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■フクシマ 原発 震災

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  =たんぽぽ舎です。【TMM:No3731】=
 ▼ 東電の発表には「実質的な意味は何もない」
   「柏崎刈羽原発6,7号機再稼働後5年後」では既に1号機は廃炉のはず

山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)

 桜井柏崎市長の「2年以内に1〜5号機についての廃炉計画を時期を明記して提出すること」との要請により、小早川東電社長は8月26日に「6、7号機の再稼働後、5年以内に1基以上の廃炉も想定したステップに入る」と表明、これについて新聞等は「柏崎刈羽「一部廃炉も」東電社長、初めて言及」(東京新聞)などと報じた。
 東京電力のホームページにも「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方」として8月26日の文書が公開されている。

 しかし、残念ながらどの報道機関も言及していない現実がある。
 この発表には「実質的な意味は何もない」ということだ。


 柏崎刈羽原発については、6、7号機が2017年12月27日に新規制基準適合性審査による認可を受けている。しかし今現在、再稼働は不可能
 新規制基準に定められた「重大事故等対処設備」が出来ていないからだ。それに関する工事及び工事認可手続が進行中なのだ。
 東電によると7号機の工事完了時期は2020年12月と見込んでいるという。

 さらに、この工事認可手続が終了した後、5年以内に「特定重大事故等対処施設」も完成しなければならない。
 再稼働をして直ぐに止めて、さらに「特定重大事故等対処施設」に2年かける。これでは経済性はない。既に1兆1690億円もの費用がかかることが明らかになっているが、実際には費用がさらにかさむことになるだろう。
 つまり再稼働の期限さえ未だ定まっていないのである。
 2020年12月では不可能であり、そのさらに5年程度後でも難しいだろう。結局、時間軸はいかようにも先に延びてしまう。

 その間に、1〜5号機の残余年数が刻々と減る。
 1985年9月18日に営業運転を開始した1号機は、今日現在、経過時間は34年8ヶ月15日、さらに2号機29年8ヶ月28日、3号機26年10ヶ月8日、4号機25年9ヶ月26日、5号機30年1ヶ月7日である。
 ちなみに6号機23年8ヶ月9日、7号機22年9ヶ月26日だ。

 「再稼働から5年後」ということから、「最短」に相当する2020年12月に単純に「5」を足してみたら良い。
 結果、1号機「41年0ヶ月19日」2号機「36年1ヶ月1日」、3号機「33年2ヶ月12日」、4号機「32年1ヶ月30日」、5号機「36年5ヶ月11日」である。
 この時点で、1号機再稼働申請と20年延長運転申請をしていなければ廃炉になっている。2〜5号機も延長運転申請をしていなければ残存年数が少なすぎて意味がない。

 つまり、延長申請をしない選択をしていれば自動的に1基は廃炉になっているのだから、今の発表「地元の皆さまのご理解をいただき6・7号機が再稼働した後5年以内に、1〜5号機のうち1基以上について、廃炉も想定したステップ」の言葉に何ら意味がないのだ。
 これが「再稼働5年後に表明する」とした内容である。

 発表文には「1〜5号機は当社が低廉で安定的かつCO2の少ない電気を供給する上で必要な電源である」と書かれているが、これらが稼働する日は来ない。


  ハーバービジネスオンライン<短期集中連載・全国原子力・核施設一挙訪問の旅2>
 ▼ いまだ線量計が鳴りまくり、復興進まぬ帰宅困難地域の今
牧田 寛
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7/5 南相馬市原町区(遠方に磐城太田駅が見える) 牧田撮影
国道から農地を目隠ししているが、大量のフレコンバックが並んでいる

 ▼ 福島県浜通りは今どうなっているのか?
 第二日目朝、8時過ぎにはコロラド号に荷物を詰め込み、いわき市を出発しました。Aさんは、コロラド号の撮影、実況機器を設置するために30分以上前には作業を開始していたようです。これは毎日続き、四谷の事務所から補給物資が届くごとに装備が増えてゆきました。

