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国際ガールズ・デー記念イベント

「世界を変えるもう一人のマララたち」  10/5・表参道

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 世界中の人々が「女の子の権利」を認識し、女の子のエンパワーメントを促すための「国際ガールズ・デー」が2013年10月11日に第2回目を迎え、これに合わせて、2013年10月5日、国連大学にて、世界の女の子への応援を呼びかける国際ガールズ・デー記念イベント「世界を変えるもう一人のマララたち」を国連広報センターとの共催で開催されました。

メインフォーラム「世界を変えるもう一人のマララたち」

 フォーラムでは、パキスタンの大学生イルム・ヌールさんが、「世界を変えるもう一人のマララ」の代表として基調講演を行い、パキスタンで女子が教育を受ける上で直面するハードルと、彼女の人生を変えた教育の力、そして将来の夢について語りました
 
 次にトークセッションが行われ、女の子の権利に関する国際社会の動き、女の子が秘める可能性をテーマに、日本の子どもたちと若い女性たちに激励のメッセージが発信されました。
 セッションには、8月に就任した根本かおる国連広報センター所長がモデレーターを務め、大崎麻子関西大学客員教授、加藤俊一中央大学教授・副学長とイルム・ヌールさんが参加しました。
 
 大崎氏は、東日本大震災と災害医療や復興の過程が男性中心であり、女性や妊産婦・ティーンエイジャーの視点が避難所やまちづくりに生かされていない問題を指摘し、復旧・復興において「自分で物事を決めることの大切さ」を強調しました。
 また、日本の政治経済分野のジェンダー指数が、2011年は98位、12年は101位とさらに後退しており、政治・経済・健康の意思決定に関わる女性が圧倒的に少ないことから、運動の力点を女性のエンパワーメント:教育を強化し経済力をつけ、政治に参画し声をあげていく事の重要性を強調しました。
 
 フォーラムの最後に、会場から質問を受け、質問に対してパネラーが答えました。
 言論・表現の自由を守る会の垣内事務局長は、「先月末に、ポルトガルも子どもの権利条約の個人通報制度(※)を批准し、あと2か国の批准で10か国となり効力を発揮するが、この機会にぜひパキスタンと日本の政府に働きかけて、両国の18歳以下の子どもたちの権利を抜本的に改善する道を開いてはいかがでしょうか?」と発言しました。
 ※:個人通報制度を批准した国の子どもたちが、国連こどもの権利委員会に人権侵害について訴えることができるようになることから
 この質問に対して、イルム・ヌールさんをサポートしているパキスタンの女性が、「パキスタンもこどもの権利条約を批准している」「パキスタンの法律では、18歳以下の結婚を禁止している」しかし「実際は守られていない」実情を報告しました。
 
 「(イルムさんは)どんな教育が大切だと考えているのか?」という質問に対して、イルムさんは「1番目は英語、2番目はIT、三番目はコミュニケーションスキル」と答えました。
 
 「どうしたら、周りの友達にこうした国際活動の問題に関心を持ってもらえるのか?」という女子大生の質問に対して加藤俊一教授は、「視野を、行政や経済まで広げることが大切」と、大学生の学生生活についてアドバイスしました。
 
 フォーラム終了後、Raise Your Hand〜世界の女の子のために手を上げよう〜の記念写真撮影を行い、さらに参加者同士と登壇者との交流と歓談が行われ、世界の女の子を応援する問題への理解を深め交流を広げました。

 
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 パキスタン
 インド亜大陸に位置するパキスタンでは、国民の多くが農業で生計を立てており、綿、小麦、米やトウモロコシが主要作物です。人口約1億7,000万人のうち、約4人に1人が国際貧困ライン(1日1.25ドル未満)以下の生活を送っているとされ、周辺国との国境ラインの緊張を抱えるほか、電力など経済インフラの脆弱性やテロなどの治安問題にも直面しています。洪水、地震、サイクロンや干ばつなどの自然災害の発生率が高く、なかでも最も弱い立場にある子どもや女性がその影響を大きく受けています。
 
パキスタン国が抱える問題:
 教育の重要性への理解が不足しており、なかでも女の子がジェンダー(社会的性別)による不平等や差別により教育を受けられず、多くの女の子が初等教育以上に進学できないこと。
  • 健康的な生活習慣、性と生殖に関する健康、家族計画、母子保健に関する知識が不足していること。
  • 親の収入が限られているため、子どもたち、特に女の子の生活が保障されていないこと。
  • 子どもや若者たちが自分自身の生活に関わる意思決定に参加できないこと。
  • 洪水、干ばつ、地震などの自然災害が、弱い立場にある子どもたちの命を危険にさらしていること。
 

各国の体罰等全面禁止法(年代順)

スウェーデン(1979年)

  • 子どもと親法6章1条「子どもはケア、安全および良質な養育に対する権利を有する。子どもは、その人格および個性を尊重して扱われ、体罰または他のいかなる屈辱的な扱いも受けない」(1983年改正)

フィンランド(1983年)

  • 子どもの監護およびアクセス権法1章1条3項「子どもは理解、安全および優しさのもとで育てられる。子どもは抑圧、体罰またはその他の辱めの対象とされない。独立、責任およびおとなとしての生活に向けた子どもの成長が支援されかつ奨励される」

ノルウェー(1987年)

