児童の権利に関する条約第4・5回日本政府報告(日本語仮訳)
(※「児童の売買,児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」及び「武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書」の報告を含む。)
平成29年6月
目次
序論
1.条約の諸規定の実施のための一般的措置 (第4条,42条,44条6項)
(1)留保,解釈宣言
(2)国内法及び国内実施を条約の諸規定と調和させるためにとられた措置(第4条)
(3)国内行動計画
(4)条約の実施を調整する当局
(5)資源の配分
(6)国際協力
(7)国内人権機構
(8)広報,研修,意識啓発
(9)市民社会との協力
(10)児童の権利と企業部門
2.児童の定義(第1条)
3.一般原則(第2条,3条,6条,12条)
(1)差別の禁止(第2条)
(2)児童の最善の利益(第3条),児童の意見の尊重(第12条)
(3)生命,生存及び発達に対する権利(第6条)
(a)死刑(b)自殺,嬰児殺し及び生命,生存及び発達に対する権利に影響を及ぼす他の関連の問題
4.市民的権利及び自由(第7条,8条,13〜17条)
(1)出生登録,氏名及び国籍(第7条)
(2)身元関係事項の保持(第8条)
(3)思想,良心及び宗教の自由(第14条)
(4)私生活の保護(第16条)
(5)多様な情報源からの情報へのアクセス,児童の福祉に有害な資料からの保護(17条)
5.児童に対する暴力(第19条,24条3項,28条2項,34条,37条(a),39条)
(1)虐待及び放置(19条)
(2)あらゆる形態の有害な慣行の禁止及び削減措置(24条3項)
(3)性的搾取,性的虐待(34条)
(4)拷問又は他の残虐な,非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない権利(体罰含む)(37条(a),28条2項)
(5)被害児童の身体的及び心理的な回復及び社会復帰を促進する措置(39条)
6.家庭環境及び代替的な監護(第5条,9〜11条,18条1項・2項,20条,21条,25条,27条4項)
(1)家庭環境,父母の指導(5条)
(2)父母の共通の責任,父母への支援,児童の養護のための役務の提供(18条)
(3)父母からの分離(9条)
(4)児童の扶養料の回収(27条4項)
(5)家庭環境を奪われた児童(20条)
(6)収容に対する定期的な検査(25条)
(7)養子縁組(国内,国際)(21条)
(8)不法な国外移送及び国外からの不帰還(第11条)
(9)収監されている親と共に過ごす児童及び母親と刑務所内で生活する児童の保護
7.障害,基礎的な保健及び福祉(第6条,18条3項,23条,24条,26条,27条1〜3項,33条)
(1)障害を有する児童(23条)
(2)健康及び保健サービス(24条)
(3)伝染病・非伝染病
(4)リプロダクティブ・ヘルスの権利
(5)薬物乱用(33条)
(6)社会保障及び児童の養護のための役務の提供及び施設(26条,18条3項)
(7)生活水準(27条1〜3項)
8.教育,余暇及び文化的活動(第28条〜31条)
(1)教育についての権利(含む職業訓練及び指導)(28条)
(2)教育の目的(29条)
(3)人権教育,市民教育
(4)休息,遊び,余暇,レクリエーション,文化的及び芸術的活動(31条)
9.特別な保護措置(第22条,30条,32条,33条,35条,36条,37条(b)〜(d),38〜40条)
(1)難民児童(第22条)
(2)マイノリティ又は先住民族の集団に属する児童
(3)搾取の状況にある児童 (a)経済的な搾取(32条)(b)売買,人身取引及び誘拐(35条)
(4)少年司法(a)少年司法の運営(第40条)(b)自由を奪われた児童(37条(b)〜(d))(c)死刑及び終身刑(37条(a))(d)少年司法制度に関係する専門家のための研修
10.児童の売買,児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書のフォローアップ
11.武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書のフォローアップ
(1)武力紛争議定書の最終見解にある勧告の実施状況
(2)立法上,政策上の措置にかかる主要な進展
(3)児童が直接的に戦闘行為に参加したか否か
(4)亡命を希望する児童及び移民児童が武力紛争の影響を受けた児童か否か確認されているか
別添1・・・関係法令の概要
別添2・・・各省庁の取組
別添3・・・統計資料
序 論
1.我が国は,1994年4月に児童の権利に関する条約(以下,「条約」という。)を批准して以来,本条約の精神を踏まえて,児童の権利の保護・促進に努力してきている。我が国は,本条約第44条1項(b)の規定に従い,本条約に関する第1回(1996年),第2回(2001年)及び第3回(2008年)の政府報告を提出しており,その中で本条約の実施に関わる我が国の基本的な法制度や該当報告期間中の取組等を紹介した。
2.また,我が国は,第3回政府報告提出の際に,「児童売買,児童買春,児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」(以下,「児童売買議定書」という。)及び「武力紛争下の児童の保護に関する児童の権利に関する条約の選択議定書」(以下,「武力紛争議定書」という。)の第1回政府報告も提出した。