 いわき市では、後部座席に乗せた線量計は殆ど鳴動せずに静かなものでした。むしろ東京からずっと誤検知でピィピィ泣くことがしばしばあり、そういうときには大概大型車や特殊車両が近くに居ました。何か強い電波でも放射しているのでしょう。


 いわき市は、福島核災害当時に放射能雲(放射能プリューム、プリューム)の襲来をあまり受けておらず、震災・津波被害からの立ち直りも早く、福島核災害における重要な兵站拠点として機能してきました。

 ▼ 線量計は鳴らず人の営みは正常だった広野から富岡町南部

 常磐自動車道を広野で降り、国道6号線を北上すると、トラックや工事用車両が多く走っていました。住居、商工業も機能しており、土木依存が目に付きますが、人の営みは正常に行われていることが見て取れました。
 但し、農地は手入れされているものの耕作はなされておらず、そのことが核災害の痕跡となっています。後部座席の線量計は全く鳴らず、ごく普通の線量でした。

 広野ICを出るとすぐに広野火力発電所が見えますが、この石炭・石油火力発電所は、地震と津波による激しい被災だけでなく、福島核災害の影響により操業を停止していたものの、2011年7月には全面操業再開し、4.4GWe(福島第二原子力発電所とほぼ等価)の電力を供給し、震災後の電力供給を支えてきました
 同じくいわき市の勿来(なこそ)火力発電所1.9GWeも大きな被害を受けながらも6月から翌2012年4月にかけて順次操業再開し、1.9GWeの電力供給を担ってきました。
 福島県浜通りは、電源立地地帯で、このほかにも多くの火力発電所が見られ、それらは震災と津波により大きな被害を受けましたが、順次操業再開しています。

 このことからも原子力に比べ石炭・石油火力の圧倒的な信頼性と安定性が明確となっています。
 そもそも原子力発電の発電コストはきわめて高価につき、日本政府、電力による粉飾を排除すると精々石油火力か太陽光発電並みの発電原価となり、福島核災害の被害額を組み込むともはや産業として完全に無意味となります。

 一方で合衆国のようなワンス・スルー方式* の場合は、既設発電所における発電コストは発電端(発電所の仕出し価格)で4〜6円/kWhと良好な数値を示すものがある一方で、10円/kWhを超えるものは廃止が進んでいます。
 また近年は、天然ガス、大型太陽光の低価格化が著しく、もともと最安値であった風力を加えた価格競争に敗北し、原子力と石炭火力の淘汰が進みつつあります
 <* 核燃料サイクルをせずにウランを一回燃やしたら廃棄する。現在の主流である>

 当座は、資源寿命、調達の多角化、経済性、炭酸ガス抑制という点からは、古い石炭火力をIGCC(石炭ガス化複合発電)に更新することが望まれますし、その上で風発を主体とした再生可能エネと新・化石資源革命の主役である天然ガスへの移行を進めれば良いでしょう。時間はたっぷりとあります。

 広野町から楢葉町を経て双葉町の間は、6号線を北上するにつれて少しずつ休業中の店舗や空き家が増えてゆきましたが、それでも街並みはきれいでしたし建物も手入れがされていました。但し殆どの農地は休耕中であって、ごく一部に試験耕作地が見られるだけでした。

 この状態は、富岡町の南部まで続いていましたが、富岡町に入ると手入れはされているものの、居住が再開されていない家屋が目立ちはじめました

 線量計は、ずっと東京都心より低い値を示してきましたが、富岡町に入ると目に見えて値が上がりました。とは言っても1mSv/y* を下回っており、この状態が地域内で普遍的ならば日常生活に支障はないでしょう。
 <* 本稿を含め、著者は一貫してSv/h(一時間あたり)ではなくSv/y(一年あたり)を用いている。換算には、日本独自の換算係数を使わず、単純に9000倍(1年は8760時間)している。これは暗算向けで、10000倍の一割引、即ち10倍して一割引いて接頭辞(μやmのこと)をひとつあげるだけで良い。有効数値は一桁として、基本的に端数を切り捨てている>