  • 親子法30条3項「子どもは、身体的暴力、またはその身体的もしくは精神的健康を害する可能性がある取扱いの対象とされない」

オーストリア(1989年)

  • 民法146条(a)「未成年の子は親の命令に従わなければならない。親は、命令およびその実施において、子供の年齢、発達および人格を考慮しなければならない。有形力を用いることおよび身体的または精神的危害を加えることは許されない」

キプロス(1994年)

  • 家庭における暴力の防止および被害者の保護について定める法3条1項「この法律の適用上、暴力とは、いずれかの不法な行為、不作為または行動であって、家族のいずれかの構成員に対して家族の他の構成員が身体的、性的または精神的損傷を直接加える結果に至ったものを意味し、かつ、被害者の同意を得ずに性交を行なうことおよび被害者の自由を制限することを目的として用いられる暴力を含む」(1994年/2000年改正、刑法154章)
 

デンマーク(1997年)

  • 親の監護権/権限ならびに面接交渉権法改正法1条「子どもはケアおよび安全に対する権利を有する。子どもは、その人格を尊重して扱われ、かつ、体罰または他のいかなる侮辱的な扱いも受けない」

クロアチア(1998年)

  • 家族法88条「親その他の家族構成員は、子どもを、品位を傷つける取扱い、精神的または身体的処罰および虐待の対象としてはならない」(旧87条、2003年に条文番号変更)
    • (関連規定)家族法92条「親は、子どもを、他の者による品位を傷つける取扱いおよび身体的虐待から保護しなければならない」

ラトビア(1998年)

  • 子どもの権利保護法9条2項「子どもは、残虐に扱われ、拷問されまたは体罰を受けず、かつ、その尊厳または名誉を侵害されない」

ドイツ(2000年)

  • 養育における有形力追放法(民法)1631条2項「子どもは、有形力の行使を受けずに養育される権利を有する。体罰、心理的被害の生起その他の品位を傷つける措置は禁じられる」
    • (関連規定)青年福祉法16条1項「母、父その他の法定保護者ならびに青年は、家庭における教育の一般的促進のためのサービスを提供される。当該サービスは、母、父その他の法定保護者の教育上の責任がよりよい形で遂行されることに寄与するためのものである。また、有形力を用いることなく家庭における紛争状況を解決する手段を示すためのものでもある」
  • ドイツに関する邦語参考文献
    • 荒川麻里「ドイツにおける親の体罰禁止の法制化:『親権条項改正法』(1979年)から『教育における暴力追放に関する法律』(2000年)まで」
    • カイ=デトレフ・ブスマン(湯尾紫乃訳)「ドイツの家庭内養育における暴力禁止の効果」古橋エツ子編『家族の変容と暴力の国際比較』明石書店・2007

ブルガリア(2000年)

  • 子ども保護法11条2項「すべての子どもは、その尊厳を害するあらゆる養育手段、身体的、精神的その他の態様の暴力、〔ならびに〕その利益に反するあらゆる形態の影響から保護される権利を有する」
 

イスラエル(2000年)

  • 最高裁が、イスラエル国 対 プローニット(State of Israel v. Plonit)事件判決において、実質的にあらゆる体罰を犯罪化(体罰を理由とする抗弁を認めず、また体罰の日常的使用はたとえ重大な傷害につながらなくとも児童虐待に相当すると判示)。国会も、親、保護者および教員に対する不法行為訴訟における「合理的懲戒」の抗弁を廃止(不法行為法改正9号)。
 

アイスランド(2003年)

  • 子ども法28条「子の監護には、精神的および身体的暴力その他の品位を傷つける行動から子を保護する監護者の義務が含まれる」
 

ルーマニア(2004年)

  • 子どもの権利保護促進法28条「子どもは、その人格および個性を尊重される権利を有し、体罰またはその他の屈辱的なもしくは品位を傷つける取扱いを受けない。子どものしつけのための措置は、その子どもの尊厳にしたがってのみとることができ、体罰または子どもの身体的および精神的発達に関わる罰もしくは子どもの情緒的状況に影響を及ぼす可能性のある罰は、いかなる状況下においても認められない」
  • 同90条「いずれかの種類の体罰を実行することまたは子どもからその権利を剥奪することは、子どもの生命、身体的、精神的、霊的、道徳的および社会的発達、身体的不可侵性ならびに身体的および精神的健康を脅かすことにつながるおそれがあるので、家庭においても、子どもの保護、ケアおよび教育を確保するいずれかの施設においても、禁じられる」

ウクライナ(2004年)

  • 家族法150条7項「親による子どもの体罰およびその他の非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰は禁じられる」

ハンガリー(2005年)

  • 子どもの保護および後見運営法6条5項「子どもは、その尊厳を尊重され、かつ虐待(身体的、性的および精神的暴力、ケアの懈怠ならびにいずれかの情報によって引き起こされる被害)から保護される権利を有する。子どもは、拷問、体罰およびいずれかの残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける処罰または取扱いを受けない」

ギリシア(2006年)

  • 家族間暴力禁止法4条「子どもの養育の文脈における、しつけのための措置としての子どもに対する身体的暴力に対しては、〔親の権限の濫用に対する対応を定めた〕民法第1532条の対応が適用される」
 

オランダ(2007年)

