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「聖書の大地」 ロバ―タ・L・ハリス 
 
1980年代に、シナイ砂漠南部のクンティレド・アジュルドの発掘調査が行われた。
 
クンティレド・アジュルドは、古代の旅行者の中継地であった。
 
紀元前800年頃、分裂時代のイスラエル王国の諸王は、ここに2つの宿泊所を建設した。
 
発掘調査の結果、多数の土器や石碑が出土した。
 
ある漆喰壁の破片には、「サマリアのヤハウェ神と、彼のアシェラ女神」と記されていた。
 
この場合、アシェラ女神は、ヤハウェ神の配偶者と見做せる。
ロバート・グレーブスの「サムソン解釈」を要約して紹介する。
 
なお、ロバート・グレーブスの「ギリシャ神話の問題点(解釈の妥当性については、後で論じたい。
 
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サムソンデリラ』の話は、ギリシャ神話のスキュラニーソス」やアイルランド伝説の「クーロイブラスナッドクフーリン」やウェールズ伝説の「ルー・ローブロードウェッドグロン」と共通点がある。
 
いずれも、同一の様式の、さまざまに異なる変形なのである。
 
それは、聖王と、その後継者が、月の性格を持つ女王を巡り、相争う対立、を主題とする。
 
月の女神は、夏至(太陽の最高点)になると、太陽の性格を持つ聖王の髪の毛を切り取り、聖王犠牲として生贄とした。(聖王の裏切り
 
太陽の性格を持つ聖王(=サムソン)の髪の毛は、日輪の光線を現すものとして、神聖な象徴であった。だから、髪の毛に力が宿っていたのである。
 
デリラは、サムソンがペリシテ人を呼び込む前に、彼の髪の毛を切り取る。ブラスナッドは、恋人のクフーリンを呼んで、彼にクーロイを殺害させる前に、クーロイの髪の毛を寝台にくくりつける。ブロードウェッドは、恋人のグロンを呼ぶ前に、ルー・ローを木に縛りつける。
 
デリラブラスナッドブロードウェッドスキュラは、月の女神の、春の相である、アプロディーテーに他ならない。秋になると、月の女神は、死の女神としてのヘカテーになる。
 
「スキュラ」の名前は、聖王髪の毛を切り取られた後、八つ裂きにされたことを暗示している。
 
サムソンとデリラ』における、獅子と蜜蜂の話は、アリスタイオス神話における、牛の屍体から蜜蜂を育てた話と対応している。アリスタイオス神話における牛の屍体から蜜蜂を育てた話は、ウェルギリウスが、誤り伝えたものである。この蜜蜂は、本来、キュレーネーが殺した獅子から群れをなして飛び立って行ったのであろう。この神話は、『サムソンとデリラ』における、獅子と蜜蜂の話と同じく、裸になった1人の女神が、一頭の獅子に抱きつき、じゃれ合う傍らで、蜜蜂が、もう一頭の別の獅子の上を飛び回っている情景を描いた古代の図像から引き出されたものであろう。
 
裸の女神は、獅子の女神キュレーネー、ヒッタイトのヘパトゥ、シリアのアナタ、あるいはミュケーナイの獅子の女神へーラーに相当し、彼女が抱きついている獅子は、夏至の頃、獅子宮で死ぬ運命にある聖王なのである。
 
テーセウスやへーラクレースと同じく、彼は獅子の仮面をつけ、獅子の皮を身に纏っていて、傍らで死んでいる獅子(=先王の精霊(=それが蜜蜂としてあらわれる)を、転移させられているのである。
 
そして、夏至(太陽の最高点)の頃になると、彼女は、抱きついている獅子を去勢し、生贄として殺すことになる。
 
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この、ロバート・グレーブス解釈の妥当性については、後で改めて論じなければならない。
 
(しかし、それは、困難な作業です)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
以下は、「メソポタミアからの知的伝承」佐々木光俊著)の記述の要約。+私の考え。
 
 
「アダパ物語」の主人公アダパは、エア(エンキ)と深い関係を持ち、エア(エンキ)の息子と呼ばれることもある。
 
アダパ(adapa)という名前は、adapu(賢い、という形容詞)から派生していると考えられ、固有名詞でない可能性がある。
 
アダパ(adapa)は、アプカルル(apkallu=半神的賢者・魔術師)の筆頭であり、オアンネス(=Uan)と同一視できる。
 
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魚のアプカルル(英文献ではFish-Apkallu)★ By WIKI
 
