりが、元フジテレビアナウンサーの長谷川豊だった。言わずと知れた人間のクズ、社会のダニである。これは別段キツイ言い方ではない。その証拠として彼の発言を引用しておく。
「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」

マホメット?ただの性欲の強すぎる乱暴者です」
「いま世界で起きてる戦争、ほとんどイスラム系でしょ?一番、暴力的な人間が教祖様のところでしょ?」


8割がたの女ってのは、私はほとんど『ハエ』と変わらんと思っています」

「育休とったら出世できない?育休とったら社会に戻れない?言い訳すんな。バカ」
「一生言ってろ!バカ女!!!」

死刑はもっと残酷に殺すべきだ」
「小学校時代から死刑執行シーンはみんなに見せた方がいい」
「出来ればネットで生中継した方がいい」
 もっとも長谷川のような人物は、残念ながら一定の割合で世の中に存在する。問題はこうしたバカを選挙に担ぎ出す維新の会だ。

 長谷川は「60歳以上って、選挙権はく奪でいいんじゃないか?」とも述べているが、少なくとも「8割がた」の女性と「60歳以上」の人は、絶対に維新の会および長谷川に投票してはいけない

 長谷川は経費の不正使用で降格処分を受け、その後、フジテレビを退社。これまでヘイト発言を社会にまき散らし、デマを垂れ流してきた。
 自分は「人工透析患者を殺せ」なんて言っていないと嘘をつき、千葉県警に道交法違反で呼び出されていた事実を指摘されると「デマだ」と騒いだ。

 2017年の衆院選では維新の会から出馬し最下位で落選
 有効投票総数の10分の1にも満たず供託金没収となったが、それでも千葉1区で1万5014票を取っている。
 彼らは長谷川の発言を知った上で投票したのか?

 長谷川は「勉強不足な有権者からは投票権を取り上げるべし」と主張していたが、この理屈だと長谷川が当選することは未来永劫ないだろう。

 野党共闘は必要だが、“政界の肥だめ”とも揶揄される維新の会と組むのは論外であることを指摘しておく。

 ※ 適菜 収:作家
 1975年生まれ。早大で西洋文学を学び、ニーチェを専攻。ニーチェの「アンチクリスト」を現代語訳した「キリスト教は邪教です!」、「ゲーテの警告 日本を滅ぼす『B層』の正体」など著書多数。近著に「もう、きみには頼まない 安倍晋三への退場勧告」。

『日刊ゲンダイ』(2019/02/02)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/246693




 レイバーネット日本川柳班による『反戦川柳句集』が18年12月、出版された。川柳班3冊目の出版だ。文芸評論家の楜沢健さんにその紹介と、今日の川柳運動課題について論じてもらった。

  レイバーネット日本 川柳班 『反戦川柳句集』 出版
 ◆ 川柳で言葉を乗っ取り返す (週刊新社会)
   文芸評論家 楜沢 健(くるみさわ・けん・早稲田大学講師)

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発行元レイバーネット日本88頁頒価700円

 本書は、『がつんと一句−ワーキングプア川柳』(2010年)、『原発川柳句集−五七五に込めた時代の記録』(2013年)に続く、レイバーネット川柳班による3冊目の川柳句集である。
   「ふざけるな女は前から非正規だ」
   「外食は毎日してるさ公園で」
   「パニックが起こらないよう被曝させ」
   「水清き桜の国の汚染地図」。


 1920年代に井上剣花坊主宰の柳樽寺川柳会から生まれたプロレタリア川柳に学んだその作風は、巷でおなじみのサラリーマン川柳やシルバー川柳とも、結社主体の伝統川柳とも、新聞ラジオの時事川柳とも、さらには企業による宣伝目的の冠川柳とも一線を画す。
 寸鉄人を刺す、毒舌をも厭わない、反時代的な批評精神にあふれた新潮流の川柳といってよい。プラカードや筵(むしろ)旗に川柳を高々と掲げて練り歩く姿は、いまやすっかり国会前、経産省前抗議デモの名物となっている。

 「反戦」と銘打った今回の句集には、安倍政権による憲法の乗っ取りが秒読み段階に入った2015年以降、「戦争」をテーマに句会や公募で集められた川柳が収録されている。
 一昨年の第四次安倍政権の発足により、国会はすっかり日本会議に乗っ取られた。「教育勅語」再評価の動きも顕著であり、春から中学の「道徳の教科化」もはじまる。いよいよ教育基本法改正から続く戦後教育の乗っ取りが本格化しようとしている。