  • 民法1:247条
1.親の権限には、未成年の子をケアしおよび養育する親の義務および権利が含まれる。
2.子のケアおよび養育には、子の情緒的および身体的福祉、子の安全ならびに子の人格の発達の促進への配慮および責任が含まれる。子のケアおよび養育において、親は、情緒的もしくは身体的暴力または他のいかなる屈辱的な取扱いも用いない。

ニュージーランド(2007年)

  • 刑法59条(親の統制)
(1)子を持つすべての親およびこれに代わる立場にあるすべての者による有形力の行使は、当該有形力が情況に照らして合理的であり、かつ次のいずれかの目的のために用いられる場合には、正当と認められる。
  • (a) 子または他の者に対する危害を防止し、もしくは最小限に留めるため。
  • (b) 子が犯罪に相当する行為に携わり、もしくは携わり続けることを防止するため。
  • (c) 子が攻撃的なまたは破壊的な行動に携わり、もしくは携わり続けることを防止するため。
  • (d) 望ましいケアおよび子育てに付随する通常の日常的職務を遂行するため。
(2) 1項のいかなる規定またはコモンローのいかなる規則も、矯正を目的とする有形力の行使を正当化するものではない。
(3) 2項は1項に優越する。
(4) 子に対する有形力の行使をともなう犯罪との関わりで行なわれた、子の親またはこれに代わる立場にある者に対する告発について、当該犯罪がきわめて瑣末であることから起訴することに何の公益もないと考えられるときは、警察にはこれを起訴しない裁量権があることを、疑いを回避するために確認する。

ポルトガル(2007年)

  • 改正刑法152条「何人も、身体的または心理的な不当な取扱い(体罰を含む)、自由の剥奪および性犯罪を行なったときは、当該行為を繰り返し行なったか否かに関わらず、1年から5年の収監刑に処す」

ウルグアイ(2007年)

  • 民法等改正法(2007年11月20日)
第1条 2004年9月7日の法律第17.823号に以下の条を追加する。
「第12条bis(体罰の禁止) 親、保護者、および、子どもおよび青少年の養育、処遇、教育または監督に責任を負う他のすべての者が、子どもまたは青少年の矯正または規律の一形態として、体罰または他のいずれかの屈辱的な罰を用いることは禁じられる。
 ウルグアイ子ども青少年機関、その他の国の機関および市民社会は、次のことについて共同の責任を負う。
a) 親、および、子どもおよび青少年の養育、処遇、教育または監督に責任を負う他のすべての者を対象とする意識啓発プログラムおよび教育プログラムを実施すること。
b) 体罰その他の形態の屈辱的取扱いに代わる手段として、積極的な、参加型のかつ非暴力的な形態の規律を推進すること。」
第2条 2004年9月7日の法律第17.823号第16条Fの規定を次の規定に代える。
「f) 子どもまたは被保護者の矯正にあたり、体罰または他のいずれかの種類の屈辱的取扱いを用いないこと。」
第3条 民法第261条ならびに第384条第2文および第3文を廃止する。

ベネズエラ(2007年)

  • 子ども・青少年保護法32条A
 すべての子どもおよび若者は、よく取り扱われる権利を有する。この権利には、愛、愛情、相互の理解および尊重ならびに連帯に基づく、非暴力的な教育および養育を含む。
 親、代理人、保護者、親族および教師は、その子どもの養育および教育にあたり、非暴力的な教育および規律の手段を用いるべきである。したがって、あらゆる形態の体罰および屈辱的な罰は禁じられる。国は、社会の積極的参加を得ながら、子どもおよび若者に対するあらゆる形態の体罰および屈辱的な罰を廃止するための政策、プログラムおよび保護措置が整備されることを確保しなければならない。
 体罰とは、子どもの養育または教育における力の行使であって、子どもおよび若者の行動を矯正し、統制しまたは変化させるためにいずれかの程度の身体的苦痛または不快感を引き起こす意図で行なわれるものをいう(ただし、当該行為が刑罰の対象とならないことを条件とする)。
 屈辱的な罰とは、子どもおよび若者を養育しまたは教育するため、その行動を規律し、統制しまたは変化させる目的で行なわれるいずれかの形態の取扱いであって、攻撃的な、人格を傷つける、おとしめる、汚名を着せるまたは嘲笑するものとして理解しうる(ただし、当該行為が刑罰の対象とならないことを条件とする)。」

スペイン(2007年)

トーゴ(2007年)

コスタリカ(2008年)

モルドバ(2008年)

ルクセンブルグ(2008年)

リヒテンシュタイン(2008年)

ポーランド(2010年)

チュニジア(2010年)

ケニア(2010年)

コンゴ共和国(2010年)

アルバニア(2010年)

南スーダン(2011年)

 
  • 更新履歴:ページ作成(2011年10月25日)。なお、ニュージーランドまでの資料は2007年5月31日に旧サイトに掲載した内容を一部修正したもの。/コンゴ共和国とアルバニア(いずれも2010年)を追加。
 