3.本件第4・5回政府報告では,我が国が,2006年4月から,2016年3月(重要な施策や法改正については2016年10月)までに本条約及び両議定書の実施のためにとった諸施策の進捗状況を報告する(第3回政府報告以前から現在も変わらずに継続している施策については,特段の理由がない限り省略している)。
1.条約の諸規定の実施のための一般的措置(1)留保,解釈宣言
4.第3回政府報告パラグラフ6〜10参照。
(2)国内法及び国内実施を条約の諸規定と調和させるためにとられた措置(第4条)(立法措置)
5.2014年6月に児童買春・児童ポルノ禁止法を改正した。児童ポルノを所持する罪が犯罪化された(同法第7条第1項)。
6.旧少年院法については,これを全面的に改正し,少年院,少年鑑別所の機能を十分に発揮できるような法的基盤整備を図り,2014年6月4日に新少年院法及び少年鑑別所法が制定され,2015年6月1日施行された。
7.「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」について別添1参照。
8. 2008年6月,「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」が改正され,同年12月からすべての規定が施行された。
9.武力紛争議定書の規定等を踏まえ,2009年,自衛隊法の一部を改正し,改正後の同法の施行(2010年4月)にあたり,自衛隊法施行規則を改正して,全ての自衛官は18歳以上の者から採用されることとなった。
10.2014年に次世代育成支援対策推進法を改正し,同法の有効期限の10年間の延長や新たな認定(特例認定)制度の創設等を行った。(データ収集)
11.最終見解パラグラフ22に関し,小中学校の段階で経済的に困窮した児童生徒の保護者への就学援助や,小学校,中学校,高等学校における暴力行為,いじめ,不登校等の児童生徒の問題行動等について全国の状況を調査し,その結果等を踏まえ,必要な施策を行っている。
(3)国内行動計画(最終見解パラグラフ8,12,14,16)
12.「子ども・若者育成支援推進法」に基づき,子供・若者育成支援施策を推進するための大綱として,2010年7月に「子ども・若者ビジョン」,さらに2016年2月には,ビジョンを見直した「子供・若者育成支援推進大綱」が,内閣総理大臣を本部長とし,全閣僚を構成員とする「子ども・若者育成支援推進本部」で決定された。大綱には,教育,福祉,保健,医療,矯正,更生保護,雇用等といった,多岐に渡る分野について盛り込まれている。政府においては,引き続き本条約の理念にのっとり,大綱に基づいた施策を推進していくものである。
(4)条約の実施を調整する当局 (最終見解パラグラフ14)15.条約や議定書の実施は外務省が所管している。青少年施策の総合調整機能を担う組織は内閣府である。
(5)予算割当 (最終見解パラグラフ20)
16.2016年度の我が国政府の一般会計予算(国債費を除く。当初予算ベース)は57兆8286億円であり,このうち,子供・若者育成支援施策関係予算は約5兆1043億円となっている。教育,福祉,保健,医療,矯正,更生保護,雇用などに係る予算が幅広く計上されており,本条約に掲げられている児童の権利の実現に必要な資源が十分に確保されていると考えている。
また,行政事業レビューにより,各省庁にてその政策の成果を分析・フォローアップしている。なお,上記の予算額は,児童を含む子供・若者の育成支援に直接的あるいは間接的に関わるものとしてまとめた予算であり,その中には,全ての年齢の者を対象としており子供・若者に関する予算部分を切り分けることが困難な予算も多く含まれる。
(6)国際協力
17.我が国は,ODAの対GNI比0.7%目標に繰り返しコミットしてきている。GNI比0.7%目標を念頭に置き,また,我が国の極めて厳しい財政状況も十分踏まえつつ,必要なODA予算が確保されるよう,引き続き最大限の努力をしていく考え。
具体的に,2011年から5年間に,教育の分野では37.2億ドル,保健医療分野では21.2億ドル,ジェンダーの分野では94.3億ドルのODAを供与した。18.その他の取組については別添2の国際協力を参照。
(7)国内人権機構(最終見解パラグラフ8,18)
19.政府は,新たな人権救済機関を設置するための人権委員会設置法案を,2012年11月,第181回国会に提出したが,同月の衆議院解散により廃案となった。人権救済制度のあり方については,これまでなされてきた議論の状況をも踏まえ,適切に検討しているところである。
(8)広報,研修,意識啓発(最終見解パラグラフ24,88,89)
20.各省庁の取組は別添2のとおり。21.本件報告書は外務省ホームページに掲載する予定であり,内閣府ホームページにおいて,外務省ホームページにリンクを貼るとともに,「子供・若者白書」においても外務省ホームページの該当URLを示している。
(9)市民社会との協力(最終見解パラグラフ26)
22.政府としては,民間団体と協力し,民間団体の専門性を活用して条約を効果的に実施するよう努めている。かかる例としては,次のようなものがある。
