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国連人権理事会 言論・表現の自由に関する特別報告者
:「機密取材で罪」懸念 訪日調査へ

2016年04月10日

国連人権理事会が任命した特別報告者で、「表現の自由」を担当する米カリフォルニア大アーバイン校のデビッド・ケイ教授(47)が12日から訪日調査をする。昨年12月の予定だったが、日本政府の要請で直前に延期になった。日本で国民の知る権利や表現の自由が脅かされていないかどうか、政府の対応などを聞き取る。来日を前にケイ教授に調査のポイントなどを聞いた。

【聞き手・ロサンゼルス長野宏美】
     −−なぜ、調査が延期になったのですか。
     ◆日本政府から「政府当局者の都合が合わない」と説明を受けた。今年秋への延期を提案されたが、大学の講義などがあり多忙だ。早い時期を希望した。
     −−調査のポイントは何ですか。
     ◆各国でジャーナリストの(権利)保護や情報へのアクセス、インターネットの自由などを調べている。特に法的環境を見る。日本では例えば、特定秘密保護法が情報へのアクセスに、どう関係するのか。ジャーナリストが圧力を感じているという指摘もある。一方、日本は検閲なしにインターネットに自由にアクセスできる面もある。政府やメディア、NGO関係者に聞き取りをし、(改善点を)勧告する。
     
    −−秘密保護法について知りたい点は。
     ◆安全保障に関わることだからと政府が秘密指定し、(国民が)情報を入手できなくなることを懸念している。一般の人が、政府が何をしているのか評価できることは非常に重要だ。政府がどのように情報へのアクセスを保障しているのか、不正を内部告発できる状況か(を把握したい)。
      
     −−米国と比べ問題点はありそうですか。
     ◆米国は機密や秘密に分類されるものが多すぎる。しかし内部告発者を保護する強い法律がある。政府がどのように国民を守ろうとしているのか聞きたい。米国ではジャーナリストが機密情報にアクセスしても原則、違法ではない。日本の秘密保護法で罪になり得ることを懸念している。
     
    −−高市早苗総務相が放送法の「政治的公平」の解釈を巡り番組に問題があれば放送局に電波停止を命じる可能性に言及しました。
     ◆もし政府が放送局に特定の観点を強要することがあれば問題。公平とは何か。常に政府側の見方なのか。政党の主張を述べないことなのか。テレビキャスターが交代した話題も関心がある。政府には規制だけでなく、報道しやすい環境を促進する役目もある。もしジャーナリストが厳しい質問を控え、情報にアクセスできなくなれば、人々は情報に基づく選択ができなくなる危険性がある。

     日本側要請で一度延期

     国連人権理事会は、国際的な人権基準に照らして各国を調査し、問題点の改善を勧告する。特別報告者の公式訪問調査の対象は担当ごとに年間数カ国だけで、表現の自由に関して、その一つに日本が選ばれた。

     表現の自由担当の前任の特別報告者は2013年、国会審議中の特定秘密保護法に懸念を表明した。後任のケイ氏はそれを受けて調査に乗り出した。

     訪日調査の延期は日本政府が直前に要請し「予算編成作業があり十分な受け入れ態勢を取れなかった」(外務省)と説明した。これに日本の人権保護団体は抗議した。外務省は今回、「局長・審議官級が対応する」としている。

     表現の自由に詳しくケイ氏と親交のあるローレンス・レペタ明治大特任教授は「報道機関に政府の圧力がかかっているとされる問題、高市総務相の発言、週刊誌に対する名誉毀損(きそん)訴訟など、知る権利が脅かされている現状を調べてほしい」と話す。【青島顕】

    毎日新聞 

      《Change.org》
     ◆ 【高市総務大臣「電波停止」発言に抗議する放送人の緊急アピール】を応援します!
       政治家に放送法の遵守を求める視聴者の会


     2月29日に、青木理、大谷昭宏、金平茂紀、岸井成格、田原総一朗、鳥越俊太郎の6氏が会見を開き、以下の声明を発表しました。(田勢康弘氏は当日出られなかったが連名)
    http://appeal20160229.blogspot.jp/