意見を聴かれる子どもの権利
75.国は、自国の法律、政策、措置および実務において、移住の文脈における子どもの権利および(または)その親の権利に影響を及ぼすすべての移住手続および司法手続における適正手続が保障されることを確保するべきである。すべての子ども(親その他の法定保護者とともにいる子どもを含む)は権利を保有する個人として扱われなければならず、その子ども特有のニーズは平等にかつ個別に考慮されなければならず、またその意見は適切に聴取されなければならない。子どもは、自分自身の状況に関する決定またはその親に関する決定に対し、すべての決定が自己の最善にのっとって行なわれることを保障するための行政上および司法上の救済措置にアクセスできなければならない。
76.とくに、国は、年齢の鑑別および決定の手続、面接の実務ならびに法的手続が、子どもの権利についての十分な専門性を有する職員によって、迅速な、子どもにやさしい、学際的な、文化的に配慮のあるやり方で進められることを確保するべきである。
 
アイデンティティ(名前および国籍を含む)に対する権利
77.国は、すべての子どもの出生登録を確保するための措置(移住者である子どもの出生登録を妨げるいかなる法律上および実務上の要因も取り除くことを含む)を強化するとともに、国籍を付与しなければ子どもが無国籍となる場合、自国の領域内で出生した子どもに市民権を付与するべきである。
 
人身の自由に対する権利および収容の代替措置
78.子どもは、移住に関わる自己の地位または親の地位を理由として、犯罪者として扱われまたは懲罰的措置の対象とされるべきではない。移住に関わる自己の地位または親の地位を理由とする子どもの収容は、子どもの権利の侵害であり、かつ、子どもの最善の利益の原則に常に違反する。これを踏まえ、国は、出入国管理上の地位を理由とする子どもの収容を速やかにかつ完全に取りやめるべきである。
79.国は、子どもが、通過国および(または)目的地国に家族構成員および(または)いる場合にはこれらの者といっしょにおり、かつ、その出入国管理上の地位についての解決が図られるまでの間、収容されるのではなくコミュニティを基盤とする環境で家族として滞在できるようにする立法、政策および実務を通じて、子どもの最善の利益を、人身の自由および家族生活に対する子どもの権利とともに充足する収容の代替措置を、可能なかぎり最大限に、かつもっとも制約の度合いの少ない必要な手段を活用しながら採用するべきである。委員会の一般的意見10号CRC/C/GC/10、2010年)を強調しつつ、国には、自由を奪われた少年の保護に関する規則(ハバナ規則)を含む、拘禁環境に関する国際基準(これらの基準は行政拘禁または非刑事的拘禁を含むあらゆる形態の拘禁に適用される)を遵守する法的義務があることが、あらためて指摘される。このような措置は慎重に立案されるべきであり、また子どもの代替的養護に関する国連指針その他の人権基準にもしたがう形で立案されるべきである。国は、収容センターから放免された子どもが支援措置および適切な代替的養護を利用できることを確保するよう求められる。
80.にもかかわらず子どもが自由を剥奪されるときは、国は、いかなる場合にも、そのような措置を、もっとも短い期間で、かつ少なくとも人権法に掲げられた拘禁に関する最低基準を満たすような条件下で課すよう促される。これには、子どもにやさしい環境の確保、子どもの親または保護者ではない成人からの分離(たとえ子どもが16歳以上であっても同様である)、子どもの保護に関する保障措置および独立の監視が含まれる。
81.受入れセンターおよび(または)これに類する他の施設から失踪しまたは行方不明になった移住者の子どもの状況に関する懸念に照らし、国は、受入れセンターの手続/施設および環境についての、条約および子どもの代替的養護に関する国連指針に全面的にしたがった具体的指針を確保するべきである。
 
あらゆる形態の暴力(移住の文脈におけるものを含む)からの子どもの自由
82.国は、学校およびコミュニティ環境にとくに焦点を当てながら、国際移住の影響を受けているあらゆる年齢の子どもが、移住に関する自分自身のまたはその親の地位の如何を問わず暴力から平等に保護されることを確保するため、法的拘束力がありかつジェンダーに配慮した積極的な政策、プログラムおよび行動を採択するべきである。子どもに対する暴力に関する特別報告者および国連システム内外で同特別報告者を支援する諸機関は、連携して、かつ移住の状況にある子どもたちの意見およびニーズを全面的に考慮にいれながら、国際移住の文脈において子どもが暴力の被害をとりわけ受けやすいことを調査研究および行動における優先的問題のひとつとして取り上げていくよう奨励される。
 
家族生活に対する権利
83.国は、移住に関する自国の政策、法律および措置において家族生活に対する子どもの権利が尊重されること、ならびに、いかなる子どもも国の作為または不作為によってその親から分離されないこと(このような分離が子どもの最善の利益にしたがって行なわれる場合を除く)を確保するべきである。このような措置には、とくに、家族再統合の申請に対して積極的、人道的かつ迅速に対応すること、可能なときは常に移住に関わる地位の正規化のための選択肢を提供すること、および、残された子どもが通過国および(または)目的地国において親と合流できる(または親が子どもと合流できる)ようにするための家族再統合政策を、移住のすべての段階でとることが含まれるべきである。
84.国は、子どもが目的地国の国民である場合、その親の収容および(または)退去強制を行わないようにするべきである。逆に、親の正規化を検討することが求められる。決定によって子どもの最善の利益が否定されないことを確保するため、子どもは、親の入国許可、在留または追放に関わる手続において意見を聴かれる権利を認められるべきであり、かつ、親の収容命令および(または)退去強制命令に対する行政上および司法上の救済措置にアクセスできるべきである。子どもの最善の利益にしたがった、収容および退去強制に代わる措置(正規化を含む)を、法律によっておよび実務を通じて確立することが求められる。
85.国は、移住に関わる地位の如何を問わず、すべての移住者を対象として経済的、社会的および文化的権利へのアクセスを確保するよう努めるべきである。国は、移住の状況にある子どもおよび家族にとくに注意を払い、かつ残された子どもおよび(または)非正規な移住状況にある子どもを包摂しながら、社会政策、子ども期政策および家族保護政策にこのことが含まれることを確保するよう、求められる。
 
