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子どもの権利委員会 一般的討議
「意見を聴かれる子どもの権利」
(第43会期、2006年9月29日採択))
原文英語(MSワード)
日本語訳:平野裕二

*ここに掲載したのは未編集版からの日本語訳である。今後、正式な国連文書化の過程で一部文言やパラグラフ番号が変更される可能性がある。
I.はじめに
1.子どもの権利委員会による恒例の一般的討議は、特定の条項またはトピックに関わる条約の内容および含意について、より深い理解を醸成しようとするものである。第43会期中の2006年9月15日、委員会は「声をあげ、参加し、決定する――意見を聴かれる子どもの権利」というテーマで一般的討議を開催した。

2.子どもの権利条約の実施に関する締約国報告書を検討するなかで、委員会は、自己に関わるあらゆる事柄について意見を表明し、かつ子どもの年齢および成熟度にしたがってその意見を正当に重視される子どもの権利の重要性を組織だった形で強調してきた。委員会は、この権利を条約の4つの一般原則のひとつに挙げている。すなわち、第12条は子どもの独立した権利であると同時に、その実施は条約の他の条項の実施の不可欠な一部を占めるということである。

3.一般的討議においては、第12条が何を意味しているか――それが他のいくつかの条項とどのように結びついているかが模索された。とくに注意が向けられたのは、社会のあらゆる側面における子どもの参加――個人としておよび集団的主体としての参加の双方――にとっての同条の含意と、法律上および行政上の諸手続において意見を聴かれる子どもの権利である。討議においてはさらに、埋めなければならない間隙およびいくつかのすばらしい実践に加え、条約に一致する方法で意見を聴かれ、かつその意見を考慮される子どもの権利の享受をさらに進めるために、かつ、家庭、学校、コミュニティおよびいっそう広範な社会において、また緊急事態、紛争および紛争後の状況下において、あらゆるレベルで子どもの参加と機会を促進するために対応しなければならない優先的問題にも、焦点が当てられた。

4.公開の会合である一般的討議にあたっては、政府、国連機関および国連専門機関、非政府組織、国内人権機関の代表ならびに個人の専門家が参加した。討議には45か国から200人以上の参加者があり、そこには世界各地からやってきた約30人の子どもも含まれる。子どもたちは積極的に討議に参加し、1日を通じて自分たちがより大切であると感じている関心事を発表するとともに、第12条の実施に関わる行動およびプロジェクトの実例を示して重要な貢献を行なってくれた。

5.これらの問題について詳細な討議ができるようにするため、委員会は、第12条に関わる次のサブテーマに関する2つの作業部会を設けた。

・社会への積極的参加者としての子ども

・司法上および行政上の手続において意見を聴かれる子どもの権利

ここに掲げた勧告は、一般的討議のさいに出された懸念および提案ならびに事前に提出された60以上の意見書[1]に由来するものである。勧告がこのようなバランスになっているのは、討議のさいに、また書面による貢献(大部分がコミュニティ・レベルでの子ども参加の役割に注目していた)において、どこに焦点が当てられていたかを反映している。しかしながら委員会は、家庭および学校において子ども参加を奨励することの重要性も強調したい。

II.勧告[2]

前文

委員会は、発達しつつある能力にしたがって意見を表明しかつさまざまな活動に参加する子どもの権利を認めることは、子どもにとって、家族にとって、コミュニティ・学校・国にとって、民主主義にとって有益であると考える。

声をあげ、参加し、意見を考慮されること――この3つの表現は、参加権を享受する一連のあり方を機能的観点から表したものである。この権利の新たな、そしてより深い意味は、これによって新たな社会契約が確立されなければならないということである。子どもは、このような権利によって、保護を受ける資格があるのみならず自己に影響を与えるあらゆる事柄に参加する権利も有する、権利の保有者として全面的に認められる。これは、子どもが権利の保有者として認められるための象徴ととらえうる権利である。このことは、長期的には、政治的、社会的、制度的および文化的構造の変革を含意する

a)総論
6.委員会は、子どもの権利条約の4つの一般原則のひとつであり、したがって条約の他の規定の実施の不可欠な一部となるべき第12条を実施する締約国の義務を、再確認する。

7.委員会は、子どもに関する国連総会特別会期(2002年)および決議「子どもにふさわしい世界[3]において締約国が表明した、子どもの参加権に対するコミットメントを想起する。

8.委員会は、すべての子どもが第12条に掲げられた権利を享受できるようにするためには、貧困または武力紛争の影響を受けている子ども、親のケアを受けていない子ども(施設にいる子どもを含む)、障害のある子ども、難民および避難民の子ども、ストリートチルドレンならびに先住民族およびマイノリティ集団に属する子どもといった、弱い立場に置かれたまたは周縁化されたグループの子どもたちの差別に対応する適切な措置がとられなければならないことを、強調する。

9.とくに委員会は、社会に参加する子どもの権利を認めない一部の伝統的および文化的態度と闘う必要があることに留意するものである。委員会は、この権利が実現されるようにするため、子ども参加に資する社会的雰囲気を促進するよう求める

10.委員会は、締約国に対し、女子の権利に特別な注意を払うよう促す。性差別的なステレオタイプおよび家父長主義的価値観は、第12条に掲げられた権利の享受を阻害し、かつ深刻に制約するからである。

11.委員会は、子どもの発達しつつある能力を刺激する手段として子ども参加の機会を奨励することの重要性に留意する。

12.委員会は第12条と第13条との結びつきを再確認する。情報を受け、かつ伝達する権利は、子どもの参加を実現する重要な前提だからである。委員会は、締約国に対し、子どもに影響を与えるあらゆる事柄について子どもに優しい情報を発展させることを検討するよう、促す。

13.「実施に関する一般的措置」についての一般的意見5号を想起し、委員会は、「子どもたちの声に耳を傾けることは、それ自体が目的とされるべきではなく、むしろ、国が、子どもたちとの交流および子どもたちのための行動において、子どもの権利の実施にこれまで以上の配慮を払うようにするための手段として見なされなければならない」こと、および、「第12条は一貫した継続的体制を求めたものである。子どもたちの参加を得たり子どもたちと協議したりするにあたっては、見せかけだけになってしまうことも避け……なければならない」こと[4]を再確認する。

14.委員会は、条約第12条、第13条、第14条、第15条および第17条の適用について留保を行なった締約国に対し、その撤回を検討するよう促す。

15.委員会は、ドナー、国際金融機関および国際機関が、開発協力において子ども参加が考慮に入れられることを確保するよう勧告する。

b)第12条1項:社会への積極的参加者としての子ども

家庭

16.委員会は、締約国に対し、家族およびとくに弱い立場に置かれたグループの家族を支援することを目的とした政策およびプログラムを立案するよう、奨励する。

17.委員会は、締約国に対し、子育てに関する親の教育をさらに促進するとともに、条約に掲げられた諸権利およびとくに子どもの意見表明権に関する情報を親に普及するよう勧告する。これらの権利は家族全体にとって利益となるものだからである。

18.委員会は、親に対し、社会のさまざまなレベルでの子ども参加の実現を促進するために子どもを支援するよう奨励する。

19.委員会は、子どもが自由に意見を表明できる参加型の家族構造が、いっそう幅広い社会への子ども参加を奨励する重要なモデルとなることを認識するものである。さらに、このような家族構造は、家庭における暴力および虐待からの保護という面でも予防的役割を果たす。

学校

20.委員会は、子ども参加を増進および促進するために学校環境が果たす中心的役割を認識するものである。委員会は、「教育の目的」に関する一般的意見1号でかつて述べたように、「学校生活への子どもの参加、学校共同体および生徒会の創設、ピアエデュケーションおよびピアカウンセリング、ならびに学校懲戒手続への子どもの関与が、権利の実現を学習および経験するプロセスの一環として促進されなければならない」[5]ことをあらためて指摘する。

21.委員会は、締約国に対し、初等教育が義務的かつ無償とされ、質の高い、子どもの生活等に関連のあるものとなることを確保するよう促す。さらに締約国は、すべての子どもが学校に席を用意され、就学でき、かつドロップアウトすることなく学校に留まれることを確保するべきである。

22.委員会は、教授法の開発を含む学校カリキュラムの策定および評価において、子どもと積極的に協議することを奨励する。参加の拡大は、学習過程への子どもの参加を増進することに資するからである。弱い立場に置かれた子どもを正当に考慮しながら、子ども中心の教育が提供されなければならない。

23.委員会は、自己の権利の行使を増進させるための基本的な知識を子どもが身につけられるようにするため、カリキュラムに人権教育一般およびとくに子どもの権利条約が含まれることを確保する義務があることを想起するよう、締約国に求める。自己の権利について情報を得た生徒は、学校における差別、暴力および体罰といっそう効果的に闘うこともできるようになる。委員会は、締約国に対し、「体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利」に関する一般的意見8号[6]を参照して、体罰を撤廃するための参加型戦略に関するさらなる指針を得るよう奨励するものである。

24.委員会は、締約国に対し、参加型教育手法およびその利益に関する研修、ならびに、困難な状況を理由として学校からドロップアウトする可能性のある弱い立場に置かれた子どものニーズに特別な注意を払うことに関する研修を、教員に対して提供するよう求める。子どもは特別な注意を享受できなければならず、また畏縮することなく意見を表明する機会を与えられなければならない。

コミュニティ・レベル

25.委員会は、子どもが自己に影響を与えるあらゆる事柄について意見を表明し、かつ効果的に参加できることを確保するため、締約国に対し、参加権に対するイベント中心のアプローチから、政策案件への組織的包摂へと移行するよう促す。委員会は、資源配分において子ども参加が考慮されること、および、子どもの参加を促進するための機構が実施のための手段として制度化されることを確保する義務を、締約国が遵守するよう求めるものである。

26.委員会は、締約国に対し、子どもの権利の実施を中心的に担当する機関を明確に指定するとともに、当該機関が子ども・若者主導の団体と直接のコンタクトを確立して関係を保てることを確保するよう、求める。

27.委員会は、独立の国内人権機関または子どもオンブズマンもしくは子どもコミッショナーが、子どもが容易にアクセスして懸念を提起できることを確保するとともに、これらの機関が行なう子どもの権利の実施の監視に子どもたちの参加を得るため、十分な資源が振り向けられるべきことを勧告する。

28.委員会は、子どもの権利に関わる国レベルの行動計画の計画、立案、実施および評価にさいし、子どもおよび若者が、当該過程の中核的関係者としての役割を認められたうえで、そこに直接含まれるべきことを勧告する。このような開かれた協議によって、子どもの権利の実施のための国レベルの行動計画が、子どもたちに全面的に関連のあるものとなることを確保できるはずである。

29.委員会は、子どもの権利に関する意識および子どもの意見を考慮する義務についての意識を促進する目的で、政府の政策に影響を及ぼし、かつ子どもの問題に関わるプログラムを実施するあらゆる公務員を対象として子どもの権利に関する研修を提供する必要があることを想起するよう、締約国に求める。

30.委員会は、国、広域行政権および地方のレベルで子ども議会を創設することによって多数の国々がとっている措置を、積極的なものとして認知する。このような取り組みは、民主主義的過程に関する貴重な洞察を提供してくれ、かつ子どもたちと意思決定担当者との結びつきを確立するからである。しかしながら委員会は、締約国に対し、このような場で子どもたちから提示される意見が正式な政治的プロセスおよび政策立案においてどのように考慮されるかについての明確な指針を設け、かつ、子どもたちに対してその提案に関わる十分な反応が与えられることを確保するよう、促す。

31.委員会は、条約に掲げられたあらゆる権利の実施の監視に子どもたちが直接参加することを奨励する。委員会は、締約国が、条約の定期的審査のプロセスに子どもたちの参加を積極的に得るよう勧告するものである。また、子どもたちに対し、人権に関わってさらなる注意が必要な側面の特定および国レベルでの総括所見の実施の監視において、積極的な役割を果たすようにも促す。委員会はとくに、子どもたちに対し、たとえば教育、保健、若者の労働条件および暴力の防止の分野での予算配分に関わる地域の政策問題に積極的に関与するよう呼びかけるものである。

32.委員会は、参加の原則がたとえば家族法や刑法に十分に反映されることを確保するため、国内法の見直しおよび法改正の唱道の面で子どもたちが果たしうる役割に留意する。まだ子ども法が採択されていない国においては、子どもたち自身が法改正を積極的に推進することにより、触媒としての役割を果たすことが可能である。さらに、組織化された若者の参加は国際人権文書の批准促進に対して重要な寄与をなしうる。

33.委員会は、国レベル・国際的レベルの双方において子どもと若者の積極的な参加および組織化を促進するうえで非政府組織が果たしている重要な役割を認め、かつ評価する。委員会はさらに、世界各地で若者主導の団体の数が増加していることを歓迎するものである。この文脈において委員会は、締約国に対し、条約第15条で規定された結社の自由を行使する権利を想起するよう求める。

34.委員会は、第12条にしたがって全面的に参加する子どもの権利について社会における意識の促進を図るにあたり、非政府組織が行なっている重要な貢献を歓迎する。委員会は、非政府組織に対し、子ども参加をさらに促進するとともに、経験および最善の実践例の国際的交流を推進するよう奨励するものである。委員会はとくに、子どもの権利に関する国内連合を含む非政府組織に対し、条約にもとづく並行的報告〔訳注/NGOレポートの作成・提出〕のプロセスに子どもの直接的参加を得るとともに、委員会に対する会期前の国別ブリーフィングの場にも子どもが出席するよう奨励する。

35.委員会は、子どもたちがのびのびと意見を表明できるようにするため、子どもたち自身が表明する好みにしたがった革新的な参加の手段に、いっそうの注意が向けられるよう提案する。この文脈において委員会は、文化的生活および芸術に自由に参加する子どもの権利を確立した条約第31条を想起するよう求めるものである。委員会は、演劇、音楽およびダンスを含む創造的表現を通じて子ども参加を増進しようとする努力を歓迎する。

36.委員会は、子どもの意見表明権に関する意識を促進するにあたってメディアが果たしているきわめて重要な役割を認めるとともに、ラジオやテレビといったさまざまな形態のメディアに対し、番組の制作に子どもたちを含めること、および、子どもたちが自己の権利に関するメディアの取り組みを発展させかつ主導できるようにすることに、いっそうの資源を振り向けるよう促す。

37.委員会は、学術目的または政策目的で子どもの問題に関する調査研究を行なっている諸機関に対し、適切な場合には、子どもたちが積極的に協議の対象とされ、かつ調査研究過程に直接参加する機会を与えられることを確保するよう、奨励する。

38.委員会は、締約国が、さまざまなレベルでの子どものコミュニティ参加を考慮に入れるよう勧告するとともに、いくつかの文脈においては、たとえば18歳未満の子どもが軍務の対象とされるにも関わらず投票資格は認められないなど、明らかに首尾一貫性を欠く状況が生じていることに留意する。

c)第12条2項:司法上および行政上の手続において意見を聴かれる子どもの権利

39.委員会は、締約国に対し、司法上および行政上の手続において意見を聴かれる子どもの権利は、あらゆる関連の環境において制限なく適用されることを想起するよう求める。これには、親から分離される子ども、監護権および養子縁組の事案、法に抵触した子ども、身体的暴力、性的虐待その他の暴力犯罪の被害を受けた子ども、庇護希望者および難民の子ども、ならびに、武力紛争および緊急事態で被害を受けた子どもが含まれる。

