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地震と原発

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  私はこれまでずっと広島・長崎で被曝した患者を診続けてきました。原爆のときは、火傷をしたり全身の粘膜から血が噴き出したり、頭髪が抜けるなどの急性症状がありましたが、今回の福島原発の場合は、長期的な「内部被曝」の影響が心配されます。

 よく年間何ミリシーベルトだとか、毎時何マイクロシーベルトまでなら大丈夫だとか言われていますが、これは外部被曝の場合のことです。内部被曝というのは外部被曝と違って、放射性物質を体内に取り込んでしまい、1日24時間ずっと被曝し続けるというものです

 その影響は、その人の年齢や健康状態、生活態度、免疫の状態にもよりますし、その症状がいつでてくるかも、誰にもわからないことだからです。医者である私にだってわかりません。個人差があるので「必ず危険」だとも限りませんが、その人が病気になったり死んだりする可能性をアップすることだけは確かです

 日本の政府や学者がついているいちばん大きなウソは、「(外部被曝線量が)年間何ミリシーベルトなら大丈夫です」ということ内部被曝のことを全く考慮していません。体内に入る放射性物質は「それ以下なら大丈夫」ということはない。少しでも体内に入ったら、長期的に被曝し続ける。微量な被曝であれば大丈夫というのは間違いです。

 専門家というのは、政府の責任を隠したり、業界の利益を守ったりするために、ときに意識的にウソをつくことがあります。中には知らなくて言っている人もいますが。正確には、「今は大丈夫です。でも先々は病気になる可能性もありますし、何とも言えません」と言うべきでしょう。

 福島原発事故後の例で私が実際に報告を受けたもので言えば、多くは放射線に敏感な子どもに初期の被曝症状が現れています。

 下痢が続いて止まらない、しばらくしたら口内炎が出るとか、のどが腫れて痛いとか。多くの母親が心配していたのは子どもの鼻血です。鼻血がずっと続いて止まらない。そのうちに、両親にもそんな症状が出てくる。これは福島に限りません。私のところには、東京や神奈川、静岡などからもこういった相談が寄せられました。

 広島・長崎でも、爆心地近くにいて大量の放射線を浴びたわけではないのに、時間がたつにつれて被曝の症状が現れてくる人が数多くいました。こうした長期被曝患者に特徴的だったのは、猛烈な倦怠感があって動けなくなり、働けなくなるという症状を訴える人が多かったことです。集中力がなくなったり下痢が続いたり。本人もどうすればいいのかわからない。勤め先や家族の中でも信用されなくなり、社会的な存在価値を失ってしまう。医学的にはどこも悪くないので、医者にかかると「ノイローゼ」(当時は神経衰弱)と診断されてしまいます。私たちはこれを「原爆ぶらぶら病」と呼んでいますが、この人たちは生きていくのが本当につらかっただろうと思います。

 被曝をできるだけ少なくするために、「原発からとにかく遠く逃げろ」とか「汚染されてない食べ物を食べろ」などと言われています。でも、そんなことは誰にでもできるわけではない。

 家も仕事も地元の人間関係も放り投げて逃げられる人が、どれだけいるでしょうか。事故がおきて9か月以上経っています。これまで1日3食として800食以上、まったく汚染されていない食べ物を食べ続けている人は少ないでしょう。

 遠くに逃げても生活できて、汚染されていない食べ物を調達できるというのはごく一部の人々です。ほとんどの人々は、放射能汚染されたこの日本で生きざるをえない状況になっています。
 
◆放射線に対抗する唯一の方法は、生まれつき持っている免疫力を弱めないこと

 私は、「自分で自分の身体を守るしかない」とはっきり言います。特別な方法はありません。「放射線に対する免疫力を弱めないように、健康に生きる」という、この一点につきます。

 人間の祖先は40億年前にこの地球上に現れてから、紫外線と放射線でどんどん死んでいきました。奇形もどんどん生まれていった。しかし、長い年月を経て進化を続け、放射線に抵抗できる免疫をつくってきました。その結果、いま紫外線や放射線の影響を受けても、地球上で毎年生まれれる新生児10万人のうち、1人くらいの奇形が生まれるレベルにまで免疫を高められたんです。