 ◆ 戦時標語に言葉で戦う

 こうした状況にあって、本書であらためて呼び返されているのが、15年戦争下に「聖戦」を嗤い、「教育勅語」を諷刺し、「軍隊」を嘲笑い、「日本」の矛盾を穿つ川柳を発表して投獄されたプロレタリア川柳作家・鶴彬の軌跡である。
 「鶴彬と平和教育」「鶴彬の時代の空気と今」「鶴彬墓参ツアーに参加して」「緊張感の中で『反戦川柳人鶴彬』碑前祭」など、ここでは各地の鶴彬再顕彰の取り組みが紹介され、あらためて川柳と「戦争」の関係、川柳が辿った苛酷な歴史、時代の矛盾と対峙するその芸術性に光が当てられている。

   「修身にない孝行で淫売婦」(1936年)。

 そう鶴彬は切り返し、「教育勅語」と「修身」の矛盾と弱点、厚顔無恥を嘲笑した。国家に乗っ取られた教育を、言葉で再び乗っ取り返すこと。それが鶴彬の川柳の手法でありエッセンスにほかならなかった。

   「タマ除けを産めよ・殖やせよ勲章をやろう」(一九三七年)。

 同じく、そう鶴彬は切り返して戦時下の国策標語「産めよ殖やせよ国のため」の欺隔を挟り出し、嘲笑った。
 銃後の街頭を埋め尽くした七五調の標語を、同じく七五調一七字の川柳で「正しく」書き換え、乗っ取り返してやったのだ。

 乗っ取りには乗っ取りで、言葉には言葉で。一言葉で国家に負けるわけにはいかない。それが川柳の戦い方であり、矜持にほかならなかった。

   「日の丸に真っ赤な嘘がよく似合う」
   「子を産ませ爆弾にした国忘れ」
   「悪者は殺していいのと孫が問い」
   「廊下奥いつも平和を立たせたい」。

 この句集とともに、言葉を乗っ取り返す戦いに参戦したい。

『週刊新社会』(2019年1月29日)


 【ダボス聯合ニュース】より

 韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は23日、スイス・ダボスで日本の河野太郎外相と会談し、朝鮮半島の非核化や恒久的な平和定着に向けた協力をはじめ、日本による植民地時代に強制徴用された被害者への賠償を日本企業に命じた韓国大法院(最高裁)の判決、韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射したと日本が主張する問題などについて議論した。韓国外交部が発表した。



 大法院の昨年10月の判決以降、両氏が直接会って会談するのは初めて。会談は当初30分の予定だったが、懸案を巡り議論が長引き50分間行われた。

 外交部によると康氏は大法院の判決に対する韓国政府の立場を説明し、「この問題が韓日関係の未来志向的発展に向けた努力を妨げないよう外交当局が知恵を集めよう」と呼びかけた。これに対し河野氏は日本政府の立場を説明した。

 康氏はまた、韓国艦が海自機に火器管制レーダーを照射したと日本が主張する問題について日本政府の対応に懸念を示し、両国の国防当局間の協議を通じて早期に解決する必要があると指摘した。

 一方で両外相は朝鮮半島問題をはじめとする韓日および韓米日の安全保障協力をゆるぎなく維持すべきとの点で一致した。

 康氏は2回目の朝米(米朝)首脳会談の開催に期待を示した上で、「完全な非核化と朝鮮半島の恒久的な平和定着の実質的進展に向け両国間の連携を続けていこう」と呼びかけた。河野氏は非核化の具体的成果が重要だと強調した上で、韓日間の懸案とは別に朝鮮半島問題について韓日の緊密な意思疎通と連携を続けることに期待を示した。

 外交部は「両外相はさまざまな難しい懸案に対し賢く対処しながら、韓日関係を未来志向的に発展させるための努力の必要性を再確認した」と説明した。

 一方、康氏は会談の冒頭、「日本の哨戒機による韓国艦艇に対する低空近接飛行が18日以降、きょうを含めて3回あった」と懸念を示した上で遺憾を表明した。その上で「状況が難しいときほど外交当局が節制し思慮深く両国関係を持続、発展させなければならない」と述べた。康氏は非公開の会談でまず哨戒機問題について取り上げ、抗議したとされる。

 河野氏は冒頭、両国の関係は非常に厳しい状況ではあるが直接会って会談することに意味があるとし、両国間の難しい課題について率直に対話したいと話した。また、北朝鮮と米国の動向を含め、北朝鮮問題についても確実に連携を確認できるよう願うと述べた。