     声明は「私たちは怒っている」という言葉から始まっていますが、国民も怒っています。
     放送法第一条には法の目的として「放送が健全な民主主義の発達に資するようにする」とあります。


     放送法四条の「政治的公平性」とは、権力者の立場に偏らないという意味での公平性であり、権力が暴走しようとしたら、メディアはそれを止められるようでなければならないという意味です。
     公平性を判断するのは国民であり、メディア自身であり、そのためにつくられたBPOです。
     断じて、政府や省庁、政権与党が判断するものではありません。
     そのことを理解しない高市総務大臣および安倍政権には、大臣の資格も総理の資格もありません
     私たちは、勇気あるジャーナリストたちが発した声明を全力で支持するとともに、志を同じくする報道人たちがこれに続いて声をあげることを心から願い、また応援します。

     ※2/29の会見で、岸井さん応援署名を岸井さんご本人が紹介してくれました!署名用紙も手に持って。その部分を書き起こしましたのでご覧ください↓
    https://goo.gl/O7blSc

     『政治家に放送法の遵守を求める視聴者の会』
    https://www.change.org/organizations/%E6%94%BF%E6%B2%BB%E5%AE%B6%E3%81%AB%E6%94%BE%E9%80%81%E6%B3%95%E3%81%AE%E9%81%B5%E5%AE%88%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%8B%E8%A6%96%E8%81%B4%E8%80%85%E3%81%AE%E4%BC%9A

     新しい署名を始めました!&岸井さんご本人が応援署名を紹介してくれました!
     キャンペーンについてのお知らせ -「私達は、政治家に対し「放送法」の遵守を求めます!!(報道への介入をやめて下さい)」


    パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2

    統一地方選 市区町村議選の投票率 過去最低 くら〜い選挙

    4月27日 6時00分


    26日に投票が行われた統一地方選挙の後半戦:
    市議会議員選挙と区議会議員選挙、町村議会議員選挙の投票率はいずれも過去最低。

    総務省によると、統一地方選挙の後半戦のうち、
    ▽市議会議員選挙の投票率:48.62% 前回より2ポイント余り下がり初めて50%を切り過去最低
    ▽区議会議員選挙は42.81% 過去最低
    ▽町村議会議員選挙は63.12% 過去最低

    さらに
    ▽市長選挙は50.53%、
    ▽区長選挙は44.11%、
    ▽町村長選挙は69.07%で、区長選挙以外、過去最低。

    3つの県庁所在地の市長選挙の最終の投票率
    ▽水戸市長選挙が47.53%、
    ▽高松市長選挙が47.61%、
    ▽大分市長選挙が43.58%でした。

    このうち高松市長選挙では、過去最低だった平成15年を7ポイント余り下回り、最も低かった。


    毎日新聞 3月27日(金)13時54分配信

    <1票の格差>高裁宮崎支部も「違憲状態」、無効請求退ける  


     「1票の格差」が最大2.13倍だった昨年12月の衆院選は法の下の平等を定めた憲法に反するとして、弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟で、福岡高裁宮崎支部(佐藤明裁判長)は27日、小選挙区の区割りを「違憲状態」とする判決を言い渡した。宮崎、鹿児島両県全8選挙区の選挙無効の請求は退けた。

     昨年の衆院選に対し二つの弁護士グループが起こした訴訟17件のうち、27日までに計14件の判決が出され、違憲1件、違憲状態9件、合憲4件となった。

     衆院選の1票の格差訴訟では、2009年選挙(最大格差2.30倍)と12年選挙(同2.43倍)に対し、それぞれ11年と13年に最高裁が「違憲状態」と判断。国会は12年の法改正で、各都道府県にまず一つずつ議席を配分する「1人別枠方式」の規定を削除し、選挙区定数も「0増5減」した。原告側は最高裁が違憲状態と判断した後も、1人別枠方式を実質維持したまま衆院選を実施したなどと主張していた。