生活水準、経済的、社会的および文化的権利の享受
86.国は、移住の状況にあるすべての子どもが、移住に関わる自己のまたは親の地位の如何に関わらず、経済的、社会的および文化的権利ならびに基礎的サービスに対して国民である子どもと平等にアクセスできることを確保するとともに、このような子どもの権利を法律で明確にするべきである。その際、国は、移住の影響を受けている子どもおよびその家族(とくに非正規な状況にある子どもおよび家族)が、とくに保健ケア、教育、長期の社会保障および社会扶助等のサービスおよび給付に効果的にアクセスすることの妨げとなる、またはこれらの子どもおよび家族を差別する法律、政策および実務の迅速な改革を図るよう、強く奨励される。サービスにアクセスしにくくなることによってもたらされるジェンダー特有の影響(セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関わる権利ならびに暴力からの安全保障など)への対応に、とくに注意が払われるべきである。国は、「残された」子どもが権利およびサービスにアクセスしようとする際に直面する困難について、市民社会および地域コミュニティと連携しながら具体的対応をとるよう求められる。サービスへのアクセスを妨げる行政的および金銭的障壁は、身元および居住を証明する代替的手段(供述証拠など)を認める等の対応を通じ、取り除くべきである。住民登録機関および公共サービス提供機関への効果的アクセスを実際上も確保するため、これらの機関を対象とした研修および指導の実施が求められる。
87.国は、住民登録機関、公共サービス提供機関および出入国管理機関の間の情報共有について、このような情報共有が子どもの最善の利益に反せず、かつ子どもまたはその家族が潜在的な危害または制裁にさらされないことを確保するため、効果的な保障措置が設けられるようにするべきである。このような保障措置は、サービス提供機関を対象として明確な指針を発布すること、および、非正規な移住の状況にある者の間でこれらの保障措置に関する意識啓発プログラムを実施すること等の手段を通じ、法律上も実際上も実施されなければならない。
88.子どもを貧困および社会的排除から保護するための政策、プログラムおよび措置には、移住の状況にある子ども(とくに、出身国に残された子ども、および、移住者である親から目的地国で生まれた子ども)も、その地位の如何に関わらず、包摂されなければならない。移住に直接間接に関係する形で人が脆弱な状況に置かれるあらゆる事態を防止し、かつこれに対応するための、国家的な社会保護制度の能力強化が図られるべきであり、また移住の影響を受けている子どもおよびその家族は、移住に関わる地位の如何に関わらず、かついかなる種類の差別もなく、出身国、通過国および目的地国における社会政策および社会プログラムの具体的重点対象集団に位置づけられるべきである。社会保護政策には、移住の状況にある家族および養育者を対象とした、これらの家族および養育者が子どもの養育責任を果たすことの便宜を図るための支援(コミュニティを基盤とする社会サービスを通じて提供されるものを含む)に関する具体的規定を含めることが求められる。これらの規定には、代替的養護を受けている子どものための特別サービスも含まれるべきであり、また移住が子どもに及ぼす心理社会的影響の緩和にも焦点が当てられるべきである。
 
健康に対する権利
89.国は、移住の過程、庇護を求める過程または人身取引の対象とされた過程で子どもが経験したトラウマに対応するための、十分なかつアクセスしやすい措置を確保しかつ実施するべきである。子どもの最善の利益に関する評価および認定を行なう場合も含め、すべての子どもが精神保健サービスを利用できるようにすることに、とくに配慮することが求められる。
 
経済的搾取からの保護
90.国は、移住に関する自国の政策および措置において、条約、ならびに、就業が認められるための最低年齢に関する国際労働機関第138号条約、最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する同第182号条約および家事労働者の適切な仕事に関する同第189号条約が考慮されることを確保するべきである。さらに、国が、労働の文脈で、とくにインフォーマル労働および(または)季節労働の状況で生じる子どもの権利侵害を特定しかつ是正するための監視制度および通報制度の設置を検討することも、勧告されるところである。
 