メソポタミアの伝説の生き物。発掘された彫像によると、頭から背中にかけて魚をかぶったような姿をしている(身体の前部が人間、後部が魚、という姿)。
神話のなかでは、アプカルルは古の賢者であり、人々に知恵を授けたとされている。彫像は守護精霊として7体セットで用いられた。
アプカルルは、ヘレニズム時代のバビロン神官ベロッソスが著した『バビロニア誌』にオアンネス(Oannes)として現れる。オアンネスはペルシア湾から上陸してきて、ごく短期間に人々に文明を授けたといわれている。
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オアンネス(=Uan)は、「ビート・メ―セリ」という儀礼文書の中では、「天と地のプランを確立したアプカルル(apkallu)の筆頭として現れている。
 
エア(エンキ)神とマルドック神は、よく「神々の中のアプカルル」と表現される。
 
大洪水以前には、7名のアプカルルがいた。
 
① UーAnna 「天と地のプランを確立した
 
② UーAnne-dugga 「広い理解力を与えられた
 
③ Enmedugga 「良き運命が与えられた
 
④ Enmegalamma 「家で生まれた
 
⑤ Enmebulugga 草原で育った
 
⑥An-Enlida 「エリドゥのエクソシスト除霊師)」
 
⑦Utuabzu 「天に昇った
 
6番目のアプカルルである、An-Enlida 「エリドゥのエクソシスト除霊師)」に、アプカルルの本質的役割が顕れている。
 
即ち、アプカルルとは、除霊師・魔術師・呪術師としての賢者なのであった。 
 
アプカルル(apkallu=半神的賢者・魔術師)の筆頭であり、オアンネス(=Uan)と同一視できるアダパ(adapa)は、南風の翼をへし折るほどの呪力を持っていた。
 
この呪力は、エア(エンキ)神と共通する要素であり、南風の翼をへし折るとは、自然の秩序を破壊する程の創造的力を発揮することである。
 
だから、創造的力を代表するエア(エンキ)神と、自然の秩序力を代表するアヌ(エンリル)神は、対立する場合がある。
 
古代バビロニアでは、7名のアプカルルは、悪霊を除霊する力を持っていると信じられており、黄金の粉銀の粉を散布した粘土により、7体の魚型apkalluと、体の鳥型apkallu小像を造り、それを特定の場所に埋めたり、ベッドの脚に立てたりした。そうすることで、害悪を及ぼす悪霊を排除できると考えられたのである。
 
アッシリア王の周辺には、王個人や領土に生じる様々な変異を監視して、それに対処する専門的集団(魔術・呪術的賢者)がいた。バールー(肝臓占い師)・カルー(慰撫神官・歌手)・アーシプ(エクソシスト除霊師)・アスー(薬剤師)である。
 
これらの4つの専門的集団のうち、カルー(慰撫神官・おそらく去勢歌手?)・アーシプ(エクソシスト除霊師)・アスー(薬剤師)は、アプカルル(apkallu)の系統に連なる魔術・呪術的賢者と考えることができる。
 
アーシプ(エクソシスト除霊師)については、「エクソシスト便覧」と呼ばれる新アッシリア時代の文書が参考になる。この「エクソシスト便覧」には、アーシプ(エクソシスト除霊師)の仕事について、100近い文書目録が記載されている。
 
この「エクソシスト便覧」の中のSA・GIGAというタイトルの文書は、次のような内容を持つ。
 
病気の患者の元へ向かうアーシプが、途中で出会う動物により、その患者が快方に向かうか、反対に悪化するのかを占うことが出来る。たとえば、白い豚・黒い豚・白い牡牛・黒い牡牛などにより、患者の未来を予想する。
 
この様に、アプカルル(apkallu)の系統に連なる魔術・呪術的賢者であるアーシプの仕事は、呪術的な不合理なものであった。
 
ところで、1962年にLambertにより公表されたテキストには、古代メソポタミアの神話文学作品と、その著作者が、対応して書かれている。
 
その著作者は、ある文書の場合は、知恵の神エアに帰され、ある文書の場合は、アダパに帰されている。
 
そして、「エタナ物語」と「ギルガメシュ叙事詩」の著作者は、アプカルル(apkallu)に帰されている。と同時に、その著作者であるアプカルル(apkallu)は、「エクソシストmash-mash)」とされている。
 
以上の事柄から類推すれば、他のメソポタミアの神話文学作品(たとえばエヌマ・エリシュなど)も、・アーシプ(エクソシスト除霊師呪術師)的、アプカルル的文学作品として、理解されるべきであろう。
 