 ですから、放射線に対抗する手段は、これまでの「動物としての人間の生き方」に学ぶしかない。夜更かしして夜遅くまで遊び回るなんて、せいぜいここ数十年のもの。その前は太陽とともに寝起きしていました。いちばん大事なのは「早寝早起き」です。そうしないと、先祖から引き継いできた免疫力が低下してしまいます。

 それから、食べ物の食べ方。日本人の主食はコメですが、よく噛まない人はその8割9割を便として排出してしまっています。これは、口の中で唾液中の酵素ジアスターゼとコメが十分交わらずに腸がうまく吸収できないためです。ですから「食事のときによく噛め」というのは、人間の免疫力を保持するための鉄則なんです。免疫という意味で言えば、味噌や梅干しなど、日本の伝統食品である発酵食品が放射線から守ってくれるというのも頷ける話です。

 人間は6つのことしかできません。睡眠、食事、排泄、働く、遊ぶ、セックスです。この一つ一つに、健康に生きていくための法則がある。これは広島・長崎の被爆者を長生きさせるために、被爆者と一緒に研究し、実践してきたことで得た教訓です。誰にどんな影響がでるかわからないからこそ、免疫力を保持し、健康を守って生きるしかないのです。

 多くの学者はそのことを言わない。「年間何ミリシーベルトまでなら安全です」と言うだけです。内部被曝を受けていれば、先々は安全かどうかなんて誰にもわからない。彼らは「わからない」ということを認めたくないのです。

◆原爆の長期的な影響は、米国の「軍事機密」として隠されてきた
 
 日本の医学界は、被曝の長期的な影響をずっと無視してきました。なぜそうなったかと言えば、広島・長崎に原爆が落ちてすぐ、日本が降伏して米国の軍隊が占領し、総司令官が統治を始めました。そして被曝の実態を、「米国の軍事機密」だとして、原爆の影響について研究したり論文を書いたり、学会で論議したりすることを禁じたからです。

 その後、日米安保条約が結ばれ、米国の「核の傘」に守ってもらうために「被曝の実態は軍事機密」としておかなければならない時代がずっと続きました
ですから、日本人は広島・長崎の原爆で何人被曝し、どんな症状が出て、何人死んだのかという長期的なデータを持たずにきたのです。

 日本政府は米国が「してはいけない」と命令したから、何もしなかった。被爆者が苦しんでいるのに、政府はまったくおかまいなしでした。そして占領軍が帰って5年後の1950年に、原子爆弾被曝者の医療に関する法律をつくり、本人が申し出た場合だけ「被曝者手帳」を発行するようになりました

 でもこれは、年に1回無料の健康診断をするというだけのものでした。多くの人にとっては、結婚とか就職とか生命保険に入るときとか、いろいろな場面で被爆者として差別されるようになってしまった長期被曝の影響を受けたと思われる人が、名乗り出づらい風潮ができてしまったのです。そのうち、日本人は誰も原爆の問題で騒がなくなりました。

 ソ連でも、チェルノブイリの患者を精密に調べた医師(バンダジェフスキー博士)が、「放射能の影響で心筋梗塞になりやすい」ということを論文に出しました。すると、政府の「放射線は無害」という方針に反したとして、別の冤罪で捕まって逮捕されるというような時代がありました。ソ連も核兵器を持ち続ける必要があったからです。

 福島原発の事故でも、長期的な被曝の影響が心配されます。
私が広島・長崎で診てきた症状が、先々に出てくる恐れがあります。

 きちんと治療と補償が行われるためにも、「軍事機密」として調査を行わなかったかつての過ちを繰り返してはならない。
 私たちは政府や東電に徹底した情報公開を求めたうえで、正しい知識と効果的な対処法を身につけていかなければならない思います。

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【肥田舜太郎】

’17年広島生まれ。医師。広島市への原爆投下により自身が被曝、その後被曝者の救援・治療にあたる。臨床体験をふまえて「原爆ぶらぶら病」と呼ばれる症状や、内部被曝、低線量被曝の影響に関する研究にも携わった。
 
 
 
日刊SUPA!  2012.01.05  http://nikkan-spa.jp/116116
NHK「追跡!真相ファイル 低線量被ばく・揺らぐ国際基準」の映像
 
