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8.11(対USD)が出発点として認知されたことだけが意味のあること。7.6ぐらいまで間単に上がり(上げさせられ)、Chinaの国営企業は壊滅して行く。企業が消えても人は清々と生き延びている。
◆【紙面批評】UFJ総合研究所調査部長・五十嵐敬喜 過大評価された人民元改革
大イベントについては恐らく予定原稿が用意されているのだろう。七月二十一日に中国が実施した人民元の改革は、経済の分野においてまさにそうしたものの一つであったに違いない。まるで人類が火星に降り立ったのかと思わせるほどの大見出しをつけた新聞もあった。
しかし今回発表された改革は事前の期待に比べると驚くほど小粒であった。改革の小ささと各紙の扱いの大きさとのあまりのギャップに戸惑わざるを得ない。今回の改革はあるかないかではなく、いつやるのかと皆が待ち構えていた。それだけに、事前におおかた用意していた記事が掲載されたのではないか。歴史的な一歩が踏み出されたのかと思った人が多かっただろう。他紙と同様、産経も「小さくも重い一歩」(七月二十二日)と評価したが、改革に対する事前の思い入れが強すぎて事実を見る目が曇っていないか。
◆「評価」では思うつぼ
今回の改革のポイントは通貨バスケット制にある。これを変動相場制導入への第一歩だと評価しては、言葉は悪いが中国の思う壼である。人民元の水準はわずか2%の切り上げにとどめ、しかも小幅すぎるという非難をうまくそらす方便にこの制度を持ち出したのではないかと思える。通貨バスケット制はあくまでも固定相場制である。それも運用の仕方如何では限りなくドルとの連動性を高めることができる。つまり従来の制度と実態的には何も変わらないように運営することが可能なのだ。
実際、切り上げ発表から五日後の七月二十六日、中国当局は「今後も切り上げが続くことを意味するものではない」との声明を発表し、追加切り上げ観測を牽制している。少なくとも当分の間、当局はこれ以上の切り上げをするつもりはないし、日々の変動の積み重ねとして人民元が徐々に上昇していくことを認めるつもりもないのは明らかだ。実需に任せれば大幅上昇しかねない人民元相場を通貨バスケット制という仕組みを使って押さえ込む意図がうかがえる。
◆切り上げなぜ慎重か
新聞に期待されるのは、強い外圧の下でも中国が人民元の切り上げに極めて慎重なのはなぜかという点の分析である。中国は多額の貿易黒字を計上しているが、国内産業のすべてで国際競争力が高いわけではない。輸出の主体は外資系企業が担っている。国内企業、とくに繊維など労働集約的な薄利多売型企業は、人民元の切り上げによって大きな打撃を被る可能性がある。中国からの繊維製品の流入に苦しむ米繊維業界は、人民元の2%程度の切り上げでは「焼け石に水」(七月二十五日付読売)と不満を表すが、一方、中国側にすれば、「1%の元切り上げで、綿製品の製造業者の利潤が平均12%減るとの試算」(七月二十三日付毎日)もあり、大幅な切り上げには踏み込みにくいのが実情だ。
そもそも人民元改革の目的は何か。米中の貿易不均衡の是正を人民元の切り上げで実現させることなどおよそ不可能というほかない。中国に日々流入するドルを買い上げる結果積みあがった外貨準備高の規模が、今やGDPの半分近くに及んでしまったことは深刻な事態を引き起こしかねない。しかしこれとて、人民元を切り上げれば解決する類の問題ではない。
成熟した大国として、その通貨がグローバル市場で自由に取引されることは不可欠の条件だが、今回の改革はその一歩がなかなか踏み出せないことを示した。「変動相場制移行への速さと道筋は外圧よりも、中国国内の経済構造改革の進行にかかっているとも言えそうだ」(七月二十八日付産経『潮流』)という視点からのより深い分析を期待したい。
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いがらし・たかのぶ 昭和二十七年生まれ。京都大学卒。三和銀行に入行、バンカース・トラスト銀行客員エコノミストなどを経て平成十四年から現職。(東京本社発行最終版による)
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