(1)政府報告作成過程において,市民・NGOとの意見交換会を実施。必要かつ適当と判断される場合には,この結果を政府報告に反映するよう努めた。また,NGOと各関係省庁が個別に意見交換する機会も設けた。
(2)2012年6月, 「第3回児童の性的搾取に反対する世界会議」フォローアップセミナーが東京で開催され,総理から日本政府の取組について言及したビデオ・メッセージを発出するとともに,内閣府が「児童ポルノ排除に向けた日本政府の取組」について講演した。
(3)毎年,政府と民間団体で構成される「児童ポルノ排除対策推進協議会」を開催していたところであるが,2016年11月,より広い対策を推進するため,同協議会を「児童の性的搾取等撲滅対策推進協議会」に発展的に改組した上,引き続き,情報交換を行うなどして,相互の連携・協力を図っている。
(4)国際協力を行うNGOとの連携については別添2のとおり。
(11)児童の権利と企業部門 (最終見解パラグラフ28)
23.ビジネスと人権に関する国別行動計画の作成に向けて関係省庁等と協議しており,経済界・労働界等の意見も踏まえ検討していく。
24.文部科学省では,青少年を対象とした自然体験活動などの優れた社会貢献活動を行っている企業を表彰することにより,実践事例等を全国に普及している。
25.経済産業省では,企業活力研究所が事務局を務める「CSR研究会」を通じ,CSRに関連する国内外の主要論点の把握,発信及び企業への浸透を図っている。また,欧州委員会成長総局と共同でCSRワーキンググループを設置し,日EU間の協力について議論するとともに,企業のベストプラクティスを共有する等している。
26.UNICEF等が2012年に発表した「子どもの権利とビジネス原則」 を関係機関に周知した。
2.児童の定義(第1条)
27.(最終見解パラグラフ32)女性の婚姻適齢については,2009年10月に法務大臣の諮問機関である法制審議会から民法の成年年齢を18歳に引き下げる場合には婚姻適齢を男女とも18歳とすべきと答申されていたところ,民法の成年年齢の引下げと併せて法整備をすることを検討している。
28.(最終見解パラグラフ8)刑法においては,性的な事項についての十分な判断能力を備えていない年少者を保護するとの趣旨から,13歳未満の女子を姦淫した場合,手段の如何や同意の有無を問わず,強姦罪が成立することとされている。また,それに加え,我が国では,児童福祉の観点から,児童福祉法,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律及び地方公共団体が制定する条例により,
13歳以上18歳未満の者に対する性的な行為についても,同意の有無にかかわらず処罰する規定が置かれており,我が国の法体系全体を見れば,18歳未満の者については保護が図られているといえる。
3.一般原則(第2条,3条,6条,12条)(1)差別の禁止(第2条) (最終見解パラグラフ34(a))
29.2013年12月5日,民法の一部を改正する法律が成立し,嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になった(同月11日施行)。
30.障害者基本法の改正及び障害者差別解消法について別添1参照。
31.(最終見解パラグラフ33)教育基本法第5条の廃止について,改正前の法第5条後段に規定する「男女共学」が認められるべきとの趣旨は,法の制定から約60年が経過して,現に我が国に浸透し,歴史的意義を既に果たしているといえる。旧法第5条前段には,「男女の敬重と協力の重要性」が規定されていたが,改正後の教育基本法でも,その趣旨を引き継ぎ,第2条の「教育の目標」において,新たに「男女の平等」と「自他の敬愛と協力」を非常に重要なものとして規定している。2010年に公表された児童の権利委員会最終見解のパラグラフ33においては,女子に対する差別の撤廃に関する委員会最終見解(CEDAW/C/JPN/CO/6)でも指摘された男女共同参画の推進に言及した教育基本法第5条の削除に対する懸念が改めて表明されているが,これはこうした歴史的経緯と事実関係を踏まえたものではないことを改めて表明する。
32.(最終見解パラグラフ34(b))学校教育においては,2014年に批准した障害者権利条約を踏まえ,インクルーシブ教育システム構築のため,障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,一人一人の教育的ニーズを把握し,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するため,適切な指導及び必要な支援を行う特別支援教育が実施されており,10通常の学級,通級による指導,特別支援学級,特別支援学校といった,連続性のある「多様な学びの場」が整備されている。これらの場においては,特別の教育課程,少人数の学級編制,特別な配慮の下に作成された教科書,専門的な知識・経験のある教職員,障害に配慮した施設・設備等により指導が行われている。人権教育・啓発に関する基本計画については第3回政府報告パラグラフ144参照。
33.(最終見解パラグラフ36) 法務大臣は,2016年,民事法,刑事法その他法務に関する基本的な事項を調査審議する法制審議会から,強姦罪の行為者・被害者について性差を解消することをも含めた刑法の改正について,答申を受けた。この答申を踏まえ,法務省は,現在,刑法改正法案の提出に向けた準備を進めている。
