保守の源流を訪ねて

いざいざと友に盃すすめつつ泣かまほしかり醉はむぞ今夜

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2005年7月8日「正論」より。

本ブログを始めたのは2005年2月、既に7年半が経過し、左の通り合計投稿数は818通にもなっている。途中2008年から中断があったが、今回過去の投稿記事をざっと読み返してみた。

現在でも通じる内容の記事が目白押しであり、と言うことは、逆に状況は悪くなっているということか?例えば下記正論記事は、正に今主張したい気がするくらいではないか。

【正論】明治大学教授入江隆則 ギリシャ悲劇に学ぶ「靖国」の核心 人為で自然の法蹂躙するは誤り

≪江藤淳氏とアンティゴネ≫
 六年前に自決して世を去った江藤淳氏は、晩年にはいつもギリシャ悲劇の「アンティゴネ」の薄い英訳本を、かばんの中に入れて持ち歩いておられた。

 東京裁判で有罪判決を受けて死んだ昭和殉難者たちを、靖国神社に合祀するのは当然であり、またその人々を含めて国難に殉じた人々に哀悼の意をささげるのは、後世に生きる人々の責務であることを理解するのに、これは格好のテキストですよ、といつも言っておられた。

 悲劇「アンティゴネ」の筋は簡単である。

 ギリシャの古都テーバイでポリュネイケスとエテオクレスという兄弟が王位を争って、攻防戦で共に刺し違えて死ぬ。そこで王位についた彼らの叔父クレオンは、町を護った側のエテオクレスの屍はねんごろに葬ってもよいが、敵方として来攻したポリュネイケスの方は、これを埋葬してはならず、屍を野ざらしにして、決して哀悼の意を表してはならないという布告を出す。

 この布告に激しく抵抗して、ポリュネイケスを埋葬して哀悼の誠をささげてから、敢然と死刑の宣告を受けるのが、クレオン王の姪アンティゴネである。

 彼女に言わせれば、生前の政治的立場によって死者を選別するクレオン王の布告は、生き残った者の政治的な都合による「人為の法令」に過ぎない。しかし「悠久の昔から伝わる神の掟に基づく、人性の自然の法」は、そういう「人為の法令」の支配を禁じているというのである。

 かくしてアンティゴネは、自らの信念に従ってポリュネイケスを埋葬し、クレオン王に殺されるが、その結果、アンティゴネを慕っていたクレオンの息子が自殺し、それを悲しんだ王妃も狂い死にをして、やっとクレオン王は、自らの思慮の足らなさに気づき、悲嘆に暮れるという物語である。

≪悠久の昔からの“神の掟”≫
 このクレオンとアンティゴネの論争点が、昨今この国を騒がせている靖国問題の核心に触れているのは、故江藤淳氏の慧眼どおりである。

 戦争というのはクラウゼヴィッツが指摘した通り、「政治の他の手段」であって、それはギリシャ悲劇の昔から二十世紀の大東亜戦争に至るまで変わるところがない。そこでは常に「人為の法令」や「人為の判断」が「人性と自然の法」に取って代わろうとするが、それは人間の傲慢の表れである。

 早い話が、東條英機元首相、松井磐根大将、廣田弘毅元首相といった昭和殉難者たちは、たしかに東京裁判で死刑にはなったが、そもそも東京裁判なるもの自体が、戦後処理に関する戦勝国の「人為の法令」の具体化に過ぎない。

 したがって、そんなもので死者に対する「悠久の昔から伝わる神の掟」を覆すことはできない、と劇作家ソポクレスなら言うはずである。

 昭和殉難者たちの伝記を読んでみれば分かるが、この人々はルーズベルトやスターリンや毛沢東といった面々と政治的に対立はしていたが、彼ら以上に悪辣だったようには見えない。むしろ追い詰められて否応なしに困難な選択を迫られたというのが、公平な見方であろう。

 しかも、殉難者たちはすでに死刑によって、東京裁判で一方的に罪とされたものを償っている。その上、哀悼の意をささげるのまで拒否せよというのは、クレオン王と同じ専横だと、江藤淳氏は言っていたのである。

 ここで中国という国が、昔から「人為の法令」によって「人性の自然の法」を蹂躙してきた国だという史実を思いだしておくのは無駄ではない。

≪王朝交代ごとに歴史改竄≫
 かの国の易姓革命という名の王朝交代の内実は、概して前王朝の人々が虐殺され、その度に後王朝の「人為の法令」によって、歴史が改竄され続けて、それを「正史」と称してきた歴史だったからである。

 してみると中国共産党が戦後六十年経った今、日本を屈服させる政治の道具になりそうなものは、何でも使おうとするのは、彼らの政治文化に照らして何の不思議もないというべきだろう。

 不思議なのは、その中国に阿るために、クレオン王のそれにも似た「人為の判断」にたやすく乗じられて、叩頭と自己否定を繰り返す日本のマスコミと政治家たちの存在である。

 それを拒否するためにも、今年こそ小泉首相は八月十五日に堂々と靖国神社に参拝していただきたい。
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