 
 
“生涯100ミリシーベルトとされる被ばくの基準で、本当に健康への影響はないのか?”
福島をはじめ、全国の人々が現実に直面している放射能の脅威。
国は「直ちに体への影響はない」と繰り返すばかりだ。
その拠り所としているのが、ICRP(=国際放射線防護委員会)の勧告。
広島・長崎の被爆者の調査データをベースに作られ、事実上の国際的な安全基準となっている。
しかし関係者に取材を進めると、1980年代後半、ICRPが「政治的な判断」で、被ばくでガンになるリスクを実際の半分に減らしていた事実が浮かびあがってきた。
当時ICRPには、原子力産業やそれを監督する各国の政府機関から、強い反発が寄せられていたのだ。
そしていま、世界各地で低線量被ばくの脅威を物語る、新たな報告や研究が相次いでいる。
アメリカでは原発から流れ出た微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、周辺地域でガンが急増。
25年前のチェルノブイリ原発事故で、大量の放射性セシウムが降り注いだスウェーデンでは、ICRP基準を大きく上回るガンのリスクが報告されている。
いま、誰もが不安に感じている「低線量被ばく」による健康被害。
国際基準をつくるICRPの知られざる実態を追跡する。
―――――――――――― 転載記事 ―――――――――――
 
日本政府の悲惨かつ無能力ともいえる間違った放射線防護政策への警告
 
/ドイツの放射線防護協会の会長より
ドイツ放射線防護協会会長声明
 
★まずはみなさまが置かれている放射能汚染の事実を直視していただきたいとおもいます。
 
 
ドイツの放射線防護協会の会長名の11月27日の「日本の政府、市民、科学者へ宛てた緊急プレスリリース」の定訳が出来ましたので以下お報せします。
 
日本政府の悲惨かつ無能力ともいえる間違った放射線防護政策、
とりわけ妊婦と幼児のいる家庭の疎開、厳格な食品検査、
全国に汚染を計画的に広げる瓦礫処理の誤りなどについて、
深刻な危機感をもち、学問的裏付けと長い経験と批判力を備え、経験を積んだドイツの友人からの日本の住民への貴重な警告と呼びかけです。
 
人類史上最悪の自滅行為である「フクシマ」の惨禍から、これから少なくとも数世代/孫と子供の世代は逃れ得ないことが運命づけられてしまった日本の市民のみなさまにはこの警告と呼びかけに真摯に耳を傾けていただき、まずはみなさまが置かれている放射能汚染の事実を直視していただきたいと思います。
 
ここには目に見えないが確実にそこにある放射能の存在を捕らえて、
不安に打ち克つ手がかりとなるいくつかのヒントが提示されています。
本文は短いものですが基本的な問題点が踏まえられていますので、
翻訳に当たっては同協会の協力を得て、主張を裏付ける調査研究の出典もつけ加えました。
特に心ある専門家のみなさまの参考としてくだされば幸いです。(梶村)
 
放射線防護協会 (訳注1)                                 
Dr. セバスティアン・プルークバイル
 
   プレスリリース          2011年11月27日 ベルリン
 
放射線防護協会は呼びかける:
 
福島の原子炉災害の後も放射線防護の原則を無視することは許されない。
 
放射線防護協会は問う:
 
日本の住民は、核エネルギー利用から結果するどれだけの死者と病人を容認したいのか?

放射線防護における国際的な合意では、特定の措置を取らないで済ませたいが為にあらゆる種類の汚染された食品やゴミを、汚染されていないものと混ぜることによって特定の放射線量を減らし「危険ではない」ものにすることを禁止しています
 
日本の官庁は現時点において、食品の分野、また地震と津波の被災地から出た瓦礫の分野で、この希釈(きしゃく)禁止に違反をしています
 
ドイツ放射線防護協会は、この「希釈政策」を停止するよう、緊急に勧告します。
 
さもなければ、日本の全ての住民が、忍び足で迫ってくる汚染という方式で、第二のフクシマに晒(さら)されることになるでしょう。これによって、明確な空間的境界を定め、安全に設置され、良く監視された廃棄物置き場を利用するより、防護はさらに難しくなります。「混ぜて薄めた」食品についてもそれは同じことが言えます。現在のように汚染された物質や食品を取り扱っていくと、住民の健康への害をより拡大することになります。
 