  =注目の人 直撃インタビュー(日刊ゲンダイ)=
 ◆ 新潟県立大学教授の袴田茂樹氏
   〜ロシア専門家が警鐘「北方領土問題進展は日本側の幻想」


 北方領土問題を含む平和条約締結交渉に向け、安倍首相とロシアのプーチン大統領が1日、アルゼンチンのブエノスアイレスで会談。「平和条約締結後に歯舞、色丹両島を日本に引き渡す、と明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速させる」とした11月のシンガポールでの首脳合意を踏まえ、今後、河野太郎、ラブロフ両外相を責任者として協議を本格化させるという。

 これを受け、日本メディアの報道では「北方領土問題進展」「2島返還先行」「2島返還+α」などの論調が目立つようになったが、こうした報道や日本政府の姿勢に対し、「日本の対ロ認識は甘すぎる」と警鐘を鳴らしているのが、新潟県立大学教授の袴田茂樹氏だ。ロシア専門家の目に北方領土問題はどう映っているのか。


 ◆ 「プーチンの考え方は6年前から変わっていない」

  ――安倍首相とプーチン大統領が「56年宣言」を基礎に北方領土問題を協議することで合意したと報じられました。ロシア側、とりわけプーチン大統領は北方領土問題に対して強硬姿勢を貫いてきましたが、対応の変化があったのでしょうか。

 プーチン大統領の近年の考え方は、ほとんど変わっていません。彼は以前から「56年宣言」を認めると言っています。首相だった2012年3月1日にロシアで開いた会見でも、日本や欧州メディアの記者に対し、「『56年宣言』が日本の国会、旧ソ連の最高会議でも批准された唯一の条約だ」と発言しています。

  ――プーチン大統領の姿勢は6年前と同じ。

 そうです。そして、12年にロシアの公式サイトに掲載されたプーチン発言はこうです。「国後、択捉は交渉の対象外」「『56年宣言』には引き渡し後の主権がどちらの国のものとなるのか、どういう条件で引き渡すかについても書いていない」と。

  ――11月の日ロ首脳会談後にロシア側が出した声明と同じですね。つまり、北方領土交渉は何ら「進展」していない。それなのに、なぜ、すぐにでも2島返還が実現するかのような論調があるのでしょうか。

 12年の時、日本メディアは(プーチン発言の)「ヒキワケ」「妥協」といった言葉に焦点を当て、「北方領土決着にプーチン氏意欲」などという言葉を使い、あたかもロシア側が譲歩したかのごとく報じていました。
 私はすぐに「日経ビジネスオンライン」で、プーチン発言の詳細を紹介し、日本の報道は一方的で、北方領土問題や平和条約に対するロシアの態度は日本側が思うほど甘くはない。はるかに厳しいと書きました。

  ――今回も、歯舞、色丹の返還は既定路線で、平和条約締結後の交渉次第では国後、択捉もあり得るのではないか、との見方がありますね。

 「2島返還先行」や「2島返還+α」を主張する人たちは、まずは2島が返還されれば、2島周辺の200カイリの排他的経済水域が日本のものになるので、日本の漁業にとっていいこと、などと説明しています。しかし、それはロシアが日本に主権を引き渡すことが前提ですが、プーチン大統領はそのような発言を全くしていません。
 「2島返還先行」「2島返還+α」を主張している人たちは、ロシア側の思惑やプーチン大統領の考えをリアルに把握していない。単なる日本側の期待や思い込み、幻想をベースにした一方的な解釈と言っていい。大体、平和条約締結というのは戦後処理が最終的に終わったことを意味します。条約締結後に領土交渉はあり得ません

  ――幻想に世論が引っ張られている。

 ロシア側は「『56年宣言』には、引き渡した後の主権については書かれておらず、引き渡しは返還ではない」と明確に主張しています。2島返還後もロシアが主権を保有し続ける可能性があるのです。
 しかし、日本メディアは、「56年宣言」のロシア側理解がプーチン大統領によって根本的に変えられていることを報じないまま世論調査しているわけで、調査結果は正確さを欠いていると言わざるを得ません。

 ◆ 「東京宣言」を守りながら「56年宣言を基礎」は意味不明

  ――プーチン大統領の本音をどう捉えていますか。

 彼は、どういう条件で引き渡すかは「56年宣言」に書いていないと言っていますが、実際には明確に書いてあります
 「平和条約締結後に歯舞、色丹を日本に引き渡す」と。
 つまり、条件は平和条約締結で、それ以外の条件は何もありません。
 当時の日ソ両国は当然、主権を日本側に引き渡すと考えていたわけですが、彼は独自の解釈を打ち出し、日本に主権を渡さないばかりか、引き渡しそのものについても難色を示している。そして「『56年宣言』は解釈が複雑で、話し合いも長期間かかる」と言い始めました。
 まるで今、私は解決するつもりはありません、といわんばかりの態度です。