     今月25日の福岡高裁判決は、国会の取り組みでも構造的問題が解消されておらず「是正のための合理的期間も過ぎている」として違憲判決を出した。一方、選挙無効の請求は混乱が生じるなどとして棄却していた。

     総務省によると、昨年12月の衆院選で議員1人あたりの有権者数が全国最少だった宮城5区を1とすると、宮崎1区は1.51倍、鹿児島1区が1.45倍だった。【尾形有菜】

    井上伸 / 中野 晃一 上智大学教授インタビュー

    「寄生階級が国家私物化し国民生活空洞化させ日の丸振り回し誤摩化す-ヘイトスピーチ、右傾化はエリート主導」

    ――中野先生は著書の中でキャリア官僚の動きも追っていらっしゃいます。官僚の権威が失墜する中で、余計に右翼的な勢力が台頭してきたとお考えですか?

    小選挙区制は官僚も骨抜きにした

    そうですね。特に90年代、いわゆる失われた10年、20年と言われるようにバブルが崩壊し、冷戦も終わった。その中で自民党も一党支配が終わるということがありました。55年体制が終わるわけです。その中で、自民党は官僚側に責任のすり替えを行ったところもあって、実際に省庁においても、バブル期を中心に汚職事件や問題行為が明らかになりました。自民党はそれをかばうような体力もなかったし、むしろそちらに目先を変えて自分たちも改革政党なんだというポーズを取りたがった。ある意味、そこで政高官低のような状況ができるわけですね。それによって官僚の文化や行動規範も変わっていったように思います。
    天下りや接待などの面でルールが厳しくなった一方で、めざとい官僚はある程度早めに政界に出てしまう、あるいは財界に出てしまうという行動をとる。残って出世する場合は権力者にすり寄っていくという形に移っていきました。それは実際のところ、小選挙区制や中央省庁再編のような、いわゆる改革と呼ばれていたものが志向していたものでもあったわけです。というのは、小選挙区制によって2大政党のどちらかのマニフェストが承認され、官僚はその言うことを聞けということでやってきているわけですから、官僚側が政界の時の権力者になびいていくような体質に変わっていくのは、ある意味意図されたところでもあったわけです。その結果、法の支配を担保する行政のプロであったはずの官僚たちまでが骨抜きになり、今のようなタガが外れた状態が用意されてしまったということはあると思いますね。

    「寄生階級」が国家を私物化し、日の丸を振り回して誤摩化す

    ――新自由主義の下で、国家がやるべき国民の生活を守るということを自己責任にし、その結果、国家が支える国民生活は空洞化して、官僚は天下りなどで甘い汁を吸うという構造になっています。国民には自己責任だという一方で、自分たちだけは甘い汁を吸っている。
    結局、政治家も同じことをしているわけですね。とりわけ90年代後半からどんどんそういった傾向が高まって、小泉政権期で加速したのだと思います。それはやはり、保守のあり方自体が大きく変わっているということがあるのだと思います。それまでであれば、岸信介でさえ年金などの制度を整えたことに見られるように、一定の国民生活が担保されない限り、国家というものの権威は維持できないという了解があったと思います。しかしその後は、統治エリートが遥かに簒奪的・収奪的な動き方をするようになっていく。その場凌ぎでもいいから、今とにかく自分の権益が増やせればいいということで、あとは野となれ山となれという発想が強い。
    これは実は国民生活の面だけに限らず、立憲主義の形骸化も同じだと思います。たとえば、本当の保守であれば、解釈改憲だけで集団的自衛権の行使容認などやるべきではないというのは分かるわけです。そんなことをして、時の権力者が好き勝手に憲法さえ変えてしまえるということになれば、国家の基盤である日本国憲法の権威が失墜します。また後々に悪い例を及ぼして、結局は自分たちにもマイナスが生じる。本来であれば、それが分かるのが保守の発想であるはずです。しかし自分さえ良ければいいというような形に変わっていって、どんどん驕りが見えてくる。国家という名を語りながら、中身としては少数のエリートが天下りをしたり補助金をジャブジャブ使ったりということをし、仮想敵を煽り、目をそらして国民生活をどんどん空洞化させていく。私は「寄生階級」という言葉を用いることがあるのですが、国家に寄生をして、私物化して、空洞化して、単にやたらと日の丸を振り回して誤摩化すというようなことが行われつつあるんじゃないかと思っています。

