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日付が変わって8月9日の1時。
飛田新地を後にし、プライベートガイドの友人による案内で、天王寺駅の近くにあるインターネットカフェに入る。
30分コースの利用でシャワーを浴びて水分を補給。
すっきりしたらマクドナルドで小腹を満たし、夜の天王寺動物園の横を歩いて新今宮駅へと出た。
いよいよクライマックス、あいりん地区の朝の出勤風景の見学である。
しかしこの時まだ2時半。
しばらく時間を潰そうと新今宮駅近くのコインパーキングに新聞紙を敷いて横になる。
プライベートガイドには定時の休憩を与えなければならず、友達には自由に休んでもらった。
つまり我々はホームレスと同じ生活をしているのである。
深夜のコインパーキングは静かだった。
近くには自動販売機があり、そこのコンセントを借りて携帯電話の充電でもしようかと考えたが、それはやめた。
3時過ぎ、巡回中のパトカーが近づいてくるのに驚き、友人を叩き起こして二人で座って喋っているふりをした。
そして夜も明けぬ4時前、だんだんと騒がしくなってきた。
自転車で往来する人、配達に回る車、足早に歩く人。
我々も新聞紙を畳んで歩き始めた。
あいりん地区、4時。
道路の両側にはマイクロバスやワンボックスタイプの車が並び、何台かには既に労働者が乗っている。
その顔は無表情で、今日という1日を迎える目に輝きはなかった。
あいりん地区をさらに奥へと入って行く。
三角公園からは、薬をやっているのか発狂した音声が飛び、脇に入った道は相変わらずの異臭とさまよっている浮浪者、ただ突っ立っている人などがいた。
少ない街灯に照らされる電柱や電線、ゴミの散った道路など、すべてが発展途上国で見てきたものと同じであった。
歩いて見学した後は、とある交差点の隅に立って定点観測を始めた。
最初のうちは停車しているマイクロバスを眺めているだけだったが、途中で1人の労働者がやって来て近くで座り込んだ。
しばらくすると仲介業者か誰かがやって来て、労働者が話しかける。
労働者は、一昨日も昨日も4時に来て待っているのだが仕事がもらえない、何時に来れば良いかと聞く。
しかし仲介業者はその労働者を適当にあしらう。
歳を重ねれば用済みになるのだという現実を、最後に目の前で見せつけられた。
2人のやり取りも一段落したので、新今宮駅へ戻る。
始発電車の10分前まで駅のシャッターが閉められており、初めて駅の開店を待つという経験をした。
ガラガラガラと音を立てて上がり始めた駅のシャッター。
深い社会の西成区から、日常へと帰る道が開ける。
今日はこれから福島まで帰るのだ。
新今宮を4時56分に発車する環状線に乗り、5時14分に大阪到着。
大阪駅で、今回いろいろな大阪を見せてくれた友人と分かれる。
私は大阪5時55分発の東海道本線快速長浜行きに乗り、iPodのスイッチを入れる。
エンヤの音楽をスタートすると、まもなく重たくなったまぶたが閉じた。
壁に頭を寄せてすっかり熟睡し、目が覚めた時には南彦根まで来ていた。
あと2駅で米原である。
7時40分、寝過ごすことなく無事に米原駅で大阪から乗って来た快速電車を降り、8時04分発の普通大垣行きに乗り換える。
米原駅で電車を待っていると、目の前に特急しらさぎ2号が停まった。
車内はガラガラで、急いで値段を調べる。
米原から大垣までの1駅区間1,380円を多く払ってこの特急に乗れば、福島に1時間早く帰れることが分かった。
早く帰りたい衝動に駆られたが、1,380円で1時間はちょっと高いな、と思い断念する。
1,000円切っていれば利用した。
こうして普通電車が入るまで待ったが、米原8時04分発、普通大垣行きの電車はJR東海の特急車両を使用した普通電車だった。
これはラッキーだと思い、リクライニングを倒して大垣まで快適に移動することができた。
米原から34分で大垣に到着した。
そろそろ朝ごはんと歯磨きがしたかった。
大垣駅の電光掲示板を見ると、ホームライナーなる文字が。
首都圏ではホームライナーは夜に走るものなので、すぐさまスマートフォンで調べる。
するとお手持ちの青春18きっぷでも利用できることが判明。
自動券売機で310円のライナー券を買い、コンビニで朝食を調達した。
ホームライナー豊橋4号は、米原から乗って来た特急車両で、これまたリクライニングを倒して快適に豊橋まで移動した。
しかも今度の車内は空いており、これで310円という価格設定は満足であった。
ただ、5分前に走る快速電車からは豊橋での上りの乗り継ぎがスムーズだが、ホームライナーからは乗り換えられないのが残念だった。
大垣8時58分に発車したホームライナーは、豊橋に10時26分に到着した。
名古屋の都市圏を車窓から眺めた後は、豊橋10時41分発の普通電車に乗り、浜松11時15分着。