 ◆ 領土交渉は焦るほど立場が弱くなるだけ

  ――プーチン大統領は交渉加速どころか、2島返還の意思すらない。

 言葉の上で合意したといっても、プーチン大統領に加速の姿勢は一切、感じられません。相変わらず厳しい態度で、発言内容も考え抜かれています。
 彼が「領土交渉を一切やるつもりはない」と断言したら、日本はすぐにロシアとの経済協力の交渉を打ち切るでしょう。しかし、中国と経済問題を抱えるロシアは、対中交渉のためには日本カードが必要と考えている。だから、「交渉は簡単ではない」という言葉でごまかし、日本側に期待を持たせている
 問題解決に関心を持っているとのポーズを取りつつ、本質的な部分は何も譲歩していないのです。

  ――それでもロシアはブエノスアイレス会談で、協議担当の責任者にラブロフ外相、交渉役の大統領特別代表ににモルグロフ外務次官を据える人事を決めました。

 ラブロフ外相、モルグロフ外務次官ともに強硬派で知られた人物。プーチン大統領の指示を忠実に実行し、交渉をロシアペースで進めるための人選でしかないでしょう。

  ――ロシアが主張する「引き渡しは返還ではない」「主権は渡さない」というのはどういう意味なのでしょうか。

 日本に経済開発権や住民の居住権を与えたとしても、ロシア領であることは変わりない、という意味ですから、そうなると、2島周辺の排他的経済水域もロシアの水域という主張でしょう。
 そして「引き渡し」さえも無条件ではないとなると、賃貸(租借)その他の条件をつけることを示唆していることにもなる。あるいは管轄権は与えるから、インフラ整備はしっかりやってほしい。でも、主権はロシアが持ち続ける、かもしれません。

  ――日ロ首脳会談では「56年宣言を基礎にする」となりましたが、日本がこれまで一貫して主張してきたのは、93年に細川首相とエリツィン大統領が署名した「4島の帰属問題を解決して平和条約を締結する」という「東京宣言」の立場です。「56年宣言」と整合性が取れませんね。

 そうです。安倍首相菅官房長官「日本政府は従来の方針と変わらない」と繰り返しています。従来の日本政府の方針は「東京宣言」であり、「56年宣言」は「国後、択捉は交渉の対象外」というのがロシア側の理解ですから、両宣言の交渉対象の島の数はまったく異なる。従来の基本方針を守ると言いながら、「56年宣言を基礎に」というのは意味が分かりません

  ――プーチン大統領は01年の「イルクーツク声明」や、03年の「日露行動計画」で、「東京宣言」を認めていました。いつから考えが変わったのですか。

 彼が態度を変えたのは05年9月です。国営テレビで初めて「第2次大戦の結果、南クリル(北方4島)はロシア領となり、国際法的にも認められている」と発言した。完全に歴史を修正したのです。

  ――日本国内では「東京宣言」は強硬論で、そのために北方領土問題が進展してこなかったという意見もあります。

 「東京宣言」は強硬論ではありません。4島の帰属先は何も書かれていないからです。原理原則から言えば、4島は歴史的にも法的にも日本の領土です。しかし、原理原則論でロシアと向き合えば、交渉のテーブルに着くはずがありません。
 ロシアを交渉のテーブルに着かせるため、近年の日本政府は4島一括返還という文言を一切使っていないのです。日本側が強硬論で押し通してきたわけではなく、ロシア側が強硬姿勢に変わったのです

  ――あらためて日本はロシアと、どう向き合うべきだと思いますか。

 かつて日本は対ロ政策で「政経不可分」(北方領土問題の話し合いが進展しなければ、経済関係も進めない)と言う時代もありましたが、その後、80年代末に「拡大均衡」(領土交渉と経済協力を均衡を取りながらともに前進させる)という考え方になりました。
 私は「拡大均衡」という形でバランスを取りながら協議していくべきだと考えています。領土問題を2〜3年で解決するのは不可能です。香港は英国から中国に返還されるまで99年間もかかったのです。期限を切り、焦るほど交渉の立場が弱くなるだけです。

(聞き手=遠山嘉之/日刊ゲンダイ)

 ▽はかまだ・しげき 1944年大阪府生まれ。東大文学部卒。モスクワ大大学院修了、東大大学院国際関係論博士課程単位取得後退学。青山学院大国際政治経済学部教授、モスクワ大客員教授、プリンストン大客員研究員などを経て現職。青山学院大名誉教授、安全保障問題研究会会長。「ロシアへの反論」(自由国民社・共著)、「現代ロシアを見る眼 『プーチンの十年』の衝撃」(NHK出版・同)など著書多数。

 『日刊ゲンダイ』(2018/12/10)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243176


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