    ヘイトスピーチはエリート主導によるもの

    ――ヘイトスピーチの問題についてはどのようにお考えですか?
    時系列でみると、ヘイトスピーチあるいは在特会のようなものが出てきたのは、政治主導というかエリート主導によるものだと私は思います。週刊誌や政治家のヘイトに満ちた言説が先に出てきて、社会がそれに呼応するような形になっているというのが、より実態に合うのだと思います。
    今はもうない文春の『諸君!』やフジ産経グループの『正論』などのマスメディアで、とりわけ90年代の後半から反日、嫌韓、媚中といったレッテル貼りが出てきました。特に中国・韓国・北朝鮮などをターゲットとしたヘイトのまき散らしが始まったのです。その中で歴史修正主義的な本も広く出てくるようになったという状況がありました。それに続いて小泉さんが靖国に参拝をし、日米関係さえ良ければあとはどうにでもなるんだとうそぶいて、日中関係、日韓関係に関して一切歩み寄ろうという姿勢を示さなかった。自分の国がどこに行こうと他国に言われる筋合いはないという形でやっていたわけです。それが今の風潮を後押ししたというのはあったと思いますね。それで親中派と書かれていた人たちが媚中派と書かれたり、反日政治家と書かれたというようなことがあって、その後、2006年12月に在特会が結成されるというタイミングがありました。ですので、社会や街角にヘイトが出てくるというのは、マスメディアや政治家の誘導によるものが大きい。マスメディアや政治家がヘイトスピーチの先鞭をつけたという方が実態に近いと思います。
    これは、レイシズムやゼノフォビアについて日本とヨーロッパの比較をしてみても、やや際立つところではあると思うんですね。ヨーロッパでもゼノフォビアやEU反対、あるいはイスラムに対する嫌悪感は大きな問題になっているわけですが、あちらはむしろ社会主導的なところがあります。実際には移民労働者の数が増えているとか、治安の問題だとか、いろんな問題をつなげて論じられるような中で、ある種そうした団体が出てきているのだと思いますが、日本の場合はコンビニで働いているような中国人や韓国人の人たちに対して暴力やいやがらせが多発するということはないですよね。
    明らかにエリート側が煽る形で、次第に社会もそれに呼応する部分が出てきている。もちろんマイノリティに過ぎないけれども、そのマイノリティがどんどん目立つ、声が大きいということで、それがさらに雰囲気をつくってしまっているというところがあると思います。
    マスコミや政治家エリートの責任は非常に大きいと思います。ヘイトに限らず、いわゆる右傾化の全体がエリート主導で来ていると思っています。ですので、長期的には社会に対しての影響は出てくると思いますが、社会が先に動いて極右政党が出てくるという話ではないと思うのです。そうすると、国民世論と安倍政権の政策との間に随分乖離があるというのは、そういうところに問題があるともいえると思います。