そのままホームの向かい側に停車していた11時29分発の興津行き普通電車に乗り、途中の島田では乗り換えず、あえて焼津で島田発沼津行きの普通電車に乗り換えた。
沼津に到着したのは13時50分。
そろそろお腹も空いてきた。
沼津よりも20分電車に乗った先の熱海の方が乗り換え時間は多いので、そこで昼食を調達することにする。
沼津まで来ると東京まであとひと山だな、と安堵する。
沼津14時発の普通電車に乗り、トンネルを抜けて熱海14時20分着。
食料を調達した後、熱海14時35分発の東京行きに乗る。
熱海から宇都宮までは、普通列車グリーン車で移動する。
車窓には相模灘のきれいな海が広がり、20分程で小田原に到着する。
小田原で8分の乗り換え時間を挟んで、15時04分発の湘南新宿ライン特別快速の高崎行きに乗り継ぐ。
グリーン車ではリクライニングを倒し、だいぶ西の空へと傾いてきた太陽の影を追いながら、ウトウトとする。
国府津、平塚、茅ヶ崎、藤沢と湘南を走り、大船、戸塚、横浜へと入る。
横浜で乗客が増え、ここで大阪からお世話になった東海道線とは、さようなら。
湘南新宿ラインはいったん横須賀線の線路へと入り、武蔵小杉。
つづいて埼京線に入って、大崎、渋谷、新宿、池袋と都内の名立たる地名を走破する。
赤羽を出ると埼玉県に入って、16時46分に大宮駅に到着した。
久しぶりの大宮駅では、あそこのうどん屋には同級生がバイトしているんだよな、とか、あそこのコンビニにも同級生が働いているんだよな、とか考えながら駅ナカを散策する。
そうして大宮17時03分発の東北本線、宇都宮行きに乗る。
大宮からも快適なグリーン車で移動。
宇都宮には18時21分着。
適度な乗り換え時間を挟んで18時33分に黒磯行きは発車した。
グリーン券は、沼津から黒磯で買ったが、列車の都合で熱海から宇都宮までのグリーン車利用だった。
グリーン券代950円で4時間弱の快適な移動が出来たので、疲れも少しは減らせただろうと思う。
黒磯には19時26分に到着した。
もう外はすっかり真っ暗である。
今日は日の出前から電車に乗り、日が暮れてもまだ電車に乗り続けているという何とも奇妙な1日である。
黒磯では7分の乗り換え時間で、19時33分に福島行きが発車。
いよいよラストスパート、みちのく路を北へ北へと急ぐ。
大阪を出てから約15時間半、21時30分に金谷川駅に到着した。
もう夜の闇も深くなっている。
こうしてディープ大阪を巡る弾丸旅行は無事に終了した。
今まで知らなかった関西に足を踏み込み、とても楽しかった。
今度は、神戸、京都にも足を伸ばしたいな、と思う。
(おわり)
最後に
今回は1ヵ月前に思いつきで大阪行きを決めました。
飛行機、新幹線、高速バスなど様々な交通手段を検討しましたが、「金はないが時間はある」という学生の身分を生かして、青春18きっぷでの旅行をしました。
東京からではなく福島から出発して、福島に帰って来る、ということに重点を置き、実家のある埼玉へは寄らずに素通りしました。
しかし、福島に戻った翌日には再び青春18きっぷを片手に東北本線で埼玉へと向かいました。
埼玉と福島とは在来線で片道4時間の距離で、往復にすると8時間にもなりますが、一度福島に戻って良かったと思います。
やはり今住んでいるのは福島ですし、私は福島が大好きです。
一晩でも自分のベッドで休み、エナジーをチャージして帰省できたのでとても気持ち良かったです。
今回のDeep Osakaでは、丸1日私に付き合い、大阪を案内してくれた友人あつさんに、本当に感謝します。
ありがとうございました。
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長旅、お疲れ様でした。
流石です。良くもこんなにも長文、書けましたね(良い意味ですよ)。
もう少し、それぞれの事柄についての貴方の意見を聞きたかったし、議論できれば良かったのですが・・。
まぁそれは件の話を聞いて損したという意味ではないので悪しからず。
(ちなみに、HPを見ても1万分の1も理解できませんでした・・)
最後に、こうやって見聞録を思い切って公開されたということに対して、拍手!
2012/8/20(月) 午前 10:58 [ あつ ]
拍手! 大阪旅大成功!!!
2012/8/21(火) 午後 4:56
あつさん>
こちらの文章、福島と埼玉との往復の間に書き上げました。スマートフォンからインターネットで調べ物ができるので、電車の中で書きあげるのがだいぶ楽になりました。
随分と意味深なコメントを頂戴しましたが、文面通りの解釈をしようと思います。
この度は貴重なお時間を割いてくださり、ありがとうございました。
東北方面へお越しの際は、ぜひ一声かけてください!
2012/8/21(火) 午後 11:05
香港さん>
最後までお付き合いくださり、感謝です!!
2012/8/21(火) 午後 11:06
福島は寒いですがどうですか
2014/2/4(火) 午前 5:36 [ パトリオット ]