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終わりのはじまり




鞄の中で携帯が鳴った

もちろん真由美からだった

何を言いたいのか、何を聞きたいのか、わかっている

そして、無視することが一番傷つくということもわかっている


真由美が今どんな気持ちで鞄に携帯をしまっているのか、
考えただけで、すべてが報われるような気がした
誰がなんと言おうと、この計画は間違ってはいない

誰がなんと言おうと私はやめない

その先に何が待っていても私はやめない

ここまで非道な人間になるまでには理由がたくさんあった
その理由は真由美が積み上げたものだ

どっちが悪いかなんて関係ない


人間なんてそんなもの

腐りきっているのに、それでもまだ腐り続けようとする生き物だから



終わりのはじまり






通い慣れた道 見慣れた景色
私たちはいつでもふたりだった

嬉しいことも 悲しいことも
全部、分け合ってきた
言葉にしなくても分かり合えた
こんな風にすれ違うのは、ある意味二度目だから
もうそろそろ慣れてもいい頃なんだけど

不覚にも、ふと、さみしくなってしまう自分がいた

でも、本当はふたりでいる時の方が
もっとさみしくて、もっと孤独だった
どんなに時間や言葉を重ねても
不安でしかたがなかった

いつかまた裏切られる
いつかまた想いを閉じ込めないといけない時がくる
そんな、あきらめに近い感情がいつでも私の心に寄り添っていた

ひとりでいる孤独とふたりでいる孤独
似ているようで、全く違うふたつの孤独

人のぬくもりなんてはじめから知らない方がいいんだ
手に入れてもいないのに、失ってしまう友情なんてはじめからいらないんだ

そう呪文の様に繰り返しながら
私は家路を急いだ

終わりのはじまり






真由美はそれ以上何も言わなかった

今は何を言っても無駄だと思っているんだろうけど
今よりずっと前から
私にはあなたの存在自体が何よりも無駄で
あなたが何を言っても、何をしても
私の心の扉を開くことはできなかった

信頼という、かけがえのないものを
あなたが壊したから....



「じゃぁね また明日学校でね!!」

私は小さく手を振って
その場を立ち去った

なんだかスキップしたいような、踊りだしたいような、そんな気分

真由美もこんな気分だったのかな
だから、いやらしい顔をして、私にあんなことができたのかな

それだったらしょうがないかもね

だって
誰かを陥れようとすることが
こんなに楽しいものだなんて
知らなかったもん

終わりのはじまり






「今までありがとね」

今日、一番の笑顔を真由美に向けた

この言葉を告げるまで
色んな葛藤があった
この日を迎えるまで
色んな想いを殺して来た...

真由美はまだ何もわかっていないようなので
私は言葉を続けた

「だからさ、今日でともだちをやめるんだよ」
「もう一緒には帰れないし、話しもしない」
「まぁなんていうか 私、真由美のことが嫌いなの」

「ごめんね....」

そう告げると
「またぁ〜!!!」と言って私の肩に手を置いてきた

最後の望みにかけたのかもしれないけど

もうわかっているんだよね?
だって手が震えてるもん

そうだよ もう遅いんだよ


終わりのはじまり









大丈夫 もう 大丈夫
終わったことだから

そう自分に言い聞かせても
あの恐怖が記憶を支配する

心から笑い合えた日もあったはずなのに
たった一つの事実が、色とりどりの思い出を
隅々までに汚していく

もう「あんな想い」はしたくない
だから「あんな想い」をさせる側に回った
ただそれだけのこと

ただそれだけのこと.....






「あのさ、今日からでいいんだけど」

「ともだち、やめない?」

私の提案に
真由美は顔をひきつらせ、言葉を失っていた
どうでもいいけど
ここまで来るのに、ちょっと時間かかりすぎた


そしてようやく

はじまる

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