    リベラルと左派が砦を築き直し新たな地平へ

    ――そうした選挙後の状況の中で、今後の社会運動はどのように展開していけばいいでしょうか?
    より広い運動をつくっていくことが大事で、特効薬はないと思います。というのは、安倍政権がここまで暴走するようになったのは、安倍さんが登場していきなりそうなったわけではなく、その前に小泉さんの準備があり、小泉さんがあそこまでやってしまう前提条件として、橋本さんの改革があったり、小選挙区制の導入があったり、もっと前には中曽根さんの労組叩きや小沢さんの社会党潰しなど、いろいろな動きが段階的に進められてきたわけですね。
    反動的な戦略で歴史修正主義を政治のメインストリームに押し上げた
    歴史修正主義に関してもそうです。95年の村山談話の時には自民党の中は割りましたが、世論や日本の国民常識でいえば、村山談話的なものにある程度コンセンサスがあったと思います。当時の中川さんや安倍さんみたいな歴史観は異端中の異端で、極一部のちょっとおかしな人が言っているだけのような話でした。南京虐殺はなかったとか「慰安婦」はみんな売春婦だとか、そんな言説は一部の極端な人たちのものだと見なされていたわけです。それが約20年の間に、すでに政治のメインストリームになってしまっている現実がある。それは逆に、私たちの方がそこから反省しなくてはいけないと思うのです。
    彼らは、95年の段階では誰も耳を貸さなかったことをメインストリームにするだけの、組織的な戦略を展開してきているということです。それは権力を握っていたからやりやすかったということも当然ありますが、私たちも社会の中で一つひとつ砦を築き直し、失った陣地を取り返さなきゃいけない。そして新たな地平を開いていかなければいけないと思うのです。
    そういった意味では、先ほどの戦略的投票とは別のレベルでの戦略的な試みが必要だと思います。ただ、できるだけ早くこの安倍政権は失墜させた方がいいと思うものの、それで問題が解決するほど甘いものでもないと思います。安倍さんがいなくなってもまた同じような別の人が出てくることになりますから、それをひっくり返した上でバランスをしっかり取り直すためには、やはり、より広いたたかいができるようにしていかなければいけないと思うのです。

    リベラル層との連携における課題

    そのためには、私は2つ重要な点があると思っています。
    一つは、いわゆるリベラルです。よくリベラル左派とくっつけて言われますが、同じものではありません。いわゆるリベラル陣営は、新自由主義と呼ばれるものの問題点をきちんと直視し、それが唱える自由がいかにやせ細った企業だけの自由かを訴える必要があります。
    安倍さんが国会の施政方針演説で「日本を世界で一番企業が活動しやすい国にしたい」などと言っていますが、当然それは労働者にとって一番辛い国になるわけです。そのようにグローバル企業の最大化になってしまっていて、そのためには何が踏みにじられても構わないというところまできてしまった。その自由の中身の薄さをきちんと直視し、そうではないんだということで、自由のもっと豊かな意味を取り戻すことが非常に重要だと思います。そういった意味で、リベラル層というのは新自由主義ときちんと対決をし、そこの問題点あるいは看板に偽りがある部分を暴く作業をやっていかないといけない。でなければ左派がそこと組むのは極めて難しいということになってしまうと思います。
    今回の戦略的投票の無理も、それが一つあったと思うんですね。もうちょっと新自由主義の問題点についてきちんと分かっている候補者がいれば、左派とリベラルの連携はやりやすかったと思う。その辺はきちんと考えるべきだと思っています。

    社会の多様性に応える勢力に

    もう一つは左派の方です。今回の選挙では共産党が躍進しましたが、そうはいっても、かつてと比べると勢力が弱まっているのは間違いありません。これだけ社会問題が山積みになっているのに、共産党がもっと多くの人に支持されないということについて、自分たちにも何か問題があるんだと受け止め、きちんと向き合うべきだと思います。
    そもそも左派がここまで弱まった一つの理由は、当初、冷戦期の文脈の中で多くの人たちが渇望していた自由な生活、自由な社会のあり方に応えるものが、新自由主義にあったからなんだと思うのです。それを左派はきちんと受け止めなかった。団結だとか理論だとか、自分たちが正しくて自分たちの指導によって社会を導くというような姿勢がどうしてもあった。その中で教条主義的なところ、独善的なところが、社会の多様な自由に対する憧れに対して応えることができなかった。そういう問題が大きいと思います。
    今の共産党は、より魅力的な候補者を探してきたり、インターネット発信を非常にがんばっていたり、努力していることは充分承知しています。でもまだまだそういった努力が足りない。自分たちが正解を持っていて、他の人たちにそれが届かないという発想ではなく、より開いたあり方で議論をして、自分たちも学んでいくという姿勢が出てこない限り、なかなか連携はしてもらえないだろうと思います。
    だからリベラルと左派の両側が自分たちの問題点を乗り越えつつ連携できるような、役割分担ができるような体制が整っていくことを、ちょっと気が長い話ですが、これから10年、20年かけてやっていかなければいけない。ただ、それをやれば今とは違った政治バランスが取り戻せるのではないかと思います。

