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先日の物語『マナー』の続編です! *** *** *** *** 俺の名前は幹雄。じつは不慮の事故でどうやら死んでしまったらしい。目の前にいる恋人の凛子に声をかけても届かない。これが幽霊という存在なのだろうか。 「ちょっとー、きみー」 「えっ? 俺??」 「そうよ。君、初心者なの?」 「初心者って何だよ」 「決まってるじゃない。今日死んだのかってことよ」 「おまえ、俺が見えるのか・・・・・・」 「当たり前じゃない。みんな見えるわよ」 「でも、凛子には俺が見えないぞ」 「しょうがないわねぇ。説明してあげるわ」 彼女の話は要約するとこうだ。人間は死ぬと普通天国に行けるが、中には天国に行けない者もいる。現世に未練があるとか無いとかの問題ではなく、単に自分が死んだことに気が付かなかった者が天国に行きそびれるのだそうだ。この世には、そんな間抜けな幽霊が何万人もいるらしい。だから世の中には、生ける者と幽霊がゴチャゴチャに共存しているのだ。そういえば、死んでから見る街中は、以前よりも人口が多いような気もした。もちろん、生きている人間には幽霊が見えないし、触れることも出来ない。幽霊からは生きている人間が見えるが、触れることはやはり出来ない。 「ありがとう。いろいろ教えてくれて」 「どういたしまして」 「で、俺はこれからどうなるんだ?」 「どうにもならないよ」 「いずれ、何かに生まれ変わるとかさ」 「アハハハ・・・・・・ そんなの迷信よ」 「じゃあ本当に、一生このままか?」 「バカ。死んだ人間に一生も二生も無いでしょ!」 「とにかく、ありがとう」 俺はその後、親切な彼女と別れ、また凛子を見つけた。 「凛子! 凛子! 本当に聞こえないのか?」 親切な彼女の言ったとおり、俺の言葉は凛子には届かなかった。 「こらっ!」 その時、どこからか聞き覚えのある声が聞こえた。 「おい、初心者! 君、いま凛子さんに付いて、彼女の家に入ろうとしただろ」 「ああ。それがどうした?」 「近頃、マナーの無い幽霊が多くて困るんだよ」 「はあ?」 「相手は君のことが見えないんだよ。まさに完璧なストーカーにもなれる。だから幽霊は皆、絶対に生きている者の家に入ってはいけない。この約束を破ったら、ぶっ殺すわよ」 「殺せるのかよ、もう一回」 「冗談よ。でも、君・・・・・・ いかにも風呂場とか覗きそうだものね」 「バ、バカを言うな! と、とにかく、約束は守るから」 俺は幽霊のマナーを学び、その日は凛子の飼っているセントバーナードのジョンと一緒に犬小屋で眠った。 そうして何日かが過ぎた。そのうちに俺も、幽霊ライフに慣れてきた。凛子と話こそ出来ないものの、凛子が映画館に入れば、そっと隣に座って一緒に映画を観た。凛子がレストランに行けば、俺は向かいに座った。 また、慣れてくれば人ごみで幽霊を見分けることも出来るようになった。影を見れば良いのだ。親しい幽霊も何人かできたので、寂しくはない。むしろ、受験勉強も無ければ、職場のうるさい上司もいない、税金も無ければ、病気の心配もゼロ。 俺は大声で叫びたいくらいだ。 「まさにこの世は天国だぁ〜!」 「おい、初心者! うるさいぞ」 (おしまい)
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(^^)/
it_novelさん、幽霊もマナーが悪いですか…・(^^)
単に自分が死んだことに気が付かなかった者が天国に行きそびれる。
それって、おもしろい発想ですね(*^_^*)
2008/6/10(火) 午前 6:40
マネーにもマナーを。 幽霊にもマナーを! (笑)
2008/6/10(火) 午後 10:29 [ ペンネーム じゅんた ]
で、このまま成仏する気は無いのかな?
それもマナー違反にはならないの?
面白かったです。ポチ
2008/6/11(水) 午後 10:07 [ - ]
はるさん 感想ありがとうございます。
そうか・・・ 成仏しないのもマナー違反かも!!
2008/6/11(水) 午後 10:19 [ ペンネーム じゅんた ]