 
子どもの権利委員会・一般的討議勧告:国際的移住の文脈におけるすべての子どもの権利 (上)
*       一般的討議勧告一覧
(第61会期、2012年)
原文:英語〔PDF
日本語訳:平野裕二
I.背景(略)
II.開会会合(全体会)概要(略)
III.作業部会討議概要(略)
IV.勧告
56.国際的移住の状況にある子どもの権利の尊重、促進および充足に関して、国がその政策およびプログラムにおいて考慮すべき問題ならびに他の関連の主体が指針とすべき事項を明らかにする目的で、子どもの権利についての意識および議論を喚起する場を提供するというDGD〔一般的討議〕の趣旨にしたがい、委員会は、以下の勧告を支持する。これにあたり、委員会は、子どもはどのような環境にあってもまず何よりも子どもであることを強調するものである。委員会は、移住の影響を受けている子どもの権利を特定しかつこれに対応するに際して、国および関連の主体は、さまざまな態様の子ども、状況または権利を分類しまたは区別しないよう配慮しつつ、条約のすべての規定および原則に基づいたホリスティックかつ包括的なアプローチをとらなければならないことを、あらためて指摘する。国際的移住の当事者である子どもまたはその影響を直接受けているすべての子どもは、年齢、性別、民族的または国民的出身および経済的地位または在留資格の如何を問わず自己の権利を享受する資格があるのであって、このことは、子どもが自発的な移住および非自発的な移住のどちらの状況に置かれている場合にも、また保護・養育者がいるかいないか、移動中であるか何らかの形で定住しているか、在留資格を認められているか否か等の諸条件の如何を問わず、変わらない。以下の勧告は、その検討の便宜を図るため、条約の実施に関する各国の定期的報告書についての委員会の総括所見および勧告の構成にしたがって配列されている。
 
一般的勧告(立法、政策および調整に関するものを含む)
57.国は、条約に掲げられた権利が、子ども自身またはその親の移住に関わる地位の如何を問わず、国の管轄下にあるすべての子どもに対して保障されることを確保するとともに、これらの権利のあらゆる侵害に対応するべきである。国際的移住の状況にあるすべての子どもに関する第一義的責任は、出入国管理機関ではなく子どものケアおよび保護を担当する機関にある。
58.国は、国際的移住の当事者である子どもまたはその影響を受けている子ども全員が、年齢、経済的地位、自己または親の在留資格の如何を問わず、自発的な移住および非自発的な移住のどちらの状況に置かれている場合にも、かつ保護・養育者の有無等に関わりなく、時宜を得た形で条約の全面的保護を享受できることを確保するため、人権を基盤とする包括的な法律および政策を採択するべきである。
59.国は、移住に関連するすべての国内法ならびに地域的および(もしくは)国際的な枠組みまたは協定に条約が統合されることを確保するため、立法、政策ならびにプログラムおよび関連の研修を含む措置をとるよう、奨励される。
60.国は、空港および港のような移住者の到着/通過場所における実務が条約および国際人権基準に全面的に一致することを確保するための具体的指針を発布するよう、勧告される。
61.国に対し、移住および他のいずれかの問題に関する政策、プログラム、実務および決定が、国際的移住の影響を直接間接に受けているすべての子どもの権利、ウェルビーイングおよび発達に及ぼす影響について効果的評価を実施するとともに、条約の基本的原則が、移住政策その他の考慮事項との関連で効果的に優先されかつ意味のある形で実施されること、ならびに、移住政策および子ども保護政策のさらなる発展に〔評価の〕結果が反映されることを確保するよう、勧告されるところである。
62.国はまた、国際開発政策、移住政策および子どもの権利との連携を個別におよび集団的に強化することも、求められる。
 
データ収集および調査研究
63.国は、移住の状態および移住が子どもに及ぼす影響に関するデータ収集および分析を増進させかつ拡大するための具体的措置を確保するべきである。このようなデータは、とくに年齢、性別、出身国、教育歴およびその他の関連情報(移住に関わる地位、入国許可、出国許可および就労許可の発布ならびに国籍の変更など)の別に細分化することが求められる。さらに委員会は、国が、このようなデータが(とくに出入国管理当局によって)資格外移住者を害するようなまたは資格外移住者の不利益になるようなやり方で利用されないことを保障するための保護措置を確保するよう、勧告するものである。
64.国は、移住の影響を受けている世帯が、地方の統計制度およびデータシステム、ならびに、生活水準、支出および労働力に関する全国的標本調査で特定されることを確保するべきである。このようなデータおよび情報を、移住の影響を受けている子どもが科学的根拠に基づく社会政策、地方計画および予算策定プロセスの発展に包摂されることを確保するために活用することが、勧告される。また、国が、国の政策および(または)プログラムの立案に際して移住者である子どもおよび家族の意見および経験を考慮するため、これらの子どもおよび家族(とくに、脆弱な状況に置かれた子どもおよび家族)と協議することも、勧告されるところである。委員会に提出する締約国の定期報告書にこのような情報を記載することも求められる。
65.さまざまな組織からの呼びかけを認識し、かつ国際的な移住と開発に関するハイレベル対話(2013年)に鑑み、関係者は、国際的移住の文脈における子どもの権利を、移住に関する子どもの地位の如何を問わず確保するための具体的措置に関する世界的調査の実施を検討するよう、奨励される。
66.情報の監視および収集を推進するため、締約国は、自国の領域内にあって移住の影響を受けているすべての子どもに関わる条約実施の体系的評価を委員会に対する定期的報告に組みこむとともに、人権保障に責任を負う国内機関(オンブズマン、平等機関等)に対し、移住の影響を受けている子どもに対応することを具体的任務としながら条約の遵守状況の監視において鍵となる役割を果たす権限を与えるよう、求められる。
67.国は、移住者である子どもの状況を監視する責任が出身国にのみ負わされないこと、ならびに、情報およびデータが通過国および目的地国に転送され、かつこれらの国によって受領されることを確保するべきである。その際、国は、移住の際および到着時に子どもをとくに対象とする効果的なサービスを提供できるようにするため、ケースマネジメント・システムにおいて子どもの即時的および長期的ニーズを監視するための機構を確立することが求められる。
 
