最高裁の審査 国民から遠ざけるな 「憲法の番人」にふさわしいかどうかを判断する最高裁裁判官の国民審査は、司法を民主的にコントロールする重要な仕組みだ。形骸化が言われているとはいえ、投票の機会を損なう欠陥を放置するのは許されない。 衆院選と一緒に投票する国民審査は今回、投票率が衆院選より約1・8ポイント低かった。188万人余が衆院選に投票しながら国民審査に投票しなかった。毎回、同じ傾向が続いている。 投票所で国民審査だけ投票用紙の受け取りを拒否した人もいるだろうが、制度の欠陥で投票できなかった人が多いとみられる。 期日前投票が衆院選は「公示日翌日から」、国民審査は「投票日の7日前から」とそれぞれの関係法で定められ、投票期間のずれが解消されないからだ。海外在住者の投票が国民審査だけ認められていない問題もある。 期日前投票は今回の場合、衆院選が3日から始まったのに対し、国民審査は7日にようやくスタートした。衆院選公示直後の4日間に投票所を訪れた有権者は国民審査に投票できず、投票するには7日以降に出直さなくてはならなかった。制度を管轄する総務省には苦情が相次いだ。 総務省は、衆院選と違い投票用紙に裁判官の氏名を印刷する時間がかかるなど事務的な理由を挙げる。しかし、期日前投票が導入された10年以上前から指摘されている問題だ。改善しないのは不作為と言われても仕方がない。 国民審査は、米国の州裁判所の裁判官の信任投票をモデルに戦後導入された。最高裁の15人の裁判官のうち前回衆院選後に任命された裁判官が審査を受ける。辞めさせるべきだと考える裁判官に×印を付け、それが有効投票の過半数になったら罷免される仕組みだ。 これまで罷免された例はない。米国のような裁判官公選の歴史のない日本にはなじまない、独立した存在であるべき裁判官が社会の多数派に迎合しかねない、などとして廃止を求める意見もある。 しかし、「砂川事件」を担当した最高裁長官が、判決を出す前に駐日米大使に会い、米軍駐留を違憲とした一審判決を「全くの誤り」と伝えたように政治からの独立性を疑わせる例もある。国民の目で不公正を抑える必要がある。 それには、投票機会の欠陥を改善するだけではなく、なぜその裁判官が任命されたのか、どんな姿勢を持っているかなど、国民の判断のための情報を丁寧に提供することが欠かせない。 |

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