40.委員会は、司法上および行政上の手続に関与するすべての子どもに対し、意見を聴かれる権利、意見を聴くさいのあり方および手続のその他の側面について、子どもに優しい方法で情報が提供されなければならないことを確認する。

41.委員会は、締約国に対し、司法上および行政上の手続に関与するあらゆる関連の専門職種を対象として、条約第12条の意味するところについての義務的研修を提供するよう助言する。裁判官その他の意思決定に携わる者は、とくに子どもの意見が容れられないときには、手続の結果について明示的に述べかつ説明することが原則とされるべきである。

42.委員会は、締約国に対し、第12条があらゆる関連の国内法規および行政上の指示に十分に統合されることを確保するため、すべての現行法規の検討を行なうよう促す。

43.委員会は、司法上および行政上の手続に関与する子どもに対して有資格者による支援および援助を提供するため、締約国が特別な法律扶助支援制度を確立するよう要請する。

44.委員会は、養子縁組との関連で、条約第21条(a)が「関係者が、……情報を得たうえでの同意を与え」なければならないと規定していることに留意する。この規定は、自己の意見を表明し、かつ子どもの年齢および成熟度にしたがってその意見を考慮される子どもの権利を踏まえて検討されるべきである。

45.委員会は、親からの子どもの分離に関する決定においては、条約第9条2項にしたがい、「すべての利害関係者は、当該手続に参加し、かつ自己の見解を周知させる機会が与えられ」なければならないことを想起する。

46.委員会は、少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)が、パラ3、37および50において、「青少年は社会のなかにあって積極的な役割およびパートナーシップを担うべきであり、単に社会化または統制の対象と見なされるべきではない。……地域レベルで青少年組織が創設または強化されるべきであり、かつ、そのような組織に対し、コミュニティの諸問題の管理運営に全面的に参加できる地位が与えられるべきである。……(計画やプログラムの)策定、開発および実施には青少年自身が関与するようにされなければならない」[7]と述べていることを想起する。

47.委員会は、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)が、パラ14.2において、「手続は、少年の最善の利益に資するものでなければならず、かつ、少年の参加と自由な自己表現を可能とするような、理解に満ちた雰囲気のなかで行なわれなければならない」[8]と述べていることを再確認する。

48.委員会は、法に抵触した子どもの意見が正当に考慮されることを確保するためには、条約第12条および第40条にしたがってそのような子どもの参加を確保する目的で、最低でも次の条件が整えられなければならないことを想起するよう、締約国に求める。

(a) 十分な法的その他の適切な援助
(b) 使用される言語を子どもが話すことまたは理解することができない場合には、通訳への無償のアクセス
(c) 手続のすべての段階における子どものプライバシーの尊重
(d) 子どもは自由に参加する権利を有し、かつ証言を強制されてはならないとの認識

49.委員会は、国連経済社会理事会が2005年に採択した「子どもの犯罪被害者および証人が関与する事案における司法についての国連指針」[9]および「子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書」(とくに第8条)の規定で確立された、性的虐待その他の暴力犯罪の被害を受けた子どもの保護に対する重要な貢献を歓迎する。委員会は、締約国に対し、これらの基準に特段の注意を払うとともに、その実際の実施を確保するよう促すものである。

50.そこで委員会は、締約国に対し、性的虐待その他の暴力犯罪の被害を受けた子どもの意見、ニーズおよび関心事がその個人的利益に影響を及ぼす手続において提示および検討されることを確保するよう、促す。法に抵触した子どものための上述のような諸権利に加えて、締約国は、再度のトラウマを軽減するために事情聴取の録画を活用することによって証言の繰り返しを回避すること、保護措置、保健サービスおよび審理社会的サービスが利用可能とされること、および、加害者との不必要な接触を回避することを確保するような規則および手続を、身体的暴力、性的虐待その他の暴力犯罪の被害を受けた子どものために採用および実施するべきである。被害者の素性は秘密とされるべきであり、かつ、必要なときには、手続中、公衆およびメディアは退廷させられるべきである。

51.委員会は、司法手続に全面的に参加する子どもの権利が年齢を理由として妨げられるべきではないことを確認する。意見を聴かれる子どもの権利について締約国が最低年齢を定めている場合、最低年齢に満たない子どもの意見が、子どもの成熟度にしたがい、特別な訓練を受けたソーシャルワーカーその他の専門家によって考慮されることを確保するための措置がとられるべきである。

52.委員会はさらに、司法制度および行政手続において設けられた苦情申立て機構に子どもがアクセスするにあたり、年齢が妨げとなるべきではないことに留意する。

53.委員会は、適用可能な場合、子どもが苦情申立て機構および助言サービスに容易にアクセスすることを国内人権機関が確保するよう勧告する。

54.委員会は、出入国管理、庇護および難民認定に関わる手続において意見を聴かれる子どもの権利に対し、特段の注意が向けられるよう要請する。そのため、通訳の提供を含む規則および実務において、「出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱い」に関する一般的意見6号(2005年)[10]、とくにパラ25において子どもの権利委員会が詳述した要件が全面的に遵守されることを確保するための措置がとられるべきである。

55.委員会は、締約国に対し、伝統的司法手続および紛争後の真相解明手続を含むあらゆる状況において子どもの意見および子どもの最善の利益が正当に考慮されること、および、子どもが被害を受けないようにするためにあらゆる努力が追求されることを確保するよう、促す。

d)委員会がフォローアップするべき勧告

56.委員会は、条約の実施に関するさらなる指針を提供する目的で、第12条、一般原則および実体的権利としてのその重要性ならびに同条と子どもの権利条約の他の条項との結びつきに関する一般的意見を作成する意思を再確認する。その一般的意見においては、この権利があらゆる場面でどのように一貫して実施されるべきかについて、詳細に模索されることになろう。一般的討議およびその結果(提出された意見書を含む)はこのプロセスの一環である。

57.委員会は、委員会の活動に子どもが参加することの重要性を認め、定期的審査の文脈において情報を提供するよう子どもおよび若者の代表に奨励するとともに、とくに、国レベルでの総括所見の実施の唱道および監視において子どもと若者が果たす重要な役割を強調する。

58.委員会は、委員会の活動に子どもがいっそう参加できるようにするための手段を模索することについて決意を維持するとともに、とくに、市民社会の代表との会期前の国別ブリーフィングの場に子どもがいっそう参加することを奨励する。

[1] すべての意見書はhttp://www.crin.org/resources/treaties/discussion2006.aspで見ることができる。
[2] これらの勧告は「意見を聴かれる子どもの権利」に関する一般的討議(2006年)の成果であるが、いかなる意味でも、子どもの権利条約第12条の解釈に関わる網羅的な勧告であることを主張するものではない。
[3] A/RES/S-27/2
[4] CRC/GC/2003/5, para.12〔一般的意見5号パラ12〕
[5] CRC/GC/2001/1, para.9〔一般的意見1号、パラ8。原文で「パラ9」とあるのは誤り〕
[6] CRC/GC/8
[7] 1980年12月14日の国連総会決議45/112
[8] 1985年11月29日の国連総会決議40/33
[9] 経済社会理事会決議2005/20
[10] CRC/GC/2005/6

ARC 平野裕二の子どもの権利・国際情報サイト

子どもの権利委員会・一般的意見12号:意見を聴かれる子どもの権利(1)


子どもの権利委員会 
第51会期(2009年5月25日〜6月12日)採択 
CRC/C/GC/12(原文英語〔ワード〕) 
日本語訳:平野裕二〔日本語訳全文(PDF)

目次 
I.はじめに 
II.目的 
III.意見を聴かれる権利:子ども個人の権利および子ども集団の権利
  • A.法的分析
  • B.意見を聴かれる権利および条約の他の規定との関係
    • 1.第12条と第3条
    • 2.第12条、第2条および第6条
    • 3.第12条、第13条および第17条
    • 4.第12条と第5条
    • 5.第12条と子どもの権利一般の実施
  • C.さまざまな場面および状況における意見を聴かれる権利の実施
    • 1.家庭における実施
    • 2.代替的養護における実施
    • 3.保健ケアにおける実施
    • 4.教育および学校における実施
    • 5.遊び、レクリエーション、スポーツおよび文化的活動における実施
    • 6.労働現場における実施 → 以下、意見を聴かれる子どもの権利(3)
    • 7.暴力の状況下における実施
    • 8.防止戦略の策定における実施
    • 9.移住および庇護に関わる手続における実施
    • 10.緊急事態下における実施
    • 11.全国的および国際的場面における実施
  • D.意見を聴かれる子どもの権利を実施するための基本的要件
  • E.結論

意見を聴かれる子どもの権利 

 子どもの権利条約第12条は次のように規定している。 

「1.締約国は、自己の見解をまとめる力のある子どもに対して、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に自己の見解を表明する権利を保障する。その際、子どもの見解が、その年齢および成熟に従い、正当に重視される。 
2.この目的のため、子どもは、とくに、国内法の手続規則と一致する方法で、自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても、直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて聴聞される機会を与えられる。」〔国際教育法研究会訳〕
訳者注/政府訳は次のとおり。この日本語訳では国際教育法研究会訳を基本とするが、view(s)は「意見」とするほか、適宜政府訳も参照する。 
「1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。 
2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。」

I.はじめに

1.子どもの権利条約(条約)第12条は、人権条約では他に例を見ない規定である。そこでは、子どもの法的および社会的地位について扱われている。子どもは、一方では成人が有する全面的自律性を有しないが、他方では権利の主体である。第1項は、自己の意見をまとめる力のあるすべての子どもに対し、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に意見を表明する権利を保障するとともに、子どもの意見がその年齢および成熟度にしたがって正当に重視されるとしている。第2項は、とくに、子どもが、自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても、意見を聴かれる権利を認められなければならないと述べている。 

2.意見を聴かれ、かつ真剣に受けとめられるすべての子どもの権利は、条約の基本的価値観のひとつを構成するものである。子どもの権利委員会(委員会)は、第12条を条約の4つの一般原則のひとつに位置づけてきた(他の一般原則は、差別の禁止に対する権利、生命および発達に対する権利、ならびに、子どもの最善の利益の第一義的考慮である)。これは、同条はそれ自体でひとつの権利を定めているというのみならず、他のあらゆる権利の解釈および実施においても考慮されるべきであることを強調するものである。 

3.1989年に条約が採択されて以来、第12条の実施を促進するための立法、政策および方法論の発展という面で、地方、国、地域および国際社会のレベルで相当の進展が達成されてきた。近年、ひとつの広範な実践が行なわれるようになってきており、これは、第12条では用語としては用いられていないものの、広く「参加」として概念化されてきている。この用語は、子どもとおとなの間の、相互の尊重にもとづいた情報共有および対話を含み、かつ、自分の意見とおとなの意見がどのように考慮されてプロセスの結果を左右するのかを子どもたちが学びうる、継続的プロセスを指すものとして発展し、広く用いられるようになったものである。 

4.締約国は、子どもに関する〔国連〕総会第27回特別会期において、第12条を実現することに対する決意を再確認した[1]。しかし委員会は、世界中のほとんどの社会で、自己に影響を与える広範な問題について自分の意見を表明し、かつその意見を正当に考慮される子どもの権利の実施が、長年にわたる多くの慣行および態度ならびに政治的および経済的障壁によって阻害され続けていることに留意する

困難は多くの子どもによって経験されているが、委員会は、一部のグループの子ども(より幼い男女の子どもならびに周縁化されたおよび不利な立場に置かれた集団に属する子どもを含む)が、この権利の実現において特段の障壁に直面していることを、とくに認識するものである委員会はまた、現に行なわれている実践の多くのものの質についても、依然として懸念する。第12条の意味内容、および、すべての子どもを対象として同条を全面的に実施する方法についての理解を深める必要がある
[1] 総会が2002年に採択した決議S-27/2「子どもにふさわしい世界」(A world fit for children)。
5.2006年、委員会は、意見を聴かれる子どもの権利についての一般的討議を開催した。その目的は、第12条の意味および重要性、他の条項との有機的関連、ならびに、間隙、よい実践、および、この権利の享受を前進させるために対応しなければならない優先的問題について模索することにあった[2]。

この一般的意見は、その日に行なわれた(子どもとのものを含む)情報交換、締約国報告書の審査における委員会の経験の蓄積、ならびに、政府、非政府組織(NGO)、コミュニティ組織、開発機関および子どもたち自身が行なっている、第12条に定められた権利を現実のものにしようとするきわめて重要な専門的知見および経験から生まれたものである。
[2] 意見を聴かれる子どもの権利に関する一般的討議(2006年)の勧告を参照。入手先:http://www2.ohchr.org/english/bodies/crc/docs/discussion/Final_Recommendations_after_DGD.doc
6.この一般的意見では、まず第12条の2つの項の法的分析を示し、その後、とくに司法上および行政上の手続等においてこの権利を全面的に実現するための要件について説明する(A)。Bでは、第12条が条約の他の3つの一般原則とどのように結びついているか、および、他の条項とはどのような関係にあるかについて取り上げる。さまざまな状況および環境において意見を聴かれる子どもの権利が何を必要とし、かつどのような影響を及ぼすかについては、Cで概観する。Dではこの権利を実施するための基本的要件を掲げ、Eで結論を提示する。 

7.委員会は、締約国が、政府および行政機構の部内において、ならびに子どもたち及び市民社会に対して、この一般的意見を広く普及するよう勧告するそのためには、これを関連の言語に翻訳すること、子どもが理解しやすい版を利用可能とすること、一般的意見の意味合いおよび最善の実施方法について議論するためのワークショップやセミナーを開催すること、および、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家の研修にこれを組みこむことが必要になろう。

II.目的

8.この一般的意見の全般的目的は、第12条の効果的実施に関して締約国を支援することである。これに際し、一般的意見では以下のことを追求する。
  • 第12条の意義ならびにそれが政府、利害当事者、NGOおよび社会一般にとって有する意味合いについての理解を強化すること
  • 第12条の全面的実施を達成するために必要な立法、政策および実践の範囲について詳細に明らかにすること。
  • 委員会のモニタリングの経験を活用しながら、第12条の実施における積極的アプローチに光を当てること。
  • 自己に影響を与えるすべての事柄について子どもの意見を正当に重視するための適切な方法の基本的要件を提案すること

III.意見を聴かれる権利:子ども個人の権利および子ども集団の権利

9.この一般的意見は、意見を聴かれる子ども個人の権利と、子ども集団(たとえばある学級の学童、近隣地域の子どもたち、ある国の子どもたち、障害のある子どもたちまたは女子)に対して適用される意見を聴かれる権利という、委員会が設けている区分にしたがって構成されている。条約は、締約国は子どもの年齢および成熟度にしたがって意見を聴かれる子どもの権利を確保しなければならないと定めているので、これは妥当な区分である(後掲・第12条第1項および第2項の法的分析を参照)。 

