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僕は車を走らせながら、タイミングを計っていた。今日だけは頭痛にも目まいにも負ける |
SFショート「乱れた振り子」
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僕は卒業後その能力が活かすために、当時の夢であった写真家になる道を捨て、為替 |
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初めて、本格(?)SFショートストーリーを書いてみました! ちょっと説明が多かったかな...でも、SFには(嘘でも)理論が必要かなってね。 ++++++++++ +++++++++ +++++++++++ 「乱れた振り子」 講義の時間はもうすぐ終わろうとしていた。 目を覚ます前に、僕は夢を見ていた。 夢の中で僕は写真家として成功しており、個展の記念パーティーでシャンパンの栓を 抜いた拍子に、僕は目を覚ました。 「えー、という訳で、時間が一定の速度で均一に進んでいるということは、誰にも 確かめようがないのです。時々時間が止まっていても、あるいは逆向きにに進んで いたとしても、私たちには観察し得ないのであります」 教授が何の話をしているのか、すぐには理解できなかった。 「これは余談ですが、デジャヴという錯覚を皆さんも経験したことがあると思います。 ある学者が、デジャヴとは、時間が振り子のように振れた時に起きると言いました。 時間というビデオテープで起きた瞬間的な巻き戻し現象、そう呼ぶ学者もいます。 まあ、これはSFの世界かもしれませんがね」 めずらしく今日の講義は面白そうだった。僕は寝てしまったことを少し後悔した。 「それでは、本日の講義はここまで」 「そうだ、高木真治君。今日の講義で、君の時間は止まっていたようだね、顔に腕時計 の跡までついとるよ、ハハハ」 「くそっ、今日は教授の小言まで、洒落てるじゃないか」 僕は、大笑いする学生たちに軽く手を振ってやった。 僕は子供の頃からデジャヴをよく経験していたので、教授の話はとても印象に残ったが、 まさかこの7年間で、僕がそのSFみたいな学説を身をもって証明することになろう とは、当時思いもよらなかったのである。 講義を聴いた後も時々経験するデジャヴに、僕は意識を集中した。デジャヴを錯覚だと 決め付けていた以前と違って、僕はデジャヴで感じる「一度経験した未来」を慎重に 思い出す訓練を自分で続けた。 何度もそれを繰り返すうちに、僕は「一度経験した未来」を思い出すことに慣れて いった。同時にその能力を完全に身に着けた時、僕はデジャヴという現象が常に存在 していることにも気づいた。時間とは、やはり「振り子」のように常に行きつ戻りつ 進むものだったのだ。 アインシュタインは相対性理論の中で、時間は不変ではなく速度の影響を受けること、 速度が早くなるほど時間は遅くなり、速度が光速に達すると時間が停止すること、 そんな理論を展開した。現在では、その理論はいくつもの実験や観測で立証されている が、もしかしたらその現象は「時の振り子」と関係しているのかもしれない。 ただ不思議なことに、「時の振り子」は、振幅が一定ではなかった。「振り子」が 未来側の頂点(僕はそれを予習範囲と呼んだ)に達して、過去側に揺り戻され、再び 現在に戻るという運動を繰り返すのだが、予習範囲は翌日のこともあれば、3ヶ月先 ということもあった。「二度目の未来」を経験すると、「一度目」の記憶は急激に薄れる。 記憶の中では、「二度目」が「一度目」を上書きしてしまうのだろう。 それでも僕は、「二度目の未来」を経験する際に、ほぼ完全に「一度目」の記憶を 思い出すことができるようになっていた。最後に残る記憶は「二度目」だから、まるで 「一度目」は「二度目」の予習としてのみ存在するようだった。 |
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