保守の源流を訪ねて

いざいざと友に盃すすめつつ泣かまほしかり醉はむぞ今夜

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◆【産経抄】

 イラクの武装組織に襲撃され、行方不明になっていた斎藤昭彦さん(44)の死亡が外務省などによってほぼ断定された。無事生還をとの祈りが届かなかった家族の沈痛を思うと言葉がない。弟の博信さんは気丈にも「覚悟していた」と語った。テロへの怒りを込めて冥福を祈りたい。

 ▼同時に、民間人が戦闘地域に行くということについて、今一度考えてみたい。斎藤さんのような職業をプライベート・オペレーターというそうだ。民間軍事会社と高額報酬で契約し、戦争地域ではときに正規軍よりも危険な任務につく戦闘請負人のことだ。

 ▼場合により年俸一億円を超えるケースもあるという。しかし捕虜になってもジュネーブ条約が適用されず、戦死しても補償はない。日本に安否を気遣う家族がいて、結婚を希望していたという斎藤さんがなぜなのか、とも改めて思う。

 ▼フランスの外国人部隊にも所属した経歴がある斎藤さん。戦場の仕事には、日常では得られない緊張と達成感があったのだろうか。ただ、その最期の様子からひとつ分かることがある。武装組織の声明によれば「捕虜だ」と言って投降すると見せかけ、機関銃で反撃にでたものの敵の銃撃に倒れた。

 ▼投降すれば取引材料にされたうえ、惨殺されると承知しての抵抗だったようだ。ぎりぎりの場面でのこの判断は、少しの甘えもない武人のものである。戦争のビジネス化についてはいろいろ意見はあろうが、そのプロとしての姿勢には敬意を表さずにはおられない。

 ▼イラクで起きた日本人の人質事件では、さまざまな議論がなされてきた。命を賭す覚悟もなく甘い考えで戦地に赴くことは厳に戒めねばならないが、徹底したプロ意識と勇気の人を前にすると自ずと頭が垂れてくる。

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