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◆【産経抄】
「政治家の行動原理三原則」を三十年以上、国会職員として議員の生態を間近に観察してきた人から聞いたことがある。いわく「第一は自己の利害得失で、これが七割。第二は情熱、第三が怨念だ」と。郵政民営化法案否決に続く衆院解散劇は、その説を立証しているかのようだ。
▼民営化反対派に青票(反対票)を投じさせた原動力は、圧力団体への配慮という利害得失の計算と、党内の声に耳を貸さない小泉純一郎首相への怨念だ。だが、その先の展望と政権奪取への情熱がなかった。対抗馬をたてられそうになって「自民党に戻りたい」という前議員も相次いでいるとか。情けない。
▼昭和二十八年、「独裁的手法」で批判を浴びていた首相・吉田茂に鳩山一郎らが反旗を翻して脱党、「鳩山自由党」を結成した。この政党は直後の総選挙では伸び悩んだが、参謀・三木武吉の働きもあり、後に鳩山政権が誕生した。いま、反対派には鳩山も三木も見当たらない。これでは勝負にならない。
▼その鳩山が初代総裁となって誕生した自民党では、半世紀を経て、革命的変化が起きた。党首である小泉首相の掲げる政策に反対するものは容赦なくたたきだされ、粛清されようとしている。
▼「小泉以前」の自民党は、その名が示す通り、「自由主義」重視派と「民主主義」重視派が同居し、対立する問題が出ても、「和をもって貴し」精神で、先送りするか曖昧な決着を図ってきた。政権維持を第一の目標としたからだ。
▼だが、内外ともに厳しい時代の政治は、ごまかしを許されなくなった。古きよき時代は終わったのだ。民主党や反対派が「小泉・信長」に対抗するには、明確な理念と情熱が必要だ。投票まであと一カ月。有権者はちゃんと見ている。
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