10.年齢および成熟度の条件は、子ども個人が意見を聴かれるとき、および、子ども集団が意見表明を選択する際にも評価することが可能である。ある子どもの年齢および成熟度を評価する作業は、当該集団が家族、学童の学級または特定の近隣地域の住民といった持続的社会構造の一構成要素である場合には行ないやすくなるが、子どもたちが集団的に意見を表明する場合にはより困難となる。たとえ年齢および成熟度を評価するにあたって困難に直面したとしても、締約国は、意見を聴かれるべき集団として子どもたちをとらえるべきであり、委員会は、締約国が、集団的に声をあげる子どもたちの意見に耳を傾け、またはこのような意見を求めるためにあらゆる努力を行なうよう強く勧告する。 

11.締約国は、子どもが自由な意見をまとめることを奨励すべきであり、かつ子どもが意見を聴かれる権利を行使できるような環境を提供するべきである。 

12.子どもたちが表明する意見は妥当な視点および経験を付け加えてくれる可能性があるのであって、意思決定、政策立案および法律および措置の準備ならびに(または)その評価において考慮されるべきである。 

13.このようなプロセスは通常、参加と呼ばれている。意見を聴かれる子どもまたは子どもたちの権利の行使は、このようなプロセスに不可欠な要素のひとつである。参加の概念においては、子どもたちを包摂することは一時的行為としてのみ位置づけられるべきではなく、子どもの生活に関連するあらゆる文脈における政策、プログラムおよび措置の発展について子どもたちとおとなたちが熱心な意見交換を行なう出発点となるべきことが重視される。 

14.委員会は、この一般的意見のA節(法的分析)で、意見を聴かれる子ども個人の権利について取り上げる。C節(さまざまな場面および状況における意見を聴かれる権利の実施)では、子ども個人および集団としての子どもたち双方の意見を聴かれる権利について検討する。

A.法的分析

15.条約第12条は、自己に影響を与えるすべての事柄について自由に意見を表明するすべての子どもの権利、および、これらの意見をその子どもの年齢および成熟度にしたがって正当に重視される二次的権利を定めている。この権利は、この権利を承認し、かつ、子どもの意見に耳を傾けおよびそれを正当に重視することによってその実施を確保する明確な法的義務を、締約国に対して課すものである。この義務により、締約国は、自国の特有の司法制度との関連で、この権利を直接保障し、または子どもがこの権利を全面的に享受できるように法律を採択しもしくは改正することを要求される。 

16.しかし、子どもにはこの権利を行使しない権利がある。意見の表明は子どもにとっては選択であり、義務ではない。締約国は、子どもが、その最善の利益にかなう決定を行なうためにあらゆる必要な情報および助言を受けることを確保しなければならない。

17.一般原則のひとつとしての第12条は、締約国が、条約に編入されている他のあらゆる権利の解釈および実施が同条を指針として行なわれることを確保するために努力すべきことを定めている [3]。

[3] 子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての委員会の一般的意見5号(2003年、CRC/GC/2003/5)参照。

18.第12条は、子どもにはその脆弱性(保護)またはおとなへの依存(条件整備)から派生する権利に留まらず、自己の人生に影響を及ぼす権利があることを明らかにしたものである [4]。条約は子どもを権利の主体として承認しているのであり、この国際文書が締約国によってほぼ普遍的に批准されていることは、第12条に明確に表れている子どものこのような地位を強調するものである。
[4] 条約に言及する際には、3つの「P」、すなわち条件整備(provision)、保護(protection)および参加(participation)が用いられることが一般的である。

1.第12条の文理的分析 

(a)第12条第1項 

(i) 「保障(確保)する」(shall assure) 

19.第12条第1項は、締約国が自己の意見を自由に表明する子どもの権利を「保障(確保)する」と定めている。「保障(確保)する」とは特別な強さを有する法的用語であり、締約国の裁量の余地をまったく残さない。したがって締約国は、すべての子どもを対象としてこの権利を全面的に実施するために適切な措置をとる厳格な義務を有する。この義務には、自己に影響を与えるすべての事柄について子どもの意見を求め、かつこれらの意見を正当に重視するための機構が設けられることを確保するための、2つの要素が含まれる。 

(ii) 「自己の意見をまとめる力(形成する能力)のある」(capable of forming his or her own views) 

20.締約国は、「自己の意見をまとめる(形成する)力のある」すべての子どもに対し、意見を聴かれる権利を確保するものとされる。この文言は、制限としてではなく、むしろ自律的見解をまとめる子どもの能力を可能なかぎり最大限に評価する締約国の義務としてとらえられるべきである。すなわち、締約国は、子どもに自己の意見を表明する能力がないとあらかじめ決めてかかることはできない。逆に、締約国は、子どもには自己の意見をまとめる力があると推定し、かつそれを表明する権利があることを認めるべきである。子どもがまず自己の力を証明しなければならないわけではない。 

21.委員会は、第12条では子どもの意見表明権に何らの年齢制限も課されていないことを強調するとともに、締約国に対し、法律または実務において、自己に影響を与えるすべての事柄について意見を聴かれる子どもの権利を制約するような年齢制限を導入しないよう奨励する。これとの関連で、委員会は以下のことを強調するものである。
  • 第一に、乳幼児期における子どもの権利の実施に関する一般的討議後の勧告において、委員会は、権利の保有者としての子どもという考え方が「子どもの日常生活のなかに、もっとも早い段階から、……根づく」べきであると強調した [5]。調査研究の結果、子どもは、たとえ言語で自らを表現できない時期であっても、もっとも幼い年齢のころから意見をまとめられることがわかっている [6]。したがって、第12条を全面的に実施するためには、遊び、身振り、表情およびお絵描きを含む非言語的コミュニケーション形態を認識しかつ尊重することが必要である。非常に幼い子どもたちも、このような手段を通じて理解、選択および好みを明らかにする。
  • 第二に、自己に影響を与える事柄のあらゆる側面について子どもが包括的知識を有している必要はないが、その事柄に関する自己の意見を適切にまとめることができるのに十分な理解力は必要である。
  • 第三に、締約国には、自己の意見を聴いてもらううえで困難を経験している子どもたちを対象としてこの権利の実施を確保する義務もある。たとえば障害のある子どもは、自己の意見の表明を容易にするうえで必要ないかなるコミュニケーション形態も用意されるべきであるし、それを使えるようにされるべきである。マイノリティ、先住民族および移住者の子どもならびにマジョリティ言語を話せないその他の子どもに意見表明権を認めるための努力も行なわれなければならない。
  • 最後に、締約国は、この権利の軽率な実践がもたらす可能性のある否定的結果も認識しておかなければならない。とりわけ、非常に幼い子どもが関与する場合、または子どもが犯罪、性的虐待、暴力その他の形態の不当な取り扱いの被害者である場合にはこれが該当する。締約国は、意見を聴かれる権利が子どもの全面的保護を確保しながら行使されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとらなければならない。
[5] CRC/C/GC/7/Rev.1, para.14.〔一般的討議勧告パラ10〕 
[6] Cf. Lansdown, G., “The evolving capacities of the child”, Innocenti Research Centre, UNICEF/Save the Children, Florence (2005).
(iii) 「自由に自己の意見を表明する権利」(the right to express those views freely) 

22.子どもは「自由に自己の意見を表明する権利」を有する。「自由に」とは、子どもは圧力を受けることなく自己の意見を表明でき、かつ意見を聴かれる権利を行使したいか否か選べるということである。「自由に」とはまた、子どもは操作または不当な影響もしくは圧力の対象にされてはならないということも意味する。「自由に」とはさらに、子ども「自身」の視点と本質的に関連するものである。子どもには、他人の意見ではなく自分自身の意見を表明する権利がある。 

23.締約国は、子どもの個人的および社会的状況を考慮した意見表明の条件と、子どもが自己の意見を自由に表明する際に尊重されておりかつ安心できると感じられる環境を、確保しなければならない。 

24.委員会は、子どもは必要な回数以上に事情聴取の対象とされるべきではないことを強調する。有害な出来事の究明が行なわれるときはなおさらである。子どもの「聴取」は困難なプロセスであり、子どもに対してトラウマをもたらすような影響を与える可能性がある。 

25.自己の意見を表明する子どもの権利を実現するためには、その事柄、選択肢、ならびに、子どもの意見を聴く担当者および子どもの親または保護者が行なう可能性のある決定およびそれがもたらす結果について、子どもに情報が提供される必要がある。子どもにはまた、どのような条件下で意見表明を求められるかについての情報も提供されなければならない。情報に対するこのような権利は、それが子どもが明快な決定を行なうための前提であるだけに、必要不可欠である。 

(iv) 「その子どもに影響を与えるすべての事柄について」(in all matters affecting the child) 

26.締約国は、子どもが、その子どもに「影響を与えるすべての事柄について」意見を表明できることを確保しなければならない。これが、この権利の第二の限定要件である。子どもは、議論の対象となっている事柄がその子どもに影響を与える場合に意見を聴かれなければならない。この基本的条件は、尊重され、かつ広義に理解されなければならない。 

27.〔旧国連〕人権委員会が設置し、条約の規定を起草した、期限および参加資格等のない作業部会は、これらの事柄を定義する手段として子ども(たち)の意見の考慮を制限するリストを掲げようという提案を受け入れなかった。そうではなく、意見を聴かれる子どもの権利は「その子どもに影響を与えるすべての事柄」に及ぶべきであることが決定されたのである。委員会は、検討対象とされている事柄が子どもたちに影響を与えていること、および子どもたちがその事柄について自己の意見を表明できることが明らかである場合でさえ、子どもたちが意見を聴かれる権利をしばしば否定されていることを懸念する。委員会は、「事柄」を幅広く定義し、条約で明示的に言及されていない問題も対象とすることを支持する一方で、「その子どもに影響を与える」という一節が、一般的な政治的議題が意図されているわけではないことを明確にするために付け加えられたことを認識するものである。しかし、子どものための世界サミットを含む実践は、子ども(たち)に影響を与える事柄を広く解釈することが、そのコミュニティおよび社会の社会的プロセスに子どもたちを包摂するうえで役に立つことを実証している。したがって締約国は、子どもたちの視点によって解決策の質が高まりうる場合は常に、その意見に注意深く耳を傾けるべきである。 

(v) 「子どもの意見が、その年齢および成熟度に従い、正当に重視〔相応に考慮〕される」(being given due weight in accordance with the age and maturity of the child) 

28.子どもの意見は「その年齢および成熟度に従い、正当に重視され」なければならない。この一節は子どもの力に言及したものであり、子どもの意見を正当に重視するため、または子どもの意見がプロセスの結果にどのように影響したのかを子どもに伝えるためには、その子どもの力を評価する必要がある。第12条は、子どもの意見に耳を傾けるだけでは不十分であり、子どもに自己の意見をまとめる力があるときはその意見が真剣に考慮されなければならないと定めているのである。 

29.第12条は、年齢および成熟度にしたがって正当に重視することを要求することにより、年齢だけで子どもの意見の重要性を決定することはできないことを明確にしている。子どもの理解力の水準はその生物学的年齢と一律に関連づけられるわけではない。調査研究の示すところによれば、子どもの意見形成能力の発達には、情報、経験、環境、社会的・文化的期待ならびに支援水準のいずれもが寄与している。このような理由から、子どもの意見は事案ごとの検討にもとづいて評価されなければならない。 

30.成熟度とは、特定の事柄の意味するところを理解しおよび評価する力を指すものであり、したがって子ども個人の力を判断する際に考慮されなければならない。成熟度を定義するのは困難である。第12条の文脈では、これは諸問題に関する自己の意見を合理的にかつ独立に表明する子どもの力を意味する。その事柄が子どもに及ぼす影響も考慮されなければならない。結果が子どもの人生に及ぼす影響が大きいほど、その子どもの成熟度を適切に評価することは重要性を増す。 

31.子どもの発達しつつある能力という概念ならびに親の指示および指導も考慮する必要がある(後掲パラ84およびC参照)。 

(b)第12条第2項 

(i) 「自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても……聴聞〔聴取〕される」権利(the right “to be heard in any judicial and administrative proceedings affecting the child) 

32.第12条2項は、とくに「自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても」聴聞される機会が与えられなければならないと定めている。委員会は、この規定は子どもに影響を与えるあらゆる関連の司法手続に制限なく適用されることを強調するものである。このような手続には、たとえば、親の別居、監護、ケアおよび養子縁組、法律に抵触した子ども、身体的・心理的暴力、性的虐待その他の犯罪の被害を受けた子ども、保健ケア、社会保障、保護者のいない子ども、庇護希望者・難民の子どもならびに武力紛争その他の緊急事態の被害を受けている子どもに関わる手続が含まれる。典型的な行政的手続には、たとえば、子どもの教育、健康、環境、生活条件または保護に関する決定などがある。いずれの種類の手続にも、調停および斡旋のような代替的紛争解決機構が用いられる場合があろう。 

33.聴聞される権利は、子どもが開始した手続(不当な取扱いに対する苦情申立ておよび停退学への異議申立てなど)にも、他人が開始した手続であってその子どもに影響を与えるもの(親の別居または養子縁組など)にも適用される。締約国は、司法的または行政的手続で決定を行なう者に対し、子どもの意見がどの程度考慮されるのかおよび子どもにとってどのような結果が生じるのかを説明することを要求する、立法上の措置を導入するよう奨励されるところである。 

34.畏縮をもたらすような環境、敵対的な環境、配慮のない環境または子どもの年齢にふさわしくない環境では、子どもから効果的に聴聞することは不可能である。手続は、アクセスしやすく、かつ子どもにとってふさわしいという両方の条件を備えていなければならない。子どもに理解しやすい情報の提供および伝達、子どもがみずから権利擁護を行なうための十分な支援、適切な訓練を受けたスタッフ、法廷の設計、裁判官および弁護士の服装、視覚の遮蔽設備ならびに独立した控え室に対してとくに注意を払う必要がある。 

(ii) 「直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて」(either directly, or through a representative or an appropriate body) 

35.子どもは、聴聞に応じることを決心した後、どのような方法で――「直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて」――聴聞されるかを決定しなければならない。委員会は、いかなる手続においても、可能な場合には常に、子どもに対して直接に聴聞される機会が与えられなければならないことを勧告するものである。 

36.代理人には、(両)親、弁護士またはその他の者(とくにソーシャルワーカー)がなることができる。ただし、多くの(民事、刑事または行政)事案において、子どもとそのもっとも自明な代理人((両)親)との間には利益相反のおそれがあることを強調しなければならない。子どもの聴聞が代理人を通じて行なわれるときにもっとも重要なのは、代理人が、子どもの意見を意思決定担当者に正確に伝達することである。その方法は、子どもが置かれている特定の状況に応じ、子ども(または必要なときは適切な公的機関)によって決定されるべきである。代理人は、意思決定プロセスのさまざまな側面に関する十分な知識および理解ならびに子どもとの活動経験を有していなければならない。 

37.代理人は、自分はもっぱら子どもの利益を代弁しているのであって、他人((両)親)、制度または機関(たとえば居住型施設、行政または社会)の利益を代弁しているわけではないことを自覚しなければならない。子どもの意見を代弁するために任命される代理人を対象とした行動規範が策定されるべきである。 

(iii) 「国内法の手続規則と一致する方法で」(in a manner consistent with the procedural rules of national law) 

