保守の源流を訪ねて

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◆【政治 縦断横断】反日デモ報道 ソフトパワーで世論づくり
 「中国が過去に対する謝罪を日本に要求することには賛同できない。日本の首相や政治家は何度も謝罪を行ってきた」(4月24日付デンマーク・ユランス・ポステン紙)
 「中国はドイツとは逆に日本は戦争犯罪について謝罪していないと信じているが、これは正しいとはいえない。実際には日本の首相は深い遺憾の意を表明している」(4月13日付ドイツ・フランクフルター・アルゲマイネ紙)

 中国各地で起きた四月の反日デモ事件以降、日本政府は、各国のメディアで日中問題が取り上げられているのか注目してきた。これまでも日本に対する誤解や偏見に基づく記事が出れば、そのたびに反論してきたが、今回は国連安保理常任理事国入りへの支持取り付けの真っ最中でもあり、一段と力を入れた。

 今回、各国マスコミの報道ぶりを見ると、日本の主張を正確に伝える一方で、中国の対応を批判する記事が目立った。背景には、「中国の今回の対応がお粗末過ぎた」(外務省幹部)こともあるが、それ以上に「各国への働きかけが、まれに見るほどうまくいった」(同)ことがある。

 東京駐在の各国メディアに対する説明はもちろん、在外公館だけでなく、政府系の独立行政法人の海外窓口を通じた“世論づくり”が奏功したという。単に日本に有利な情報だけを流すのではなく、反日デモに伴う破壊活動による大使館の被害状況などをできるだけ正確に伝える正攻法をとり、「中国が情報統制をやればやるほど、日本の情報が受け入れられた」(外務省国際報道官室)。

 もちろん、日本に対する誤解に基づく記事も依然あるが、その場合は、大使や総領事名で反論や日本の立場を説明する新たな記事を投稿した。

 「何もない時に投稿しても載りづらいが、反日デモに関連して、日本への関心が高まった結果、全体の掲載率も高くなった」(同)という。

 一方で、日本に友好的なインドでも「中国指導者が、日本から受けた苦しみについて主張するのはもっともかもしれないが、他のアジアの人々について語るべき立場にはない」(4月28日付インド・ヒンドゥスタン・タイムズ紙)と有力紙が論評するなど、日本の主張を百パーセント支持しているわけでもない。

 今回はうまくいったかもしれないが、次もうまくいくとはかぎらない。わが国の一部メディアを除けば、どの国のメディアも、自国の利益を最優先するのは当たり前なだけに、努力を怠れば、いつ「中国支持、日本批判」に転じてもおかしくない。

 経済大国としての威光にかげりが見え、政府開発援助(ODA)も以前のように増額できない今、わが国はこれまで以上に、ソフトパワーを使った“世論づくり”に精を出すほか、道はなさそうだ。(政治部次長 宮野弘之)

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