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大阪、京橋にはJRと京阪の駅の間に広場がある。
路上ライブや芸人のパフォーマンス、そして京阪とJRに乗り換える大勢の人々が行き交う場所。 放課後、この広場に私はいた 高校になり電車通学になった私は下校途中、真っ直ぐには家に帰らず制服のまま広場の隅で行き交う人々を眺めるという時間があった。 手には彼氏に借りた坂口安吾の「堕落論」、行き交う人々の足音をミュージックにして、読んでは眺め、読んでは眺める行為を白月が昇るまで繰り返していた。 その日は珍しく一時間で5ページ進む自己新記録になろうかという早さで読んでいる最中、若葉の香りと共にそれはやってきた。 私の前で止まる足音 「やっぱり、そうだね。」 私の前に立った府内有数の進学校の制服を着た長身の男子。 「久しぶりだね。」 私は彼を知っている。だけど、どこで彼と会ったのだろうか。 「僕のこと覚えていないかい。」彼は携帯についたストラップを私に見せた 白い天使の翼 名前を忘れても覚えていることがある。 天使君 そう呼ばれた男子かいた。 夏、水泳授業。彼の背中を見た誰かが言った。肩胛骨があざに覆われていて、まるで羽のように見えたのだろう。 それから、彼は中学三年間を天使君として呼ばれ過ごすことになった。 私はそれを覚えていた。 「隣、座ってもいいかい?」 彼は再会を騒ぐことなく、隣に自然に座ると話し出した 「へえ、息がつまりそうなこの人ごみも、ここで観るとなんだか面白いものなんだね。笑う人、悲しむ人、怒る人、考える人、それぞれの人が、自分を曝け出しているのがよく見える。」 彼が言うとおり私はそれが楽しかった。良くも悪くも人には性格があり夕暮れに溢れる人々は私にさまざまな表情を見せてくれていた。 私と同じく面白いと思う人がいて嬉しかったが、表現が下手な私はだ頷くだけだった 「相変わらずだね君は。」 そんな私に爽やかすぎる天使の笑顔。 眼鏡越しにすっと彼を観た。 私が知る中学時代の比べると相変わらず痩せてはいるが背が高くなり印象が変わっている。 なにより変わったのは表情が明るいことだ。もてそうな目立つ役者顔だが、これを完全に殺すかのように彼はあまり話さず控えめで、目立つタイプではなく、血の気のない肌も伴ってその雰囲気は天使というより悪魔という陰口を聞いたことがある。そういえば私も魔女と言われていた時があったこと思い出す。 近所のお姉さんに教えてもらったタロットを修学旅行で披露したためにつけられたあだ名。 数日で消えたあだ名だが、夕暮れの京橋を天使と魔女という悪魔が並んで見つめているのは面白い光景だと一人思った 「久しぶりに会えて嬉しかった」 天使君は本当に嬉しそうに私に言った。 「またここに来ていいかい。」 断る理由はなかった。 その日から私の時間に彼の時間が重なっていった。 彼は話す 話題はバラエティーにとんでいてファッション、メディア、社会まで。さまざまな話題を私に提供してくれた 特に彼の学園の話題は彩られていて、私と違って学生生活を楽しく送っているように思えた。 私はそれをふんふんと聞いているだけ。 そんな日が続いた。 気付くと、彼が話をやめて、じっと私を見つめてることがあったが、それも何日かするうちに気にしなくなり、彼が隣にいることが、私にも普通になっていった。 そんなある日、私は彼に初めて質問した 「君は私の隣にいて楽しいの」 その時の私と一緒にいて楽しいと思えることなど今でも何一つ見つからない。 友達もつくらないから学校に居場所なくて当然で、家族以外で私を相手してくれるのは体でしか話してくれない男しかいなかった。 淋しい私を見つけた彼が変わった自分を自慢しているだけなら私はそれでもよかった。 でも、私には自分のことを話す彼が、時に泣いているように見えた。 「どうして?。」 そんな質問した私を彼は不思議そうに見た 私はそれ以上聞かなかった 本当は どうして君は私に・・・・ 私はその言葉を飲み込んだ |
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一時間に5ページが新記録。。。それじゃ内容が記憶に残らないだろうなあ。でも何か読んでると、なんとなく落ちつくんですよね。
広場をただ眺める時間を大切にしているのは、何かに疲れているからか、それとも寂しさの故か。
心を添えずただ欲しがるだけの男を彼氏と呼ぶしかなかった日々に、天使君は癒しの変化をもたらしてくれるでしょうか。
2011/2/13(日) 午前 11:43 [ イカダ ]
この広場でよく待ち合わせをして今も飲みに行くけれど、高校時代も通学するのにとおったなぁ。。。時計の仕掛け人形が時を知らせて踊ってたっけ。。。今はないのが残念。。。
2011/2/13(日) 午後 9:48
肩甲骨の痣に天使と魔女。
面白いところから話が始まりましたね。
こういうのを考え付くところが、羨ましいです^^
天使なのか悪魔なのか、その彼が抱えるものの正体が気になります。
2011/2/14(月) 午後 3:09 [ 月花 ]
題名を見たときはもっと神々的な話かと思ったら、意外に恋愛モノみたいですね。でもタヌキチのことだから、いつ騙されるのやら・・・(笑)
2011/2/14(月) 午後 7:15
物語には変わり者が出てこないといけません。変わり者の女の子の気持ち、感情移入しちゃおっと♪ポッチン!
2011/2/15(火) 午後 10:21
イカダさん、おそらく彼女は自分の居場所のようなものが欲しかったのではないかと思います
一時間5ページは私自身がそんな調子で読んでいる時があるのですが以外としっかり覚えていることもあります
2011/2/16(水) 午前 7:37
ばっとさん、ここで待ち合わせをされでいたんですね〜、でしたらもしかしたら私達はすれ違っていたかもしれないですね。
夕方、あの大勢の人々が行き交う中に彼女はいます
2011/2/16(水) 午前 7:40
月花さん、ありがとうございます。その代わり私は月花さんのような素敵な男女関係は想像できません。皆、なにかしら得手不手はありますよね
彼は天使か、それとも〜後編でお確かめくださいませ。
2011/2/16(水) 午前 7:45
はなみさん、恋愛もの書きたいです。でも私にはどうしても書けないジャンルであるのでしょう。 私はあまりドラマなども観ていないからか、どう書けばいいのかわからないんですね
はい、狸ですから、意味なく騙します。よければお楽しみくださいませ
2011/2/16(水) 午前 8:07
タムさん、ありがとうございます。ただ作者がいうのはなにですが、彼女に感情移入はどうでしょう。したら結構大変かも、後編でそれがわかるかもしれません
2011/2/16(水) 午前 8:11