38.代理・代弁の機会は「国内法の手続規則と一致する方法で」与えられなければならない。この一節は、この基本的権利の享受を制約しまたは妨げる手続法の使用を認めたものとして解釈されるべきではない。逆に、締約国は、防御権および自分自身に関する書類にアクセスする権利のような、公正な手続の基本的規則を遵守するよう奨励されるところである。 

39.手続規則が遵守されないときは、裁判所または行政機関の決定は異議申立ての対象となり、覆され、別段の決定が行なわれ、または裁判所によるさらなる検討のために差し戻される場合がある。

2.意見を聴かれる子どもの権利を実施するための段階的措置 

40.第12条の2つの項を実施する際には、ある事柄が子どもに影響を与えるあらゆる場合に、または子どもが公式の手続その他の場面で意見を述べるよう求められる場合に意見を聴かれる子どもの権利が効果的に実現されるようにするため、5つの段階的措置をとることが必要である。これらの要件は当該文脈にふさわしいやり方で適用されなければならない。
 
(a) 準備 
41.子どもの意見を聴く責任者は、子どもには自己に影響を与えるあらゆる事柄について、および、とくにいかなる司法的および行政的意思決定プロセスにおいても意見を表明する権利があることに関して、および、表明された意見が結果にどのような影響を及ぼすかに関して、当該の子どもが知らされることを確保しなければならない。子どもに対してはさらに、やりとりは直接にまたは代理人を通じて行なう選択肢がある旨の情報も提供されなければならない。意思決定担当者は、聴聞がどのように、いつおよびどこで行なわれるかならびに誰が参加するかについて説明することにより子どもが十分な心構えを持てるようにするとともに、この点に関わる子どもの意見を考慮しなければならない。 

(b) 聴聞 
42.意見を聴かれる権利を子どもが行使する際には、意見を表明しやすい、励ましに富んだ環境が用意されなければならない。子どもが、聴聞の責任者であるおとなは自分が伝えようと決めたことに耳を傾け、かつそれを真剣に考慮することに対して積極的であると確信できるようにするためである。子どもの意見を聴く者としては、子どもに影響を与える事柄に関与しているおとな(たとえば教員、ソーシャルワーカー、ケアワーカー等)、機関の意思決定担当者(たとえば機関の長、管理職、裁判官等)または専門家(たとえば心理学者や医師)などが考えられる。 

43.経験の示すところにより、このような状況においては一方的な吟味よりも談話の形式がとられるべきである。子どもの聴聞は公開の法廷ではなく秘密が守られる条件下で行なわれるのが望ましい。
 
(c) 子どもの力の評価 
44.子どもの意見は、個別事案ごとの分析によりその子どもに自己の意見をまとめる力があることが示されたときは、正当に重視されなければならない。子どもに合理的かつ独立に自己の意見をまとめる力があるときは、意思決定担当者は、問題の解決における重要な要素のひとつとして子どもの意見を考慮しなければならない。子どもの力の評価に関わる望ましい実践を発展させていく必要がある。 

(d) 子どもの意見がどの程度重視されたかに関する情報(フィードバック) 
45.子どもは自分の意見が正当に重視される権利を享有しているので、意思決定担当者は、子どもに対してプロセスの結果を知らせ、かつ子どもの意見がどのように考慮されたかを説明しなければならない。このようなフィードバックは、子どもの意見が形式的に聴かれるだけではなく真剣に受けとめられることの保障である。このような情報がきっかけとなって、子どもはあくまで自己の意見を主張し、同意しもしくは別の提案を行なうか、司法的・行政的手続の場合には上訴もしくは不服申立てを行なう可能性もある。 

(e) 苦情申立て、救済措置および是正措置 
46.意見を聴かれ、かつそれを正当に重視される権利がないがしろにされかつ侵害された場合の苦情申立て手続および救済措置を子どもたちに提供するための立法が必要とされる [7]。子どもたちは、苦情の声をあげるため、あらゆる子ども施設、とくに学校および保育所において、オンブズマンまたはこれに相当する役割を果たす者に相談する可能性を保障されるべきである。子どもたちは、これらの者がどういう人であり、かつどうすればこれらの者にアクセスできるかを知っていなければならない。子どもの意見の考慮に関して家庭内で紛争が生じたときは、子どもが地域青少年サービスの関係者に相談できるようにするべきである。
[7] 子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての委員会の一般的意見5号(2003年、CRC/GC/2003/5)、パラ24参照。
47.意見を聴かれる子どもの権利が司法的および行政手続との関連で侵害されたとき(第12条第2項)は、子どもは、権利侵害に対する救済措置を提供してくれる異議申立ておよび苦情申立ての手続にアクセスできなければならない。苦情申立て手続においては、手続を利用しても暴力または処罰のおそれにさらされることはないと子どもが確信を持てるようにするための、信頼のできるしくみが用意されなければならない。



子どもの権利委員会・一般的意見19号:子どもの権利実現のための公共予算編成(第4条)(前編)


子どもの権利委員会 
CRC/C/GC/19(2016年7月20日/原文英語) 
日本語訳:平野裕二〔日本語訳全文(PDF)〕

目次
  • I.はじめに(パラ1−17)
    • A.背景(パラ6−10)
    • B.理論的根拠(パラ11−13)
    • C.目的(パラ14−17)
  • II.公共予算との関連における第4条の法的分析(パラ18−39)
    • A.「締約国は、……措置をとる」(パラ18−20)
    • B.「あらゆる適当な立法上、行政上およびその他の措置」(パラ21−24)
    • C.「この条約において認められる権利の実施のための」(パラ25−27)
    • D.「経済的、社会的および文化的権利に関して、締約国は、自国の利用可能な手段を最大限に用いることにより、……これらの措置をとる」(パラ28−34)
    • E.「および必要な場合には、国際協力の枠組の中で」(パラ35−39)
  • III.条約の一般原則と公共予算(パラ40−56)
    • A.差別の禁止に対する権利(第2条)(パラ41−44)
    • B.子どもの最善の利益(第3条)(パラ45−47)
    • C.生命、生存および発達に対する権利(第6条)(パラ48−51)
    • D.意見を聴かれる権利(第12条)(パラ52−56)
  • IV.子どもの権利のための公共予算編成の原則(パラ57−63) → 子どもの権利と公共予算 後編
    • A.有効性(パラ59)
    • B.効率性(パラ60)
    • C.公平性(パラ61)
    • D.透明性(パラ62)
    • E.持続可能性(パラ63)
  • V.公共予算における子どもの権利の実施(パラ64−111)
    • A.計画(パラ67−86)
    • B.策定(パラ87−93)
    • C.執行(パラ94−103)
    • D.フォローアップ(パラ104−111)
  • VI.この一般的意見の普及(パラ112−116)

I.はじめに

1.子どもの権利条約第4条は以下のように規定する。
締約国は、この条約において認められる権利の実施のためのあらゆる適当な立法上、行政上およびその他の措置をとる。経済的、社会的および文化的権利に関して、締約国は、自国の利用可能な手段を最大限に用いることにより、および必要な場合には、国際協力の枠組の中でこれらの措置をとる。 
(訳者注/国際教育法研究会訳)
 この一般的意見は、締約国が公共予算との関係で第4条を実施するさいに役に立つはずである。ここでは、締約国の義務を明らかにするとともに、公共予算に関わる有効な、効率的な、公平な、透明なかつ持続可能な意思決定を通じて条約上のすべての権利(とくに、権利を侵害されやすい状況に置かれた子どもの権利)を実現する方法についての勧告を行なっている。 
2.第4条が子どものすべての権利に関連するものであり、かつ、これらのすべての権利が公共予算の影響を受け得ることに鑑み、この一般的意見は条約およびその選択議定書に適用される。この一般的意見は、公共予算がこれらの権利の実現に資することを確保するための枠組みを締約国に対して提示するものであり、また第III節では、第2条、第3条、第6条および第12条に掲げられた条約の一般原則の分析を行なっている。 
3.この一般的意見で「子ども(たち)」に言及するさいには、18歳未満のすべての者(いかなるジェンダーであるかを問わない)であって、公共予算関連の決定によってその権利に直接間接の影響(肯定的影響か悪影響かを問わない)が生じる者またはその可能性がある者を含むものとする。「権利を侵害されやすい状況に置かれた子ども」とは、その権利が侵害される被害をとりわけ受けやすい子どもであって、障害のある子ども、難民状況にある子ども、マイノリティ集団の子ども、貧困下で暮らしている子ども、代替的養護のもとで暮らしている子どもおよび法律に抵触した子どもを含むが、これに限られない。 
4.この一般的意見では以下の定義を適用する。
    • (a) 「予算」には、国の歳入動員、予算配分および支出を含む。
    • (b) 「実施義務」とは、後掲パラ27に掲げた締約国の義務をいう。
    • (c) 「条約の一般原則」とは、第III節に掲げた諸原則をいう。
    • (d) 「予算原則」とは、第IV節に掲げた諸原則をいう。
    • (e) 「立法」とは、子どもの権利に関連するすべての国際条約/法、地域条約/法、国内法および国内下位法令をいう。
    • (f) 「政策」とは、子どもの権利に影響を与えるまたはその可能性があるすべての公的な政策、戦略、規則、指針および声明(そこに掲げられた目標、目的、指標および目指される成果を含む)をいう。
    • (g) 「プログラム」とは、法律および政策の目標を達成する目的で締約国が定めた枠組みのことをいう。このようなプログラムは、たとえば子どもの特定の権利、公共予算編成過程、インフラストラクチャーおよび労働力に影響を与えることにより、子どもに直接間接の影響を及ぼす可能性がある。
    • (h) 「国内下位」とは、広域行政圏、州、郡または自治体など、国の下位の行政段階をいう。
5.第I節では、この一般的意見の背景、理論的根拠および目的を示す。第II節では、公共予算との関連で第4条の法的分析を行なう。第III節では、このような文脈における条約の一般原則の解釈を提示する。第IV節では、公共予算編成の原則を取り上げる。第V節では、公共予算が子どもの権利の実現にどのように資するかを検討する。第VI節では、この一般的意見の普及に関する指針を示す。

A.背景

6.この一般的意見は、「実施に関する一般的措置」という概念は複雑であり、委員会は、個々の要素に関するいっそう詳細な一般的意見を適宜発表していく可能性が高いと述べた、条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)を踏まえたものである [1]。また、委員会が2007年に開催した、子どもの権利のための資源に関する国の責任についての一般的討議を踏まえたものでもある。
[1] 一般的意見5号の「まえがき」参照。
7.この一般的意見は、予算に関わる原則を人権の視点から掲げた国連のいくつかの決議および報告書を参考にしたものである。これには以下のものが含まれる。
  • (a) 子どもの権利への投資の改善を目指す人権理事会決議28/19 [2]、および、当該決議に先立つ国連人権高等弁務官の報告書「子どもの権利への投資の改善に向けて」(Towards better investment in the rights of the child)。そこでは、子どもへの投資との関連における国内政策の役割、資源動員、透明性、説明責任、参加、配分および支出、子どもの保護制度、国際協力ならびにフォローアップについて取り上げられている。
  • (b) 財政政策における透明性、参加および説明責任の促進に関する総会決議67/218。同決議は、財政政策の質、効率性および有効性を向上させる必要性を強調するとともに、加盟国に対し、財政政策における透明性、参加および説明責任を増進させるための努力を強化するよう奨励している。
[2] 同決議は無投票で採択された。
8.この一般的意見の作成にあたっては、委員会が調査を通じて各国、国際連合、非政府組織、子どもたちおよび個人専門家と行なった協議、ならびに、アジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカ・カリブ海、中東・北アフリカおよびサハラ以南のアフリカで開催された会議および地域協議も参考にした。これに加えて、オンライン調査、フォーカスグループにおける討議ならびにアジア、ヨーロッパおよびラテンアメリカで開催された地域協議を通じて行なわれた、71か国から参加した2693人の子どもたちとの世界的協議 [3] も参考にしている。この世界的協議では、年齢、ジェンダー、能力、社会経済的状況、言語、民族、就学状況、避難を余儀なくされた状況および子ども参加型の予算策定の経験という観点からさまざまな背景を有する男女の子どもから貢献が行なわれた。公共予算の決定に携われる人々に対する子どもたちのメッセージには、以下のようなものがあった。
  • (a) ちゃんとした計画を立ててほしい。予算では、子どもたちのすべての権利に対応するのに十分なお金が用意されるべきです。
  • (b) 何に投資すればいいのか、私たちにきいてくれなければ、私たちに投資することはできません。私たちはわかっているので、私たちに尋ねるべきです。
  • (c) 特別なニーズがある子どものことを予算に含めるのを忘れないでほしい。
  • (d) お金は公正に、賢く使ってほしい。私たちのお金を無駄なことに使わないでください。効率的にやって、お金を節約しましょう。
  • (e) 子どもたちへの投資は長期的な投資で、たくさんの成果を生み出してくれるものなので、そのことを忘れずに考えてほしい。
  • (f) 私たちの家族に投資することは、私たちの権利を保障する重要な方法でもあります。
  • (g) 汚職が絶対ないようにしてほしい。
  • (h) 行政に関する問題についてみんなの意見を聴いて、若くても歳をとっていても、市民全員の権利を認めてほしい。
  • (i) 政府には、もっと説明責任と透明性を高めてほしい。
  • (j) お金がどのように使われたのか、記録を公表してほしい。
  • (k) 予算についての情報を、子どもたち全員に、わかりやすい方法で、ソーシャルメディアなど子どもたちに人気があるメディアを通じて提供してください。
[3] Laura Lundy, Karen Orr and Chelsea Marshall, "Towards better investment in the rights of the child: the views of children" (Centre for Children's Rights, Queen's University, Belfast, and Child Rights Connect Working Group on Investment in Children, 2015).
9.すべての中核的人権条約に、条約第4条と同様の規定が含まれている。したがって、これらの規定に関連して発表されてきた、公共予算について取り上げている一般的意見は、この一般的意見を補完するものとみなされるべきである [4]。
[4] たとえば、締約国の義務に関する社会権規約委員会(経済的、社会的および文化的権利に関する委員会)の一般的意見3号(1990年)を参照。
10.この一般的意見は、締約国が有する、自国の管轄内にある子どもに直接間接の影響を与える財源の管理に関わるものである。この一般的意見は、アディスアベバ行動目標(第3回開発資金国際会議、2015年)および「世界の変革:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(2015年)を認知する。これらのアジェンダでは、プログラム支援、セクター支援および予算支援、南南協力ならびに地域間協力など、子どもに影響を与える国際協力関連資源の国による管理について取り上げられている。委員会は、やはりこのような管理について取り上げている、「開発協力および開発計画に対する人権基盤型アプローチについての共通理解声明」(国連開発グループ、2003年)、「援助効果にかかるパリ原則:オーナーシップ、調和化、整合性確保、成果および相互説明責任」(2005年)、アクラ行動アジェンダ(2008年)および「効果的な開発協力のための釜山パートナーシップ」(2011年)を想起するものである。加えて、委員会は、公共財務管理に関して国内的、地域的および国際的に策定された基準および現在策定中である基準が、当該基準が条約の規定と矛盾しないことを条件として、この一般的意見にとって関連性を有する可能性があることも心に留める。このような基準の例を3つ挙げるとすれば、公共財務管理における有効性、効率性および公平性を強調する『公共財務管理国際ハンドブック』(The International Handbook of Public Financial Management)[5]、財政運営および説明責任を向上させるために過去、現在および将来の公共財政についての公的報告において包括性、明確性、信頼性、適時性および関連性を求める国際通貨基金の「財政の透明性に関する規範」(2014年)、および、国連貿易開発会議が2012年に採択した「責任あるソブリン融資の促進に関する原則」がある。
[5] Richard Allen, Richard Hemming and Barry Potter, eds., The International Handbook of Public Financial Management (Basingstoke, Palgrave Macmillan, 2013).