34.(最終見解パラグラフ8,34(b),87) 2015年から,外国語による人権相談体制を強化し,英語・中国語等6か国語による専用相談電話「外国語人権相談ダイヤル」の開設や,「外国人のための人権相談所」の拡充(6か国語に対応。従来の10か所から全国50か所の法務局・地方法務局に拡大)を行った。
法務省の人権擁護機関による啓発活動につき別添2参照。
(2)児童の最善の利益(第3条),児童の意見の尊重(第12条) (最終見解パラグラフ38,40(a)(b),44)
35.(最終見解37−40(b))2015年度予算において,虐待を受けた子ども等をより家庭的な環境で育てることができるよう,予算措置により児童養護施設等の職員配置を改善した。(2015年度:子ども4人に対し職員1人等)また,地方分権のもと,職員の配置基準を遵守するため,各都道府県は管内児童福祉施設に対して年1回以上の児童福祉行政指導監査を実施している。2016年6月に児童福祉法を改正し,全ての児童は,条約の精神にのっとり,適切な養育を受け,健やかな成長・発達や自立等を保障される権利を有すること等を明確化した上で,国民,保護者,国・地方公共団体(都道府県,市町村)が支えるという形で,その福祉が保障される旨を明確化した。(同法第1条,第2条)
36.子ども・若者育成支援推進法では,子供・若者育成支援施策に関して,子供・若者を含めた国民の意見をその施策に反映させるために必要な措置を講ずるものとする旨規定がある。内閣府では,若者の中から「ユース特命報告員」を募集し,子供・若者に関連した施策について意見を募集し,その後の企画・立案に反映するよう努めている。
37.東日本大震災からの復興の過程では,将来の町づくりにあたり,子どもたちの意見を取り入れる機会を設けている。「福島12市町村の将来像に関する有識者検討会」の提言に取り入れられた他,学校,市民社会等との協同により政府閣僚等と子どもたちの対談の機会を設けている。
38.(最終見解パラグラフ43,44)学校においては,校則の制定,カリキュラムの編成等は,児童個人に関する事項とは言えず,第12条1項でいう意見を表明する権利の対象となる事項ではない。しかし,児童の発達段階に応じて,校則の見直しにあたり,アンケートの実施や学級会・生徒会での討議の場を設けたり,高等学校において,生徒の選択を生かしたカリキュラムの編成等の工夫を行うなど,必要に応じて,児童の意見を考慮した学校運営を実施している。
39.(最終見解パラグラフ43)2016年6月に児童福祉法を改正し,児童福祉審議会は,特に必要があると認めるときは,児童や家族の意見を聴くことができる旨の規定を創設した(同法第8条)。
40.家事事件手続法は,意思能力のある子には,子が影響を受ける家事事件において自ら手続行為をすることを認めている。また,適切な方法により子の意思を把握するよう努め,子の年齢及び発達の程度に応じて,子の意思を考慮しなければならないとしている。家事審判は,同法の規定に従って行われており,児童の最善の利益が考慮され,児童の意見が尊重されているといえる。詳細は別添1参照。
41.パラグラフ5,157.参照。
42.(最終見解パラグラフ44)人権教育・啓発に関する基本計画では,「子どもを単に保護・指導の対象としてのみとらえるのではなく,基本的人権の享有主体として最大限に尊重されるような社会の実現を目指して,人権尊重思想の普及高揚を図るための啓発活動を充実・強化する。」としており,法務省の人権擁護機関は,これに基づいて,各種啓発活動を実施している。
43.少年院においては,在院者の処遇は,その人権を尊重しつつ,明るく規則正しい環境の下で,その健全な心身の成長を図るとともに,その自覚に訴えて改善更生の意欲を喚起し,並びに自主,自律及び協同の精神を養うことに資するよう行うものとされている(少年院法第15条,少年鑑別所法第20条参照)。また,刑事施設では,被収容者の状況に応じた適切な処遇を行うことを目的としており(刑事収容施設法第112条),少年の心身の発達程度に応じて教育,職業訓練等を実施し,健全な少年の育成を図ることに配慮しており,それぞれの施設に収容された少年の処遇の目的に照らして少年にとって何を行うことが最も利益となるかを考慮しながら処遇を行っている。
44.その他の各省庁の取組につき別添2参照。
(3)生命,生存及び発達に対する権利(第6条)
(a)死刑
45.少年法第51条のとおり,死刑の最低年齢は,犯行時18歳以上である。
(b)自殺,嬰児殺し及び生命,生存及び発達に対する権利に影響を及ぼす関連の問題 (最終見解パラグラフ8,42)
46.2006年6月に自殺対策基本法が成立した。自殺対策基本法は,自殺対策の基本理念を定め,国,地方公共団体,事業主,国民のそれぞれの責務を明らかにするとともに,自殺対策の基本となる事項を定めること等により,自殺対策を総合的に推進して,自殺防止と自殺者の親族等に対する支援の充実を図り,国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的としている。自殺対策基本法により,内閣官房長官を会長とし,関係閣僚を構成員とする自殺総合対策会議が内閣府に設置され,また,政府が推進すべき自殺対策の指針として,基本的かつ総合的な自殺対策の大綱を定めることとされた。2007年6月に自殺総合対策大綱が閣議決定され,自殺対策の数値目標については,2016年までに,2005年の自殺死亡率を20%以上減少させることと設定し(2005年の自殺死亡率は24.2%であり,目標である20%減少させると19.4%となるが,2014年の自殺死亡率は19.5%である。),国及び地域における自殺対策の推進体制,自殺総合対策大綱に基づく施策の評価及び管理について定めた。また,2012年8月に新たな自殺総合対策大綱が閣議決定された。