    違いを認めた上で連帯を広げる

    ――若い世代の反原発運動や特定秘密保護法反対運動などに希望を感じます。
    そうですね。状況がそれだけ悪くなっているといえばそういうこともあると思いますが、まさにそういったところが、希望の持てる要素に今なっているんだと思います。
    日本は一般的に若者の政治意識が低いと散々言われているし、実際にそういうところもあると思いますが、その中でも自分たちで新たな運動をつくったり実際に活動していて、私も含めて上の世代にはできないインターネットや動画を駆使してより広い呼びかけをしようとしています。それは非常に心強いことだと思いますね。そういったことを受け止めるようなあり方に、今後、既存の対抗勢力も変わっていかなければいけません。
    その点で非常に気になっているのは、これまでは同じ利害を共有する者たち、アイデンティティを共有する人たち同士の団結に強調点が置かれていましたが、そういう発想ではいけないのではないかということです。異なる立場にある人間たちの連帯という方向でみていく必要がある。同じでないから喧嘩するのではなく、違うということを前提にした上で共闘することができないか。今こういう国家権力の暴走に対してたたかうために役割分担ができないか。違いを認めた上で連帯を広げるということを模索するべき段階にあると思うのです。もちろん若者たちの新しい運動が間違えることもあるでしょうし、私たちも間違えることがあるでしょうけれど、そういったところはあまり厳しくお互い糾弾したり総括しないで、失敗してもまた立ち上がり、一緒にたたかうということで乗り越えていくというような、柔軟な、より自由で多様な思考錯誤を認めるようなやり方をしていかなければ、およそ持たないと思う。そこはある意味、若い世代よりも、従来の運動体側に迫られる変化です。そうしないと高齢化が進んでいくばかりで、なかなか若い人たちと上手くつながっていくことはできないと思いますね。

    非正規労働者や女性とつながる労働運動を

    ――労働組合は組織率が17.5%となり、史上最低を更新してしまいました。私たち国公労連は、国家行政機関で働く仲間で組織する労働組合ですが、労働組合や国公労働者への要望などがあればお聞かせください。

    誰のための労働運動なのか?

    労働運動の問題としては、誰のための労働運動なのか? というところが伝わり切っていないと思います。それは、労働組合の問題点や限界をことさらに取り上げてきたマスコミなどのこれまでのネガティブキャンペーンの影響が大きいと思います。しかし組織率の低下をそれだけのせいに帰結することはできません。その点はやはり、組合員だけ、あるいは執行部だけではなく、社会全体のためにより広い層の代表として自分たちは活動しているんだということを、自信を持ってもっとアピールしていく必要があると思います。
    そのためには、非正規雇用の労働者や女性労働者とどうつながっていくのかということが非常に大事になってくると思います。そこで存在感をより発揮できるようになれば、ポジティブなメッセージもたくさん出てくると思うのですね。もともと、労働組合に限らず一般的な対抗運動やリベラル左派の側が持たれてしまう印象は、いつも怒っていて、いつも反対しているというものです。そうした捉え方をされがちだし、そういうフレームアップをされてしまうところがある。
    ポジティブな、前向きなメッセージの発信を
    もちろん問題が多いから反対するわけですし、国家権力をこれだけ右傾化勢力に握られている中だと反対せざるを得ないわけですが、やはりポジティブな、前向きなメッセージを発信することも大切です。そして笑いの要素も入れることが必要です。
    人間というのは、間違ったりする自分自身を笑えるようなところがあって初めて心が通えることもあると思うので、あまり優等生的で教条主義的にならず、かえって人間としての限界もちゃんと認めた上で活動した方がいいと思います。そういうのが「顔が見える」ということだと思いますし、いつも怒って反対ばかりしているという印象も持たれないような工夫をするのは、一層必要になっていると思います。
    【2014月12月19日、中野晃一上智大学教授談】



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