 ▼ 富岡町北部から、景色と線量計の様子が一変した

 農業以外は、ずいぶん復興が進んでいるなと感心しながら国道6号線を北上すると、富岡町の北部に入り景色が一変しました。
 まず歩行者・二輪車通行禁止の看板が現れ、交差点には検問所があって通行証がなければ脇道には入れなくなりました。そして所々に警備員が立っていました。
 線量計は車内で5mSv/yとなっており、防護服無し、マスクのみの警備員による立哨は非人道的ではないかと思われましたが、立哨地点には鉄板が敷いてあるとのことです。

 更に北上して大熊町に入ると建物は封鎖されており、交差点も封鎖されているか、検問されていました。家屋などの震災被害は放置されており、地震による被災を今も残していました。

 放射線量は、大熊町中央台交差点での車内15mSv/y* を最高値として5mSv/yを中心に常に1mSv/y以上と高い値を示していました。
 除染が徹底してなされた国道において車内でこの数値では、とても居住、一般の労働はできません。実際、労働力の確保ができないためか、そもそも労力を投じないためか、路側も街並みも農地も草ボウボウで、雑木林にまでなっている始末でした。
 だいたい2mSv/yをこえると鳴るように設定してある線量計は終始鳴いている有り様で、やはり帰還困難区域とその外とでは明らかに放射能汚染の程度が大きく異なりました。
 <* 但しこの数値は局地的なもの且つ測定一回なので、誤検知である可能性もある>

 福島第一原子力発電所前を通過し、双葉町に入ると、線量は大きく低下しましたが、それでも車内測定で1〜5mSvでした。しかし、封鎖されている町の中で双葉厚生病院付近の出光や、コスモ石油のガソリンスタンドは営業を行っていました。
 この帰還困難区域の国道6号線でガス欠を起こしたらたいへんに困るので、給油をどうするのか疑問でしたが、このように営業を行っているガソリンスタンドがあり、給油の機会が確保されていました。なお店員さんは、屋内で待機していました。
 双葉町では、前田建設などの土木・建築系企業の拠点が活動をしていましたが、コンビニなどは閉鎖されたままでした。
 双葉町では、線量計が鳴いたり時々鳴かなかったりで、まだら状の線量分布がだいたい分かりました

 浪江町に入ると、大型衣料品店がゼネコンの営業所になっているなど、復興作業関係企業の拠点が活動していることが目立ちはじめました。また一部飲食店の営業もなされていました。
 浪江町では、すでに帰還困難地域以外の制限は解除されていますが、常磐道より西側全域と東側の一部地域が帰還困難区域であり、核災害前の人口21,500から、居住人口約1,000人まで激減しています* 。
 <* 参照:“区域再編及び避難指示解除について | 浪江町ホームページ” >

 現在は、帰還困難区域のゲートタウンとして産業の再建がなされていると思われます。
 線量計は、鳴いたり鳴かなかったりでしたが、国道沿いではだいたい車内2mSv/y以下でした。国道6号線を北上すると、線量計は静かになりました。

 ▼ 津波被害の跡がいまだ色濃い南相馬市小高区

 南相馬市にはいってすぐの小高区では、激しい津波被害の跡がありました。ここでは国道6号線も津波で浸水しており、国道より東側(海側)は、海岸まで見渡せるほどに何もなくなってしまっていました。
 南相馬市は、低地に良い農地が広がるのですが、津波の時には海岸から2km前後まで10mを超える津波によって壊滅的な被害を受けていることが知られています。被災者の救出も、翌12日の核災害によって断念されています。