現在日本では、汚染物質が全県へ分散され、焼却や灰による海岸の埋め立てなどが始められようとしていますが、放射線防護の観点からすれば、これは惨禍であります。これでは、ごみ焼却施設の煙突から、あるいは海に投入される汚染灰から、これらの物質に含まれている放射性核種が計画的に環境へと運び出されてしまいます。放射線防護協会は、かくなる諸計画を中止するよう緊急に勧告します。
 
ドイツでの数々の調査では、チェルノブイリ以降、胎児や幼児が放射線に対し、それまで可能だとされていた以上に大変感受性が強いことが示されています
 
チェルノブイリ以降の西ヨーロッパでは、乳児死亡率、先天的障害、女児の胎児の減少などの領域(訳注2)で非常に著しい変化が起こっています。すなわち、中程度、さらには非常に低度の線量の増加に何十万人もの幼児が影響を受けているのです。
ドイツの原子力発電所周辺に住む幼児たちの癌・白血病の調査(原注:KiKK研究)も、ほんの少しの線量増加でさえ、子供たちの健康にダメージを与えることを強く示唆しています。
放射線防護協会は、少なくとも汚染地の妊婦や子供のいる家庭を、これまでの場合よりももっと遠くへ移住できるよう支援することを緊急に勧告します。協会としては、子供たちに20ミリシーベルト(年間)までの線量を認めることは、悲劇的で間違った決定だと見ています。

 日本で現在通用している食物中の放射線核種の暫定規制値は、商業や農業の損失を保護するものですが、しかし住民の放射線被害については保護しません。
 この閾値は日本政府が、著しい数の死に至る癌疾患、あるいは死には至らない癌疾患が増え、その他にも多種多様な健康被害が起こるのを受容できると表明したものに等しいものであると放射線防護協会は強く指摘します。
 いかなる政府もこのようなやり方で、住民の健康を踏みにじってはならないのです。
 放射線防護協会は、核エネルギー使用の利点と引き換えに、社会がどれほどの数の死者や病人を許容するつもりがあるのかについて、全ての住民の間で公の議論が不可欠と考えています。この論議は、日本だけに必要なものではありません。
その他の世界中でも、原子力ロビーと政治によって、この議論はこれまで阻止されてきたのです。
 放射線防護協会は、日本の市民の皆さんに要望します。
 できる限りの専門知識を早急に身につけてください。
 食品の暫定規制値を大幅に下げるよう、そして厳しい食品検査を徹底させるように要求してください。
 
既に日本の多くの都市に組織されている独立した検査機関(訳注3)を支援してください。
 
放射線防護協会は、日本の科学者たちに要望します。
 
どうか日本の市民の側に立ってください。そして、放射能とは何か、それがどんなダメージ引き起こしえるかを、市民の皆さんに説明してください。
 
       放射線防護協会
      会長   Dr. セバスティアン・プルークバイル
 
(この翻訳は松井英介の下訳を梶村太一郎が整理した共訳です)
(訳注1)ドイツの放射線防護協会の歴史と活動それを担う代表的な人々について、また当稿の共訳者の松井医師については第38回を参照:
日独の脱原発を実現する人々:松井英介医師とドイツ放射線防護協会
http://tkajimura.blogspot.com/2011/10/blog-post_09.html
 
なを同協会の会長の姓の日本語表記に関しては、彼がこの秋に日本を訪問して以来の報道などで、かなり混乱しています。日本のメディアでは欧米の固有名詞を英語読みにしてカタカナ表記し、本人が聴いても理解できないことがしばしば起こります。Pflugbeil氏のPflugは「プルーク/意味は『鋤』」、Beil は「バイル/意味は『鉈』」です。したがって表記は「プルークバイル」としました。この姓の原意は「鋤鉈/すきなた」です。根気づよく核汚染と闘い続ける氏にぴったりです。
 