47.(最終見解パラグラフ41,42) 学校においては,命の大切さについて,道徳をはじめとして教育活動全体を通じて指導しているところであり,体験活動を生かすなどして,命の大切さを実感できる教育の充実に努めている。具体的には,「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」において,教員向けの自殺予防の手引き,児童生徒を直接対象とした自殺予防の手引き,子供の自殺が起きたときの背景調査の指針,緊急対応の手引きなどを作成している。学校,教育委員会等に周知するとともに,自殺が発生した時の対応や子供を直接対象とした自殺予防教育について実践的な研修を実施している。 2011年6月,自殺防止に資する観点から,児童生徒の自殺の背景となった可能性のある事実関係などに関する調査に係る通知を発出している。また,悩みを持った児童が,いつでも気軽に相談できる体制を充実させるため,文部科学省では,スクールカウンセラー等やスクールソーシャルワーカーの配置拡充などを通じて,学校における教育相談体制の充実を図っている。各都道府県においても,教育センター等に児童を対象とした相談機関を設置するなど,地域における相談体制の充実に努めている。
48.児童福祉法第1条第2項は「すべて児童は,ひとしくその生活を保障され,愛護されなければならない」と規定している。
49.嬰児を含む児童に対する暴力は,殺人罪,傷害罪等による刑事処罰の対象とされており,事案に応じて適切な処分が行われている。
50.(最終見解パラグラフ49(b)(v)) 児童に対する暴力は,殺人罪,傷害罪,暴行罪,強姦罪,強制わいせつ罪等による刑事処罰の対象とされており,事案に応じて適切な処分が行われている。
51.(最終見解パラグラフ41,42)2012年3月に児童養護施設等の運営指針を作成し,事故の発生時など緊急時の子どもの安全確保のため,事故発生対応マニュアルを作成し,職員への周知や定期的な見直しを行うことや,子どもの安全を脅かす事例を組織として収集し,要因分析と対応策の検討を行うことなどを指針として定めている。また,3年度毎の第三者評価の実施や,第三者評価を実施しない年においても,各施設において自己評価を行うこととしており,これらの評価を施設運営に反映することとしている。学校の施設・設備について,事故防止に向けた関係者それぞれが果たすべき役割,事故種別ごとの事故防止の基本的考え方,建物の部位ごとの具体的な留意事項を示した報告書「学校施設における事故防止の留意点について」(2009年3月)を取りまとめるとともに,法定点検の実施や点検の結果を踏まえた修繕等の必要性・重要性を学校設置者等に周知している。
52.各省庁の取組につき別添2参照。4.市民的権利及び自由(第7条,8条,13〜17条)(1)出生登録,氏名,国籍(7条)(最終見解パラグラフ8,46(a)(b))
53.(最終見解46(b))無国籍者の地位に関する条約については,国内で無国籍者の存在やその地位・権利の保護が大きな問題となったことはなく,条約締結の国内的なニーズが明らかでない。また,無国籍の削減に関する条約については,国籍法の改正が締結の前提となり,国民的な議論が必要となる。現時点では,両条約の締結について積極的な検討は進められていない。
54.出生届は,出生の日から14日以内にしなければならず(戸籍法第49条),第1次的に父又は母に対して届出義務を課し,これらの者が届出をすることができない場合には,2次的に,(イ)同居者,(ロ)出産に立ち会った医師,助産師又はその他の者の順に届出義務を課している。
さらにこれらの届出義務者が届出をすることができない場合には,その者以外の法定代理人も届出をすることができる(同法第52条)。これらの出生届によって,日本国民たる子は戸籍に記載されることになる。また,届出をすべき者が届出をしない場合には市町村長は当該者に催告をし,その後においても届出しない場合又はできない場合には,市町村長が職権で戸籍に記載する(同法第44条)。さらに,正当な理由がなくこの期間内に届出をしない届出義務者は,5万円以下の過料に処せられることとなっている(同法第135条)。なお,外国人であっても,日本国内で出生した場合には戸籍法が適用され,上記届出義務が生じる。
(2)身元関係事項の保持(8条)
55.戸籍の謄抄本の交付に関する戸籍法の規定については別添1参照。
(3)思想,良心及び宗教の自由(14条)
56.第3回政府報告パラグラフ225,226について,2006年の教育基本法改正により,宗教教育について第15条第1項(旧法では第9条第1項)において,「宗教に関する寛容の態度,宗教の社会生活における地位に加え,宗教に関する一般的な教養も教育上尊重されなければならないこと」が新たに規定されている。また,同条第2項では引き続き,国公立学校における特定の宗教のための宗教教育の禁止が規定されている。