 震災からすでに9年目になる今日においても、津波被害の痕跡が強く残り、復興も殆ど進んでいません。これが核災害の特徴です。本来ならば、とっくに復興の最中で槌音が響いているはずなのです。

 小高区を出るあたりでGoProが突然警報を鳴らして死んでしまいました。ファイルエラーを表示し、なんといわき市から南相馬市小高区までの記録が全部消えてしまいました。放射線による異常動作か!?いえ、おそらく熱暴走でしょう。今回、多くの写真で画像品質が著しく低いですが、GoProの映像を失ったために、ツイキャスの映像を使っている為です。

 GoProが肝心なところで死んでしまったので、急ぎ停まって調整できるところを探していると、見落としが無い限り帰還困難区域を出て初の国道沿いで営業しているコンビニを見つけました。
 コンビニの駐車場でGoProを再起動しましたが、よく見るとSDメモリーカードが64GBしかありません。おいおい、2k動画撮影は一日あたり128GBは要るでしょうが。仕方ないので私のカメラ用の予備を使いましたが、GoProはレートが高いフル2kなので、1日128GB+64GBが必須でした。
 早速、四谷の事務所に256GBのSDカード三枚くらい送れと要求しましたが・・・・・結局送って来ませんでした。

 GoProは、突然死んでしまうことがあり、私のメインカメラ(Nikon D600)は、不調で序盤から使用不能。先行き思いやられますが、気を取り直して出発しました。大丈夫、メインカメラがやられただけだ、サブカメラ(Nikon D5300)がある!

 ▼ 除染廃棄物を入れた袋が積まれていた南相馬

 南相馬市に入ると、小高区の様に津波被害からの復興が著しく遅れている地域が目に付くことと、国道から見渡せる農地の殆どが休耕中であること、街路樹が片っ端から除去されていることが目に付きますが、住民の生活、経済活動は活発に営まれていることが見て取れました。

 一方で、所々で国道から目隠しした広大な農地にフレコンバック(除染廃棄物を入れた大きな袋)がズラリと並んでいる光景も目に付きました。これは帰還困難区域の南側では見られなかったことで、福島核災害時に放射能プリュームが南相馬市の南側を通過し、降雨によって飯舘村などを激しく放射能汚染したことの名残でしょうか。フレコンバックもやたらと多いと感じました。

 Googleマップの衛星写真で見ても、富岡町など南側に比して、南相馬市でのフレコンバックの多さは圧倒的です。これはやはり南相馬市は復興が早く、徹底した除染が行われたことと、放射能プリュームが南相馬市南部を通過したことが関係していると考えるべきでしょう。
 現在は、休耕中の農地や復興の進んでいない海岸沿いに中間貯蔵していますが、近い将来、どこかに移さねば復興は進みません。しかし、どこへ……?

 南相馬市原町区を更に北進すると、中心街の東側をかすめます。このあたりでは、街路樹がすべて伐採除去されていることと、相変わらず農地の殆どが休耕中であることを除けば異変は見られません。街路樹については、再植樹が始まっており、農地も圃場整備と思われる事業が一部に見られました。

 時間がありませんので、ここから南相馬鹿島ICに向かい、常磐道を宮城へと北進しました。ICまでの途中、新築の家がずいぶん多いことと、やはり農地の多くは休耕中であることが目に付きました。また常磐道を北上する間も、人は住んでいるものの一部の試験耕作地を除いて農地は休耕中の土地がたいへんに目立ちました。

 核災害の爪痕は、とくに農地に多く見られたといえます。

 ▼ 農業復興の遅れが目立った福島浜通り

 この日は、いわき市をでて、福島県浜通りを通り、仙台市を経て女川原子力発電所、石巻市というめちゃくちゃな予定となっていましたので、お昼前までには仙台市に到着せねばなりませんでした。