B.理論的根拠

11.委員会は、締約国が、国内の法律、政策およびプログラムを再検討し、条約およびその選択議定書と一致させるようにするうえで相当の進展を達成してきたことを認める。同時に委員会は、十分な財源が責任ある、効果的な、効率的な、公平な、参加型の、透明かつ持続可能なやり方で動員され、配分されかつ支出されることがなければ、そのような法律、政策およびプログラムは実施できないことを強調するものである。 
12.委員会は、委員会に提出される締約国報告書の審査、締約国代表との議論および総括所見において、予算規模が子どもの権利を実現するうえで十分かどうかについての懸念を表明してきた。委員会は、条約で要求されているとおりに国・国内下位レベル双方の予算において子どもの権利を優先的に位置づけることが、これらの権利を実現していくことのみならず、将来の経済成長、持続可能かつ包摂的な開発および社会的団結に永続的かつ肯定的な影響を与えることにも寄与することを、あらためて表明する。 
13.以上のことに基づき、委員会は、締約国が、国・国内下位レベルの予算編成過程および行政制度のあらゆる段階を通じてすべての子どもの権利を考慮すべきことを強調する。予算編成過程が国によってある程度異なること、および、独自の子どもの権利予算手法を開発した国もあることは認識しながらも、この一般的意見は、すべての国に関係する4つの主要な予算段階、すなわち計画、策定、執行およびフォローアップに関わる指針を示すものである。

C.目的

14.この一般的意見の目的は、子どもの権利のための予算に関わる条約上の義務についての理解を向上させ、もってこれらの権利の実現を強化するとともに、条約およびその選択議定書の実施を増進させる目的で、予算の計画、策定、執行およびフォローアップが進められるあり方に真の変革が生じることを促進するところにある。 
15.この目的は、予算編成過程全体を通じて国の各統治部門(行政府、立法府および司法府)、各段階(国および国内下位)および機構(省庁など)がとる措置に関連するものである。これらの義務は、国際協力のドナーおよび受入国にも適用される。 
16.この目的は、国内人権機関、メディア、子どもたち、家族および市民社会組織など、予算編成過程に関わる他の関係者にも関連するものである。締約国は、自国の状況にふさわしい方法で、これらの関係者が予算編成過程において積極的な監視および意味のある参加を行なえるような環境を整えるよう求められる。 
17.加えて、この目的は、この一般的意見の内容についての意識啓発および関連する公的職員等の能力構築との関連でも、各国にとって関連性を有する。

II.公共予算との関連における第4条の法的分析

A.「締約国は、……措置をとる」(States parties shall undertake)

18.「措置をとる」という文言は、締約国には、子どもの権利を実現するために適当な立法上、行政上その他の措置(公共予算に関連する措置を含む)をとる自国の義務を果たすか否かについての裁量権はないことを意味する。 
19.したがって、公共予算の編成において何らかの役割を果たす国のすべての統治部門、段階および機構は、条約の一般原則および後掲第III節・第IV節に掲げられた予算原則に一致する方法でその職務を果たさなければならない。締約国はまた、立法府、司法府および最高監査機関が同様の対応をとれるようにするための環境も創出するべきである。 
20.締約国は、あらゆる段階の行政府および立法府の予算決定担当者が、必要な情報、データおよび資源にアクセスでき、かつ子どもの権利実現のための能力構築を図れるようにするべきである。

B.「あらゆる適当な立法上、行政上およびその他の措置」(all appropriate legislative, administrative and other measures)

21.「あらゆる……適当な措置」をとる義務には、以下のことを確保する義務が含まれる。
  • (a) 子どもの権利実現のための資源動員、予算配分および支出を支える法律および政策が整備されること。
  • (b) 子どもの権利を増進するための適切な法律、政策、プログラムおよび予算の編成および実施を支える目的で、子どもに関する必要なデータおよび情報が収集され、生成されかつ普及されること。
  • (c) 承認された立法、政策、プログラムおよび予算を完全に実施するための十分な公的資源が効果的に動員され、配分されかつ活用されること。
  • (d) 予算が、国および国内下位のレベルにおいて、子どもの権利実現の確保につながる方法で体系的に計画され、制定され、実施されかつ説明されること。
22.措置は、それがある特定の文脈(公共予算の文脈を含む)において子どもの権利の増進に直接間接の関連性を有する場合に、適当と判断される。 
23.公共予算との関連で締約国がとることを義務づけられる「立法上の……措置」には、現行法の再検討、ならびに、国・国内下位レベルで子どもの権利実現のための予算が十分大規模なものとなることを確保するための立法の策定および採択が含まれる。「行政上の……措置」には、合意に基づき制定された立法の目的にかなうプログラムの立案および実施ならびにそのための十分な予算の確保が含まれる。「その他の措置」には、たとえば、公共予算編成過程に参加するための機構および子どもの権利に関連するデータまたは政策を発展させることが含まれると考えられる。公共予算は、これらの3つのカテゴリーの措置全体にまたがるものと理解できる一方で、その他の立法上、行政上その他の措置の実現にとっても不可欠なものである。国のすべての統治部門、段階および機構が、子どもの権利の増進について責任を有する。 
24.委員会は、締約国には、自国が選択する公共予算関連の措置がどのように子どもの権利の向上に結びついているかを示す義務があることを強調する。締約国は、これらの措置の結果として子どもたちのために獲得できた成果の証拠を示さなければならない。条約第4条が履行されたというためには、結果についての証拠を示さないまま、措置をとったことの証拠を示すだけでは十分ではないのである。

C.「この条約において認められる権利の実施のための」(for the implementation of the rights recognized in the present Convention)

25.「この条約において認められる権利」には、市民的、政治的、経済的、社会的および文化的権利が含まれる。締約国は、市民的および政治的権利については即座に実現し、かつ、経済的、社会的および文化的権利については「自国の利用可能な手段(資源)を最大限に用いることにより」実施する義務を有する。すなわち、これら〔後者〕の権利の完全な実現は必然的に漸進的に達成されざるを得ないということである(後掲第II節D参照)。 
26.子どもの権利の実現のためには、公共予算編成過程の4つの段階(計画、策定、執行およびフォローアップ)のすべてに緊密な注意を払うことが必要である。条約の一般原則およびこの一般的意見で概要を示した予算原則にしたがい、締約国は、予算編成過程全体を通じて、すべての子どもの権利を考慮することが求められる。 
27.予算の観点からは、「子どもの権利を実施する」とは、締約国には、自国の実施義務を遵守するようなやり方で公的資源を動員し、配分しかつ使用する義務があるということを意味する。締約国は、以下のとおり、子どものすべての権利を尊重し、保護しかつ充足しなければならない。
  • (a) 「尊重する」とは、締約国は子どもの権利の享受に直接間接に干渉するべきではないということを意味する。予算との関連では、国は、たとえば予算の決定において一部の集団の子どもを差別したり、または子どもによる経済的、社会的および文化的権利の享受に対応するために現に実施されているプログラムから資金を引き上げたり資源を別に振り向けたりすること(後掲パラ31に掲げる事情がある場合を除く)によって、子どもの権利の享受に干渉することは控えなければならないということである。
  • (b) 「保護する」とは、締約国は、条約および選択議定書で保障されている諸権利に第三者が干渉することを防止しなければならないということを意味する。公共予算の観点からは、そのような第三者に該当する可能性がある主体として、公共予算編成過程のさまざまな段階で何らかの役割を果たす可能性がある企業セクター [6] および地域的・国際的金融機関を挙げることができよう。保護する義務が含意するのは、締約国は、自国の歳入動員、予算配分および支出が第三者によって干渉されまたは阻害されないことを確保するよう努めなければならないということである。そのためには、締約国は、そのような第三者の役割を規制し、苦情申立て機構を設置し、かつこれらの第三者による人権侵害事案に体系的に介入することが必要になろう。
  • (c) 「充足する」ためには、締約国は、子どもの権利の完全な実現を確保するための行動をとらなければならない。締約国は以下の対応をとるべきである。
    • (i) 子どもが自己の権利を享受できるようにし、かつそれを援助する措置をとることによって子どもの権利の促進を図ること。予算に関わる文脈では、これには、すべての子どもたちの権利を包括的かつ持続可能なやり方で増進させるために必要な資源および情報を、行政府、立法府および司法府のあらゆる段階および機構が持てるようにすることが含まれる。そのためには、国の諸機関のあいだで条約およびその選択議定書についての知識および理解を高めるための措置を整備すること、ならびに、子どもの権利を尊重し、保護しかつ充足する文化を醸成することが必要となる。
    • (ii) 国が、やむを得ない理由により、自国が利用可能な手段により自らこれらの権利を実現できない場合に、子どもの権利のための対応をとること。この義務には、子どもたちがたとえば国の異なる地域で自己の権利をどの程度行使できているかを評価しかつ監視する目的で、信頼できる、細分化されたデータおよび情報を公に入手できるようにすることが含まれる。
    • (iii) 予算に関わる意思決定手続およびそれが及ぼす影響について適切な教育および公衆の意識啓発が行なわれることを確保することにより、子どもの権利を促進すること。これは、予算との関連では、子どもたち、その家族および養育者と、予算関連の決定(これらの決定に影響を与える立法、政策およびプログラムを含む)についてやりとりするための十分な資金を動員し、配分しかつ使用することを意味する。締約国は、より効果的な促進が必要とされる領域を特定する目的で、さまざまな集団に関する成果を継続的に評価するべきである。
[6] 企業セクターが子どもの権利に及ぼす影響に関わる国の義務についての一般的意見16号(2013年)参照。同一般的意見において委員会は、「国が、企業が子どもの権利侵害を引き起こしまたは助長しないようにするためにあらゆる必要な、適当な、かつ合理的な措置をとらなければならない」ことを明らかにしている(パラ28)。

D.「経済的、社会的および文化的権利に関して、締約国は、自国の利用可能な手段を最大限に用いることにより、……これらの措置をとる」(With regard to economic, social and cultural rights, States parties shall undertake such measures to the maximum extent of their available resources)

28.この義務にしたがい、締約国は、十分な財源を動員し、配分しかつ使用するためにあらゆる可能な措置をとらなければならない。条約およびその選択議定書上の権利の実現を前進させる政策およびプログラムに配分される資金は、最適なやり方で、かつ条約の一般原則およびこの一般的意見に掲げた予算原則にしたがって使用されるべきである。 
29.委員会は、他の中核的国際人権条約における「利用可能な手段(資源)を最大限に用いること」および「漸進的実現」の概念の進展 [7] を認識するとともに、条約第4条はこの両方の概念を反映していると考える。したがって締約国は、国際法にしたがって即時的に適用される義務に影響を与えることなく、経済的、社会的および文化的権利の完全な実現を漸進的に達成する目的で、自国の利用可能な資源を最大限に用いることにより、かつ必要な場合には国際協力の枠組みのなかで、これらの権利に関する措置をとらなければならない。
[7] たとえば障害のある人の権利に関する条約第4条第2項参照。
30.「締約国は、自国の利用可能な手段を最大限に用いることにより、……これらの措置をとる」とは、締約国には、すべての子どもの経済的、社会的および文化的権利を充足させるための予算資源を動員し、配分しかつ使用する目的であらゆる努力を行なったことの実証を期待されているということである。委員会は、子どもの権利は相互依存的でありかつ不可分であること、および、経済的・社会的・文化的権利と市民的・政治的権利を区別するさいには注意しなければならないことを強調する。経済的・社会的・文化的権利の実現は子どもが自己の政治的・市民的権利を全面的に行使する能力にしばしば影響を与えるのであり、その逆もまた真である。 
31.第4条によって締約国に課されている、利用可能な資源を「最大限に用いることにより」子どもの経済的、社会的および文化的権利を実現する義務は、締約国は経済的、社会的および文化的権利との関連で意図的な後退的措置をとるべきではないということでもある [8]。締約国は、子どもの権利の享受に関わる現行水準の低下を許すべきではない。経済危機の時期における後退的措置の検討は、他のすべての選択肢を評価し、かつ子ども(とくに、権利を侵害されやすい状況に置かれた子ども)への影響が最後に生じることを確保した後でなければ、行なうことができない。締約国は、そのような措置が必要であり、合理的であり、比例性を有しており、差別的でなく、かつ一時的なものであること、および、したがって影響が生じたいかなる権利も可能なかぎり早期に回復されることを実証しなければならない。締約国は、影響を受ける集団の子どもたちおよびこれらの子どもたちの状況について知悉しているその他の者が当該措置に関連する意思決定手続に参加するよう、適切な措置をとるべきである。子どもの権利によって課される即時的かつ最低限の中核的義務 [9] は、たとえ経済危機の時期であっても、いかなる後退的措置によっても損なわれてはならない。
[8] たとえば、子どもの権利のための資源に関する国の責任についての一般的討議(2007年)の勧告のパラ24および25、到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)のパラ72、ならびに、社会権規約委員会の一般的意見3号のパラ9参照。 
[9] 社会権規約委員会の一般的意見で明らかにされている中核的義務を参照(教育への権利に関する13号(1999年)、到達可能な最高水準の権利に関する14号(2000年)および社会保障への権利に関する19号(2007年)など)。
32.条約第44条は、締約国に対し、自国の管轄内にある子どもの権利の増進における進展を定期的に報告するよう義務づけている。利用可能な資源を最大限に用いることによる子どもの経済的、社会的および文化的権利の漸進的実現およびこれらの権利によって課される即時的義務の実現ならびに市民的および政治的権利の実現を実証するために、明確なかつ一貫した量的・質的目標および指標が活用されるべきである。締約国は、すべての子どもの権利のために資源が利用可能とされかつ最大限に使用されることを確保するための措置を定期的に見直しかつ改善するよう期待される。 
33.委員会は、経済的、社会的および文化的権利を含む子どもの権利の実施のために必要な資源を獲得する手段として、国レベルおよび国内下位レベルで、説明責任が果たされる、透明な、包摂的なかつ参加型の意思決定手続が設けられることをおおいに重視するものである。 
34.国の歳入動員、配分および支出における汚職および公的資源の誤った管理は、利用可能な資源を最大限に用いる義務を国家が遵守できていないことの表れである。委員会は、締約国が、腐敗の防止に関する国際連合条約にしたがい、子どもの権利に影響を与えるいかなる汚職も防止しかつ解消するための資源を配分することの重要性を強調する。

E.「および必要な場合には、国際協力の枠組の中で」(and, where needed, within the framework of international cooperation)