つまり、古代メソポタミアの神話文学作品は、まず第一に、エクソシスト的呪術魔術的意義目的)を持っていたのである。
 
 
出典 http://www.geocities.jp/todo_1091/bible/jesus/old-testament3.htm
 
マリ王国は、出土品の様式からシュメール(セム・ハム族でもない謎の民族と言われていますが、メソポタミアに最初に高度な文明を興した)文化の影響を受けながらその伝統を保ったようです。しかし、特徴的なものもあります。その1つがアムル人の農耕の神ダゴン神の信仰で、マリの広大なダゴン神殿は一大宗教センターであったと思われます。もう1つが、「夢占い」と考えられていますが(夢占い自体はどこの古代国家でもありました)、粘土板の記録には、地方の行政官が夢や幻視や予言について王に報告していた事が見られます。予言者は神懸かりした陶酔状態で予言を語り、行政官や王もそれを重んじていた様子が分かります。後のユダヤ教の預言者にも類似した点があるように感じられます。
さて、マリの図書館にあった粘土板のマリ中央政府と地方行政官との往復文章に・・・「---ペレグ、セルグ、ナホル、テラ、ハラン」の地名が登場しますが、これは創世記11章18-26「ペレグが三十歳になったとき、レウが生まれた・・・レウが三十二歳になったとき、セルグが生まれた・・・セルグが三十歳になったとき、ナホルが生まれた・・・ナホルが二十九歳になったとき、テラが生まれた・・・テラが七十歳になったとき、アブラム、ナホル、ハランが生まれた。」とありますので、アブラハムの先祖の名前は、このマリ時代の北西メソポタミア(パダン・アラム、アラム平原の意味で、その中心の町がハランで紀元前19世紀に栄えた)の町々の地名から採られたのでしょうか(創世記によればナホルは、アブラハムの息子イサクの妻としてリベカを迎えに行った町です)。
更にマリの砂漠の警備隊長ハンヌムからの報告書粘土板には「王に報告されたし、昨夜マリを離れてズルバンでいたところ、ベニヤミン人の皆が狼煙で合図を送ってました。サマスムからイルリ・ムルクへ、イルリ・ムルクからミシュランへ、テルカ地区のすべてのベニアミン人の村々は、狼煙で応答してました。私はこの合図の意味が確認できないので、見つけようと勤めていますが、町の警備を厳重にし、王は門から出ない事を勧めます。」と書かれてます。
http://www.geocities.jp/todo_1091/bible/jesus/images2/mari-kingdom-1.jpg聖書では後の時代にベニアミン(アブラハムの孫ヤコブと妻ラケルの息子)は支族の名前となりますが、この時代にすでにベニアミン人がいた事が分かります。マリ文章によれば、このベニアミンの本来の意味は、「右(手)の子ら」であり、単に南の子らと言う地域を示す言葉でした。このベニアミン人はマリ文章にたびたび登場しますが、それはベニアミン人がマリ王国の頭痛の種、トラブルの元であった事を示しています。余りに年中トラブルを起こすので、ある王の時代はベニアミン人時代とまで書かれてます。
マリ王国(アモリ人が中心)は、農園・穀物畑・広い牧場があり、東西南北の大隊商路の交差点でしたので交易も盛んで、25の神々を祭り長い間平和を保っていたようですが、国境に住むセム族の遊牧民の諸族の侵入があった事も書かれていますから、軍隊組織は整えていましたので、世界最初の徴兵制度があった事が分かります。ベニアミン人への人口調査(徴兵と課税が目的)は行われなかった事も書かれてます。服従しない反抗の種族と思われていたのでしょう、しかしマリ最後の王ジムリ・リルの時代に、ベニアミン族を敗北せ蹴散らした事が粘土板に記載されてます。
アブラハム(現在ではこの名前自体はエジプト人やキプロス人にも多数見られるので、古文書の中の名前だけでは判断できないとされている)の一族がどうなったかは不明ですが、聖書の年代ではBC1900年前後にはカナンに向かったと推定されます(追い払われたとも考えられますが)。しかし、考古学的資料ではもっと後の時代とする説もあります。根拠としては、次に説明するBC1500年代頃のミタンニ王国のホリ人のヌジ遺跡の文書庫から出てきた、ホリ人の法律の文章と聖書の創世記の中にある文章との驚くべき一致点があるからです。こうした例はいくつも出てきます。要するに種族の移動と共に、背景として各地の色々なもの(風俗・風習・法律・宗教的要素・行政形態)が取り込まれて行った事は想像に難くないでしょう。
W・ブルケルトによるアルテミスとアクタイオーンの神話解釈を、かい摘んで紹介したい。
 