 仕方がありませんので、南相馬市原町区より北は諦めて南相馬鹿島IC以北は常磐道を北進しました。
 道中、農耕地の様子がどうしても気になりましたので、車窓より観察を続けましたが、やはり福島県内では休耕地が続きました。但し手入れはなされていました。

 福島核災害においては、放射能プリュームが通過した地域とそうでない地域では放射能汚染に桁違いの差があり、とくに二号炉からのプリュームを最大として、三号炉からのプリュームなど、大規模プリュームが発生したときに不幸にも風下側にあった地域が甚大な打撃を受けていることが知られています。

 何しろ、NBC防護(核・生物・化学兵器防護)がなされている合衆国空母部隊ですらプリュームに突っ込み、這々の体で逃げ出したあと、除染に苦労したほどです。

 南相馬市は、プリュームの僅かに北側にあった事と、当時の降雨降雪の状況から、迅速に復興できる程度には被害が抑えられたといえます。
 しかし小高区などは、プリュームの影響が比較的強く残っており、津波被害もあって復興が著しく遅れていることが目に付きました。

 核災害時における放射能プリュームは、残念ながら人間による制御(コントロール)からは完全に外れており、いつどのように発生するかは分かりません。
 福島核災害において南相馬市は、偶然の積み重ねから福島第一原子力発電所からの距離の割には放射能プリュームによる被害が軽かったといえますが、当時の風向きが僅かに南寄りにずれていれば富岡町北部から双葉町にかけての様な惨状になっていた可能性は十分にありました。むしろ今の程度で済み、復興が進んでいることは暁光といえましょう。

 またこれは予想通りでしたが、農業の復旧が遅々として進んでいないことが目立ちました。
 農業の復興には、農地の回復だけでなく、「食べて応援」キャンペーンによって奈落の底に沈んだ「信用」という「ブランド」=「風評」の回復がきわめて重要です。「風評被害」という「国策呪詛」によって消費者へ責任転嫁し、罵倒し、愚弄してきた一部の無責任な国策論調による信用失墜=ブランドの喪失は根深いものがあって、財布の紐を握る消費者は、黙って去って行き二度と戻ってきません。

 食品の価値の過半は、「信用」なのです。

 福島核災害の発災者は東京電力ですので、こういった経済損失に対しては、原子炉からビス一本、髪の毛一本に至るまであらゆるものを差し出してでも賠償してゆかねばなりません。
 現在東京電力は、徹底してそれをサボタージュしていると言えます。

 さて、7/5(金)の記録は、まだまだ続きますが、長くなりますのでここでいったん切り、次回は仙台市から女川原子力発電所、石巻市と続きます。

 ※ 牧田寛 Twitter ID:@BB45_Colorado まきた ひろし
●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中

『ハーバー・ビジネス・オンライン』(2019.08.18)
https://hbol.jp/199625?cx_clicks_art_mdl=3_title



 ◆ アンダーコントロール (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)

 酷暑の中、甲子園の熱戦が続いている。一年後、オリンピック騒ぎが世の中を圧倒するのか、と思うとそぞろ気が重い。
 「原発はアンダーコントロール」安倍晋三首相が見栄を切ってライバルを排除、オリンピックが誘致されたのは周知の通り。

 が、八年たっても原子炉の底を破ったデブリを冷やし続け、汚染水の発生は一日百五十トン
 なにを隠そう。今まだこの国は「原子力緊急事態宣言」発令下にある。

 とすると、緊急事態宣言下で、世紀の祭典オリンピックが開催される珍事になるのだが、参加者に通知しなくていいのか。


 一方では原子力災害の拡大防止を図るために、住民に避難を強制する指示をおこない、一方では「アンダーコントロール」といってオリンピックを開催する。これはどう考えてもヘンだ。
 解決策は「帰還困難区域」からの避難指示を解除することだ。危険を感じた住民は解除されてもなかなか帰還しないが、とにかく帰らせる。