57.いずれの矯正施設においても,日本国憲法で保障された思想,良心及び宗教の自由を尊重した取扱いがなされるよう配慮しており,施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合を除き,一人で行う礼拝その他の宗教上の行為は禁止・制限されないほか,宗教上の儀式行事への参加や教誨を受ける機会が保障されている。
(4)私生活の保護,肖像の保護(16条)
58.少年鑑別所,少年院,刑事施設における私生活の保護については,別添1参照。
(5)多様な情報源からの情報へのアクセス,児童の福祉に有害な資料からの保護 (17条)
59.各省庁の取組については別添2参照。
5.児童に対する暴力(第19条,24条条3項,28条2項,34条,37条(a),39条)(最終見解パラグラフ49)
(1)虐待及び放置(19条) (最終見解パラグラフ8,57(a)(b))
60. 児童虐待防止法において,第3回政府報告パラ308のとおりの規定を定めており,虐待の被害児童に対する適切な保護等を行っている。
61.(最終見解パラグラフ47,48(a〜c))児童虐待については,児童虐待防止法第2条にて,児童虐待の定義を明確化し,これを禁じている。また,同法において,上記児童虐待のみならず,幅広く児童の福祉を害する行為や不作為を禁じている。なお,2016年6月に児童虐待防止法を改正し,親権者は,児童のしつけに際して,監護・教育に必要な範囲を超えて児童を懲戒してはならない旨を明記した。さらに,2004年以降,毎年11月を「児童虐待防止推進月間」と位置づけ,児童虐待問題に対する集中的な広報・啓発活動を実施している。
62.(最終見解パラグラフ49(b))児童相談所全国共通ダイヤルについて,児童虐待を受けたと思われる児童を見つけた時等に,ためらわずに児童相談所に通告・相談できるよう,これまでの10桁番号から覚えやすい3桁番号(189)に変更し,2015年7月から運用を開始した。
63.(児童売買議定書・最終見解パラグラフ39(b))警察による広報啓発については第3回報告パラ318参照。また,2007年6月,児童虐待防止法が改正され,保護者に対する出頭要求や児童相談所による臨検・捜索,などが規定されたことから,2008年3月に「児童虐待対応マニュアル」を改正するなど,虐待行為を防止し児童の保護に万全を期するため,事案に即した適切な対応に努めている。
64.(最終見解パラグラフ82)都道府県警察に設置されている少年サポートセンター(第3回政府報告パラグラフ333参照)は,2016年4月現在,全国198箇所に設置されている。また,少年や保護者等の心情に配慮して警察施設以外の場所への設置が進められている。
65.(最終見解パラグラフ49(b))警察職員の研修につき,第3回政府報告パラグラフ336参照。警察が取り扱った児童虐待関連データにつき,別添3参照。
66.警察庁の委託を受けた民間団体が,人身取引事犯や,少年福祉犯罪,児童虐待事案等に関する通報を匿名で受け付け,事件検挙や被害者保護への貢献度に応じて情報料を支払う匿名通報事業を実施している。
67.(最終見解パラグラフ57(a)) 児童虐待の防止に資する取組として,全ての保護者に対する家庭教育支援を充実するため,家庭教育支援チーム等による学習機会の提供や情報提供,相談対応,地域の居場所づくり,訪問型家庭教育支援の取組を推進している。
68.パラグラフ47参照。
69.2011年5月の民法改正により,不適当な親権の行使等があった場合に,家庭裁判所が2年以内の期間に限って親権を行うことができないようにする親権停止制度が新たに設けられ(民法第834条の2),2012年4月から施行された。
(2)あらゆる形態の有害な慣行の禁止及び削減措置(24条3項)
70.2014年7月に女性器切除,早婚,強制婚の終焉に向けた世界的機運の醸成を目的とした英国政府主催の「ガールズサミット」に出席し,これら問題への取り組みについて,UNICEF,UNFPA,IPPFを始め,国際社会と協力していくことを表明。
(3)性的搾取,性的虐待(34条) (最終見解パラグラフ82)(10.児童売買議定書のフォローアップ」を参照。)
(4)拷問又は他の残虐な,非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない権利(体罰含む)(37条(a),28条2項)
71.児童虐待に関する統計は,別添3参照。
72.社会福祉法に基づき,社会福祉事業の経営者に対して「情報の提供」「自主評価や第三者評価等による福祉サービスの質の向上のための措置等」「苦情の解決」の努力義務を規定するとともに,都道府県社会福祉協議会に運営適正化委員会を設置し,利用者からの苦情の相談に応じ,苦情の解決の斡旋等を行う仕組みを設けている。
73.(最終見解パラグラフ8,47,48(b)(c))
