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SF 「 I D 社会 」

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ちょっと恐いSFです・・・

 + + + + + + + + + + + + + + + + + + 

2028年10月16日、AM09:25、東京。
見知らぬビルの一室で目を覚ました僕を、かつて経験したことの無いほどの
ひどい頭痛が襲った。そこは見たことの無い、廃墟としか言いいようのない空間
だった。

昨日は確か、3Dバーチャルサイトで知り合った女性と、初めてのデートを
したはずだったが・・・
僕は昨日のことを思い出しながら、なぜ自分がこんなところに居るのかという
疑問に対する答えを探した。
そして、ひとつの仮説、いや確信に行き着いた瞬間、僕の背中を一筋の冷汗が
流れた。

「しまった! IDナンバーをしゃべっちまったか・・・」

IDナンバーとは、国民が成人した際に役所に申請する32桁のナンバーだ。
小学校からそのナンバーの重要性についての教育が始まり、多くの高校生は
既に将来の自分のナンバーを決めている。生年月日や学校の出席番号、更には
初恋の人の電話番号まで組み合わせた自分のナンバーを決めては、一生懸命
暗記するのだ。IDナンバーをどこかに書き留めたり、ましてや誰かに教える
など、絶対してはならない。なにせ、このナンバーは「自分自身の存在そのもの」
と言っても過言ではないから。

『わたしを信頼してないの?』
『大丈夫よ、32桁も一瞬で暗記できる訳ないじゃない』
『それとも、本当に私を疑ってるの?』 
『じゃあ、わたしが先に自分のIDを言うわね。9747203・・・』

全てが仕組まれていたに違いない。今頃、僕のナンバーは全国に10箇所ある
管理局のうちのどこかで、既に変更されているだろう。

登録に合致したナンバーさえあれば、銀行口座も自由になり、僕になりすまして
誰かと結婚だってできてしまう。ほとんど全ての事が、何処にも出掛けず、誰にも
顔を合わさず済んでしまう現代では、僕の正しいナンバーを知っている者が「僕」
なのだから。

それが無いと電車にもバスにも乗れない「RFIDカード」は、ポケットに残って
いたが、これすらもう失効しているかもしれない。いまどき現金なんて持ってないし、
そもそも現金なんて使える所はもう無いだろう。

ためしに僕は、やはりポケットに残っていた多機能携帯を開けててみた。その
有機ディスプレイには、『RFIDカードが正しくありません』という赤い文字が点滅
していた。

これでは、熊本に居る両親のもとに行くこともできない。
いや、RFIDカードがあっても、それは無意味だった。

そもそも3年前、僕は両親の子供ではなくなっているのだ。
僕の本当のIDナンバーは、3年前に100万円で売ってしまったのだから・・・


<おわり>

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なんとなく怖い話だけど遠い将来起こりえる事ですね。国民総背番号制のある韓国やオーストラリアじゃもう起こっているかもしれないし・・・。それにしても、男性って女性の「信じて」という言葉に弱い?

2005/10/24(月) 午前 10:27 [ - ]

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よ、よわい・・・・ 少しくらいのリスクなら、分かっていても「信じたふり」までしちゃうかも、です。そのうち騙されるかもしれません。

2005/10/24(月) 午後 10:42 [ ペンネーム じゅんた ]


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