 もう一つは、テロにも耐えられる「特定重大事故等対処施設」の完成が間に合わない原発を、運転停止にする
 この施設が本当に安全を保障するかは別にしても、とにかく九州電力川内原発の一、二号機はオリンピック開始前に止まりそうだ。
 それでまた「アンダーコントロール」と豪語するのだろうか。

『東京新聞』(2019年8月20日【本音のコラム】)




ー・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−

8/19(月)  時事通信

日本公使呼び、説明要求=汚染水処理めぐり−韓国外務省

 【ソウル時事】

 韓国外務省は19日、日本大使館の西永知史公使を呼び、東京電力福島第1原発から出る汚染水の処理方針や放射性物質トリチウムを含む処理水の「海洋放出」に関する事実確認と説明を求めたと発表した。

 西永氏は日本政府の立場を説明し、韓国政府の立場を本国に報告すると伝えた。

 発表によると、権世重・気候環境科学外交局長が西永氏に口述書を手渡した。口述書では「汚染水の処理結果が両国国民の健康と安全、海でつながった国全体に及ぼす影響を非常に厳しく認識している」と表明。海洋放出をめぐり、日本政府の「公式的な回答」を求めたほか、周辺の海の生態系に影響を及ぼさないよう日韓両国で取り組むことを提案した。 
韓国が切り札で反撃 安倍首相の嘘が招いた“東京五輪潰し”

日刊ゲンダイ 公開日:2019/08/17

泥沼化する一方の日韓関係が“寝た子を起こす”展開になるかもしれない。


 韓国外交省の報道官が13日の会見で、福島第1原発でたまり続ける汚染水について、「韓国国民の健康や安全を最優先として、汚染水の管理状況や処理計画について、日本に情報公開などを積極的に要請していく」とする方針を発表したからだ。

 報道官は「必要に応じて国際機関や太平洋沿岸国とも協力し、汚染水の放出問題に対応していく」と強調していたが、慌てているのは、五輪招致をめぐる2013年のIOC総会で、汚染水について「アンダーコントロール」と世界にウソ八百を発信した安倍首相だろう。

 東電によると、福島第1原発の汚染水は敷地内のタンク960基に約115万トンに上り、タンクは22年夏ごろには満杯になる。

 すでに、台風や大雨の際には汚染水が原発の地下を通って周辺海域に“ダダ漏れ”している疑惑も指摘されており、明らかに「アウトオブコントロール」の状態だ

 時事問題を扱う米誌「ザ・ネーション」は7月25日、<オリンピックに向けて福島は安全か?>と題した記事を掲載。<福島を訪問したが、大会組織委が掲げる「復興五輪」には議論の余地がある><我々がここ(福島)で会った人の中で、安倍首相の「アンダーコントロール」という大ボラを信じている人はいない>と断じていた


 つまり、世界の誰もが、安倍のウソをうすうす気づいてはいるものの、被災地住民の生活などを考えて声を上げてこなかっただけ。韓国はそこに真正面から切り込んできたワケで、日本が仕掛けた輸出規制に対する「切り札」と言っていい。今後の展開次第によっては韓国だけじゃなく、他の国も原発の「アウトオブコントロール」状態を懸念し、ボイコットが相次ぐかもしれない。まさに“東京五輪潰し”だ。

「安倍政権にとっては、痛いところを突かれたと思います。韓国は震災以降、日本の農産品などについて輸入規制を強化するなど、厳しい目を向けてきました。安倍政権は東京五輪を成功させたいのであれば、韓国の要請を無視できないでしょう。国際社会は、安倍首相の『アンダーコントロール』発言に根拠がないとうすうす分かっているからです。安全を証明する挙証責任は日本側にあります」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)

「やんのかぁ、こらぁ」「上等だぁ」などと田舎の暴走族のような小競り合いを続けていることが、どれだけ国益と信用を損なうのか。本当に五輪中止に追い込まれないと安倍政権は気づかないのだろう。


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