学校における体罰については,学校教育法第11条において厳に禁止されており,毎年行われる生徒指導担当者の会議で,その趣旨を周知している。また,学校において,教育上必要があると認められたときには,児童生徒に対して懲戒を加えることができるものとされているが,懲戒と体罰は異なるものであることを事例を用いて通知で示している。加えて,懲戒が必要と認められる状況においても,決して体罰によることなく,児童生徒の規範意識や社会性の育成を図るよう,適切に懲戒を行い,粘り強く指導することが必要であることを通知などで示している。なお,体罰を行った教員は,その態様等に応じ,懲戒処分等の対象となる。更に,国レベルの研修を一元的,総合的に実施する独立行政法人教員研修センターにおいて,各地域で中心的な役割を担う教員等を対象として実施される研修において教育関係法規に関する講座が開設されており,この中で児童・生徒に対する懲戒・体罰の禁止に関する内容が扱われている。
74.(最終見解パラグラフ49(b))
小学校,中学校,高等学校における暴力行為,いじめ等の児童生徒の問題行動等について全国の状況を毎年度調査・分析している。75.(最終見解パラグラフ48(a),49(b))刑法に暴行罪や傷害罪が存在し,あらゆる形態での暴行が処罰の対象となることを明示している。また,刑法に名誉毀損罪や強要罪などが存在し,各種の方法で他人の品位をおとしめる行為についても処罰の対象となることを明示している。
76.パラグラフ50.参照。
77.刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律では,刑事施設における少年を含む全ての被収容者に対する,あらゆる形態の身体的及び心理的暴力等の防止に配慮する旨が明確に規定されたほか,少年院法及び少年鑑別所法においても,少年院及び少年鑑別所に収容される在院者等について同様に規定された(別添1参照)。
78.現行の刑事施設における不服申立制度に関しては,第3回政府報告パラグラフ266のとおりであるが,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の制定により,刑事施設に収容される被収容者に対しては,審査の申請,再審査の申請,事実の申告及び苦情の申出といった各不服申立制度が整備された(刑事収容施設法第157条から第170条)。また,少年院法及び少年鑑別所法の制定により,少年院又は少年鑑別所に収容される在院者又は在所者に対して救済の申出及び苦情の申出制度が整備された(少年院法第120条から第132条,少年鑑別所法第109条から第122条)。
79.2006年4月から2015年12月末までの間,少年院,少年鑑別所又は少年刑務所において,職員が被収容少年(未成年)に対する暴行を理由として,国家公務員法による懲戒処分に処せられた事案が,22件発生している。この種の事案が発生した場合は,各施設において,再発防止のため,直ちに施設長指示を発出するなどし,その施設の全職員に注意を喚起するなどのほか,人権に配慮した職務執行等についての職員研修を一層充実させるなどの措置を講じている。
(5)被害児童の身体的及び心理的な回復及び社会復帰を促進する措置(39条)
80.(最終見解パラグラフ49(b))別添2参照。
81.(最終見解パラグラフ82,児童売買議定書・最終見解パラグラフ39(b),39(c))第1回児童売買議定書政府報告パラグラフ54参照。
82.パラグラフ47.参照。
6.家庭環境及び代替的な監護(第5条,9〜11条,18条1項・2項,20条,21条,25条,27条4項)
(1)家庭環境,父母の指導(5条) (最終見解パラグラフ51)
83.児童福祉法第1条は「すべて国民は,児童が心身ともに健やかに生まれ,且つ,育成されるよう努めなければならない」と規定している。第3回政府報告パラグラフ270参照。
84.2011年3月に「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を作成,発出を行った。研修会等の取組みにより,アレルギーおよびアレルギー疾患を持つ児童に対して,適切な理解や対応がなされるよう周知を図っている。
(2)父母の共通の責任,父母への支援,児童の養護のための役務の提供(18条)
85.第3回政府報告パラグラフ274における,「盲学校,聾学校,養護学校」については,児童生徒等の障害の重複化に対応した適切な教育を行うため,2007年の学校教育法改正により,複数の障害種別を対象とすることができる「特別支援学校」の制度に転換した。
86.パラグラフ47.参照。
(3)父母からの分離(9条)
87.2011年5月の民法改正により,親権停止制度が新たに設けられた(民法第834条の2)。子の親権者又は監護者の指定・変更及び親権の喪失・停止等の手続は,子やその親族等の申立てにより,民法,家事事件手続法及び家事事件手続規則に従って,家庭裁判所で行われる。同手続においては,関係当事者が手続に参加しかつ自己の意見を述べる機会が与えられている(別添1参照)。
88.別添1における少年院法,少年鑑別所法,刑事収容施設法参照。
(4)児童の扶養料の回収(27条4項)(最終見解パラグラフ69(a)(b))
89.扶養料を回収するための強制執行の申立ての準備に資する財産開示制度の改正等を検討中である。
90.扶養料の具体的な回収の方法としては,第3回政府報告パラグラフ292のとおりであるが,2014年の1年間に終局した家事に関する金銭債務等の履行勧告事件は,16,700件であり,このうち,全部又は一部が履行されたものは,7,861件である。