子どもの定義および18歳未満のすべての者への条約の適用
68.子どもの定義にしたがって18歳になるまで権利および保護が与えられていることを想起し、国は、16歳以上の者を含むすべての子どもに対し、かつ移住に関するその地位に関わりなく、平等な水準の保護が提供されることを確保するよう促される。
69.加えて、国は、18歳に達した子ども(とくに養護環境を離れる子ども)のために十分なフォローアップ措置、支援措置および移行措置を提供するべきである。そのための手段には、長期的な正規移住者としての地位へのアクセス、および、教育を修了し、かつ労働市場にへの統合を図るための合理的機会へのアクセスを確保することも含まれる。
 
差別の禁止
70.国は、いかなる事由に基づく差別とも闘うための十分な措置を確保するべきである。その際、外国人嫌悪、人種主義および差別と闘い、かつ、移住の影響を受けている家族の社会統合を促進するための努力を強化することが求められる。国はまた、移住者である子どもおよびその家族を暴力および差別から保護し、かつ諸権利へのアクセス、公平および尊重を促進する目的で、とくに地方レベルで、移住者に関する知識を向上させ、かつ移住者に関する否定的見方に対応するためのプログラムも実施するべきである。このような取り組みにおいては、迅速かつ効果的な救済機構ならびに言語的および文化的に適切な十分な支援措置への、移住者による公平なアクセスを確保することも求められる。
71.国は、自国の移民政策において障害のある子どもまたは親が障害者である家族の子どもが差別されないこと、および、障害を入国申請の却下事由と考えないようにすることを確保するべきである。
 
子どもの最善の利益
72.国は、子どもに影響を及ぼすいかなる移住手続についても、当該手続のすべての段階および当該手続に関する決定において、かつ子どもの保護に従事する専門家、司法機関および子ども自身の関与を得ながら、子どもの最善の利益に関する個別評価を実施するべきである。とくに、子どもまたはその親の収容、送還または退去強制につながるいかなる手続においても、子どもの最善の利益を第一次的に考慮することが求められる。
73.国は、自国の法律、政策および実務において、子どもの最善の利益の原則が移住に関する考慮事項、政策上の考慮事項その他の行政上の考慮事項に優先することを明確にするべきである。その際、国は、移住手続、リスクおよび権利、保健面および精神保健面での支援、法的代理および後見、面接ならびにその他の手続に関する情報が、子どもにやさしく、かつ文化的に配慮のあるやり方で利用できることを確保するよう求められる。
74.国は、子どもに影響を及ぼすいかなる移住手続についても、当該手続のすべての段階または決定において、子どもの保護に従事する専門家および司法機関の関与を得ながら、可能なかぎり最大限に、継続的かつ個別的な子どもの最善の利益評価および正式な認定手続を実施するべきである。これには、子どもまたはその親の退去強制につながるいかなる手続も含まれる。国は、法律、政策および実務において、子どもの最善の利益の原則が移住に関する考慮事項その他の行政上の考慮事項に優先することを明確にするべきである。その際、国は、移住手続、リスクおよび権利、保健面および精神保健面での支援、法的代理および後見、面接ならびにその他の手続に関する情報が、子どもにやさしく、かつ文化的に配慮のあるやり方で利用できることを確保するよう求められる。
*       訳者注/パラ72〜74の重複は原文ママ。
こどもの権利条約の個人通報制度こそ即時批准せよ!
 
今なおアメリカは、こどもの権利条約を批准していません。
 
ハーグ条約の批准問題は、「日本がこの条約を批准することは、我が国において、子どもの権利及びDV虐待被害者に対する保護として、関係者らの多年に渡る努力によって保障されてきた水準を著しく損なう結果になるおそれがある。」として、批准に反対する
2010年の兵庫県弁護士会会長声明を掲載します。

 
 
兵庫県弁護士会:ハーグ条約の批准問題に対する会長声明

第1 趣旨

ハーグ国際私法会議において1980 年に制定された「国際的な子の奪取の民事的側面に関する条約」(以下「ハーグ条約」という。)には、以下に述べる問題点があり、日本がこの条約を批准することは、我が国において、子どもの権利及びDV虐待被害者に対する保護として、関係者らの多年に渡る努力によって保障されてきた水準を著しく損なう結果になるおそれがある。
そのため、日本政府は拙速に条約を批准することなく、各国における運用実態を把握し、このような懸念を払拭し得るのか、国内法制度との整合を如何にすべきかについて、国民に対し責任ある説明を行うことを求める。

第2 理由

1 親の監護権保護が第一とされ、子の最善の利益に対する配慮が薄いこと

ハーグ条約は、国境を越えて連れ去られた子を即時に返還させること(1条a)により、残された親の監護権(3 条)を確保する国際的枠組みである。
すなわち、ハーグ条約は、もとの居住国における監護権侵害の事実さえあれば、連れ去りに至った事情、残された親の監護者としての適格性、返還後の監護方法の見通し等については一切考慮しないまま、一律に「不法な連れ去り」として、締約国に子の返還義務を課し、6 週間という短期間での返還裁判を要請する(11 条)ことで、返還抗弁を困難にしている。
そして、連れ帰った親が返還される子に付き添い帰国できなければ、条約に基づく返還によって、子は、その成長の拠り所となる親から分離されてしまうことになる。