35.締約国は、子どもの権利を含む人権の普遍的尊重および遵守の促進に関して相互に協力する義務を有する [10]。条約およびその選択議定書に掲げられた権利を実施するために必要な資源を欠いている国には、二国間協力、地域的協力、地域間協力、世界的協力または多国間協力のいずれの形態をとるかにかかわらず、国際協力を求める義務がある。国際協力のための資源を有する締約国には、受入国における子どもの権利の実施を促進する目的でそのような協力を行なう義務がある。
[10] 国際連合憲章にしたがった諸国間の友好関係および協力についての国際法の原則に関する宣言(1970年)参照。
36.締約国は、必要なときは、子どもの権利を実現するための国際協力を求めかつ実施する目的であらゆる努力を行なったことを実証するべきである。そのような協力としては、予算編成過程における子どもの権利の実施に関連する技術的および金銭的支援(国際連合からの支援を含む)[11] も考えられる。
[11] 条約第45条参照。
37.締約国は、利用可能な資源を子どもの権利のために最大限に動員しようとする他の国の努力に協力するべきである。 
38.締約国の協力戦略は、ドナーにおいても受入国においても、子どもの権利の実現に寄与するようなものであるべきであり、子ども(とくに、もっとも権利を侵害されやすい状況に置かれた子ども)に悪影響を及ぼすものであってはならない。 
39.締約国は、国際機関の一員として開発協力に関与するさい [12] および国際協定に調印するさいには、条約およびその選択議定書に基づく自国の義務を遵守するよう求められる。締約国は同様に、経済政策の計画および実施にあたって、子どもの権利に生じる可能性がある影響を考慮するべきである。
[12] 一般的意見5号、パラ64参照。

III.条約の一般原則と公共予算

40.条約の4つの一般原則は、子どもの権利に直接間接に関連する国のあらゆる決定および行動(公共予算を含む)の基礎となるものである。

A.差別の禁止に対する権利(第2条)

41.締約国には、「子どもまたは親もしくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、民族的もしくは社会的出身、財産、障害、出生またはその他の地位にかかわらず」、あらゆる種類の差別から子どもを保護する義務がある(第2条第1項)。締約国は、あらゆる行政段階において差別を防止するために行動するべきであり、予算関連の立法、政策またはプログラムにおいて、その内容面または実施面で、子どもに対する直接間接の差別を行なってはならない。 
42.締約国は、十分な歳入を動員し、かつ資金の配分および使用をしかるべき形で進めることによって、立法、政策およびプログラムとの関連ですべての子どもにとって肯定的な成果を確保するための積極的措置をとるべきである。実質的平等を達成するため、締約国は、特別な措置を受ける資格を有する集団の子どもを特定するとともに、そのような措置を実施するために公共予算を使用することが求められる。 
43.締約国は、差別が行なわれない環境をつくりだすとともに、国のすべての統治部門、段階および機構ならびに市民社会および企業セクターが差別を受けない子どもの権利を積極的に増進させることを確保するための措置を、資源の配分等も通じてとるべきである。 
44.子どもが自己の権利を享受するという点に関わる肯定的な成果に寄与する予算を達成するためには、締約国は、関連の立法、政策およびプログラムを見直しかつ改訂し、予算の一定の部分について増額もしくは再優先化を図り、または予算の有効性、効率性および公平性を高めることにより、子どもたちの間に存在する不平等に対応することが求められる。

B.子どもの最善の利益(第3条)

45.条約第3条第1項は、子どもに関わるあらゆる行動において子どもの最善の利益が第一次的に考慮されると定めている。締約国には、子どもに直接間接の影響を与えるすべての立法上、行政上および司法上の手続(予算を含む)においてこの原則を統合しかつ適用する義務がある [13]。子どもの最善の利益は、予算編成過程のすべての段階を通じて、かつ子どもに影響を与えるすべての予算決定において、第一次的に考慮されるべきである。
[13] 自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)、パラ6(a)参照。
46.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)で指摘したように、条約およびその選択議定書に掲げられた諸権利は、子どもの最善の利益に関する評価および判断の枠組みを示すものである。この義務は、国が、予算の配分および使用に関わる優先的課題であって相互に競合するものの比較衡量を行なうさいに、きわめて重要となる。締約国は、予算に関わる意思決定において子どもの最善の利益がどのように考慮されたか(他の考慮事項との比較衡量がどのように行なわれたかを含む)を実証できるべきである。 
47.締約国は、国レベルおよび国内下位レベルで立法、政策およびプログラムがすべての子ども(とくに、権利を侵害されやすい状況に置かれており、特別なニーズを有しているためにその権利の実現のために人口比に照らした割合よりも多くの支出を必要としている可能性のある子ども)に与えている効果を確認する盲的で、子どもの権利影響評価 [14] を実施するべきである。子どもの権利影響評価は、予算編成過程の各段階に位置づけられるべきであり、かつ監視および評価のために行なわれている他の取り組みを補完するようなものであることが求められる。締約国が子どもの権利影響評価を実施するさいに適用する手法および実践方法はそれぞれ異なることになろうが、その枠組みを開発するさいには、条約およびその選択議定書ならびに委員会が発表した関連の総括所見および一般的意見を活用するべきである。子どもの権利影響評価のさいには、子どもたち、市民社会組織、専門家、国の統治機構および学術研究機関などの関係者の意見を参考にすることが求められる。分析の結果は、改正、これまでのものに代わる対応および改善のための勧告としてまとめられるべきであり、かつ公に利用可能とされるべきである。
[14] 一般的意見5号のパラ45ならびに一般的意見14号のパラ35および99参照。

C.生命、生存および発達に対する権利(第6条)

48.条約第6条は、すべての子どもは生命に対する固有の権利を有しており、かつ、締約国はすべての子どもの生存および発達を確保しなければならない旨、定めている。委員会は、一般的意見5号において、子どもの発達とは「ホリスティックな概念であり、子どもの身体的、精神的、霊的、道徳的、心理的および社会的発達を包含するものである」こと、および、「実施措置は、すべての子どもが最適な形で発達できるようにすることを目指したものでなければならない」ことを指摘している(パラ12)。 
49.委員会は、子どもが成長発達の段階の違いに応じてさまざまなニーズを有することを認識する [15]。締約国は、予算決定において、さまざまな年齢の子どもたちが生存し、成長しかつ発達するために必要なあらゆる要素を考慮するべきである。締約国は、予算のうちさまざまな年齢層の子どもに影響を与える部分を可視化することにより、子どもの権利に対するコミットメントを示すよう求められる。
[15] 乳幼児期における子どもの権利の実施についての一般的意見7号(2005年)および思春期の子どもの権利についての一般的意見20号(作成中)を参照。
50.委員会は、乳幼児期の発達への投資が、自己の権利を行使する子どもの能力に肯定的影響を与え、貧困のサイクルを打破し、かつ多くの経済的リターンをもたらすことを認知する。乳幼児期の子どもに十分な投資を行なわないことは、認知的発達にとって有害になりうるとともに、すでに存在する剥奪状況、不平等および世代を超えた貧困の強化につながる可能性がある。 
51.生命、生存および発達に対する権利の確保には、現在世代に属するさまざまな集団の子どもたちのための予算を考慮する必要が含まれるとともに、歳入および支出に関して多年度にまたがる持続可能な見通しを立てることによって将来の世代を考慮に入れる必要も含まれる。

D.意見を聴かれる権利(第12条)

52.条約第12条は、自己に影響を与えるすべての事柄について自由に自己の意見を表明し、かつその子どもの年齢および成熟度にしたがってその意見を正当に重視されるすべての子どもの権利を認めている [16]。締約国は、国レベルおよび国内下位レベルで設けられた子どもの意味のある参加のための機構を通じ、子どもに影響を与える予算決定についての子どもたちの意見を恒常的に聴くべきである。これらの機構に参加する子どもたちは、自由に、かつ抑圧または冷やかしを恐れることなく発言できるべきであり、また締約国は参加者に対してフィードバックを行なうことが求められる。とくに、締約国は、意見を表明するうえで困難に直面している子どもたち(権利を侵害されやすい状況に置かれた子どもたちを含む)と協議を行なうべきである。
[16] 意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)も参照。
53.委員会は、「自己にとってのあらゆる関心事について意見を聴かれ、かつその意見を正当に考慮される子どもの権利の実現に投資することは、締約国が条約上負っている明確かつ即時的な法的義務」であり、そのためには「資源および訓練に対するコミットメントも必要になる」ことを想起する [17]。このことは、子どもに影響を与えるすべての決定への意味のある子ども参加を達成するための資金が用意されることを確保する締約国の責任を強調するものである。委員会は、予算決定に関わる子ども参加を保障するうえで、行政府職員、独立した子どもオンブズマン、教育機関、メディア、子ども団体を含む市民社会組織および立法府が果たす重要な役割を認識する。
[17] 一般的意見12号、パラ135参照。
54.委員会は、予算の透明性が意味のある参加の前提条件であることを認識する。透明であるとは、予算の計画、策定、執行およびフォローアップに関連して、利用者にやさしい情報が時宜を得た形で公に利用可能とされるということである。これには、量的な予算情報と、立法、政策、プログラム、予算編成過程のタイムテーブル、支出の優先順位および決定の論拠、支出額、成果ならびにサービス提供情報についての関連情報の双方が含まれる。委員会は、締約国が、意味のある参加を可能にするための、状況にふさわしい資料、機構および制度 [18] のための予算を用意し、かつこのような資料、機構および制度を整備しなければならないことを強調するものである。
[18] 条約第13条第1項参照。
55.予算編成過程への意味のある参加を可能にするために、委員会は、締約国が情報の自由のための立法および政策を整備することを確保することが重要であると強調する。これには、予算編成方針、予算案、策定された予算、中期報告書、年度末報告書および監査報告書のような重要な予算文書にアクセスする権利が含まれ、または少なくとも子どもたちおよび子どもの権利擁護者がそのようなアクセスを妨げられないことが含まれる。 
56.委員会は、多くの国が、予算編成過程のさまざまな部分に子どもたちの意味のある参加を得てきた経験を有していることを認識する。委員会は、締約国に対し、そのような経験を共有し、かつ自国の状況にふさわしい優れた実践のあり方を特定するよう奨励するものである。



ARC 平野裕二の子どもの権利・国際情報サイト

学校は地獄

いじめ問題 命を救うために

子どもたちをいじめから守るためにはどうすればいいのだろうか?
(imago/Bildbyran)

スイスの学校では、生徒の5〜10%がいじめを受け、悪夢のような学校生活を送っている。被害者は泣き寝入りするケースが多く、その後も苦しい時間は長く続く。専門家は、学校におけるいじめ防止対策の強化を提唱する。

 「なんでここにいるんだよ。邪魔なんだよ。死んじゃえ」。こんなひどい言葉を投げつけられれば、人は深く傷つく。ロアーヌ・ゴステリさんはこんな言葉を学校で聞かされ続けてきた。侮辱、からかい、脅し。ジュラ州の小さな村の学校生活は地獄と化した。
「いじめは敗者しか生まない
専門家は、いじめを三角関係になぞらえる。関係者全員が加害者、被害者、そして目撃者の役割を担っており、そこからなかなか抜け出せないこともしばしばだ。
ヴァリス(ヴァレー)州の学校を対象にいじめ調査を行った研究員の1人ゾエ・ムーディさんは、「いじめの被害者が被害者としての状態に慣れてしまうことも多い。廊下の端をおどおどと歩く、あるいは体の線が隠れるような服しか着ないといった行動が、いじめの常態化につながる」と話す。
いじめが被害者の死で終わることもある。そうなると加害者も苦しむと思われ、「そこにはもはや敗者しかいない」と、ムーディさんは言う。
さまざまな調査から、いじめと成人後の犯罪行為の間に関連性があることが判明している。13歳から16歳の間に他の子どもをいじめた経験のある人の36%が、16歳から24歳までの間に犯罪を行うという調査結果もある。
いじめの加害者は他者の感情をあまり感じ取ることができず、「周囲に馴染(なじ)まず、社会性の発達もほぼ見られない。グループ内では恐れられる存在で、友人関係は強者の論理に基づいたもの」とムーディさんはまとめる。
いじめの目撃者もまた、関わり合いになるのを恐れるため、その受け身的な役割から抜け出せないままだ。ムーディさんによると、学校生活でいじめに関わった経験を持つ人は全体の87%に上る。
「9年間、学校に通うのがつらくてつらくて仕方がなかった。登校するときはこれ以上ゆっくり歩けないというくらいにノロノロと歩いたし、仮病を使って学校へ行くのをやめようとしたこともある」と、現在20歳になるゴステリさんは語る。携帯電話を持つようになると、いじめはメッセージやインターネット上にも広がったと言う。
 6歳の時に両親が離婚し、その後ゴステリさんの体重が増え出した。これが試練の始まりだった。「馬鹿にされるたびに太り、太るたびにもっと馬鹿にされる」という悪循環に陥った。教室では鉛筆や丸めた紙を投げつけられ、何か言おうとするとクラスの全員が笑った。
 いじめの影響が出るのは早かった。成績が下がり自信も無くなっていった。「最後の3年間はまったく勉強しなかった。授業中は先生の話も聞かず、ノートに落書きをしてやり過ごしていた」と、ゴステリさんは当時を振り返る。
 唯一の希望は、卒業して菓子職人の職業訓練を始めることだった。そうなればやっといじめも終わるだろうと思っていた。ところが、職場の同僚からも体型のことでからかわれてしまう。「この職業を選んだのはたくさん食べられるからだろう、などと言われた」。もう限界だった。ゴステリさんは職業訓練をやめたばかりか、自殺未遂まで起こしてしまう。
 そんなゴステリさんがようやく自分を解放することができたきっかけは、ある施設で受けたセラピーだった。現在は、美容師になる訓練を受けながら充実した日々を送っている。なによりも、いじめを受けた体験について話すことができるようになった。これは将来に向けた大事な一歩だ。とはいえ、悪夢が完全に終わったわけではない。「(仕事場の)美容院ではなんの問題もないが、職業訓練学校ではまだいじめられることがある」

沈黙の鎖を断つ

 ゴステリさんは、同じようにいじめを受けた経験を持つシャルレーヌ・コーベルさんと共に、「Brisons le silence(沈黙を破ろう)」という名の掲示板をインターネットに立ち上げた。被害者となった子どもやその親が投稿した経験談を一部公開している。2人は発言こそがいじめ解決への近道だと確信しており、学校で自らの体験を語りながら意識向上を図る運動も行っている。
 現在25歳のコーベルさんも学校でいじめられ続けた。「ときに理由もなく泣き出すような繊細な子どもだったせいで、いじめられやすかった」。いじめについて相談できる人はおらず、両親やきょうだいにも明かせなかった。家族の介入でいじめの加害者を挑発し、状況をますます悪化させるのではと恐れたのだ。
 そうして孤独に追い込まれた若いコーベルさんは、暗い部屋に閉じこもって陰惨な文章を書きつづるようになった。その中では必ず誰かが死んだ。そのうち、書くことで自分の中の苦しみを吐き出せることに気づいたコーベルさんは、「Brisée(折れた・壊れた)」という題名で、学校でのいじめをテーマとした小説を書き上げる。