(訳注2)西ヨーロッパ各国での調査研究では、チェルノブイリ以降、例えばそれまでの男女の胎児の比率が女子の目立った減少として確認されている。2010年。
出典: Von Dr. Hagen Scherb, Epidemiologe, Institut für Biomathematik und
 Biometrie am Helmholtz Zentrum München:
www.strahlentelex.de/Stx_10_558_S01-04.pdf
 
(原注)ドイツ連邦環境省の原子炉安全及び放射線防護局による委託研究:
「原子力発電所周辺における幼児発癌に関する疫学的研究」2007年。
出典:KiKK-Studie:
Peter Kaatsch, Claudia Spix, Sven Schmiedel, Renate Schulze-Rath,
Andreas Mergenthaler, Maria Blettner: Umweltforschungsplan des
Bundesumweltministeriums (UFOPLAN), Reaktorsicherheit und
Strahlenschutz, Vorhaben StSch 4334: Epidemiologische Studie zu
Kinderkrebs in der Umgebung von Kernkraftwerken (KiKK-Studie), Mainz
2007.
www.bfs.de/de/bfs/druck/Ufoplan/4334_KiKK_Gesamt_T.pdf (7,27 MB)
これは2003年がら4年をかけた非常に膨大(330頁)な研究ですが、冒頭に簡単な英文サマリーもあります。
(訳注3)
ドイツ放射線防護協会は、チェルノブイリの直後からドイツ全国で盛んになった市民による独立した「市民放射線測定所」の設立の経験に基づき、日本全国の47都道府県で主に食品検査に必要なガンマー線測定器を寄贈する募金を始めており、11月には最初の送金をしている。
市民放射線測定所:
http://www.crms-jpn.com/
 
 

毎日新聞夕刊 転載記事:

特集ワイド:チェルノブイリの25年を生かせるか 現地で医療活動の専門医に聞いた

 ◇福島と同じ「レベル7」、現地で医療活動5年半の専門医に聞いた

 ◇放射性ヨウ素、セシウムの健康影響「注意すべきだ」

 広範囲に放射性物質をまき散らし、健康被害が懸念される福島第1原発事故。特に心配なのが子どもたちへの影響だ。福島と同じく最も深刻な「レベル7」とされる旧ソ連・チェルノブイリ原発事故では、何が起こったか。同事故で汚染されたベラルーシで5年半、医療活動をした甲状腺がん専門医で長野県松本市長の菅谷昭さん(68)らに聞いた。【宍戸護】
 
 「(呼吸や食べ物を通して体内に取り込まれた放射性ヨウ素による)内部被ばくの典型的ながんの症例が、チェルノブイリの子どもの甲状腺がんです」。11月12日、松本市の波田文化センター。放射能による健康被害についての講演会で、菅谷さんは甲状腺の図が映し出されたスクリーンを背に市民に語りかけた。「官房長官は『ただちに影響は出ない』と言いましたが、内部被ばくの場合は、何年かしてから出てきます……」
 
 チェルノブイリ原発事故は1986年、ウクライナ北部のベラルーシ国境近くで起き、両国とロシアに汚染地が広がった。菅谷さんは信州大医学部助教授の職を辞し、96〜2001年、ベラルーシに滞在。首都ミンスクの国立甲状腺がんセンターなどで、甲状腺がんの子どもたちを治療した。チェルノブイリの健康影響については、日本人で最も詳しい医師の一人だ。
 甲状腺は、首の下方にあるチョウのような形の臓器で、体の発育などを促すホルモンを分泌している。体内に取り込まれた放射性ヨウ素は、3カ月〜半年で消失するが、その間に遺伝子を傷つけ、数年後にがんになるとされる。
 小児甲状腺がんは普通、年間100万人に1〜2人。だが、ベラルーシでは原発事故の4〜5年後から急増し、隣接するゴメリ州では130倍にも達した。当初、甲状腺がんと事故の因果関係を否定していた国際原子力機関(IAEA)も、96年に一転して認めた。ただ、白血病など他のがんや病気については「結論は時期尚早」などとし現在に至っている。
 
