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◆【社説検証】人権擁護法案 報道規制には全紙反対 産経は法案全体を批判
人権擁護法案をめぐり、自民党内で賛否両論が激しく対立している。五月中の国会提出は見送られ、党内協議が今月以降に持ち越された。
人権擁護法案は三年前の国会に提出されたものの、メディア規制条項などへの批判が強く、二年前に廃案になった。今回、法務省はメディア規制条項を凍結するという修正案を示したが、他の部分は前回とほとんど変わっていなかった。
当初、産経を除く各紙は、メディア規制条項に焦点を絞り、「凍結していいというのなら、なぜ、削除できないのか」(二月二十五日付朝日)、「姑息なやり方」(二月十三日付毎日)、「メディアの自主的な動きを無視」(二月二十八日付読売)などと法案の一部を批判した。朝日は、人権侵害を調査する人権委員会が法務省の外局に置かれている点にも反対し、人権委を内閣直轄か内閣府の外局にすべきだと主張した。
これに対し、産経は三月十日付で、メディア規制条項だけでなく、(1)人権侵害の定義があいまい(2)人権委員会の権限が強すぎる(3)国籍条項が入っていない−など法案全体の問題点を指摘した。
その後、自民党の法務部会・人権問題調査会の合同部会などで、産経が指摘した問題点についても激論が交わされ、法案の部分修正にとどまらず、法案全体を見直すべきだとする意見が強まった。
これに伴い、毎日は、人権侵害の定義が「拡大解釈される恐れは十分にありそうだ」(三月十三日付)とし、人権委員会の権限についても「令状なしに立ち入り検査が可能だというが、ちょっと権限が強すぎないか」(五月十六日付)と疑問を提起した。
読売も、法案に国籍条項がないことや人権委員会の権限が強すぎる点への自民党内の批判には説得力があるとし、「すべての疑念が解消されるよう、さらに法案を練り直すべきだ」(四月二十三日付)とした。
朝日は、「朝鮮総連幹部による犯罪やエセ同和事件があったからといって、外国籍の住民や部落解放運動をしている人を排除しようとするのはおかしい」(三月十八日付)とし、メディア規制条項などを除いた法案の大部分を支持した。
四月下旬、古賀誠・人権問題調査会長が国籍条項問題で一部修正案を示したが、産経は「問題は法案の本体にある」(四月二十三日付)として、法案そのものに強く反対した。
日経と東京は、当初のメディア規制などに絞った法案の一部批判にとどまっている。(石川水穂)
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≪人権擁護法案をめぐる各紙の社説≫
・朝日「修正して成立を急げ」(2月25日)
「人権忘れた擁護法論議」(3月18日)
・毎日「メディア規制の狙い変わらぬ」(2月13日)
「メディア規制削除し出直せ」(3月13日)
「国民の理解得られる修正を」(5月16日)
・読売「『凍結』ではなく修正が筋だ」(2月28日)
「大幅修正して出し直すべきだ」(4月23日)
・産経「問題多く廃案にすべきだ」(3月10日)
「疑念は払拭されていない」(3月16日)
「なぜ問題点を放置するか」(4月23日)
・日経「疑念消えない人権擁護法案」(2月25日)
・東京「衣の下に鎧が見える」(2月18日)
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