どのクラスにもいるいじめの対象者

 こうしたケースはまれではない。ヴァリス(ヴァレー)州が行った調査によると、学校でいじめを受けている子どもは全体の5〜10%に上る。「この数字は、15%という国際平均より低い。しかし、ほぼ1クラスに1人がいじめを受けている計算だ」と、ジュネーブ大学子どもの権利センター研究員のゾエ・ムーディさんは説明する。
 ムーディさんはまた、典型的な被害者タイプというものは存在しないと言う。しかし、体重や人種、性的志向や知能などで目立った特徴が一つでもあると、いじめを受けやすくなる。
 いったんいじめが始まると、それは被害者に広範囲かつ長期にわたる影響を及ぼす。ムーディさんはその例として、孤立、不登校、成績の落ち込み、自傷行為、うつ病、自殺未遂、さらには実際に死に至る自殺を挙げる。
 しかし、話し合いを持つだけでいじめの悪循環を断ち切れる場合もある。自分自身を守り、抵抗することがどれだけ大事か、それは学校に通っている時からすでに学べることなのだ。
治療より予防を優先
ゾエ・ムーディさんは、いじめによる悪循環が起きないよう、その前に手を打つことを提唱する。
「子ども、親、そして学校の全関係者に対する予防策のほか、教師向けのトレーニングも重要だ」
ムーディさんによると、ジュネーブとヴォーの両州は現在、一貫したいじめ防止プログラムの導入を進めている。スイスのその他の地域では、それぞれ独自の取り組みが行われている。
また、明るく穏やかなクラス作りには、お互いを尊重することが基本的なルールとして欠かせないとムーディさんは言う。「相手を好きにならなくてもよいが、尊重は必要。そして、侮辱は容認すべきではない」
いじめが発覚したら、すぐさま対応することが大切だ。「状況がエスカレートすればするほど、結末もひどくなる」からだ。その際には、当事者同士がまた普通に話せるようにしたり、全関係者の言い分に耳を傾けたり、普通の状態に戻るためにどのように自分の行動を変えるべきかについて話し合ったり、といった取り組みが欠かせない。
しかし、これらの努力の甲斐もなく、司法の介入に訴えざるを得ないケースもあるとムーディさんは言う。「侮辱すると法律で罰されることもある。それを子どもたちは学ばなくてはならない」

(独語からの翻訳・フュレマン直美 編集・スイスインフォ), swissinfo.ch

 言論・表現の自由を守る会は今月28日、外務省人権人道課に対し「子どもの権利条約第4回政府報告書および・武力紛争における子どもの関与に関する子どもの権利条約選択議定書と子どもの売春等に関する子供の権利条約選択議定書に関する第2回政府報告書」作成準備のための意見聴取会開催予定について問い合わせたところ、『2月10日に2時間、各省庁と市民の意見交換を行った』ことがわかりました。

 当NGOは、前回2010年第3回子どもの権利条約等日本政府報告書審査(スイス・ジュネーブ)でロビーイングを行い、その後日本政府に対する子供の権利委員会の勧告普及しとその実施を求めて活動しています。
 
 3・11を機に、当NGOはプロジェクト・ピースナインを提唱して国連経済社会理事会特別協議資格を申請・取得し、法の支配と人間の安全保障実現を目指して活動し、ODA外務省・NGO定期協議会にも参加しています。

 現在外務省HPの報告書には、『事前の質問に対する回答』とありますが、当NGOには一切連絡がありませんでした。また、事前連絡に関する外務省の予告・募集記事も見当たりません。
 当NGOが把握している子どもたちの実情と政府の課題等を報告書に反映すべく、外務省人権人道課に対し、当NGOの意見聴取の機会設定を要望しました。



■外務省HP

こども児童の権利に関する条約第4・5回政府報告(こども児童売買,こども児童買春及びこども児童ポルノに関する選択議定書及び武力紛争下のこども児童の関与に関する選択議定書含む)市民・NGOとの意見交換会

平成28年2月10日 10:00-12:00
於 外務省

平成28年3月14日

出席者・機関

  • 外務省ホームページで公募した一般参加者45名
  • 関係省庁:内閣官房,内閣府,復興庁,警察庁,法務省,外務省,文部科学省,厚生労働省,経済産業省,環境省,防衛省

概要

1 政府側からの発言(事前の質問に対する回答という形で実施)

外務省

  • (1)国際協力全般に関し,まずODA0.7%目標については,我が国の極めて厳しい財政状況も踏まえれば困難であるが,必要な予算が確保されるよう最大限の努力をしていく。
     国際人権法の諸規定を踏まえつつ,2015年9月に策定した「平和と成長のための学びの戦略」を踏まえ,教育を受ける権利を享受できていない子どもへの教育支援を推進していく。また,2015年9月に日本が決定した国際保健政策「平和と健康のための基本方針」で,「特に脆弱な立場に置かれやすい子ども等,誰も取り残さないユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」の重要性に焦点を当てている。また,持続可能な開発のための2030アジェンダでも,人間の安全保障の理念が踏まえられており,保健,教育支援等,脆弱な人々の保護及び支援を表明している。
     また,ODAを活用した官民連携事業においても,子どもの権利を含む事業の環境及び社会面の影響を十分配慮しつつ実施している。
  • (2)児童労働は,児童の権利の侵害につながる深刻な問題と認識。その上で,児童の労働からの解放に資するための途上国の自助努力を支援してきている。児童労働に係る国際協力を政府報告を含めることにつき検討したい。
  • (3)「ビジネスと人権に関する国別行動計画」作成の重要性については外務省として認識しており,関係省庁とも調整の上,検討していきたい。
  • (4)児童売買,児童買春,児童ポルノ選択議定書第2条(c)のsimulatedという単語の訳を,現在の「擬似の」から訂正すべきとのご意見に関し,「擬似の」は,「児童の」または「あらゆる表現」ではなく,「性的な行為」という文言に係っている。我が国としては,同議定書第2条(c)に定義される「児童ポルノ」には,漫画やコンピュータによる合成画像等は含まれないと解している。条約の日本語訳は,正文テキストにおける個々の文言の意味をできるだけ正確に反映するように,慎重な検討を経て作成しており,訂正等は特段必要ないと考える。

内閣官房

 内閣官房は内閣の重要政策の総合調整等を行っているが,児童の性的搾取への対処は,政府としても重要課題と捉えている。現在は,各関係省庁がそれぞれの所掌に従って,取締りなり広報啓発なり,必要に応じて法整備をするなりして対応しているところであるが,こうしたそれぞれの取組をより一層効果的に進めることができるよう,今後,対応を検討したい。

内閣府

 内閣府の共生社会政策担当は,内閣府にある8つの政策統括官の一つであり,内閣府特命担当大臣の加藤大臣の下,共生社会に係る多様な施策に取り組んでいる。このうち,本日の意見交換会に係る施策としては,青少年育成支援施策,青少年の健全な育成のための環境整備に係る施策,子供の貧困対策に係る施策を所管しており,本日はこの3つについて簡単にご紹介させていただく。
  • (1)まず,子供・若者育成支援施策については,教育,福祉,保健,医療,矯正,更生保護,雇用等,分野が非常に多岐に渡っている。内閣府では,子ども・若者育成支援推進施策について,その総合調整を行う立場から,平成21年に成立した「子ども・若者育成支援推進法」及びその下の「子ども・若者育成支援推進大綱」に基づき,各種施策の推進を図っている。子ども・若者育成支援推進大綱は,子供・若者の育成支援に関して,政府全体の基本的な方針を示すもの。個別施策については,各省庁において取り組んでいる。
  • (2)次に,青少年の健全な育成のための環境整備に係る施策について,政府においては「第二次児童ポルノ排除総合対策」に基づき,関係省庁が連携の上,「児童ポルノは絶対に許されない!」とのスローガンの下,児童ポルノ排除に向けた国民運動を推進。毎年11月に「児童ポルノ排除対策公開シンポジウム」を開催し,国民の意識の高揚を図っているほか,関係33団体及び関係省庁で構成する「児童ポルノ排除対策推進協議会」を開催し,情報共有を図るとともに,官民一体となった児童ポルノ排除対策に取り組んでいる。
  • (3)最後に,子供の貧困対策に係る施策としては,平成25年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が全会一致で成立し,平成26年1月に施行されたことを受け,政府は平成26年8月に「子供の貧困対策に関する大綱」を策定し,子供の貧困対策を総合的に推進している。これらに基づき,子供の貧困対策が国を挙げて推進されるよう,国,地方公共団体,民間の企業・団体等によるネットワークを構築し,各種支援情報等の収集・提供や民間資金を活用した支援など,官公民の連携・協働プロジェクトを推進することとされており,平成27年10月「子供の未来応援国民運動」を始動させた。

警察庁

 警察では,2002年に定めた「少年警察活動規則」等に基づき,少年の健全な育成や保護を図るための警察活動を実施している。

  • (1)近年,インターネット上の違法・有害情報の氾濫,インターネット利用に起因する福祉犯被害の増加,いわゆる「JKビジネス」といった少年の性を売り物とする新たな形態の営業の出現等がみられることから,警察では,実態の把握を行うとともに,各種法令を適用した取締りや少年補導を推進しているほか,関係機関・団体等と連携しながら,保護者に対する広報啓発,児童に対する情報モラル教育等を実施している。
  • (2)児童虐待については,2014年12月,関係省庁による副大臣等会議において,今後の児童虐待対策についての実施方針がとりまとめられた。警察庁においても,児童の安全の直接確認の徹底,迅速的確な事件化判断と捜査体制の確立,児童相談所等の関係機関との連携等,被害児童を早期に救出保護し,被害の拡大を防止するための取組を強化している。
  • (3)児童ポルノ対策については,2013年5月の犯罪対策閣僚会議において決定された「第二次児童ポルノ排除総合対策」に基づき,関係機関・事業者と緊密に連携し,悪質な児童ポルノ事犯の徹底検挙,被害児童の早期発見及び支援活動の推進,インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進等に取り組んでいる。

法務省

  • (1)面会交流・共同親権について,平成23年に民法の一部を改正し,離婚の際に父母が協議で定めるべき事項として,養育費の分担や面会交流の取決めを明示し,これにより,協議離婚の際に当事者間で養育費の分担や面会交流の取決めがされるよう促すこととしている。また,改正の趣旨を更に周知するため,離婚届書の様式改正を行い,届書にこれらの事項の取決めの有無をチェックする欄を加えた。
     更なる取組として,離婚後の共同親権制度の導入については,現在,諸外国の親権制度等の調査をするなどして検討をしているところ。共同親権制度については,様々な御意見があるところであり,離婚に至った夫婦間では意思疎通をうまく図れず,子の養育監護について必要な合意を適時適切にすることができないなど,かえって子の利益の観点から望ましくない事態が生ずることになるおそれがないのかといった点も考慮の上で,慎重な検討が必要ではないかと考えている。
  • (2)児童売買,児童買春,児童ポルノ選択議定書第2条(c)に記載された児童ポルノの定義を国内法に正確に反映してほしいとの意見に関し,同2条(c)の「児童ポルノ」とは,「現実の若しくは擬似のあからさまな性的な行為を行う児童のあらゆる表現(手段のいかんを問わない。)又は主として性的な目的のための児童の性的な部位のあらゆる表現をいう。」と定義されており,我が国としては,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律における定義と,上記選択議定書における児童ポルノの定義との間に齟齬はないと理解している。

文部科学省

  • (1)子どもたちが全国どこにいても一定水準の教育を受けられるようにするため,各学校が教育課程を編成する際の大綱的な基準として学習指導要領等を定めている。学習指導要領冒頭,総則には,学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育について,「人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生か」すことを,目標として掲げるなど,各教科,道徳,外国語活動,特別活動,総合的な学習の時間の特質に応じて,学校教育全体を通じて人権に配慮した教育を推進している。
  • (2)教員の資質能力の向上は子どもたちの教育の充実を図る上で重要な政策課題となっている。特に,昨今の学校現場では,いじめ問題,特別支援教育等,複雑化・多様化する状況への対応が求められている。文部科学省では,こうした課題に対応できる専門的・実践的な指導力を身に付けることができるよう,教員の養成・採用・研修の一体的な改革を進めている。なお,教員を対象とした地方公共団体の教育委員会や文部科学省が所管する独立行政法人教員研修センターで実施する研修において,人権も重要なテーマの一つとして研修を実施している。
  • (3)障害者権利条約が提唱する「インクルーシブ教育システム」の構築を目指し,障害の状態等に応じ,多様な学びの場を活用した指導や,障害の状態や特性に応じた教材・支援機器の活用等を推進している。
  • (4)いじめ等の問題行動等について,学校・教育委員会等への指導や研修会の実施,教育相談体制の充実といった取組を推進している。
  • (5)学校における体罰については,学校教育法第11条において厳に禁止されており,文部科学省では,体罰の実態把握のための調査の実施や,懲戒と体罰の区別について具体例を示すなどの取組を通じて,体罰禁止の徹底に努めている。

  • (6)平成26年8月に策定された「子どもの貧困対策に関する大綱」を踏まえ,文部科学省では,幼児期から高等教育段階までの切れ目のない形での教育費負担軽減や,全ての子どもが集う場である学校を子どもの貧困対策のプラットフォームと位置づけた総合的な対策の推進を図っている。

厚生労働省

  • (1)児童労働に関し,労働基準法は,満18歳に満たない者に,危険な業務,重量物を取り扱う業務,安全,衛生又は福祉に有害な場所における業務及び坑内労働に就かせることを禁止している。労働基準法に違反する事実がある場合に労働者が行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。また,使用者には法令等についての周知義務が課せられており,労働基準法の内容について,周知が図られるようになっている。
  • (2)10代,20代のHIV / AIDS患者が増加の一途をたどっているとの意見をいただいたが,近年,新規報告は必ずしも増加の一途を辿っているとはいえない状況。また,学校及び地域の青少年におけるエイズ予防教育の普及を目的とした青少年エイズ対策事業を実施している。今後とも性感染症の発生及びまん延防止にしっかりと取り組んでまいりたい。
  • (3)障害児支援に関わるデータについては,障害児入所給付費・障害児通所給付費の内訳と推移,利用者負担額の推移と現状等について把握し,HPへの公表を行っている。
  • (4)児童養護施設に入所中の児童や里親に委託されている児童等については,平成20年の児童福祉法改正による被措置児童虐待の通報制度等により,施設職員や里親による虐待の防止を徹底している。
  • (5)ひとり親家庭については,「就業・自立に向けた総合的な支援」へと施策を強化し,「子育て・生活支援策」,「就業支援策」,「養育費の確保策」,「経済的支援策」の4本柱により施策を推進してきたところ。
  • (6)保育所の保育料に関しては,児童福祉法の下,各自治体が定める保育基準費に則って規定されている。
  • (7)児童虐待については,昨年末に,児童虐待の発生予防から被虐待児童の自立支援までの一連の対策の更なる強化を図るため,政策パッケージをとりまとめた。また,児童福祉法等の改正に向けて議論をしており,その中で体罰禁止に関する規定等についても検討を進めているところであり,結果を踏まえ,必要な対応をしたい。