 日本ではあまり伝えられていないが、菅谷さんによると、甲状腺がんの手術を受けた子どもの6人に1人が、後に肺に転移していることが分かっているという。
 
 ■
 
 菅谷さんは、福島第1原発事故による環境汚染はチェルノブイリに比べれば小さいとの説に異議を唱える。
 
 場面は再び講演会。スクリーンに、1枚の地図が浮き上がった。ベラルーシが発行している「事故後10年目のセシウム137の汚染マップ」だ(図参照)。放射性物質セシウム137の、1平方メートル当たりの強さがベクレル単位で示されている。
 
 被災地周辺を(1)3万7000〜18万5000(2)18万5000〜55万5000(3)55万5000〜148万(4)148万以上−−に色分け(区切りが半端なのは古い単位のキュリーを基にしているため)。ベラルーシの基準では、(1)は年1ミリシーベルト以下(2)は1ミリシーベルト以上(3)は5ミリシーベルト以上に相当する。菅谷さんは市民にこう説明した。「148万ベクレル以上は居住禁止区域とされ、55万以上も(厳戒管理区域で)住まない方がいいと言われています。私が計2年間住んでいたゴメリ市とモーズリ市も、3万7000〜18万5000ベクレルの汚染エリアでした」
 
 続いて、文部科学省が8月に公表した福島県の汚染地図がスクリーンに。最大値は300万ベクレル以上で、チェルノブイリにおける居住禁止区域の最低レベルの2倍に達する。チェルノブイリで厳戒管理区域とされた55万5000ベクレル以上のエリアを福島の図に当てはめると、福島第1原発から北西に、飯舘村の大部分をのみ込む。福島市や郡山市の一部もチェルノブイリの基準では「汚染地域」となる。
 では、前述の放射性ヨウ素に起因する小児甲状腺がんについては、どうなのか。
 
 講演会の後、菅谷さんはこう語った。
 「ベラルーシではセシウム137が3万7000ベクレルの汚染地からも、小児甲状腺がんやさまざまな症状が出ている。福島の放射性ヨウ素の汚染地図は公表されていないので、何ともいえませんが、ベラルーシにおけるチェルノブイリ事故2週間後の放射性ヨウ素の汚染地図から推測すると、セシウム137の分布とそれほど変わらないと考えられる。健康影響については十分注意して考えるべきです」
 
 菅谷さんは、100ミリシーベルト以下の被ばくなら発がんを含め健康影響の可能性は低い、との説についてこう語る。「それを唱える研究者がよって立つところは結局、広島・長崎の原爆の影響を基にした長期調査ですが、あの結果は主に外部被ばくについての調査。チェルノブイリで起きている事実からすれば、線量に関わらず甲状腺がんになる可能性も否定できないと思います」
 
 チェルノブイリの被災地は今、どうなっているのか。交流のある現地の複数の医師から聞いた話として、菅谷さんはこう明かす。「子どもたちの免疫機能が落ち、風邪を引きやすくなっています。疲れやすく、貧血の子も多い。そのため授業を短縮している学校もあります。また、ここ10年くらいは、早産と未熟児が非常に増えています」
 
 その背景には、多くの住民が汚染地で栽培された農作物を食べ続けていることもあると見られる。こうした健康影響と原発事故の因果関係が、必ずしも明らかではないのは菅谷さんも承知している。「それでも、甲状腺がん以外にもいろいろな症状が事故後に急増しているということは、もっと広く知らせたい」
 
 ■
 
 放射性物質の総放出量はチェルノブイリが520京ベクレル(1京は1兆の1万倍)、福島は77京ベクレル。福島のセシウム137の放出量は単純計算で広島原爆約168個分とされる。チェルノブイリの場合は原発30キロ圏内は除染し切れず、今も人は住めない。政府の除染はうまくいくのか。
 
 90年からウクライナ住民を支援し、福島県南相馬市で放射線量を継続調査しているNPO「チェルノブイリ救援・中部」(名古屋市昭和区)理事で元名古屋大学助手の河田昌東(まさはる)さん(71)は、ウクライナと福島を見比べて「学校の校庭や公園の除染は可能。農地は平らならばできるが、山地は難しい。森になったら不可能です。莫大(ばくだい)な予算もかかり、除染をして住民を戻そうとする国の政策は恐らく破綻します」。菅谷さんも「これだけ大規模な汚染だと、医療に例えれば、除染だけでは根治的な治療になりません。除染費用の一部で、学校単位で子どもたちを一定期間、汚染がない場所に移せば、体内からセシウムが排出されてきれいになる。福島の子どもたちが、ベラルーシの汚染地の子どものように健康が損なわれないよう、政府は早く手を打つべきです」と、「一時的集団移住」を提案する。
 
