保守の源流を訪ねて

いざいざと友に盃すすめつつ泣かまほしかり醉はむぞ今夜

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その通りです。石原さんは作家の発想で「国際語」として失格と言ったのです。日本の馬鹿外国語教師たちは怒っているらしいが、仏国大使がこれで文句をつけていますか。日本語同様、寧ろ誇るべきことなのです。

◆【阿久悠 書く言う】シャンソンとシネマ スカーフとバッグもいいがシャンソンとシネマで

 東京都知事がフランス語を侮辱したとかで騒ぎになり、裁判沙汰にまでなっている。何でもフランス語は数の勘定もままならぬ言語で、国際語としては失格であると、言ったらしい。

 まあ、自分の国の言葉を如何にも価値なきものの如く公に言われると、フランスならずとも怒るであろうが、こういうことも言えるのではないか。つまり、言語として魅力がなく文化として何の価値もないと言ったのではなく、国際語として失格だと語っただけのことだと。

 国際語になり難いというのは、この時代に於いてはむしろ名誉なことだと思う。国際語とは、世界共通の記号として使い勝手がいいですねというだけのことで、コンピュータ的なるものを中に置いての、最低のコンセンサスに過ぎないからである。

 従って国際語は、かつて大国が感じたような公用語と全く違って、記号としての特性で選ばれただけなのである。

 ぼくが愛してやまない日本語も、絶対に国際語にはならない言語である。そんな平易に解釈されるものになってたまるかという、思いさえある。六十数億人が共有出来るような簡単な言語、底の浅い表現手法、文化ではないぞと難解を誇っているのである。

 世界中ヘラッとした薄味の言語で統一され、用件のみ的即物会話で埋めつくされたらどうなるのか。空恐ろしいではないか。

 フランス語であれ、日本語であれ、愛する人の間に普及するのは喜ばしいが、国際語の名の下に文化が殺ぎ落とされるのなら、シカトされた方がいいのだ。

 さて、この問題、都知事の立場で言うべきであったかどうか、言い方に品性があったかどうか、問題化させる意図があったかどうかについては、別のことである。

 ぼくの思い、ぼくのショックはそういうことではなく、むしろ、フランス語を選択する学生が皆無に近いという首都大学東京での現状に、愕然としたのである。かつては、たとえアクセサリー的にしても、フランス語を当然のことのように選択した。

 ぼくらの時代では、第二外国語はまずフランス語かドイツ語、癖のある文学青年がロシア語、経済系の学生がスペイン語というのが普通であった。ぼくも多くを考えずにフランス語を選択した。

 ただし手に負えなかった。不幸にも新進気鋭バリバリの仏文学者の講座を取ったものだから、途中で放棄した。彼は無知な学生のレベルに決して下りてくれなかったからである。

 だが、文化としてのフランス語は、シャンソンや映画を通じてこよなく愛した。その言語で語られるドラマを魂に引き入れて、青春期を深く豊かに送った記憶がある。それがフランスなのだ。(あく・ゆう=作詞家、作家)

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