経済産業省

  • (1)産業資金課・企業会計室は,CSR(企業の社会的責任)を政策アジェンダとしている。CSRは非常に広い概念のため各論については関係省庁と連携しながら対応しており,児童労働を含む「人権」も重要な論点の一つ。活動としては,主に国内企業のCSR活動の最新動向と課題を把握,ベストプラクティスを共有,特に海外に対しても発信していくことである。そのために,企業活力研究所の「CSR研究会」へオブザーブ参加による情報収拾や,EUのDG GROW(成長総局)とで日EU CSRワーキンググループを設置し,政策や企業のベストプラクティスの共有等を行うことで,海外への情報発信も行っている。
  • (2)児童ポルノを含む青少年有害情報に関し,国内で販売されるテレビゲームソフトや国内で上映される映画については,社会の倫理基準に照らして適正でないものが流通・上映されないよう業界の自主規制が行われている。また,ポルノのインターネット上での流通について,「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」において,ポルノを含む有害情報を青少年がインターネットを利用して閲覧する機会をできるだけ少なくするための措置を講ずるよう努める義務を,青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者に課している。さらに,青少年が有害情報をインターネット上で閲覧する機会を少なくするため,望ましいフィルタリングの在り方についての判断基準を策定するとともに,フィルタリング利用の促進等を内容とするインターネットリテラシー向上のための情報提供・普及啓発活動を実施。

環境省

  • (1)福島県では,子どもたちの健康を長期的に見守ることを目的として,震災時に概ね18歳以下であった住民(約37万人)を対象に,甲状腺がんの発見を目的とした「甲状腺検査」を実施しているところ。平成23から25年度に実施された「甲状腺検査」先行検査では受診者300,476人のうち,113人が,また平成26年度以降実施されている本格検査では受診者199,772人のうち,39人ががんまたはがん疑いとされている。この結果について,環境省で開催された専門家会議では,先行検査で発見された甲状腺がんについては甲状腺の被ばく線量は,チェルノブイリ原発事故の線量よりも低いと評価されていること,環境省の実施した三県調査の結果と比較して大きく異なるものでは無かったことなどから,原発事故由来のものでないと評価されている。
  • (2)また,福島県では,福島県外に避難した方も含めて県民を対象とした県民健康調査を実施している。健康調査の項目としては,
    • 全福島県民を対象とした,事故後4か月間の外部被ばく線量の推計を行う「基本調査」
    • 事故時18歳以下であった県民の方を対象とした,「甲状腺検査」
    • 避難区域等の住民の方を対象とした,白血球分画等の検査を含む「健康調査」
    • 避難区域等の住民の方を対象とした,「こころの健康度・生活習慣に関する調査」
    • 妊産婦の方を対象とした健康状態を把握するための「妊産婦に関する調査」
    が実施されているほか,ホールボディ・カウンタによる内部被ばく線量の推計も実施されている。事故に伴い福島県外へ避難している子どもたちについては,例えば,「甲状腺検査」において,県外検査実施機関での実施や医師等が出向いて検査を実施するなど福島県外であっても,健康調査を受けることができるように努めている。
  • (3)子どもが外で遊ぶ権利については,子どもがいるところに限らず,放射線物質の除染に努めているところ。子がいる空間の60%の除染を達成しており,残った空間についても除染を継続する予定。

防衛省

  • (1)2010年4月以降,全ての自衛官は18歳以上の者から採用されることとなり,現在,18歳未満の自衛官は存在しない。18歳未満の自衛隊員としては,陸上自衛隊高等工科学校の生徒がいるが,当該生徒は,自衛隊法第25条第5項に定める,自衛官となるべき者に必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練に専念している隊員であり,「自衛隊の隊務を行う」自衛官とは異なる身分の者であることから,当該生徒が「自衛隊の隊務」を行うことはない。
  • (2)防衛省においては,「児童の権利に関する条約」等は,自衛隊の任務を遂行する上でも重要と認識しており,防衛大学校,自衛隊の学校等において教育を行っている。引き続き,これらの教育をより充実させ,一層の普及に努めていく所存である。

復興庁

 東日本大震災からまもなく5年が経過し,当時の小学生は高学年や中学生,中高生は進学したり,就職して社会に出たりしている。復興庁は,そういった若者や子ども達,あるいは,震災後に生まれた子ども達が希望を持てるような地域を作るため,復興支援を行っている。
 そのためには,子ども達の意見をよく聴くことが重要と認識。復興大臣が子ども達の提言を受け取ったり,福島の沿岸12市町村の将来像に関する有識者懇談会の提言を策定する過程において子ども達の意見を聴く機会を設けた。
 復興庁では,5年を機に,震災の記憶を風化させないための行事を計画しており,その中でも何らかの形で子ども達に参加してもらえないか,検討したいと考えている。

2 質疑応答(出席者からの主な発言とそれに対する政府の回答)

  • 関係省庁から各種法制度等を包括的に伺うことができて良かった。今後の政府報告の現状と,児童の権利委員会による審査の時期につき把握していたら教えてほしい。また,NGOとしては,できる限り市民社会の声,子どもの声を伝えていきたいと考えるので,関係省庁におかれては,今後気軽にNGOと意見交換させていただきたい。
  • (外務省)関係省庁にて原稿を作成中でありそれを外務省にて取りまとめる。提出締め切りに間に合うよう進めていく。委員会による審査の時期は不明である。また,対話の機会は貴重であると考えるので,どのような形が望ましいかについては引き続き検討したい
  • 政府報告が提出される前に原案を見たいので,パブリックコメントにかけることを検討してほしい。
  • (外務省)パブリックコメントの手続き自体に時間を要するので,提出期限との関係で慎重な検討を要する。
  • ヘイトスピーチの実態を法務省にて調査していると承知しており,是非法律による規制をお願いしたい。
  • (法務省)ご指摘のとおり,ヘイトスピーチが行われているとの指摘があるデモ等の発生状況・発言内容の調査や関係者からの聞き取り調査等を行っている。
  • 体罰に関して,個別の省庁の取組は大事であることは理解するが,総合的な視点から見る部署が必要。女性関連施策については内閣府男女共同参画局がその役目を担っているところ,児童に対する暴力についても内閣府に担ってほしい。また,厚生労働省から,体罰禁止に関する規定等についても検討を進めているとの説明があり,これは是非進めてほしい。
  • (外務省)現時点でそのような部署がないのは事実であり,内閣府からこの場では答えられるものではないが,ご指摘はよく考えたい。
  • 障害児に関して,
  • (1)障害者権利条約の政府報告のように,市民社会が作成過程を監視できるような制度設計にしてほしい。
  • (2)障害者政策委員会に障害のある児童・生徒の代表がいない。
  • (3)特別支援学校・特別支援学級・通級による指導以外の通常の教育を受けている障害のある児童・生徒について,基礎的データが欠如している。
  • (4)あらゆる学校における障害のある児童・生徒の意見表明の機会がほとんど設けられていない。
  • (5)障害者差別解消法の施行を踏まえ,障害のある児童への実質的な差別削減・人権教育への具体的取り組みについて確認が必要である。
  • (6)引き続き障害のある児童・生徒に対する体罰事件が起きており,障害者虐待防止法において教育機関が通報義務の対象外となっている。
  • (外務省)障害者権利条約の場合は,監視機関の設置が義務付けられており,我が国では障害者政策委員会がこれに当たるが,児童の権利条約にはそのような規定はない,という点を理解してほしい。
  • (内閣府)障害者政策委員会のメンバーは,障害種別のバランス等を総合的に考慮した上で決定しており,その結果として障害児はメンバーに選出されなかったと理解している。
  • (文部科学省)学習指導要領上,意見表明の機会は全ての生徒にあるとしている。文部科学省で策定した障害者差別解消法の対応指針では、障害者からの意見の表明のみならず、知的障害等により本人の意思の表明が困難な場合の介助者等からの意思表明も認められることとしている。
  • (文部科学省)障害児の就学先決定に当たっては、決定権者である教育委員会が本人や保護者と十分に合意形成を図りながら進めていくことが望ましいことについて周知徹底しているところである。実際に本人等の意に反する就学先決定が起きてしまった場合、行政機関に不服申し立てできる制度もある。
  • (文部科学省)特別支援学級のデータについては、政策立案のうえで必要なデータは調査し公開しているものと考えている。
  • (厚生労働省)障害児の虐待については,障害者虐待防止法により,通報は義務ではないものの,学校の長が必要な措置をとることとしているので,各学校での指導を徹底したい。
  • 里親に関し,条約第20条にかかる施策につき政府報告に盛り込んでほしい。
  • 条約第12条には,あらゆる司法上・行政上の手続きにおける子どもの意見表明権について書かれている。裁判所では子どもの意見が尊重されているとは言い難い。
  • (法務省)家事事件手続法では,裁判所は,15歳以上の児童の陳述を聴取する義務があり,15歳未満の児童であっても適切な方法で聴取することとされており,手続き上は,子どもの意見表明権は担保されている。個別の事案についてのコメントはできない。
  • (外務省)我が国では,国内的な法整備がなされていると判断した上で条約を締結しており,そのような法整備がされてきちんと運用されている限り,条約上の義務違反はないと考えているが,司法の個別判断についてコメントする立場にない。
  • 早急に児童福祉法を改正し,行政による一時保護措置に家庭裁判所による審査の手続きを関与させるべきである。
  • (厚生労働省)「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」においても議論がなされているところ。法務省とも議論を重ねていきたい。
  • (法務省)児童福祉法は厚生労働省所管の法律であるが,法務省として協力していくところはしていきたい。
  • JKビジネスについて,
  • (1)具体的な実態を政府報告に盛り込んでほしい
  • (2)警察庁が述べていたモラル教育とは例えばどんな形で行っているのか。
  • (外務省)昨年訪日した児童売買,児童買春,児童ポルノ国連特別報告者からも指摘があった点であるが,今回の政府報告に入れ込むのは時間的には困難な面もある。今後の御意見として参考にしたい。
  • (警察庁)法律上,「JKビジネス」の定義はないが,女子高生等が児童買春等の被害者となる危険性があることなどから,少年の保護・健全育成の観点から憂慮すべきものと認識している。警察では,正に街頭活動などで実態を把握しようとしているところである。モラル教育については,児童に対する非行防止教室において稼働することにおける危険性を訴え,保護者に対しても広報啓発を実施。また,労働基準法等の各種法令を適用して取締りを行っている。
  • 教育制度に関し,
  • (1)教育制度は子ども中心の能力形成に力点を置くべきであると観点から,前回の政府報告に対して,教育制度全体の見直しが勧告されている。特に全国学力調査が競争をあおっているとの指摘や、いじめ・不登校対策が重要であると考えるが,この勧告をどう理解し,どう評価しているか。
  • (2)高校無償化の議論について,社会権規約13条の留保を撤回したことと現在の制度との整合性についてどう考えているか。
  • (文部科学省)前提として、学校現場に一定の競争があることが悪いとは考えていないが,「過度の」競争にならないよう留意する必要があるとは考えている。一方、保護者や地域住民に対して説明責任を果たすことも重要であることから、双方の観点を踏まえ、同調査における数値の公表に当たっての配慮事項を実施要領上に定めているところである。また、子どもの不登校の原因も調査しているが、その原因は「いじめ」だけでなく「無気力」「友人関係」等様々。これを個別の生徒に寄り添ってどうケアするかが重要であり,この点,教員の質の向上や教員の増加等により対応していくことが重要になると考える。  高校無償化については,平成26年より,就学支援金に所得制限を設け、それを財源に貧困家庭への奨学給付金の支給を開始した。これにより,ご指摘のとおり一律無償化は実現できないことになったが,限られた税金を有効活用し、より貧困格差を解消する施策となったことをご理解願いたい。
  • (外務省)社会権規約第13条の留保撤回により,我が国は13条の規定に拘束されることになる。しかし,社会権規約に列挙された権利の実現については,締約国は漸進的に達成していくことが認められている。このため,高校無償化制度に所得制限を導入した場合においても,政府として,無償教育を漸進的に導入する方向に沿って努力していく方針が維持されており,かつ,本制度の具体的内容が中長期的には無償化の方向性の範囲内にあると認められることから,社会権規約との関係において直ちに問題になることはないと考える。
  • ビジネスと人権に関し,企業が子どもに与える影響を考慮するよう勧告がなされているが,経済産業省ではそのうちの一部のみを担っているとのことであり,総合調整権限のある部署はどこか。
  • (外務省)ビジネスと人権についての議論は日本ではまだ始まったばかりであるが,政府内で議論を深めていく必要があり,その中で,NGOとの協議についても何かできるか考えたい。
  • 子の連れ去りは,西欧では虐待行為とみなされる。児童虐待は身体的なもののみを指し,精神的なものは虐待とはみなされないのか。児童相談所からは,第3者から見て明らかに身体的な傷等が見られる場合に虐待とみなすとの説明があった。
  • (厚生労働省)児童虐待防止法では,児童虐待の定義として「心身に有害な影響を及ぼす言動」も含まれており,そのような被害を受けた子どもには児童心理司等によるカウンセリング等が実施されている。
  • 親権の問題により子と会えなくなった事例が多くあり,これは法律の不備によるものと聞いた。会えるように制度を改善してほしい。
  • (法務省)冒頭でも申し上げたとおり,共同親権の是非につき検討中である。
  • SDGsには教育やあらゆる形態の暴力について盛り込まれた。SDGsは途上国向けであるとの説明を聞いたことがあるが,日本国内においても国内各省庁が各ターゲットに沿って,児童の権利条約にも則りつつ実現されていくものと考えている。外務省内の人権関係部署とSDGs関係部署との連携はどのように図っているのか。具体的なロードマップはあるか。外務省が中心となって国内の状況を注視してほしい。
  • (外務省)SDGsは途上国のみならず全加盟国が実施すべきものと理解している。ご指摘のとおり,人権とSDGsとで担当部署が異なり,連携に関する具体的なロードマップはないが,日本における人権状況の改善に関しては人権人道課としても見ていく。
  • (文部科学省,厚生労働省)SDGsが日本国内でも実現されるべきという点は外務省と同じ認識。政府全体として対応していきたい。
  • 福島県の被災児童に対する対応を伺いたい。
  • (復興庁)スクールカウンセラーを配置して,子どもの心のケアを充実させている。
  • 児童相談所では親への支援が不足しており,これは子どものためになっていないのではないか。
  • (厚生労働省)児童相談所は、個々の子どもや家庭に最も効果的な援助を行う機関である。これをしっかり周知していきたい。
  • 前回の最終見解において,子の成長・発達について総合的な対策の必要性が指摘されている。子どもと親・教師との関係は非常に大切とであると考える。
  • (外務省)非常に幅広い論点なので,報告全体の観点から検討したい。
  • 警察から児童相談所への虐待通告件数が増加していることに関し,子の面前で行われるDV・虐待についても政府報告に含めてほしい。
  • 子どもに関する政策全体の総合調整をどうしていくのか,各省庁それぞれの取組を政府報告としてどう調整していくのかという視点が欠けている。
  • (外務省)子どもの権利をどう増進させるかが重要であり,外務省としてご指摘の点を踏まえてしっかりと取り組んでいきたい。
  • 子どもの権利を子どもにどう教えるべきなのか,文部科学省と市民とのヒアリングの機会を作ってほしい。
  • 共同親権制度が一向に進んでいない。離婚しても普通に親子が会えるような法律を策定してほしい

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