 事故から25年。チェルノブイリ原発事故の教訓は福島に生かされているのだろうか。
 
 
毎日新聞 2011年11月24日 東京夕刊
「内部被ばくを考える市民研究会」総会
日時 20111029日(土) 18時45分〜2045
場所 浦和コミュニティーセンター第15集会室(浦和PARCO9階)
    前回の浦和駅東口の浦和PARCO9階です。(前回は10階でした)
 
            内部被ばくを考える市民研究会 事務局 川根 眞也
             http://www.radiationexposuresociety.com       
 参加申し込みはこちらに
            E-mail  kawane@radiationexposuresociety.com
 
 
☆☆☆ 
東海村廃炉の署名への協力のお願い 春日部 小田陽子さんから ☆☆☆
 
知り合いが、東海村の事故の被害者の大泉さんの遺族の方と、東海原発廃炉への活動を
しています。東海村の村長は、今月中に10万人の署名があれば、県知事に要請に行く
と言ってるそうです。それで、ネット署名を先生からも呼びかけていただけないかと思
いまして。差しさわりがなければ、よろしくお願いします。
 
インターネット上で署名いただく場合は
↑ここからできます。
 
署名そのものは「実名」で入力いただきますが、画面上(公衆の前と同じとなります)
の表示を匿名」にすることもできます。その場合は「□ 匿名にする」にチェックマー
クを入れて、ご署名ください。
 
 
☆☆☆ 
 新聞記事から ☆☆☆ 
 
 10人の甲状腺機能に変化 福島の子130人健康調査
 信濃毎日新聞 2011年10月4日(火)
 
 認定NPO法人日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)と信大病院(ともに松本市)
が、福島県内の子ども130人を対象に今夏行った健康調査で、10人(7・7%)の
甲状腺機能に変化がみられ、経過観察が必要と診断されたことが3日、分かった。福島
第1原発事故との関連性は明確ではない。旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年
)の被災地では事故から数年後に小児甲状腺がんが急増しており、JCFは今後も継続
的に検査が受けられるよう支援していく方針だ。
 
 調査は原発事故から逃れて茅野市に短期滞在していた子どものうち希望者を対象に7
月28日、8月4、18、25日に実施。130人は73家族で生後6カ月〜16歳(
平均年齢7・2歳)。医師の問診と血液検査、尿検査を受けた。
 
 甲状腺は成長に関するホルモンをつくる。今回の調査で1人が甲状腺ホルモンが基準
値を下回り、7人が甲状腺刺激ホルモンが基準値を上回った。甲状腺機能低下症と診断
された例はなかった。信大病院の中山佳子小児科外来医長は「現時点では病気とは言え
ないが、経過観察の必要があるので、再検査を受けるように伝えた」としている。
 
 ほかに、2人の男児(3歳と8歳)が、甲状腺がんを発症した人の腫瘍マーカーにも
使われる「サイログロブリン」の血中濃度が基準値をやや上回った。サイログロブリン
は甲状腺ホルモンの合成に必要なタンパク質。甲状腺の腫瘍が産生したり、甲状腺の炎
症で甲状腺組織が破壊されたりすることで血中濃度が高くなるが、健康な人の血液中に
も微量存在する。
 
 原発事故で放出された放射性物質のうち、放射性ヨウ素は、甲状腺が甲状腺ホルモン
を合成する際にヨウ素を使うため、人体に取り込まれると甲状腺に蓄積、甲状腺がんや
機能低下症を引き起こす。
 
 JCFの鎌田実理事長(諏訪中央病院名誉院長)は「いろいろ意見はあるが、被ばく
の可能性は捨てきれないと思う。継続してフォローしていくのはもちろん、福島の新た
な希望者がいれば、健康調査の枠を広げるつもりだ」と話している。
 
☆☆☆ 以上 転載終わり ☆☆☆
 
 
 
                   

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