さらに、子の返還自体が、再度、もとの国へ国境を越えて移動し、新たな環境へ適応する負担を子に負わせるものである。その上、本案の監護権裁判の結果、最初の連れ去り国での監護が認められる事案では、親の監護権を保護するために子に2国間を何度も行き来させ、新たな環境への適応に努力する負担を強いる結果になり、子を長期間にわたり不安定な環境に置き、成長の基盤を損ねるおそれがある。
このようなハーグ条約の構造は、子に関する処分の決定に際して、子の最善の利益を考慮することを求める「児童の権利条約」にもとる疑いがある。

この点、欧州人権裁判所の2010 年7 月6 日大法廷判決は、①ハーグ条約の解釈も人権原則に基づく制限を受け、子の返還は自動的機械的に命じられてはならない、とし、②ハーグ条約13 条1 項(b)の返還例外事由は、児童の権利条約に適合するよう解釈されるべきであるとして、子の利益に反する当該事案の返還を欧州人権条約に反するとした。
このような人権裁判所の判決は、即時返還・原則返還を進めてきたハーグ条約に対し、国際人権保障の原則から、解釈と運用の根本的な変更を迫るものであって、条約批准を検討する日本としては、解釈を含め同条約の人権原則への適合性について、慎重に吟味するべきである。

2 返還例外事由では子の最善の利益を確保できないこと

ハーグ条約では、子の利益を確保するために12 条・13 条・20 条の返還例外事由が設けられている。しかし、まず、これらの返還例外事由にドメスティック・バイオレンス(DV)からの逃走という項目は含まれていない。この条約が制定された1980 年当時には、まだDV被害の深刻な実態は知られていなかったからである。そのため、連れ去り親が、深刻なDVが連れ去りの原因になった事情を訴えても、原則として返還の抗弁は成り立たない。

また、上記返還例外事由は、即時返還・原則返還という条約の目標のために、極めて制限的に解釈運用されてきている。抗弁の立証方法から法廷供述が制限されたり、高度の証明が要求されたりしているのである。そのため、子への虐待事案においても返還例外が認められることは難しく、返還請求に対する子の異議についても、連れ去り親の影響による主張であると解され、例外事由に当たらないと認定される傾向がある。

さらに、返還例外事由が証明され認定された場合でさえ、裁判官の裁量による返還が命じられている。特に、多くの加盟国では、養育費支払いや面会等に関する履行の保証のない「約束(アンダーテーキング)」の存在を前提に、返還例外事由が認定された事案においても、子が返還されているのである。

3 国内法の整備によっては、条約の問題点を払拭することはできないこと

こうした条約の問題点は国内法の整備により解決すればよいとの意見も
あるが、憲法98 条は条約の誠実な遵守を求め、我が国の国法体系上、条約の効力は国内法を上回ると解されている以上、そのようなことは法理論的に不可能である。日本がハーグ条約を批准した場合、日本の国内法に照らせば子の返還が子の最善の利益を損なうと考えられるケースであっても、上位法たる条約に則った対応を求められることになる。


4 国境を越えた子の連れ去りの実態が明らかでないこと

国境を越えた子の連れ去りを防止するため、ハーグ条約のもとで、子が返還され続けているにもかかわらず、締約各国において子の連れ去り事件の発生件数は減少していないと言われる。

条約の適否や効用を評価するためは、なぜ連れ去りが起きるのか、返還決定後に子がどこに返されどのように生活しているのか、返還地における子の監護に関する本案の裁判や裁判後の監護がどう行われているのかなど条約をめぐる実態を知ることのできる調査が行われるべきである。

外務省の調査によれば、平成22 年1 月末時点で、諸外国から日本への連れ帰り事案は、米国77 件、英国37 件、カナダ37 件、フランス35 件であるのに対し、日本からの連れ出し事案は、平成21 年の88 在外公館を通した調査によっても21 公館36 事例に留まるとのことであって、現在の日本の立場でハーグ条約を批准した場合、子の返還数と返還を受ける数の間には大きな格差があることにも留意する必要がある。

5 国内法制度との間に重大な乖離があることから、条約批准に先行して、その整合性を検討すべきであること

日本においては、婚姻の破綻に際し、子の身上監護をしてきた母親が子を連れて実家に戻る等して夫婦が別居に至るケースはよくあるが、身上監護者の継続性が子の監護状態の安定には重要であることから、かかるケースを反映して改正人事訴訟法も子の親権者指定を含む離婚事件の管轄を当事者のいずれかの住所地でよいとし、子の監護の裁判を含む事案での子の住所地を管轄決定に考慮する旨を定めており(人事訴訟法4 条、31 条・6条・7 条)、刑法の誘拐罪(224 条)も平穏な子連れ別居には適用されていない。

このような日本の現在の国内法制と、残された親の承諾のない子の国境を越えた連れ去りを「不法」とみなして、連れ去り親と引き離してでも子を返還させるというハーグ条約の仕組みとの間には、大きな乖離がある。条約締約国の中には、子の連れ去りを国内事案を含め違法として刑事罰を科す国もあり、日本が今後、国内事案と国際事案とで法的評価を大きく違えることの是非は、条約批准前に十分に検討されるべきことである。

                                                    以上

                                  2010年(平成22年)12月22日
                                            兵庫県弁護士会
                                            会 長 乗 鞍 良 彦

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