91.(最終見解パラグラフ69(c))ハーグ親責任条約については,中央当局の指定を含め,関係省庁間の協力体制を整備するなどの必要があり,締結の実現可能性について慎重に検討する必要がある。
(5)家庭環境を奪われた児童(20条)92.最終見解パラグラフ53(a)〜(e)に対する対応は以下のとおり。(a)小規模なグループ施設のような家族型環境において児童を養護すること2009年に,虐待を受けた子ども等を養育者の住居において養育する小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)を創設した。(定員5人又は6人)。
(b)代替的監護環境の定期的監視,監護環境確保のための措置20施設運営の質を向上させるため,2011年9月に児童福祉施設最低基準を改正し,第三者評価及び施設長研修を義務付けた。また,2012年3月には,児童養護施設等の運営指針や里親等の養育指針を策定した。
(c)代替的監護環境下における児童虐待への対応2009年に施行された改正児童福祉法には,被措置児童等虐待の防止に関する事項を盛り込んだ。また,児童養護施設等に心理療法を行う職員を配置し,虐待等による心的外傷のため心理療法を必要とする子どもにカウンセリング等の心理療法を実施している。
(d)里親に対する財政的支援すべての里親に対して,生活費や医療費,教育費等を支弁するとともに,養育里親及び専門里親に対しては里親手当及び専門里親手当を支弁している。
(e)児童の代替的監護に関する国連ガイドライン各都道府県市及びその児童相談所並びに里親会,里親支援機関,児童福祉施設等の関係機関が協働し,より一層の里親委託の推進を図るため,2011年に「里親委託ガイドライン」を策定し,社会的養護においては里親委託を優先して検討するべきとしている。今後,各都道府県市において,2015年度から2029年度末までの15年間に,「本体施設入所児童の割合」,「グループホーム入所児童の割合」,「里親・ファミリーホームへの委託児童の割合」をそれぞれ概ね3分の1ずつになるよう,取組を進める。
(6)収容に対する定期的な検査(25条)
93.少年院及び少年刑務所に収容されている少年の収容の定期的な見直しを行う制度に関し,懲役又は禁錮受刑者として少年刑務所に収容されている者に対して仮釈放の制度があり,少年院収容中の者に対して仮退院の制度がある。これらの制度は収容されている少年の改善更生と健全な社会復帰を目的としている。仮釈放及び仮退院(以下「仮釈放」という。)の許否を決定する権限は全国8か所の地方更生保護委員会が有している。仮釈放を許すか否かについては,通常,矯正施設の長からの申出に基づき,地方更生保護委員会の3人の委員で構成する合議体において,仮釈放の審理を開始する。合議体の構成員である委員は,原則として審理対象者本人と面接し,合議体は仮釈放の適否,時期,仮釈放の期間中守らなければならない特別遵守事項等について審理の上,決定又は判断を行っている。矯正施設の長による仮釈放の申出に係る審査については,別添1の「犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則」参照。
(7)養子縁組(国内,国際)(21条)
(最終見解パラグラフ55(a)(b))21
94.我が国では,未成年者の福祉を図る観点から,未成年者を養子とするときは,自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合を除き,家庭裁判所の許可を得る必要があることとされている(民法第798条)。
95.「国家間にまたがる養子縁組に関する子の保護及び協力に関するハーグ条約」については,中央当局の指定を含め,関係省庁間の協力体制を整備するなどの必要があり,締結の実現可能性について更に検討を続けていく。96.国際養子縁組につき,第3回政府報告パラグラフ302のとおりであるが同報告で引用されている法令第20条1項は,法の適用に関する通則法第31条第1項に定められている(内容は実質において変更はない。2007年1月1日施行)。
(8)不法な国外移送及び国外からの不帰還(第11条)
97.2014年1月,我が国は国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)を締結した。同年4月1日に我が国において同条約が発効し,同条約の実施に関する法律に基づく運用を開始した。我が国は条約を誠実に実施している。98.第3回政府報告パラ291参照。
(9)収監されている親と共に過ごす児童及び母親と刑務所内で生活する児童の保護
99.刑事施設及び少年院においては,女子の被収容者がその子を施設内で養育したい旨の申出をした場合において,相当と認められるきは,その子が1歳に達するまで養育することができる(刑事収容施設法第66条,少年院法第59条)。また,その被収容者の心身の状況に照らして,又はその子を養育する上で特に必要があると認められるときは,6月間に限り,引き続き養育することができることとしている。さらに,その子の養育に必要な物品の貸与又は支給,施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障がない限りの自弁品の使用等が認められるほか,その子に対する健康診断,その他の必要な措置を執ることとされており,被収容者である母親と刑事施設又は少年院内で生活する児童の保護を確保している。