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アクタイオーン  は、ギリシア神話の中の登場人物の一人。長母音を省略してアクタイオンとも表記される。父は太陽神アポローンの子アリスタイオス、母はテーバイの王カドモスの子アウトノエーとされている。
ケンタウロスケイローンに育てられて狩猟の術を授けられた。一説には狩猟を教わったのは実父からであったともいう。
 
50頭の猟犬を連れてキタイローン山にて狩猟中、女神アルテミス入浴中の裸体を誤って目撃してしまったために、報いとしてかの女神によって鹿へと姿を変えられ、連れてきていた自分の猟犬に食い殺された。一説にはわざと鹿皮をアクタイオーンに被せて猟犬に襲わせたともいう。
 
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 ケーオス島では、アクタイオーンの父であるアリスタイオスが、シリウス()星の齎す破壊的な酷暑に対抗する目的で、犠牲奉献の祭りを創始した。エーゲ海では、シリウス()星が輝く夏は、炎暑になるので、その炎暑を鎮める目的で、アリスタイオスは祭壇を築き、シリウス()星には羊の、<雨を呼ぶゼウス>には、牡牛の犠牲奉献の祭りを行なったのである。するとゼウスはこれに応えてエテーシアイ(貿易風)の風の神に命じ、40日間涼しい風を送ったので、酷暑と疫病がやんだ。このことで、アリスタイオスは島人の感謝と尊敬を一身に集め、島では毎年シリウスが空に現れる前にゼウスに捧げものを供えるようになった。
 
★ この場合、祭司アリスタイオスが行なったのは、単純な天候呪術ではない。そうではなくて、犠牲儀礼には、コスモス(宇宙万象)の諸物に影響を与える絶大な力が存在するのである。その犠牲供犠によりシリウス()星の破壊的な支配が終焉することは、リュカオーン王の食人犠牲供犠に続いて、大洪水が起きたことや、テュエステースの食人饗宴が、太陽の運行を逆転させたことに対応する。
 
★ リュカオーン(狼犬)王は、アルカディアにおいて、自分の息子に対して、狼のように振る舞い、食人犠牲供犠に及んだ。一方、アリスタイオスは祭司として、シリウス()星に対する犠牲奉献の祭りを創始した。そして、彼は同時にアクタイオーンの父であり、アクタイオーンと言えば、自分の猟犬達に八つ裂きにされたのであった。この神話では、狩人アクタイオーンが、立場が逆転して、自分自身が鹿として、猟犬に狩り立てられることになる。この神話のコンテクストは、チャタル・ヒュユクの壁画に酷似している。そこでは男達が豹に変装して、リアルの鹿を狩り立てているが、ギリシャのアクタイオーン神話の場合では、リアルの犬達が、鹿に変装させられた人間を狩り立てている。ところが、アクタイオーンを八つ裂きにしたリアルの犬達には特別な事情がある。既にヘシオドスが、犬達の名前の一覧表を提示して、犬達を人格として扱っている。そして、この神話の終結部では、主人を鹿として八つ裂きにしてしまい、悲嘆にくれる犬達に対して、半人半獣のケイローンが、アクタイオーンの絵を描いてやると、犬達の悲嘆は鎮まったという。
 
★ さて、本物の犬が、主人の絵を見て、悲嘆を鎮める事など、有り得ようか?実は、この犬達は、女神アルテミス配下の犠牲供犠執行人なのである。この犬達は、チャタル・ヒュユクにおいて、大地母神に仕える例の豹に変装した男達に対応している。つまり、アルテミスとアクタイオーンの神話は、ひとつの狩猟*犠牲儀礼なのであり、それは、獣達の女支配者(アルテミス)によって聖化され、旧石器時代にまで遡る形式に従って執り行われる。儀礼を行うのは、狼犬のような男達(狩人結社)なのである。ある神話考証家は、青銅鍛治の魔術的技術を司るロードス島のテルキーネスと、アクタイオーンの犬達を同一視している。
 
★ アルテミスとアクタイオーン神話のコンテクストは、イシュタルとギルガメシュの神話にも酷似している。それは、次のギルガメシュの発言から推察できる。貴女は牧人(狩人)を愛した後、彼を狼に変身させてしまった。そして、彼の猟犬達が彼の太腿に食らいついた
 
★ アルテミスとアクタイオーン神話のコンテクストは、ウガリト神話におけるアナトとアカトの神話にも対応している。女神アナトは、狩人アカトの持っていた弓が欲しくなり、猛禽に命じて狩人アカトを八つ裂きにさせている。
 
★ ちなみに、ウガリットのアカト(Aqhat)にionを付けてギリシャ語化すると、アクタイオーン Aktaion)になるのではあるまいか?

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